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2011年01月31日

社会科研究発表会の開催

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  1月29日(土)午後、『社会科研究発表会』が開催されました。この発表会は社会科の主催で毎年この時期に開催され、今年で12回目を迎えることになり、本校の伝統行事になりつつあります。参加者は発表者の他、希望する生徒や保護者、社会科とクラス担任の先生です。私も最初からすべての発表を聞かせていただきました。
  内容は中学1年生から高校2年生までの学年やクラスの代表者が、それぞれの選択したテーマについて発表するというものです。テーマは中学1・2年生が『歴史新聞』や『都道府県調べ』『世界の国調べ』、中学3年生が昨年行なった『沖縄研修旅行』、高校生が『人権作文』や『日本史特講』、『世界史特講』とさまざまです。生徒達は自らが色々なことを調べ、プレゼンテーションの資料を作り、堂々と発表していました。一つの発表が終わる毎に先生方がコメントされていましたが、最後の講評の中で私は次のような話をしました。
  〝今日の皆さんの発表は素晴らしかったと思います。このような経験は社会に出た時に大いに役立つのは間違いありません。今回は過去の歴史や現在の国等のテーマについて調べたようですが、現在は常に過去と繋がっています。今、世界には193の国があり、69億人が住んでいますが、それぞれの国が他の国と関連を持ちつつ、過去からの歴史の流れの中で活動しています。皆さんが今回調べたテーマは一つの〝点〟ですが、これからはこの点を「横軸」と「縦軸」に広げて〝線〟や〝面〟としての理解を深めてください。そして、学び、調べ、考え、行動に結び付けて欲しいと思います。
  また、保護者の皆さんには〝共育〟と〝共学〟ということを申し上げていますが、リビングルームに辞書や地図を置いて、家族で勉強する習慣を身につけていただくようお願いします。〟

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2011年01月30日

一休善哉(ぜんざい)の日

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  1月30日(日)、臨済宗大徳寺派の禅寺である酬恩庵一休寺を訪れました。1月最後の日曜日には『一休善哉(ぜんざい)の日』の行事が開催されており、観光バスや自家用車等でこられている数多くの方の姿が目に付きました。この寺はかつて妙勝寺と呼ばれ荒廃していましたが、〝とんち〟で名高い一休さんが再興されたため、一般的には一休寺と呼ばれています。
  最初に、絵馬に今年一年の「誓いごと」を書いた後、一休禅師像の前で般若心経を唱え、座禅を組みました。続いて、住職から一休さんのエピソードを含めたお話をいただきました。本堂には〝みる(見る)ごとに みなそのままのすがた(姿)なり 柳はみどり(緑) 花はくれない(紅)〟という一休禅師の歌が掲げられていました。素直に物事を見て自然に生きることが大切であるという意味ですが、人間はともすると柳を紅、花を緑に見がちです。
  この日には善哉(ぜんざい)が振舞われますが、この呼び名は大徳寺の住職からお餅の入った小豆汁をご馳走になった一休禅師が、あまりの美味しさに仏教の言葉で〝善哉此汁(よきかな この汁)〟と言われたことが始まりのようです。
  一休禅師は「頓知(とんち)の一休さん」として大変親しみを込めて知られており、境内にも一休禅師の像や〝このはしわたるべからず〟と書かれた立て札の橋があります。また、本堂をはじめ庫裏や方丈、唐門等の重要文化財も数多くあります。これらを見学した後、絵馬を奉納し、温かい善哉をいただき、清々しい気持ちで寺を後にしました。
  今、この寺が抱えている問題は一休寺裏山の開発が進み、文化的自然環境が消失しつつあることです。この景観を守るための運動が推進されていますので、地元住民として協力したいと思っています。

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2011年01月29日

他校に学ぶ~熊本学園中学・高等学校

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  1月28日(金)、学校法人熊本学園大学付属高等学校の小牧義典生徒部長と厚晴仁教諭が早朝から来校されました。丁度この日は寒稽古の最終日にあたっており、高校2年生の柔道と剣道の稽古の様子を見学していただきました。その後、私から本校の学校経営方針と教育活動について説明し、色々と意見交換させていただきました。
  学校法人熊本学園が創立されたのは、昭和17年(1942年)ですが、以来「自由闊達」「師弟同行」「全学一家」の建学の精神のもとで70年近くの歴史を歩んできておられます。その後、1958年に熊本商科大学付属高等学校として設立された後、1994年 に 「熊本商科大学」が「熊本学園大学」に改称されたのに伴って、「熊本学園大学付属高等学校」と改称され、2009年に 創立50周年を迎えられました。 また本年4月からは熊本学園大学付属中学校を開校することになっており、既に新校舎も建設されています。そして、小牧氏はこの新校舎の建設責任者としてこれまで尽力されてきており、教育目標は、知、徳、体のバランスのとれた自由闊達の心を持った生徒の育成であり、〝学業に精励し英知を磨く〟〝情操を陶冶し気品を高める〟〝心身を鍛錬し剛気を養う〟ことを目指しておられます。
  現在、教育をめぐる環境は大きく変化していますが、このような時には二極化が進展します。伸びている学校の共通点は思い切った取り組みであり、立ち止まることは停滞を意味します。これからも他校の良いところを積極的に学び新たなチャレンジをしていきたいと思っています。

