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2008年09月30日

企業から見た日本の教育への期待

  先日の講演の中で、楠見氏からは日本の教育への期待という切り口での話がありましたが、これから日本が国際社会で生き残っていくためには、高度な科学技術力の養成が不可欠であるというグローバル企業としての危機感がひしひしと伝わってきました。
  この中で、指摘されたのは〝青少年が科学技術に興味を持つために重要なこととして、教育制度や授業の改善、自然とのふれ合い、処遇改善による研究者のイメージアップ、地域や家庭での育成に関する認識の向上が必要なこと。また、研究者という道に進むにあたって影響を受けたのは大学や高校・中学時代の恩師、憧れの技術者や科学者、親・家族・親戚といった人に関するものが多いこと。
  更に、国際競争力のある科学技術人材・モノ作り人材の資格要件としては「相手を思いやる心」「(相手の)課題を課題として認識する力」「課題解決に向けて論理的に考える力」「真理・原理、そして科学技術への探究心」「(海外の方との)ディベートに負けない根性」「語学力」「国際社会の中での日本への誇り」が必要なこと。ゆとり教育の実施('98~'07)は日本の競争力伸張の観点では空白の10年を生んだこと。
  最後に、教育現場と企業の期待に乖離はあると思うが、国際競争力の確保なくして、国際社会の中での日本の存続(貿易収支の確保による国民生活の維持)はありえない。企業として期待するのは大学や大学院のレベルアップであるが、そのためにはまず大学以前の段階での準備が重要であり、技術が高度・複雑化している現在、より早期に科学技術の基礎学力を身につける必要があること。〟等です。
これらの指摘は実に核心をついており、我々教育を担当する者についても傾聴に値するように感じました。
  大きな国土やこれといった資源もない日本が世界で認められていくためには、産業立国としての強固な基盤を築き上げていくことが不可欠ですが、その核となるのは何と言っても人材です。これからはまさに世界各国を上回る教育のレベルアップが必要であり、我々教育を担当する者は日本の将来を担っているという強い志を持たなければならないと痛感しました。

2008年09月29日

内部連絡入試説明会の開催

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  9月29日(月)、雲雀丘学園小学校の保護者の皆さんに対する進学説明会を開催しました。本校は、昨年度の高校改革に続いて、本年度より「一貫選抜」「発展」という2コースの設定を柱とする中学改革をスタートさせました。この狙いは個々の生徒に対するよりきめ細かい進路指導を行なうということです。10時半から始まる説明会には小学4年生から6年生までの保護者約120名の方が参加していただきました。 昨年度の説明会では、初めてコース制を導入するということで、保護者の中にも多少理解が不十分な面があったようですが、今回については小学校と調整し、コース選択がやりやすい進学基準に改めました。
  私はより理解を深めていくために『改革にあたっての基本的な考え方』と『なぜ今環境教育なのか』という説明資料をお届けすると共に、学校改革に至った経緯と現在の取り組みについての骨子についてパワーポイントを使って説明しました。
  「私は2年半前にこの雲雀丘学園中学・高校に赴任してきた。本校ではほとんど全員の生徒が上級学校へ進学しているが、生徒のポテンシャルを見ると必ずしも進学実績が伴っていないというように感じた。すぐに実態を分析してみると、個々の生徒の能力や適性と教育内容をより整合させることが必要であるという結論にいたった。これを受けて高校に3つのコース制を導入すると共にカリキュラムの見直しや授業時間数の増大をはかる等の改革を行ない、続いて中学改革にも取り組むこととした。
  改革にあたっての基本の考え方は学園の創立の精神である〝親孝行のできる人は将来どのようなこともできる〟という〝孝道〟の体現化である。これを現代風に解りやすく表現すると『社会で活躍するリーダーの育成』を目指すことである。そのためには、人間教育の充実と学力の向上の両立をはかっていくことが大切であると思っている。そして、2013年(現在の中学1年生が高校を卒業する年)を改革の最終完成年と考えている。現在、改革は順調に推移してきているが、より一層充実した教育活動を展開していきたい」
  その後、学校生活のビデオ、毎年の入試結果や改革の進捗状況、来年度の入試予定等の説明を行ないました。今回は、時間の関係で高校新校舎の詳細にはあまり触れることはできませんでしたが、来年中学への入学者については全員高校の新校舎で学ぶことができます。どうか恵まれた環境下で、将来社会で活躍するリーダーを目指して欲しいと思っています。
  なお、本日の説明でおわかりにくい点もあったかも知れませんが、本校ではいつでも個別の進学相談に応じていますので、事前にご連絡の上ご来校ください。

2008年09月28日

企業から見た科学技術力の課題

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  昨日、講演いただいた楠見雄規氏は松下電器産業のコーポレートR&D戦略室の室長であり、産学連携推進センター所長も兼務されています。R&DというのはResearch & Developmentの略で研究開発ということです。同社では「お客様の満足」という視点に立ち、それをテクノロジーで実現するために「指きたすネットワーク社会の実現」と「地球環境の共存」という事業ビジョンを掲げて積極的にR&Dイノベーションに取り組んでおり、その要となるのがコーポレートR&D戦略室です。それだけにお話の内容は、日本におけるグローバル企業が抱える課題や今後の日本の進むべき方向について核心をついたものが数多くあるように感じました。
  〝日本の科学技術競争力の推移を見ると、研究投資額はそれなりのレベルにある。しかし、民間頼りの結果、目先の成果への投資偏重ということになっており、世界に先立つ技術が育っていない。他の研究者から参照されるレベルの研究が少なく人材が育っていない。このまま国内人材中心でグローバル成長ができるかどうかは疑問である。日本はこれまで高度な科学技術力によって産業立国としての地位を築いてきたが、まさに危機的状況になりつつある。ゆとり教育や大学独立法人化(国費削減+民間依存)の施策は科学技術力の低下に繋がっているのではないか。〟
  更に、日本の教育への期待として多くの話をいただきましたが、この内容については、改めて紹介したいと思います。
                          ≪続く≫

