« 第8回兵庫私学展開催 | メイン | 八月が終わり九月へ »

「情けは人の為ならず」

 昔からのことわざに、「情けは人の為ならず」というものがあります。これは「情けは人のためではなく、いずれは巡って自分に返ってくるのであるから、誰にでも親切にした方が良い」という教えです。「情けは人の為ならず 巡り巡って己が(自分の)為」ということになります。ところが、「情けをかけることは、結局はその人のためにならない」、だからすべきでないという全く反対の意味だと思っている者が多いと話題になったことがあります。
 さて、この「情けは人の為ならず」を科学的に実証したと大阪大学が研究成果を発表しています。それによりますと、「幼児が第三者間のやり取りを観察して他者の親切さを評価していること、親切を行う幼児は後にまわりの児から親切にしてもらいやすく、自分が親切にした分をまわりの児から返してもらっていることが明らかになりました」(大阪大学最新研究成果リリース)としています。ヒトの利他性は動物界の中でも大変特異的で、大きな謎とされてきたそうですが、それを幼児の日常生活の行動からデータを集め実証したというのです。
 人間は「他人のため」に何かをすること自体を喜びとするものですし、「他人のため」に一生懸命努力している姿に感動するものです。「他者に親切なものには、より親切に振る舞う」という「正の連鎖」は良いのですが、「他者に親切にしないものには親切にしない、もしくは罰を与える」という「負の連鎖」や「倍返し」は断ち切らなければなりません。