2011年01月28日

加印地区小中養護学校事務職員に対する講演

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  1月28日(金)午後、「加印地区小中養護学校事務研究大会」において、『学校事務における組織マネジメント~事務職員が学校経営に果たす役割』と題して講演を行ないました。加印という地区名は、かつて播磨の国の加古川を挟んだ東側が加古郡、西側が印南(いんなみ)郡と呼ばれており、この頭文字をとって名づけられたものです。今回に至った経緯は昨年の1月に「阪神地区小中養護学校事務研究大会」において講演を行ないましたが、ほとんどの加印地区の事務職員の方が参加できなかったため、改めて講演して欲しいとの依頼があり実現したものです。参加者は加古川市、高砂市、稲見町、播磨町の小中養護学校に勤務する約80名の事務職員です。
  90分にわたる講演では、最初に「世界や日本の現状」「これまでの民間企業での経験」「世の中の動き」について触れた後、「これから社会で求められる力」「現在の教育をめぐる課題と学校の役割」「これからの学校づくり」「本校での学校改革の取り組み」についてお話しました。
  公立と私立の違いはありますが、学校を取り巻く環境が大きく変化する中では、これまでのように過去の延長線上の取り組みでは不十分であり、新たな改革や改善が必要になってきます。この中で事務職員の果たす役割は非常に大きくなってきているのは間違いありません。経営のトップである校長を補佐するスタッフとしての自覚を持って、学校づくりを進めていくことが大切ではないかと思います。
  講演の最後に、学校改革は〝明るく元気で生き生きと楽しく〟〝衆知を集めた学校づくり〟〝着眼大局 着手小局〟ということをお話ししました。学校だけではなく、成長している企業や組織においては絶えず改革が行なわれています。環境の変化の激しい昨今にあっては、現状維持という姿勢ではたちまち退歩に繋がります。
  本校では現在学校改革を進めていますが、次々と新たな課題が出てきています。これらの課題を解決していくために、これからも引き続き新たな取り組みを展開していかなければならないと感じています。

2011年01月27日

文科省高等学校施設整備指針

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       <ヒアリング中>              被服教室<箸袋製作中>

  1月27日(木)、兵庫県の教育・情報局教育課の倉橋良太氏とNTTインテリジェント企画開発㈱の安川哲親氏、㈱ユーディ・シーの曽川大氏(カメラマン)が来校されました。現在、文部科学省では本年3月に施設整備指針改訂に伴う「高等学校施設整備の事例集」作成のための事前調査を行なっていますが、この業務をNTTインテリジェント企画開発㈱が受託し、現地調査による写真撮影とヒアリングを実施されています。今回作成が予定されている事例集は2種類で、1つはハード面での事例、もう1つはソフト面で生徒と共に教育効果を高めた事例を集め、そのポイントを設置者・計画者・利用者に分かりやすく解説することを目指しています。そして、「人間教育」・「環境教育」等に力を入れている本校については後者の事例集に掲載される予定とのことです。

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   書道教室<書画カメラ動作中>      音楽練習室<ピアノ演奏>

  簡単なスケジュール調査の後、パワーポイントで「本校における教育活動の概要」や「新校舎のコンセプトである環境とゆとり」「新校舎の概要」等の説明と質疑応答を行ないました。続いて、校舎見学と撮影に入り、60ホール(ウイスキー樽材のフローリング床)、授業中の被服教室・調理教室・美術教室等の特別教室、保健室、生徒相談室、交流スペースでの面談風景、防音された音楽教室の授業と練習室での先生によるピアノ演奏、進路指導室での高校3年の生徒、社会科教室兼視聴覚室、物理教室の波の実験、書道教室、屋上緑化、トイレ前ベンチで談笑する女子生徒、屋上のソーラーパネル、雲の動きによって変わる発電量表示のメーター、既設校舎の図書室、視聴覚室、P-Call教室、昼休みにメタセコイアのベンチでくつろいだり、校庭の芝生や体育館でボール遊びをしている生徒達等を撮影して終了しました。
  今回、調査の対象に選ばれたのは全国でわずか30校、兵庫県では本校1校とのことです。大変名誉なことであると思うのと同時に、本校の校舎のコンセプトが他の学校の建設にあたって少しでも参考になることを願っています。

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   ソーラーパネル<10KW>          メタセコイア<サークルベンチ>


2011年01月26日

中学全校朝礼~自然界にはゴミがない

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 1月26日(火)、校庭で本年初めての中学の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。            
  〝この朝礼ではいつも環境に関する話をしていますが、皆さんは環境には「3つのR」があるということを聞いていると思います。これは「Reduce」「Recycle」「Reuse」ですが、すべて前にReという文字がついています。
  このReの意味は、反(対に)、後(ろに)、退(く)、離(れる)、再(び)といったものです。
  一つ目のReduceはゴミを出さない、 二つ目のRecycleは資源を再利用する、 三つ目のReuseは再利用するということです。この3つの中で最も大切なのはReduceです。毎日、生活しているとたくさんのゴミが出ます。学校にも皆さんの家や駅、公共施設にもゴミ箱があります。そして、このゴミを焼却処理するために多くのエネルギーを使っています。
  しかし、自分達が出したゴミを処理しているのは人間だけなのです。人間以外の生き物にとってはゴミを処理する必要がありません。分かりやすい例をあげて説明すると、アフリカの草原にはライオンがおり、シマウマの肉を食べています。残ったシマウマの骨はどうなるでしょうか。この骨は最後には土に返っていきます。また、ライオンやシマウマは糞をしますが、糞ころがしという名前の昆虫やバクテリアによって分解されます。植物も葉を落としますが、団子虫やミミズ等は落ち葉や枯れ草を食べ物にしています。一方で、植物は太陽の光と二酸化炭素を使って、葉っぱで栄養を作りますが、この時植物のゴミとして出るのが酸素です。しかし、この酸素は動物が生きていく上では欠かせないものです。
  この地球上に最初の生物が誕生したのは35億年前だと言われていますが、それからすべての生物はゴミを出し続けているのです。言い換えると、生きるということはゴミを出し続けることですが、ある生き物にとって要らないもの(ゴミ)は別の生き物の栄養になっているのです。 このような循環を通じてこれまで地球の環境は守られてきました。しかし、人間のゆきすぎた経済活動によって大量のゴミが生じ、環境を破壊しています。大切なことは〝大量にモノをつくる〟〝大量に消費する〟〝大量に廃棄する〟という仕組みを見直すことではないかと思います。 そして、循環型の社会の実現を目指していかなければなりません。是非、皆さん一人ひとりがこの社会をつくるためにどういう活動をすればよいのかを考え行動してください。
  次回はゴミを資源にするというテーマでお話ししたいと思います。〟