2008年09月27日

ビーンズ・ツリー研修会に参加して

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  9月27日(土)、ビーンズ・ツリー研修会に参加しました。この会は大阪府立高校の現職校長の自主的な研修会として平成3年にスタートし、平成13年にビーンズ・ツリーという名前になり、現在に至っています。活動内容は土曜日の午後に2カ月に一度の割合で、さまざまな講師を招いて開催されています。
私も大阪府立芦間高校の校長時代には、この会のメンバーとして参加していましたが、その後は時間の都合がつかず欠席していました。今回は、私が講師を紹介させていただいたこともあり、久しぶりに参加しました。
  本日の講師は大阪府教育センターの清水隆氏と松下電器産業株式会社のR&D戦略室の楠見雄規氏のお二人です。清水氏からは平成19年に「教育課題研修指導者海外派遣プログラム」に基づいて視察された〝イギリスにおけるキャリア教育の実態〟についての報告がありました。また、楠見氏からは「松下電器の事業戦略と人材への期待」というテーマで興味深いお話をいただきましたが、まさに生き残りをかけた企業の取り組みをお聞きして先生方も大いに触発されたのではないかと感じました。この内容については私の感想も含めて後日詳しくお知らせします。
  講演後の懇親会においては、キャリア教育についてのさまざまな意見が出されましたが、学校の役割は〝将来社会で役立つ人材の育成である〟と考えるなら教員自らが社会の動きをしっかりと捉え、生徒に伝えていくことが何よりも必要ではないかと思いました。

2008年09月26日

高校校舎の建設にあたって

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  今週の全校朝礼で、全校生徒に高校校舎の新設とそれに伴う仮校舎の設置についての話を行ないました。
  〝間もなく本学園は創立60周年を迎えますが、記念事業の一環として高校の新校舎を建設します。この新校舎は、屋上への太陽光パネルの設置、雨水の利用、環境材の活用により環境に配慮すると共にゆとりスペースを設ける等の素晴らしい建物になります。しかし、建築のスタートは来年の2月末になりますが、現在の高校校舎を取り壊した後に建設することになるため、これに先立って、この10月から現在のグランドに仮校舎の建設を行ないます。仮校舎の完成は12月末になりますが、この建設期間中はグランド内には工事用の車輌が出入りしたり、資材がおかれることになりますので、一切立ち入ることはできません。くれぐれも安全には注意するようにしてください。また、新校舎の完成は再来年の3月末になるため、その間は全校朝礼をこのような形で行なうことはできなくなりますので、体育館を使用する等の工夫をしていきたいと考えています。〟
  その後、職員会議でも教職員の皆さんに詳しい説明を行ないました。更に10月3日(金)に保護者説明会を開催する予定です。なお、このお知らせは本日、生徒を通じてお届けしております。

2008年09月25日

ご先祖様の供養

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  本学園の創立の精神は「孝道(親孝行)」ですが、遡ると祖父母、曾祖父母と何代にもわたって生命が受け継がれてきています。このように今、生を受けている一人ひとりには先祖の血が脈々と受け継がれているのです。従ってご先祖を大切にするという気持ちが大切です。わが国には色々な宗教の方がおられると思いますが、神棚を祀り仏壇があるという家庭が大半のようです。毎日、ご仏前にお参りされ、色々なものをお供えされる方が多いと思いますが、これは仏様のお徳を敬う心の基調となるものであり、供養と呼ばれています。この仏様への供養は次の六種類があり、自分の徳が磨かれることになるのです。
  一つ目は「花」で耐え忍ぶ徳、二つ目は「ご飯」で心をしずめる徳、三つ目は「お茶・水」で施しの供養、四つ目は「お灯明」で智恵の徳、五つ目はカ「お線香」ではげみ(精進)の徳、六つ目は読経の前に手に塗る茶色の粉のことを「お塗香(ずこう)」と言い、仏の戒めを守る徳です。そして、この六種の供養を自らが行なうことにより、功徳が備わるのです。
  また、彼岸には、ご飯の代わりに仏壇に「ぼたもち」や「おはぎ」をお供えしますが、もち米とあんこで作られた同じ食べ物の呼び方が違うのは、食べる時期が異なるためです。つまり、それぞれの季節を意識して名前が変えられており、ぼたもちは「牡丹餅」、おはぎは「お萩」という花の名前がつけられています。この秋彼岸の時期におはぎを食された方もあると思いますが、牡丹餅にはこしあん、お萩にはつぶあんが使われており、小豆は邪気を祓(はら)うとされているのです。

2008年09月24日

六つの実践(六波羅蜜)

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  皆さんは、六波羅蜜(ろくはらみつ)または六波羅蜜多(ろくはらみつた)という言葉をご存知ですか。仏教では、彼岸に六つの実践を行なうことが大切であると教えていますが、これが六波羅蜜と言われるものです。彼岸の入り、彼岸の明け、彼岸の中日という言葉が残っていることから見ても、中日をはさんだ六日の間にこれらの一つひとつを実践しなさいという意味です。

  布施:他人に対して財や行ないによって施しをする
  持戒:自分を戒め、迷惑をかけず、日常生活の諸規則を守って人間らしく生きる。
  忍辱:苦しいことがあってもじっと耐える。
  精進:心身を精励し、あらゆる努力を惜しまない。
  禅定:心を乱さず現在していることに心を集中させ、日常の一挙手・一投足を大切にする。
  智慧:様々な修行を通し自分本来の姿に目覚める知慧(ちえ)を理解し、上記五つの実践を支える。 

  今、私達が住む地球では政治・経済・環境等で多くの課題を抱え、依然として民族間の紛争やテロ、痛ましい事件が後を絶ちませんが、誰もが平和で心安らかに仲良く暮らしたいと願うのは当然です。世界には色々な宗教がありますが、これらの六つはあらゆる宗教に共通した人間として常に心がけておかなければならないことではないかと思います。彼岸のこの時期に静かに日々の行動を見直していくことが大切ではないでしょうか。

2008年09月23日

秋分の日を迎えて

お彼岸
  9月23日(火)は、天文学的には太陽が秋分点を通過する「秋分の日」で、昼と夜の長さが同じになる日です。昔から「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉があるように、この時期になると朝晩が急に冷え込み本格的な秋が感じられたものですが、今ではまだ半袖姿の方が目に付きますし、本校でもほとんどの生徒はまだ夏服を着用しているようです。これも地球が温暖化してきている影響なのは間違いないと思います。
  毎年2回、春分の日ならびに秋分の日の前3日と後3日を合わせた7日間のことを彼岸と言い、秋分の日を挟む前後3日間は秋彼岸と呼ばれています。わが国ではこの期間に先祖の霊を供養する習慣になっているため、お彼岸と言えばお墓参りを思い浮かべる方も多いと思いますが、最近ではこの彼岸という意味を知らない人が増えてきているようです。
  彼岸というのはもともと梵(サンスクリット)語からきた言葉ですが、本来の意味は「到彼岸」(パーラミータ)です。即ち、〝生死を繰り返す迷いの世界(生死輪廻・しょうじりんね)〟である此岸(しがん)から、太陽の沈む遙か西方の彼方にある迷いや苦しみのない極楽浄土である彼岸に思いをはせ礼拝する、ということなのです。そして、彼岸の時期には「悟りの世界」へわたるための実践行(修業)を行なうとされていますが、これについては次回にお知らせしたいと思います。

2008年09月22日

LOVEARTHの取り組み

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  本校では、本年度より本格的に環境教育の取り組みをスタートさせましたが、この基本コンセプトは「学び、考え、行動する」、「家庭との連携による〝共育と共学〟」です。この校長通信で何度もお話しているとおり、環境教育については単に知識を学べば終わりということではありません。このような考え方に立ち、実際の行動に結びつけるということを最重点として、これまで環境講座の開催や林間学舎、郊外学習といったさまざまな活動を推進してきました。また、環境をテーマに取り組んだ先日の文化祭では、高校3年生が主体となって自主的に徹底したゴミの分別を行ないました。また、PTAの保護者の皆さんが中心となって、制服のリユース運動を推進していただきました。私もできるだけ全校朝礼では環境に関するテーマで話をするようにしていますし、学園全体としても先日「環境連絡協議会」が発足する等環境の取り組みは徐々に広がりを見せ始めています。
  このような動きの中で、今回、来年度の北海道への研修旅行にカーボンオフセットを導入することにしました。これは、旅行期間中に排出するCO2を算出し、これを相殺するために必要な自然(風力、太陽光、バイオマス等)エネルギーを間接的に購入するというもので環境に配慮した旅行ということになります。そして、この自然エネルギー購入の証明として、グリーンエネルギー認証センターから「グリーン電力証書」が発行されることになりますが、西日本の学校では本校が初めての採用になります。今回の採用にあたっては、「LOVEARTH~エコでええこと、ええとこへ心に響く旅を~」ということで、旅行代理店からトータル費用の削減をはかる等多大の協力をいただきました。心より感謝申し上げます。

2008年09月21日

第一回中学入試説明会を終えて

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  9月21日(日)、第一回目となる中学入試説明会を実施しました。午前中にはオープンスクールを準備していましたが、大雨や洪水警報が発令されたため中止の決定をしました。しかし、既に朝早くから家を出発されている方がおられたため、来校された生徒に対しては急遽体験授業を受けていただくことにしました。また、午後からの入試説明会については、11時時点での警報発令の有無で判断することにしていました(一部の地域で警報発令)が、1時前から多くの保護者と生徒が来校されたため、1時半から予定通り開催させていただきました。残念だったのは、部活動体験が中止になったことです。わざわざ野球のバットを持参する等この体験を楽しみにしていた小学生の姿も見受けられました。また、本校の生徒達も本日の体験授業やクラブ体験の手伝いのために朝早くから登校してくれていましたが、警報の発令によって帰宅してもらうことになりました。誠に申し訳なく思っています。

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  説明会では学校改革についての基本の考え方や改革の進捗状況、来年度の入試にあたって留意すべき点等についてお話しました。説明会の後には、多くの保護者の方から個別の相談をお受けしました。今後ともこのホームページを通じて引き続き本校の入試情報を発信したいと考えています。なお、本校ではいつでも入試の相談、授業参観、部活動見学等の受け入れを行なっていますので、事前にご連絡の上、ご来校いただきたいと思っています。


2008年09月20日

第一回高校入試説明会を終えて

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  9月20日(土)、当初台風の接近のため天候が心配されましたが、澄み切った秋空の下、本年第一回目となる高校入試説明会を実施しました。昨年は第一回が10月21日ということから考えると、1ヶ月以上早いということになります。
  冒頭、私は次のような話をしました。「本校では年2回、挨拶推進月間を設けて取り組んでいるが、挨拶というのはコミュニケーションの第一歩であり、極めて大切である。挨拶しないということは自らコミュニケーションの扉を閉ざすということになってしまう。どうか挨拶を大切にして欲しい。本校では現在、学校改革に取り組んでいるが、この骨子を三つに絞ってお話したい。
  一つ目は〝学園創立の精神に戻る〟ということである。雲雀丘学園は昭和25年(1950年)に創立されたがね創立の精神は孝道(親孝行)である。親孝行できる人は将来どんなことでもできるということであり、これをわかりやすく言うと〝将来社会で役立つ人(財)材〟を育てるということになる。そのためには人間力と学力の両立が必要であるが、人間力の向上をはかるための特効薬はない。爽やかな挨拶やきっちりした服装、ルール・マナーを守るといった凡事徹底が何よりも大切である。また、本年度からは人間教育の一環として環境教育にも注力している。
  二つ目は、昨年度より3コース制の導入、授業時間数の増大を柱とする改革を実施し、来年度は3年目を迎えることになるが、概ね学力面は順調に伸張している。
  三つ目は、現在高校校舎の建築準備を進めており、来年2月から建設を開始し、再来年の3月に完成の見込みである。この新校舎は太陽光発電や雨水の利用をはかる等のエコ・スクールを目指しており、素晴らしい環境の下で、より良い教育活動を推進していきたい。」
  続いて、教頭と入試・広報部長から、改革の進捗状況や学校の概要、本年度の入試結果と来年度の入試にあたっての留意事項の説明を行ないました。  
  本日は短い時間の説明のため、おわかりにくい点も多々おありだったと思います。本校では、いつでも入試の相談や学校見学に応じていますので、お気軽にご来校ください。


2008年09月19日

教師の仕事は志事

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  8月末に株式会社エデュケーショナル・ネットワークのイースタッフの主催の研修会で教職志望の15名の皆さんにお話しましたが、本日この研修担当の田代さんから、受講生の感想文のコピーをいただきました。私もこれまで色々な方を対象に数多くの講演を行なってきましたが、話の内容が全く同じというものはありません。今回も事前に夏休みの5日間をかけて、パワーポイントによるレジュメと教職を目指すための40項目にわたる心構えを作成しました。それだけに受講生の皆さんがどういう受け止め方をしてくれたのかが大変気になっていましたが、感想を読む限りではほぼ私の思いが伝わっているようで安心しました。
  私も教育界での仕事も7年目を迎えましたが、月日が経つにつれて、教師という仕事は単に生活のために働くといった安易な考え方では到底勤まらないと感じています。今回、何よりも嬉しかったのは、「視野が狭くならないように日々研鑽していきたい」「人間的な幅を身につけていきたい」「生徒達が夢や希望を持てるようにしていきたい」等、真剣に教職を目指すという意気込みが伝わってきたことです。まさに、キイワードは〝志〟であり、教師の仕事は志事であるという表現が当てはまるのではないでしょうか。教職を目指す皆さんがこの気持ちを忘れずにこれから自己研鑽をはかって欲しいと思っています。