2011年01月25日

恒例の寒稽古始まる

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  1月25日(火)、3学期が始まって既に半月以上が経過しましたが、恒例の寒稽古が始まりました。この寒稽古はこれまで阪神大震災の年を除いて毎年実施している本校の伝統行事で、今年で32回を迎えました。
  本校においては人間教育の一環として、男子の体育の授業の中に武道を取り入れ、剣道と柔道のどちらか一方を選択させていますが、この寒稽古には高校3年生を除く全生徒と剣道部、柔道部の部員が参加することになっています。本日は中学1・2年が対象でしたが、生徒達は朝7時に集合し、約1時間にわたって白い息を吐きながら汗を流しました。一年で最も寒さの厳しいこの時期には、各地でさまざまな寒稽古が行なわれていますが、この目的は逞しい肉体を養成するというだけではなく、旺盛な気力や忍耐力、集中力等の精神面を鍛えることです。
  日本では、柔道、剣道、弓道、合気道、相撲道等の武道や華道、茶道、香道等の芸道がありますが、これらは単に相手を倒す技術を身に付ける事や、形の美学を学ぶだけではありません。〝道を極める〟という言葉があるように、「相手を尊重する」「感謝する」礼儀を重んじる「自分の心を整え正す」ことを通じて、人間力を高めることが大切です。
  なお「寒」というのは、暦の上では寒さが最も厳しい二十四節気の「小寒」から「立春」の前日である「節分」までの約30日間を指し、「大寒」はこの中間にあたります。今年は寒の入りとなる小寒が1月6日、大寒が1月20日、節分は2月3日、寒明けの立春は2月4日です。

  生徒達は間もなく進級・進学しますが、この行事を通じて心と体の両面を引き締め、これから学習や部活動に励むことにより一層の成長をはかって欲しいと思っています。

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2011年01月24日

インフルエンザに対する感染予防

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  最近、毎日のようにインフルエンザに関するニュースが報道されるようになってきましたが、全国のインフルエンザの情報をとりまとめているのが国立感染症研究所です。
  この研究所は随時全国のおよそ5000の医療機関からの報告データをもとにインフルエンザの流行状況を確認しています。これによると、今月10日~16日までの1週間にインフルエンザで医療機関を受診した患者は78万人に達しました。そして、流行状況を示す1つの医療機関当たりの患者数は12.09人と、前の週(1月3日~9日は5.06人)の2.4倍に増加しました。その前の週が2.3人であったことを考えると、2週間で5倍以上ということになります。
  国立感染症研究所では流行のレベルを次の三つに分けています。すなわち、医療機関当たりの患者数が「1.0人」超になると流行開始の目安、次いで「10人」が注意報レベル、そして「30人」が警報レベルです。そして、現在の状況は既に26の都道府県で注意報レベルの10人を超えており、本格的な流行に入ったとみられるということです。
  また、現在流行しているのは、ほとんどが昨年世界で大流行した「新型」であり、患者の年齢層は20代、30代があわせて4割弱を占めています。そして、流行のピークは来月上旬にかけてと見られており、丁度大学や私立高校の入学試験の時期に当たります。この本番において、これまで積み上げてきた実力を十分に発揮するためには、インフルエンザに対する予防を行ない、万全の体調管理で望むことが大切です。手洗いやマスク、うがい等を徹底すると共に、不幸にして感染した場合は、せきエチケットを守り、周囲に広げないよう一人一人が注意して欲しいと思っています。

2011年01月23日

子どもの声に耳を澄ます

H22.10.9_1.jpg  中学入試説明会

  ドロシー・ロー・ノルト氏の著書『10代の子どもが育つ魔法の言葉』の冒頭には次の詩が掲げられています。

  〝子どもの声に耳を澄ましてください〟

  プレッシャーをかけすぎると、 子どもは疲れてしまう 
  厳しいルールを押しつければ、 子どもはルールを破る方法を探す
  好き勝手にさせると、 子どもは人の気持ちに鈍感になる
  失敗を繰り返すと、 子どもは自信を失う
  約束を破られると、 子どもは失望を味わう
  否定されると、 子どもは苦しむ
  ひとりの人間として大切にされれば、 子どもは思いやりのある人間になる
  親を信頼できる子どもは、 本当のことを話してくれる
  大らかな家庭に育てば、 子どもは考える力をはぐくむ
  先のことを考えて行動できれば、 自分の行くべき道が見える
  責任感を育てれば、 子どもは自分で考えて行動できるようになる
  親が身体にいい習慣をもっていれば、 子どもも自分の身体を大切にする
  支えてあげれば、 子どもは自分に自信をもつようになる
  表現できる場をもてば、 子どもは本当の自分を出せる
  愛してあげれば、 子どもは、人を愛することを学ぶ
  子どもを信じて見守れば、 子どもはよりよい世界を目指して歩いてゆける

  そして、本書ではこの一節一節毎にさまざまな事例をとりあげながら詳しい解説がなされていますが、それぞれが実に味わい深く参考になることが多いように感じています。

2011年01月22日

10代の子どもが育つ魔法の言葉

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  最近、中学生の保護者から「子どもが反抗期でなかなか親の言うことを聞かなくなって困っています」という悩みを打ち明けられることがしばしばあります。しかし、この背景にあるのは自我の発達であり、一人前の大人になるためのプロセスと受け止めるべきであり、親の言うことをすべて素直に聞き入れる子どもというのは、かえって心配な面もあるように思います。
  人によって個人差はありますが、早ければ小学校の高学年頃から通常は12歳から15歳頃第2反抗期に入ってきます。この時期の特徴は〝親の言うことをすべて拒否または無視する〟〝自己主張が強い〟〝自分が悪いことをしても素直に謝らない〟等というものです。
  先日、40年以上にわたって子育てコンサルタントとして活躍されたドロシー・ロー・ノルト氏の『子どもが育つ魔法の言葉』(PHP研究所)を紹介しましたが、本日は、この本の続編として書かれた『10代の子どもが育つ魔法の言葉』(PHP研究所)という、もう一冊の本を紹介します。この本は〝10代に正面から向き合った初めての子育てバイブル〟と言われており、大人に近づいていく子どもとの親子関係についての多くのヒントを教えてくれます。
  この中でノルト氏は〝子どもは反抗しながらも親から学んでいく。親の言葉と行動が一致しなければ鋭く批判する。そして、大きくなったように見えても、子どもはまだ親を必要としている〟と述べています。
  私もこれまで子育ての経験をしてきましたが、親であれば必ず通らなければならない道ではないかと思います。反抗期は子どもの成長する過程であると前向きに受け止め、ゆとりを持って見守っていただきたいものです。