2008年09月18日

京都文教中学・高等学校の皆さんをお迎えして

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  9月18日(木)、京都文教学園中学・高等学校の先生21名が来校されました。同学園は幼稚園、小学校、中学校、高等学校、短期大学、大学、大学院を擁しており、創立されたのは1904年です。実に100年以上の歴史を有している名門で、仏教精神に基づく人間教育がベースになっています。校訓は「謙虚にして心理探求、誠実にして精進努力、親切にして相互協同」であり、謙虚な心、誠実な姿、親切な行為により、世に尽くす人となれと謳われています。事前に同校のホームページを開いてみましたが、人間教育に注力されている学校としての特色が随所に見られました。特に樋口和彦氏による礼拝(らいはい)の内容は素晴らしいものがあると感じました。聞くところによると、本日は新しく赴任された宮本修校長先生の指示で、全教員が大阪、兵庫、奈良・和歌山の3地区に分かれてそれぞれ2校ずつ学校を訪問され、それぞれの良いところを学ばれているとのことです。
  私は挨拶の中で、「本校は学校改革を始めたばかりであり、貴校に学ばせてもらうことの方が多いように思う。学校はともすると前年踏襲型になり、変化への対応が迅速に行なえないということになりがちである。従って経営という視点を持つ、創立の精神の体現をはかる、戦略構築を行ない中期の視点を持つ、良循環型の経営を目指す、PDCAをまわす、開かれた学校づくりを目指す、クレームを恐れない、という姿勢が大切である。」ということを話しました。口で言うのは簡単ですが、これらを実践していくことは簡単ではありません。
本校も他の良いところを積極的に取り入れていかなければと思っています。

2008年09月17日

携帯電話の功罪

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  前期も残すところ半月になり、期末考査も目前に迫ってきましたが、この度保護者の皆さんに携帯電話の扱いについてのお願い文をお送りしました。
  日本では年々老若男女を問わず携帯電話を所持する人が増えてきましたが、中・高生の中にも使用している人が多いようです。携帯電話の使用ルールについては、それぞれの学校において差があるようですが、本校では〝学校への持ち込みは禁止。やむを得ない事由により学校に持参する場合には、担任が始業前に預かり、放課後返却する〟ということにしています。
  近年、携帯電話やパソコンの普及によって我々の生活は大きく変貌してきました。必要な情報は専門書・辞書等を探して調べなくても、インターネットを利用して検索すれば簡単に入手することができます。またメールアドレスが判れば、たとえ会ったことがない人に対しても情報を送ることが可能になります。手紙のように相手に届くまでに時間がかかるということもなく、地球の裏側にいる人にも瞬時に情報を届けることができるのです。
  このように急速なIT化の進展によって「時間」「地域」「人」の壁がなくなり、我々の生活はこれまでとは比較にならないくらい便利なものになってきました。しかし、すべてのものに光と影があるように大きなマイナス面もあります。残念なことに、今多くの犯罪にインターネットや携帯電話が関係しているのです。特に携帯端末を持つ子ども達は常に危険と隣り合わせているということを保護者の皆さんが理解し、出会い系サイトに代表されるサイバー犯罪に巻き込まれないように細心の注意を払って欲しいと思っています。

2008年09月16日

月下美人の開花

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  9月16日(火)、月下美人が12個の見事な花を咲かせました。これで今年は6月以降で実に4回にわたり、次々と36個の蕾をつけ開花したことになります。昨年に比べて特に手間ひまかけて栽培したわけではなく、しっかりと土作りをして植え替えただけです。
  教育の仕事に就くにあたって、多くの人から色々なアドバイスをいただきましたが、その中の一つが花や野菜、樹木の栽培です。植物を育てることは人材の育成と共通するものがあるから是非チャレンジして欲しいということでした。それまでの休日の過ごし方はほとんどがゴルフなどの運動でしたが、土曜日の午後や日曜日に学校行事が入り、どうしても自由な時間の制約があるため、空きスペースを利用してバラ・ユリ、月下美人・蘭・トマト・きゅうり・シシトウ・ゴーヤ・茗荷・紫蘇等の栽培を始めました。最初は水遣りや施肥、消毒などうまくいかないことが多かったのですが、次第にコツがつかめてきました。
  また、自ら環境問題に取り組むために生ゴミの肥料化を進めることにしましたが、その結果堆肥をしっかりとすき込んでおくと病虫害が少なくなるということも解ってきました。まさに花や野菜作りは土作りで決まると言っても良いと思います。花や野菜には本来成長する力を持っているため、まず育つ環境をつくるということが大切であり、人材の育成と相通ずるものがあるように感じています。

2008年09月15日

敬老の日を迎えて

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  本日9月15日(月)は「敬老の日」ですが、総務省がこの日に併せて発表した推計人口によると、
①総人口は1億2771万人(昨年比5万人減)
②65歳以上は2819万人(昨年比76万人増、総人口比22.1%)
③70歳以上が初めて2000万人の大台を突破
④75歳以上は1321万人で総人口に占める割合は始めて10%を超えた
⑤15歳~64歳の生産年齢人口は8234万人(昨年比69万人減)
⑥65~74歳の高齢就業者は32.2% ということになっています。
 
  現在、日本は世界の中でも類を見ないスピードで高齢化が進行していますが、この原因は出生率(しゅっしょうりつ)が減る一方で平均寿命が延びて高齢者が増えているからです。人口構成を表す言葉に、「高齢化社会」「高齢社会」「超高齢社会」「少子社会」というものがありますが、これらを整理してみると次のようになります。
高齢化社会・・・高齢者(満65歳以上)が全人口の7%超~14%
高齢社会・・・・高齢者(満65歳以上)が全人口の14%超~21%
超高齢化社会・・高齢者(満65歳以上)が全人口の21%超
また、少子社会は満18才未満の子どもの数が満65歳以上の高齢者より少なくなった社会のことを指します。
  日本が高齢化社会になったのは1970年、その後高齢社会になったのは1994年、更に2007年からは超高齢社会になりました。この高齢化社会から高齢社会に移行するまでの年数を見ると、フランス115年、スウェーデン85年、ドイツ40年、イギリス47年に対して日本はわずか24年なのです。そして、このままの状況が続くと、50年後には高齢化率は何と40%になると予想されています。
  現在問題になっている年金や医療等の制度のベースは平均寿命が50歳という時代に構築されたものです。実態を明らかにして、将来のあるべき姿を描き早急に対策を講じていく必要性を痛感しています。

2008年09月14日

PTA実行委員会の開催

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  9月13日(土)、本年度第3回となるPTA実行委員会が開催されました。本校では、家庭と学校とが連携して子どもを育てていくという“共育”と親も子どもと共に勉強をするという“共学”を掲げていますが、この中心となって活動していただているのがこれらの実行委員の皆さんや学級委員の皆さんです。PTAの組織としては会長、副会長、書記、会計監査および中学・高校6学年を通した「施設委員会」と「文化教養委員会」、中学・高校を総括する「中学学級委員会」と「高校学級委員会」があり、それぞれ活発な活動を推進しています。本年度も既に宝塚歌劇鑑賞や先日の文化祭での制服のリユース、記念品販売等を行なっていただきました。
  今回の会議では前回(6月7日)以降の教育活動についての学校からの報告、各委員からの活動報告、続いて新校舎建設の進捗状況、PTA協力金の状況報告がなされました。その後、これからの環境の取り組みについての意見交換も行ないました。現在、本校では2年後に迫った創立60周年に向けてさまざまな取り組みを始めていますが、これらを円滑に推進していくためには、PTAの委員の皆さんはじめ保護者のご支援やご協力が不可欠です。今後とも学校と家庭の連携を強化し、より良い教育活動を推進していきたいと思っていますので、何卒宜しくお願いします。
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2008年09月13日

開かれた学校づくりを目指す 

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  平成18年4月より、本校の教育活動を積極的に発信するためにホームページの充実をはかってきました。先日もある学校の先生から「雲雀丘学園中学・高等学校のホームページは色々な方が記事を掲載されているようですが、本校ではホームページを担当する以外の先生が積極的にかかわることはなかなかできません。」という話をお聞きしました。
  改めて、ホームページの現状を見ると改めて多くの教員が分担して記事を掲載してくれていることが解りました。私も必ず夜校長通信を書いた後、本校のホームページを確認していますが、都度報告を受けなくても各学年や各分掌の動きを掴むことができるため、非常に重宝しています。また、ジャンル毎にアクセス数をカウントしていますので、毎日どの記事がどれだけ読まれているかがわかるようになっています。興味深いのは、学校説明会や文化祭、体育大会等の行事の後にはアクセス数が急激に増えるということです。よく保護者の方からは「学校の様子がよくわかるようになってきました。これからも是非続けてください。」というお言葉をいただき心強く感じています。開かれた学校づくりのためには、各種の情報を公開していくことが大切であると考えています。私も休日には時間の許す限り、全国の色々な学校のホームページを見ていますが、参考になることが多いように感じています。また毎日数人の方から自宅にメールが届いていますが、是非、本校の教育活動に対するご意見・ご要望をお聞かせいただきたものです。
  参考までに《日本の学校》というサイトに全国の学校のホームページが掲載されていますので、紹介させていただきます。色々な学校の教育活動が解りますので、ご覧ください。
http://www.i-learn.jp/schools/search.asp/a=s&prid=30&k1=H&o=updf

2008年09月12日

情報の共有化をはかる

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  本校では通常月2回水曜日に職員会議を開催していますが、去る10日にはベネッセ・コーポレーションの平岡亮氏にお越しいただき、2008年度の進研模試・スタディーサポート成績報告会を実施しました。中学1年から高校3年のすべての学年では年間を通じて生徒の学力の現状や伸張度を客観的に把握するためにさまざまな外部の模擬試験を取り入れており、これらの結果は各学年にフィードバックされ、進路指導部と連携をはかりつつ個々の生徒に対する学習や進路指導を行なうことになっています。生徒一人ひとりの進路実現をはかるには、担任はもとより学年団、進路指導部、教務部等の分掌、各教科の力が結集されているということが大切ですが、現状のやり方ではどうしても情報が個々の学年毎に集中管理され学年中心の動きになり、学校全体の動きに繋がらないということになりがちです。
  今回の報告会の狙いはすべての教員に情報を公開することにより、まず学年・クラス・教科の実態を正しく掴んでもらい、その上でそれぞれの立場でどういう取り組みを行なうかを検討してもらうということです。平岡氏からは年次・年度別・教科別・教科内のジャンル比較・学力伸張状況・個人の強化別偏差値等の詳しいデータ分析結果が示されました。これらを学年や教科毎に細かく分析していくと、それぞれの課題が明確になりやるべきことが見えてきます。全職員が参加するこれまでの教員会議は日常の教育活動や行事等の報告に裂く時間が多いようですが、今後は重要な情報の共有化や新しい施策の検討のために使っていきたいと思っています。

2008年09月11日

北国からの贈り物

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  「北海道からとうもろこしを沢山送っていただいたので、先生にもお持ちしました。どうか召し上がってください。」と高校2年の生徒達がとうもろこしを手にやって来ました。生徒達の話によると、この6月に北海道への修学旅行でファームステイをさせていただいた上川郡にお住まいの越智惠子さんという方からダンボール一杯のとうもろこしが送られてきたとのことです。
  本校では高校2年生を対象に毎年6月に北海道への修学旅行を実施していますが、この中のメインになっているのが〝ひばりスペシャル大地の学校〟でのファームステイです。このファームステイでは、生徒達は通常の授業では経験することができない野菜の植え付けやトマトの芽かき、イチゴの収穫等の農作業を通じて北海道の大自然と触れ合うことになっています。また、農家の人達と話し合うことで、農業における課題や食の大切さについての認識を深めることができますし、何よりも素晴らしいのは初めてお会いする農家の人達との心の交流をはかることができるということです。私も家でとうもろこしをゆでて家族でいただきましたが、実がぎっしり詰まっており、口の中にとろけるような何とも言えない甘さが広がり幸せな気持ちになりました。既に修学旅行が終了して2ヶ月半が経過しているのにもかかわらず、この度このような暖かい心遣いをいただき、心より感謝しています。早速生徒達と一緒に撮った写真を添えてお礼の手紙をお送りしたいと思っています。生徒達がこれからも人との出会いを大切に充実した人生を送って欲しいと願っています。