2011年01月21日

勉強することの意味

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  今回、中学入試を受けていただいた方全員に対して面接をさせていただきましたが、驚いたのは子ども達の勉強時間の長さです。毎日、学校から帰るとお弁当を持って塾に行って勉強し、更に学校の宿題をしているといったケースは珍しくないようです。従って、平日には学校以外に4、5時間勉強しているのは普通で、休日には8~9時間勉強している子ども達も数多くいることがわかりました。これではまさに勉強漬けの毎日であり、家族の対話も十分できていないようです。「勉強は楽しいですか?」と聞くと、はっきり「楽しい」と答える子どもはあまり多くありませんでした。そして、この中学入試が終わればゆっくりしたいと答える子ども達がほとんどでした。今は親から言われて勉強している人が大半であり、完全に〝中学に入学する〟が目的になっています。親が勉強を押し付けると、「やりたくないのにやらされる、嫌々やる」というパターンに陥ってしまいます。これでは勉強の楽しさを味わうどころか勉強ぎらいの子どもをつくることになってしまいます。
  本校の中学に入学してくる人はこれから高校、大学に進学することになりますが、進学のための勉強を続けていると、大学に入った時点で目標がなくなってしまいます。大切なことは将来社会に出た時に役立つ力を身につけることです。そのためには、子どもの心に「自分からやりたい」という気持を起こさせなければなりません。「よし、やるぞ」という気持を持って学ばせることが出来れば、子どもの力が大きく伸びるのは間違いありません。
  これから子ども達にやる気を起こさせる方法を学校でも家庭でも考えていかなければならないと思っています。

2011年01月20日

2010アジアデザイン賞のDFAメリット賞を受賞

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  高校新校舎が建設されて間もなく10カ月になりますが、この校舎はさまざまな所から高い評価を受けています。特にデザイン面において注目されており、昨年、新高校校舎の建築物に対して(社)日本サインデザイン協会の『SDA賞2010』と(社)日本ディスプレイデザイン協会の『DDA賞2010』に「入選」し、雲雀丘学園と安井建築設計事務所が表彰されました。
  この「サイン(SIGN)」というのは、病院での診察科の表示、学校での教室表示、禁煙のマークやトイレ表示の人の形の図記号、車を運転する際の信号機や標識、センターラインや横断歩道のしま模様等人々の行動のよりどころとなる情報を具体的な形で表したものの総称です。そして、これらの幅広い分野における優れたサインのデザインに対して『SDA賞』の表彰が行なわれることになっています。
  また、「ディスプレイデザイン」というのは 主に商業にかかわるビジュアルマーケティングの分野と公共的な施設にかかわる空間関係デザインのすべての分野を包括し、総合商業施設やミュージアム等の文化施設のデザイン、博覧会や展示会、 ショールーム、ショーウインドウのデザイン等が該当します。そして、この「ディスプレイデザイン賞」は、空間環境系の優秀な作品を評価、公表する目的で設けられています。
  新校舎の設計主担である安井建築設計事務所の影林氏によりますと、サインデザイン賞は室名サインから扉サインや環境プレートでの評価、ディスプレイデザイン賞はサイン(ロッカーや扉)と共用廊下の空間のゆとりある交流スペースづくりでの評価ではないかということです。
  更に、この度、新たに『アジアデザイン賞のDFAメリット賞(Design for Asia Award )』を受賞しました。これは日本でおなじみの「グッドデザイン賞」と同様の理念・評価基準で設けられた賞でアジアという大きな枠での受賞です。
  
  このような素晴らしい学習環境の下で、いかにレベルの高い 教育活動を推進していくかがこれから極めて大切です。教職員の資質向上、カリキュラムの充実、新たな授業の工夫等さまざまな課題がありますが、これらに積極的に取り組んでいきたいと思っています。

  
《参考》  『アジアデザイン賞(DFA: Design  for  Asia  Award)』
世界の人口の半分がアジアに住んでおり、ますます成長し成熟を続ける市場においては、プロダクトやインテリア、アパレルや更には通信に至るまで、アジアという社会や消費者のユニークな特徴がデザインを考える上で重要な要素となり影響を与えてきています。この流れを受けて、「香港デザインセンター」はビジネスや、持続可能で質の高い生活に不可欠となる優れたデザインの価値についてビジネス界及び一般の意識を高めることを目的として、この賞を設けており、アジアの生活様式を反映し、それに影響を与える優れたデザインによってビジネス的成功をおさめた世界各国の企業・団体に対して授与されることになっています。
  なお下記のHPにUPされていますのでご確認ください。
下記サイトで受賞:merits winners 4番目「雲雀丘」 。
http://www.dfaaward.com/2010/pages_jp/winners/2010/

2011年01月19日

H23年度中学入試を終えて

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  1月19日(水)、昨日までの寒さも若干和らぎ晴天の下、中学の後期日程入試を実施しました。ほとんどの人がこれまでに何校かの受験を経験しているということもあって、極度の緊張に陥っているようにも見えず、正門付近で塾の先生方から励ましの言葉をかけられ、試験会場に向かいました。そして、受付を済ませた後、予定通り9時から国語と算数2教科の筆記試験に取り組みました。これまでに、ほとんどの前期日程入試の合格発表が終わっているため、今回は欠席した人もありましたが、面接も含めて正午過ぎには無事終了することができました。
  これで、本校における前・後期の中学入試は、すべて終了しましたが、3回の入試での志願者は696名となり、昨年度の539名を大きく上回る(157名、29%増)過去最高ということになりました。その結果、志願された全員の方の希望に添うことができず、誠に申し訳なく思っています。
  しかし、どのような入試に関しても合格者と不合格者が出ることは避けられません。そのため、必ずしも全員が希望通りの進路を実現できるとは限らず、第一志望と異なる学校やコースに進む人もあると思います。そして、モティベーションが下がり、高い目標をなくしてしまうようなケースが出てくるかも知れません。今、心に留めておかなければならないのは、中学受験が最終の目的ではないということです。たった11歳や12歳で人生が決まってしまうということなどありえません。マラソンに例えればレースはまだ始まったばかりです。これから自分なりのしっかりとした目標を持ち、道を切り拓いていって欲しいと思っています。
  