2008年09月10日

現状を知る~割り箸の使用量

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  9月10日(水)、澄み切った秋晴れの下で全校朝礼を行ないました。本校では試験期間中を除き原則毎週水曜日に全校朝礼を実施していますが、夏休み以降は天候が崩れる日が多かったため、中止したり放送を通じた朝礼になっていました。そのため本日は夏休みの部活動に対する囲碁部、ギター・マンドリン部、華道部、放送部、水泳部、バスケットボール部、ソフトテニス部、飛び込み(個人)等多くの表彰伝達を行ないました。まさに、これらの一枚一枚の賞状はそれぞれの生徒達の日々のたゆまぬ努力が結集されたものであるのは間違いありません。これからも更に研鑽を積み重ねていって欲しいと思っています。
  表彰の後、私は次のような話をしました。〝今年の文化祭でも話したよう、環境問題については「学び、考え、行動する」ことが大切ですが、まず現状がどうなっているのかを知るということが大切です。今年の夏に中学2年生・3年生の皆さんとカナダ研修に行きました。研修先はカナダの東部にある赤毛のアンで有名なプリンス・エドワード島でしたが、帰りのオタワからバンクーバーに向かう飛行機の中から眼下に見えるロッキー山脈を見て大変驚きました。氷が溶けて雪原がなくなり山肌が見えているところが相当あります。私が前回カナダに行ったのは丁度10年前のこの時期でしたが、その時にはロッキー山脈が一面の真っ白な雪や氷に包まれていました。この情景を見て、北極や南極、ヒマラヤ、アルプスでも同じ現象が起こっているということを実感しました。地球の温暖化は人間の経済活動が作り出してきた結果です。
  今日の新聞にも沖縄県のサンゴ礁がこの5年間で7割消滅しているという報道がなされています。文化祭で高校3年生が推奨してくれたマイ箸運動についても、実際に割り箸がどれくらい使われているかを知れば何故取り組まなければならないかが解ると思います。今、日本で年間に使われている割り箸は実に260億膳(本)であり、一人平均では200本ということになります。そして、このうち98%が中国からの輸入であり、この割り箸を作るために多くの木が伐採されているのです。こういった現状を知るということが大切ですので、これからも朝礼で環境の問題について皆さんに伝えていきたいと考えています。〟

2008年09月09日

暦とずれる季節感

  8月7日の立秋から既に1ヶ月が経過しました。暦の上では8月23日が“暑さが止む”という意味の「処暑」であり、昨日(9月8日)は“陽気ようやく重なりて露にごりて白色となる”(即ち、大気が冷えてきて露ができはじめるころ)といわれる「白露」ですが、朝晩は少ししのぎやすくなったもののまだまだ本格的な秋の訪れという感じではありません。特に近年では地球の温暖化の影響もあり、暦の持つ意味が次第に移りつつあります。
  また、今日9月9日は五節句の最後となる重陽の節句ですが、日本では五節句の中で最もなじみのない節句になってしまいました。もともと節句というのは中国から伝来した陰陽説が元になっています。つまり偶数は「陰」の数、奇数は「陽」の数となっており、9は一桁の奇数としては最も大きい数字即ち「陽の極まった数」として、陽数を代表する数字になっています。このように9月9日は「陽の極まった数の重日」という意味で「重陽」と呼ばれており、今でも中国では長寿と一家繁栄を祈る大切な日になっています。これらの“節句”はもともと“節供”と書き、江戸時代には公式に法制化された式日で次の五つの節供が設けられており、行事と関係する植物の名を冠して呼ばれることが多かったようです。そして、節句は1月の例外(1月1日は別格)を除き、陽数が重なる日に定められています。
    人日(じんじつ) 1月7日  七草の節句  上巳(じょうし)  3月3日  桃の節句・ひな祭り
    端午(たんご)  5月5日  菖蒲の節句  七夕(しちせき) 7月7日  竹・笹の節句・たなばた
    重陽(ちょうよう) 9月9日  菊の節句
  日本では4や9は死や苦に繋がるということで嫌がられていますが、中国では9はむしろ縁起の良い数字になっているのです。そして、 この原因はこれらの節句は旧暦をベースにしており、農作業と深い関係があったようですが、新暦になって季節感がずれてしまったからです。また、上巳から重陽の節句までの期間は、ほぼ農作業の期間に一致し、五節句の日は昔から農村の共同体みんなが休む日となっていたようです。
  現在、日本は農林水産業に従事する人が減少し、米作りを中心とした文化が失われつつありますが、非常に残念なことであり、今一度日本の文化を見直さなければならないと感じています。

2008年09月08日

文化祭後記

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  例年、文化祭では大量のゴミが発生し、ほとんど分別しない状況で業者の方に引き取っていただいています。しかし、今回の文化祭は環境というテーマを選定したこともあり、このゴミ処理をキッチリやるということが課題でした。
  文化祭運営の中心となるのは生徒会ですが、役員は高校2年生までとなっているため、多くのゴミの出る模擬店を担当する高校3年生の動きがポイントであり、内心どうなるのか心配していました。
  嬉しかったのは、文化祭の日が近づいてきた先週の水曜日、高校3年生の代表者がマイク放送を通じてしっかりとゴミの処理をすることを呼びかけてくれました。そして、文化祭当日には最高学年としてマイ箸の持参とゴミ分別の徹底をはかる等強力なリーダーシップを発揮してくれました。具体的には校庭や校舎の各階に燃えるゴミ、発泡トレイ、アルミ缶、スチール缶、プラスチック、ペットボトル毎に箱を作り、徹底した分別を行なってくれました。生徒に「ご苦労様」と声をかけると、「だんだんと楽しくなってきます」という答えが返ってきました。そして、終了後の片付けも順調に行なわれ、まさにエコ文化祭と呼ぶにふさわしいように感じました。来年以降もこのような取り組みを続けることによって、本校のよき伝統にしていきたいと思っています。