  なお、今回の後期入試の合否判定の結果は、明日郵送させていただく予定です。

2011年01月18日

平成23年度中学前期入試を終えて

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  15日、16日の両日にわたって実施した中学の前期入試には多くの方に受験していただき、その後採点と選考会議を経て合格者を確定しました。本校では、これまで合格通知を郵送していましたが、今年から校内掲示に変更させていただきました。発表時間の30分前には多くの受験生と保護者が掲示場所の前で待機、合格番号の記入された紙が貼り出されると、食い入るようにそれぞれの番号を確認されました。そして、合格して親子で抱き合う姿や合格できずうなだれる姿等さまざまな光景が現出されました。合格された方に対しては心よりお祝いを申し上げます。また、入学の希望を叶えることができなかった方に対しては誠に申し訳なく心苦しく思っています。
  今回の入試にあたっては、受験者全員に面接をさせていただきましたが、希望する中学に入学するために親子で懸命な努力をされてきているということが分かりました。しかし、このような努力にも関わらず、思い通りにならないこともあるのです。子ども達にとって中学受験は人生における最初の大きな試練かも知れません。

  これから子ども達の人生について考えると、成長するにつれてさまざまな試練が待ち受けています。人生においては、思い通りになることもあれば、思いが叶わない場合も出てきます。私自身の人生を振り返ってみても、自分の思い通りにならなかったことの方が多かったのは事実です。しかし、現時点ではこの苦しい経験を乗り越えることによって、人間的にも成長してきたように感じます。まず現実を受け入れる、そして気持ちを切り替えて新たな行動を起こすことが大切であると思っています。

2011年01月17日

大学センター試験を終えて

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  中学前期入試と同時に実施されていた大学センター試験も終了し、高校3年生はそれぞれ自己採点のため登校しました。本校においては、センター試験を〝高校における学習の総決算〟と位置づけており、全員がセンター試験を受けるという方針で、これまで取り組んできました。この時期には、既にAO入試や推薦入試の合格者も多数含まれているため、センター試験を受けるのは無駄ではないかと思われる人もいるかも知れません。しかし、何度も申し上げている通り、大学へ進学するということが最終目標ではありません。ましてや大学への進学率が50%を超え、2人に1人が大学卒ということになると以前のように大学卒ということが希少価値ではなくなってきているのです。
  最近、第二の就職氷河期ということが言われていますが、企業が必要としている人材の共通点は多いです。従って、大学生の就職率が60%を切っている中でも複数の企業から内定をもらっている人が数多くいます。大切なことはどの大学を出たかということではありません。言い換えると〝有名大学を出たから将来は安泰〟ということではないのです。〝何ができるのか〟〝どういう経験をしどのような実績をあげてきたのか〟〝人間力はどうか〟といった真の意味での実力(社会で役立つ力)がためされる事になります。
  本校の教育方針は校是である『高志・自律・努力』にも示されている〝将来社会で活躍する人材の育成〟ですが、そのためには最低限の基礎学力の修得が不可欠です。そして、社会ではこれらの基礎学力を組み合わせることによって、さまざまな課題を解決していく力が必要になってきます。生徒達がセンター試験の結果を踏まえて更に研鑽してくれることを心より期待しています。

2011年01月16日

中学前期B日程入試を終えて

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  1月16日(日)、昨日に続いて中学の前期B日程入試を実施しました。4年前から始めた前期入試の2回実施も定着してきており、志願者数は昨日のA日程221名を上まわる342名ということになりました。
  私の住居は京都府で天気予報によると降雪の恐れもあるということなので、万が一のことを考えて昨日は近くのホテルに宿泊しました。予想通り厳しい寒さの天候になりましたが、塾の先生方に励まされて受付に向かう姿が印象的でした。何よりも交通機関の乱れがなく通常通り入試をスタートすることができ本当に良かったと思っています。
  本日も昨日と同様、8時半からの諸注意の後、9時から国語、理科、算数、の3教科の筆記試験を実施し、その後昼食を挟んで個別の面接を行ないましたが、昨日実施された他校や本校のA日程を受験している人が多いということもあって、随分落ち着いているように感じました。
  これで、大きな混乱もなく2日間にわたる前期日程の入試が終了しましたが、実に多くの方に受験していただき心より感謝しています。これから選考会議を行ないますが、毎年心苦しく思うのは入学を希望されている方全員に合格の決定をすることができないということです。

  今回の『前期A・B日程の合格発表』については、明日午後2時、校内掲示により行ないます。従来のように郵送ではありませんので、ご来校の上確認いただきますようお願いします。

2011年01月15日

中学前期入試始まる

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  1月15日(土)、近畿地区の中学校の一斉入試と大学センター試験が行われるため、電車の中にも一見して受験生とわかる人の姿が数多く見受けられました。当初、厳しい寒波が到来するということで心配していましたが、気温も思ったほど下がらず、比較的スムーズに中学前期A日程の入試が始まりました。
  本日は本校の教職員が阪急の雲雀丘花屋敷駅や正門、南門に立ち受験生の誘導を行なう中、開始1時間以上前から多くの受験生が緊張した面持ちで保護者と共に続々と学校に到着されました。毎年見られる光景ですが、多くの塾の先生方が朝早くからお越しになり、受験生を出迎え激励されていました。そして、受付を済ませてそれぞれの受験会場に入場、8時半からの諸注意の後、9時から国語、理科、算数の3科目について各50分にわたる入試問題に取り組みました。中学受験の場合には、ほとんどの保護者の方が付き添ってこられますが、今年はA日程の受験者が200名を越えるということもあって、保護者の控え室を3ヶ所に分けて準備させていただきました。
  続いて昼食休憩の後、午後1時からは全員に対して個人面接を行ない、大した混乱もなく本日の入試は無事終了しました。〝中学入試は親の入試〟と言われていますが、生徒というよりも保護者の思いが強く反映されており、付き添いの保護者の方が心配されている様子が窺い知れました。
いずれにしても、まだ年齢が11歳・12歳の子ども達にとっては、精神的にも肉体的にも相当ハードな一日であったことでしょう。多くの私立中学では明日以降も入試が行なわれることになっており、引き続いて受験の予定が入っている人もおられるのではないでしょうか。今日はどうかゆっくりと休養され、明日以降に備えていただきたいと思います。
  なお、本校では、明日(16日)も引き続き「前期B日程」の試験を行ないますが、天気予報では降雪の恐れもありそうですので、気を付けてお越しください。

2011年01月14日

大学センター入試・私立中学入試を明日に控えて

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           高校3年生の担任団は恒例の幟(のぼり)を準備

  1月14日(金)、いよいよ明日から大学のセンター試験と近畿地区の私立中学入試が始まります。大学センター試験が終わると次は個別大学の入試、私立中学入試、私立と公立高校の入試がスタートします。すべての学校や塾にとって、これから3月末にかけての2ヶ月半は一年の内で最も緊張する時期です。生徒達はこれまで自分なりの目標を持って日々努力を傾注してきました。また、先生も個々の生徒に対して進路指導を行なってきました。これらの取り組みの集大成ともいうべきものが入試に反映されることになります。
  受験生を受け入れる立場としては、これまで培ってきた力を十分に発揮していただけるように、快適な受験環境を整えておくことが大切です。そのため、本日は通常の授業を終えた後、生徒達が明日、明後日の前期中学入試に向けて念入りに清掃しました。そして、先生方は校舎内外の案内表示、試験場の蛍光灯や時計、チャイム、エアコン等の設備の不具合がないかを再チェックを行ない、入試における各人の役割を再確認しました。今年度の中学入試の受験者は前期A日程が221名、前期B日程が342名ということになっており、試験はすべて高校新校舎の教室を使って実施します。なお、風邪等で体調の優れない受験者に対しては別室を準備していますので、事前に申し出てください。
  受験生の皆さん、天気予報によると明日は寒波が到来し、冷え込みが厳しくなるようですので、しっかりと防寒対策をしてください。また、土曜日ダイヤになっていますので、時刻表を確認いただくと共に余裕をもってお越しください。
  明日は本校の教職員が阪急電車の雲雀丘花屋敷駅の東西改札口、学園正門、南門で受験生の皆さんをお迎えすることにしています。

  一方、高校3年の担任は大学センター入試を控えて生徒以上に緊張している様子です。生徒達を励ますための恒例の幟(のぼり)を準備し、明日は試験会場である関西学院大学と神戸女学院大学に出向くことにしています。今日は早めに就寝し、万全の体調で受験に臨んでください。

1.13.jpg 池田泉州銀行様から届けていただいたお札


2011年01月13日

文部科学省幹部との意見交換

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  1月13日(木)、文部科学省生涯学習政策局の上月(こうづき)正博課長と村田恒子生涯学習官が来校されました。村田氏はパナソニックにおいて主として法務関係の仕事に従事されており、私とは旧知の間柄ですが、現在文部科学省に出向されており、時々メールの交換を行なっています。
最初に、簡単な雲雀丘学園の概要を説明させていただいた後、高校新校舎と中学校舎の設備と授業の様子を見学していただきました。特に『環境』をコンセプトにした新校舎の「ICT機器」や「屋上緑化」「太陽光発電」「LED照明」等の導入について関心を持っていただいたようです。続いて校長室において、パワーポイントを使って「学校改革の取り組みの経緯」や「本年度の学校経営方針」についての概要説明を行ないました。そして、教育全般に関するさまざまな課題について、本校の教頭も交えて忌憚のない意見交換をさせていただきました。
  私も公立・私立を含めて教育界での勤務が9年になりますが、「P-D-C-A」という仕組みは徐々に定着しつつあるように感じています。しかし、私立に比し、公立の場合には経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」の連動が弱く、課題解決型のマネジメントは十分にできない状況にあります。また、単年度での取り組みが中心となるため、中期的な視点での学校経営が推進されにくいということも事実です。この結果、どうしても過去の延長線上での考え方に陥り、前年踏襲型のやり方になりがちです。また、教育というものの性格上、過去のしがらみを捨て去り劇的に変革していくことは難しいかも知れませんが、今一度〝いかに生徒の育成をはかるか〟という原点に立ち戻って教育問題を考えていかなければならないと感じています。
  本日、上月氏と村田氏には貴重な時間を割いていただき、心より感謝しております。今後とも是非このような現場の学校との交流の機会を作っていただきたいと思っています。

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2011年01月12日

恒例の避難訓練を終えて

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  1月12日(水)朝、中学・高校合同の避難訓練を実施しました。本校では阪神淡路大震災の教訓を風化させないため、例年この時期に避難訓練を行なっています。しかし、この大震災が発生したのは1995年(平成7年)で現在の高校2年生が生まれた年にあたります。従って、生徒達はほとんどこの地震については知りません。    
  本日は『地震により中央棟1階の厨房から出火し、停電した』という想定で行ないました。生徒達は机の下に頭を入れてしばらく待機した後、誘導係の先生の指示に従い、上靴のまま校庭に退出しました。放送開始から朝礼の隊形に整列するまでの時間は全学年が6分以内ということで、避難は無事完了しました。私は整列した全生徒に対して次のような話をしました。
  〝何故この時期に避難訓練をしているかと言うと、今から16年前の1月17日に阪神大震災が起こり、実に6434名の尊い命が失われたからです。今ここに集まっている人は約1300名ですから、約5倍の人数ということになります。実はこの中には1名の本校生も含まれていました。前日まで元気に学校生活を送っていた生徒がある日突然亡くなってしまったのです。皆さんは、ほとんどがまだ生まれていませんし、まだ1・2歳ということもあって、阪神大震災と言ってもピンとこないかも知れませんが、人の命の大切さを再認識し、この悲しい出来事を風化させることのないよう毎年この時期に避難訓練を行なっているのです。それでは最初にこの震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りして、黙祷を捧げたいと思います。
・・・・・黙祷・・・・・
  〝災害は忘れた頃にやってくる〟という言葉がありますが、災害は何時でもどこでも予期せぬ形で突然襲ってきます。 そのために、今日は皆さんに3つのことをお願いします。
  1つ目は〝備えあれば憂いなし〟と言われますが、どこにいても常に避難通路を確認しておくこと。学校では災害が発生した際に避難するための避難経路と避難場所を掲示してあるので必ず確認しておくこと。また自宅や学校以外の場所では、必ず非常口を確認する等の習慣を身に付けておくこと。また、皆さんの家では家具が動かないように固定する等の準備をしておくこと。
  2つ目は不幸にして災害にあった時には、『おかし』と『もち』を思い出すこと。つまり避難する際には「押さない」「駆けない」「しゃべらない」の3つを守ること。また、二次災害を防ぐためには「戻らない」「近づかない」の2つを守ること。火災をはじめガス爆発や建物の倒壊、津波、水害等が続いて発生する可能性が高いということを理解しておくこと。
  最後に、本校では予期せぬ災害に備えて非常食を準備している。今年は3年毎の入れ替えの年になっており、皆さんに自宅に持ち帰ってもらうことにしているので、是非震災について家族で話し合ってください。〟

2011年01月11日

将来から物事を見る~11年後の社会は?