2008年09月07日

第43回文化祭の開催②

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  9月7日(日)、昨日に引き続き晴天のもとで文化祭の二日目を実施しました。本日は、保護者以外に近隣の皆さん、卒業生、生徒から招待された友人の皆さん、受験を希望される方等外部からのお客様も多数来場していただきました。各クラスでは全員が力を合わせて教室や校庭、体育館においてイベントを実施、また各クラブも、講堂においては演劇部による公演や吹奏楽部、合唱部、筝曲部、ギター・マンドリン部の演奏、校舎内では、茶道部、華道部、美術部、書道部、インターアクト部、鉄道研究部、囲碁将棋部、放送部等もそれぞれ工夫を凝らした独自の活動を行ないました。
  更に今回はPTAの保護者の皆さんにも協力いただいて、制服のリユース推進や雲雀せんべい・饅頭の販売を行ないました。特に制服のリユースは評判が高く、準備した制服はすぐになくなってしまったようです。
  私は文化祭の終わりにあたって、次のような話をしました。「素晴らしい天候に恵まれて、第43回目となる文化祭が終了しました。皆さん、感動しましたか。完全燃焼しましたか。私もできるだけ時間を作って皆さんの演技を見学しました。合唱コンクールも全クラス鑑賞しましたし、模擬店の食べ物もすべていただきました。皆さんはすごい力を持っていると感じました。そして、大いに感動しました。でも皆さんの感動に比べると小さいのではないかと思います。〝感動は努力の結晶〟という言葉がありますが、見たり聞いたりする感動よりも自分でやる感動のほうがずっと大きいものです。是非これからも感動溢れる人生を送ってください。今回の文化祭のテーマは環境でした。嬉しかったのは高校3年生がゴミの分別やマイ箸の持参ということに対して随分とリーダーシップを発揮してくれたことです。地球の温暖化をはじめとする環境問題は知識を習得すればそれで終わりというものではありません。自ら学び、調べ、考え、行動することが何よりも大切です。全員で力を合わせて、美しい学校、美しい家庭、美しい地域、そして美しい日本をつくっていきましょう。
  明日は代休になります。ゆっくりと休養して、火曜日から新たな気持ちでスタートしましょう。最後にこの文化祭の開催にあたってお世話いただいた皆さんに感謝の気持ちを述べたいと思います。有難うございました。」

2008年09月06日

第43回文化祭の開催

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  9月6日(土)昨日は大雨洪水警報が出され天候が回復するかどうか心配していましたが、朝から汗ばむくらいの好天に恵まれ、第43回文化祭を開催しました。本校の文化祭は原則土曜・日曜の両日にわたって行なうことになっており、本年も当初は8月の30日・31日を考えましたが、準備の期間があまりにも身近すぎるということで今日の開催になりました。今回のテーマは以前にもお知らせしましたが、環境を切り口にした『We,Passenger on a Beautiful Glass Boat』 。 この意味は、〝私達の地球 それはガラスでできたボートのように美しくはかない。私達はその乗組員であるということを決して忘れてはならない。〟ということです。
  開会式で私は次のような話をしました。「環境問題には食糧・水・エネルギー・ゴミ等があるが、今回の文化祭では特にゴミの処理をしっかりとお願いしたい。富士山が世界自然遺産にならないのは、登山者によるゴミが原因である。環境をテーマにした立派な展示をしていても、廊下や教室にゴミが散乱しているようでは何にもならない。また、この文化祭には保護者をはじめ多くの方がお見えになる。〝雲雀丘学園は素晴らしいなあ。来て良かったなあ。〟と思っていただけるように行動して欲しい。そして、この文化祭を是非感動溢れるものにしていただきたい。」
  土曜日のため、早朝より続々と保護者の方がお見えになり、開会式直後からの「音楽コンクール」を鑑賞されました。これは高校3年を除く中学1年から高校2年までの全クラスがそれぞれ曲名を選び、午前中は高校の部、昼からは中学の部に分かれて開催されることになっていますが、本年で中学は実に18回目、高校は11回目を迎える伝統の催しです。私も初めて全クラスの合唱を聴きましたが、年々相当レベルが向上してきているように感じました。いつも感心することですが、指揮者もビアノ演奏者も先生ではなく、すべてクラスの中から選出された生徒達です。特に中学では課題曲と自由曲でピアノ演奏者が交代するため、クラスで最低2名が必要となります。これが大きな問題とならず、毎年続いているのは凄いことではないかと思っています。
  一方、中学・高校校舎ではクラスやクラブ毎にテーマを設定し、工夫を凝らした環境に関する数多くの展示発表がなされ、保護者の方も熱心に鑑賞されていました。この文化祭では例年、高校3年生は学習面を配慮して模擬店を担当することになっていますが、いずれも好評で完売したようです。
  明日も引き続き生徒達にとって思い出に残る文化祭になることを祈っています。


 

2008年09月05日

環境教育の推進について③

  これまで本校では、家庭と学校が連携して子どもを育てるという意味で「共育」を掲げてきましたが、本年度からは共育に加えて親も子どもと一緒に学ぶという「共学」という考えを取り入れていくことにしました。
  最近の状況を見ると、あまりにも勉強していない大人が多いのではないかと感じています。私も1時間半近く電車で通勤していますが、新聞や本を読んでいる人より携帯電話を操作したり、何もせず目を閉じている人が圧倒的に多いようです。家庭においても子ども達には勉強の大切さを訴えていながら、案外親自身は勉強していないケースが多いのではないでしょうか。気をつけなければいけないのは、昨今のように変化が激しい時代には、習得した知識やノウハウはすぐに役立たなくなってくるため、絶えず勉強してこれらを磨き上げておかなければならないということです。
  特に、環境問題については、親も子どもと一緒になって学び、考え、話し合い、行動していくことが大切です。我々の日常生活の中には、冷暖房・照明の節電、水道水の節約、エコ商品の購入、無駄な買い物の見直し、ゴミの削減、マイ箸・マイバッグの持参等やるべきことは数多くありますが、まず現状がどのようになっているのかを調べなければなりません。例えば冷暖房の温度を1℃調整することによってどれだけ省エネにつながるのか、電力消費量の中に占める待機電力の割合はどれ位か、輸入食糧やゴミの焼却にはどれ位のエネルギーが消費されているのか、割り箸やレジ袋はどれ位使われているのか、といったことです。これらの事実を知ることによって、やるべきことがはっきりしてきます。
  その上で、身近なできることから行動に移していって欲しいものです。一つの家族で取り組むことができるものはごくわずかかも知れませんが、このような行動の輪が広がれば大きな成果を生み出すことになると思っています。