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  近畿地区の私立中学の入試は今週末から一斉にスタートしますが、本日(1月11日)、前期入試の願書の受付が終了しました。本校では15日(土)に前期A日程、翌日の16日(日)に前期B日程、更に19日(水)に後期と3回の入試を行ないます。今年も昨年度を上回る数多くの方に志願していただくことになり、感謝すると共に更なる教育活動の充実をはかっていかなければならないと思っています。
  本校への入学を希望されておられる生徒は、ほぼ全員が上級学校への進学を目指しておられると思います。しかし、大学への進学が最終の目的ではありません。現在、小学校6年生の皆さんも中学、高校、大学を経て11年後には社会人になります。その時はどのような世の中になっているでしょうか。恐らく想像しているよりもはるかに速いスピードで大きく変わっていると思います。
  21世紀に入って既に10年が経過しましたが、この間だけを見ても急速にグローバル化が進展し、BRICsを中心とした新興国の成長によって、アメリカの一極集中時代から多極化時代に大きく変貌しました。この一方でさまざまな分野で新たな技術が生まれつつあります。そして、これらを活用してこれまでになかった仕事が生まれ、新たな仕組みやシステムによるビジネス・モデルが構築されます。今、就職難が大きな社会問題になっていますが、全世界に目を広げると、仕事はいくらでもあるのです。重要なのはこれらの仕事に必要な力は何なのかをしっかりと把握しておく、つまり〝将来から物事を見る〟という姿勢なのです。
  これからの11年間は、まさに社会で役立つ力を育てるトレーニングの期間であると考えていかなければなりません。まず我々大人が現在の世の中の状況とこれからのトレンドをしっかりと把握し、学校と家庭が連携して子ども達を育成していくことが大切であると思っています。

2011年01月10日

平成23年成人の日にあたって

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  1月10日(月)、本日は元日に続く2番目の祝日となる『成人の日』です。この日は〝おとなになったことを自覚し自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます〟ということで、1948年(昭和23年)に施行された「祝日法」により制定されました。世界的に見ても、このような祝日は珍しいと言われていますが、太平洋戦争後、国土が荒廃し物資も食料も不足していた時代に最も必要とされていたのは「国を再建していく人材」でした。良い「国家」を作っていくためには、国民自身が成長していかなくてはならないと考え、〝こどもから大人になった自覚を持ってほしい〟と願ってこの日を祝日にしたと伝えられています。そして、当初は古来より元服の儀式が行われていた小正月の1月15日になっていましたが、2000年の「ハッピーマンデー法」により1月の第2月曜日に改正され、現在に至っています。
  今年の新成人は124万人(男性63万人、女性 61万人)で、総人口1億2736万人に占める割合は0.97%ということになり、総務省が新成人の人口推計を始めた1968年(昭和43年)以降、初めて1%を割り込むことになりました。
  インターネットの調査会社であるマクロミルの発表によると、今年成人式を迎える新成人の90%が日本の将来に不安を感じており、この理由(自由回答)としては不景気や就職難を挙げる声が多いようです。そして、日本が取り組むべきこととしては「雇用対策」(75%)、「景気対策」(70%)という回答が高率になっており、低迷する日本経済状況を反映しています。しかし、一方で頼もしいと感じるのは「自分達の世代で日本を変えていきたい」と思っている人が68%に上り、経済、政治に関心があると答えた人の割合はそれぞれ82%、75%と非常に高くなっていることです。
  これまでの歴史を振り返ると、明治維新も戦後の日本も若い人達のエネルギーが国を変えてきています。今年の新成人は全員が平成生まれで、日本の高度成長期や「メイド・イン・ジャパン」が世界を席巻していた右肩上がりの時代を全く体験しておらず、生まれてから今日まで、ずっと経済の低迷の中で生活してきています。そして、グローバル化が進む中で就職の氷河期が彼らを襲ってきているのです。
  我々の世代は、チャレンジしない、元気がない等といった批判をするのではなく、若者のおかれている社会の現状を理解し、若者が力を存分に発揮できるような環境づくりをしていかなければならないと思っています。

2011年01月09日

入試を目前に控えて

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  1月9日(日)、いよいよ私立中学入試と大学のセンター入試も今週末に迫ってきました。本校の中学入試の出願締め切りは明後日の11日(火)となっており、最終の受験者数はまだ確定していませんが、受験生の皆さんは張り詰めた気持ちでこの連休を過ごされていると思います。
  受験が近づいてくると志願者の倍率の高さが気になったり、やり残したことに対して焦りが生じたりしがちですが、目の前にある入試に集中することが大切です。まず体調を整え最高のコンディションで入試に臨めるようにしなければなりません。学習時間が夜型の人はどうしても夜にならないと頭が働かないということになりがちですので、入試時間に合わせて頭が働くように朝型の学習に切り替えておくことが必要です。
  また、次々と新たな問題に取り組むというのではなく、これまでやってきた中で理解が不十分で自信が持てないところや過去のテストでよく間違ったような問題を再度見直す方が効果的であるのは言うまでもありません。
  更に、今年の入試で留意しなければならないのは試験当日が土曜日ということです。電車のダイヤが平日とは異なりますので、あらかじめダイヤを確かめておく等万全の準備もしておいてください。
  中学受験というのは、人生において初めての大きな試練かも知れませんが、これから成長するにつれて、さまざまな試練を経験するようになるのは間違いありません。このような試練を乗り越えて、人は成長していくものです。どうか人生における節づくりのチャンスであると前向きにとらえて欲しいと思っています。