2008年09月04日

環境教育の推進について②

  本校の目指すべき生徒像は「将来社会で活躍できる人材」ですが、社会で役立つ力は、単なる知識だけではありません。社会では学校とは異なり、正しい答えは一つではありませんし、与えられた問題を着実にこなすというだけでは不十分なのです。何が問題なのかを見つけだし、自ら解くという課題発見能力と解決のための実行力が必要になります。今回スタートした環境教育は単に知識を習得すればそれで終わりということではありません。そのために、知識偏重型ではなく、極力〝自ら学び考え行動する〟という教育活動にしていきたいと考えています。
  これからはあらゆる分野において環境対策は極めて重要な位置づけを占めることになります。まさに、環境に配慮しない企業や諸団体は社会から受け入れられないということになってきます。現在、日本には太陽光発電、淡水化技術、燃料電池、炭素繊維、ハイブリッドカー、非食糧バイオ燃料、エコ給湯、CO2の地下貯蔵、鉄鋼生産、家電製品における省エネ技術等世界に誇れる数多くの環境技術がありますが、これらが十分活用されているかどうかは疑問です。しかし、これらの技術を世界の国々に移転することによって、地球全体の環境保護に大いに貢献することができるのです。まさに、これからは日本が世界のリーダーとして認められる大きなチャンスなのです。生徒達が環境に対して関心を持ち自らの問題として学習することは、将来の仕事を選択する上でも大いに役立つことになります。《続く》

2008年09月03日

恒例の塾長説明会の開催

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  9月3日(水)、早朝より降り続いていた雨もすっかり上がり、10時30分より塾長・教室長の皆様に対する「塾長説明会」を開催させていただきました。本日の出席者は約190名ということになり、ほぼ会場内の空き椅子がなくなり補助椅子を用意させていただくことになりました。一昨年は90名、昨年は150名と年々出席していただく方が増えてきているのは心強いかぎりであり心より感謝しています。
  私は冒頭、〝現在推進している中学・高校改革の基本の考え方は「社会で活躍するリーダーの育成」という創立の精神の体現であり、一人ひとりに対するきめ細かい進路の実現をはかっていくことが大切である。次いで、学校改革の最終年度を現在の中学1年生が高校を卒業し大学に進学する2013年として取り組んでいく。更に創立60周年に向けてエコ対応の高校校舎を新設する〟という話をしました。
  その後、両教頭と入試広報部長から高校と中学改革の進捗状況や学力の伸長状況、来年度の入試について説明させていただきました。今、教育界はまさに変革の時期を迎えており、本校を取り巻く環境も大きく変化しています。このような状況下では、現状維持ということはたちまち遅れをとることになるため、改革に次ぐ改革を続けていかなければなりません。これからも多くの方々の意見をとり入れながら、新たな取り組みを推進していきたいとかんがえています。 
  塾長・教室長の皆様におかれましては、会場が手狭な上に一方的な説明が続き、お解りにくい点も多々おありになったのではないかと思っています。心からお詫び申し上げますと共に気軽に学校にお立ち寄りいただきますようお願いします。

2008年09月02日

環境教育の推進について

  既に、この校長通信においても何回かにわたって環境問題について述べてきていますが、改めて本校における環境教育について取り上げてみたいと思います。
  本校では、サントリー株式会社から全面的なご支援をいただき本年度より環境教育について本格的な取り組みを開始することにしました。去る5月29日には、アメリカのゴア元副大統領の〝不都合な真実〟の訳者である環境ジャーナリストの枝廣淳子さんによる講演をいただき、環境宣言を行なうと共にこの日を『環境の日』に制定しました。その後、6月・7月の2ヶ月間を環境月間とし、校内におけるゴミの分別と節水を中心に取り組みを行ないました。また、中学二年生を対象に、サントリー水科学研究所の日置真由美さんに水についてのお話をしていただき、7月には奥大山にあるサントリーの水工場を見学させていただきました。
  ここで、何故今本校が環境教育に注力するかについて、次の5つの点に絞って述べてみたいと思います。
  ①本校では人間教育の充実を教育方針のトップに掲げていますが、人間力を高めるための特効薬はありません。言い換えると人間力というものは単に知識を学べば身につくというものではなく、簡単なこと、当たり前のことを確実にやりあげていくという日々の実践が何よりも大切なのです。このような考え方に基づき、本校では「爽やかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーを守る」という3つを基本としてこれまで取り組んできました。これらの凡事を徹底するために、全職員による早朝の登校指導等の地道な努力によって、次第に成果は現れつつあります。しかし、これらはともすると受身的になりがちであるため、自らを磨くという更に高い視点が必要になります。
  現在、我々のまわりには地球の温暖化をはじめ数々の環境問題が山積していますが、これらは人間の経済活動がもたらした問題であり、言い換えると環境問題は人間そのものの問題であるということができます。即ち環境に配慮するということは、まさに他人に対する優しさや思いやり、後世に対する配慮に繋がることになるため、環境教育を通じて人間力の涵養につとめていきたいと考えています。 《続く》

2008年09月01日

全国学力テスト結果について

  先日、文部科学省から4月に実施した2008年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。これによると、小学六年生と中学三年生が受けた国語と算数・数学のテストの平均正答率は、基礎知識と応用力の双方で昨年に比べて8~16ポイント低下しました。とりわけ応用力について大きな課題が見られます。このテストは2006年に実施された世界57カ国の15歳を対象にしたOECDの学習到達度調査の結果、日本の子ども達の学力が大幅に低下しているという衝撃的な事実を受けて、昨年43年ぶりに再開されました。今年は二年目になりますが、「私立校の平均が公立校を大幅に上回っている」「地域格差が大きく、好成績組と低迷組の顔ぶれは昨年度と大きな変動はない」という結果になりました。
  また、このテストと同時に実施したアンケートでは「学習意欲の低下」や「生活の乱れ」が明らかになっています。このような調査では概して「日本は」「大阪府は」「公立は」「家庭教育は」といった総論的な話題になりがちですが、細かく分析していくとどこに問題があるのかが見えてきます。一般論をいくら展開しても打つ手は見えてきません。ありのままの実態を抉り出すということが大切であると思います。本学園においても、小学校六年生と中学三年生がこのテストを受けています。まだ、結果は入手できていませんが、しっかりと分析し今後の教育活動に生かしていきたいと考えています。