2011年01月08日

始業式にあたって~プラス思考の大切さ

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  1月8日(土)、心配していた寒さも和らぎ暖かい日差しのもと全校生が校庭に集合、3学期の始業式において、次のような話をしました。

  〝皆さん、明けましておめでとうございます。一人ひとりが有意義な休みを過ごし、自分なりの決意をしっかりと胸に秘めて、力強くスタートされたのではないかと思います。年の初めにあたって、今日はプラス思考の大切さについてお話しします。
  私の友人に和歌山県の日高川町の町長をしている玉置和久氏がいます。玉置氏は松下電器の四国支店時代の同僚ですが、父親の死を機に家業のみかん農家を継ぐために29年間勤めた松下電器を退社し、生まれ故郷に帰りました。この日高川町というのは、人口がわずか1万1千人で、65歳以上の住人が半数を超す「近畿のチベット」と評される過疎化の進む町です。しかし、玉置氏はこの故郷を「近畿のオアシス」に変えたいという思いで観光協会を設立し、数々のイベントを立ち上げました。
  まず、手がけたのは木材を使ったログハウスづくりの運動です。本校には手作りの椅子と机がありますが、これらは玉置氏の紹介で作っていただいたものです。続いて、手がけたのは安珍清姫の伝説で有名な道成寺(どうじょうじ)というお寺に因んだイベントです。この伝説は安珍というお坊さんを慕って清姫が大蛇になって追いかけ、安珍が隠れた道成寺の大きな釣鐘をとぐろで巻いて焼き殺すという物語ですが、先日亡くなった人間国宝の中村富十郎さんを招いて歌舞伎「娘道成寺」を奉納しました。
  また、秋に実施されていた「笑い祭り」を正月に取り込んで「初詣初笑い神事」を行ない、多数の参拝客を引き入れました。更に備長炭日本一となった日高川町をPRするために、特産のホロホロ鳥を11メートルの一本串で焼く「世界一長い焼き鳥」に挑戦、これが全国8市町村を巻き込む焼き鳥合戦に発展しました。このような成果によりさまざまな賞を受賞、ついには、2009年に町長に担ぎ出されました。
  そして、〝逆境を逆手に日本一の町づくり〟をスローガンに、地域の活性化に取り組んでおられます。最近は、田畑の作物を食い荒らすイノシシやシカなどをジビエとして売り出すビジネスをスタートさせ「ジビエ工房紀州」を設立しました。このビジネスは鳥獣害と環境問題を美食に結びつけたということから農林水産省からも注目されており、全国からも多くの方が見学に訪れています。また、今年は25メートルの焼き鳥に挑むとのことです。
  玉置氏は「何とかして町を活性化したいという強い思いでまわりを見渡すと、安珍清姫伝説の道成寺、紀州備長炭、ホタル、星空、森林浴、ヤッホー(こだま)ポイント、大阪から90分の交通の便等一杯宝物を持っている。これらの資源を生かして日本一のまちづくりに励みたい。」と抱負を語っています。
  海外の人から見ると日本には数多くの宝物があります。また、皆さんのまわりにも宝物はたくさんあります。ただそれに気がついていないだけかも知れません。今年もプラス思考で前向きに行動し、充実した一年にしていただきたいものです。
  最後に、高校3年生の皆さん、センター入試まで一週間になりました。体調を整えてベストのコンディションで本番に臨んでください。健闘を心より祈っています。〟

  ≪参考≫ フロンティアエイジ(ニューシニアの情報新聞)を検索していただくと
       日高川町の取り組みがご覧いただけます。

2011年01月07日

日本の文化と伝統~人日の節句

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  本日(1月7日)は五節句の一つにあたる『人日』の節句です。五節句というのは3月3日(上巳・じょうみ・雛祭り・桃の節句)、5月5日(端午・たんご・菖蒲の節句) 、7月7日(七夕・しちせき・たなばた・星祭り)、9月9日(重陽・ちょうよう・菊の節句) のように奇数の重なる日が選ばれていますが、これらの行事が始まった理由は奇数(陽)が重なると陰になるため、季節の旬の植物から生命力をもらい邪気を祓うということなのです。しかし、1月だけは1日(元旦)を別格とし、7日の人日(じんじつ)になっています。そして、新年を無事に迎えられたということに対する神への感謝と邪気を払い、家族みんなが元気で一年の無病息災を願うことになっています。
  人日とは文字通り〝人の日〟という意味ですが、この由来は古代の中国において、正月の1日を鶏、2日を狗(犬)、3日を猪(豚)、4日を羊、5日を牛、6日を馬の日とし、それぞれの日にはその動物を殺さないようにし獣畜の占いをたてていました。そして、7日は人の日として犯罪者に対する刑罰も行なわない慣わしでした。
  この日は七草粥を食べる風習があるため七草の節句とも言われていますが、この七草粥は平安時代の初期に中国から伝えられたものです。当時は「七種粥」と呼ばれており、七草ではなく米・粟・黍(きび)・稗(ひえ)・みの・胡麻・小豆の七種の穀物で作られていました。その後、鎌倉時代になって、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろという七草を加えるようになり、更に江戸時代になって1月7日が「人日」という一つの祝日に定められたこともあって、七草粥を食べる習慣が武家や庶民にも定着したようです。また、この時期に七草粥を食べるというのは、医学的にも正月のご馳走に疲れた胃腸を休めると共に野菜の乏しい冬にビタミンを補給するという効用があるとのことです。私も明日の始業式に備えて、夕食には七草粥を食べて英気を養いました。生徒達が元気に登校してくれることを願っています。

2011年01月06日

中学入試の出願受付始まる

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  1月6日(木)、今日は二十四節気の中の小寒で、一年のうちで一番寒いと言われる〝寒〟に入りました。この寒と呼ばれる期間は立春の前日(2月3日)までになっていますが、同時に受験―ズンのピークでもあります。いよいよ1月15日からは近畿地区の私立中学の一斉入試が始まりますが、本日より本校においても出願受付が始まりました。
  昨年度は新しいコース制導入後3年が経過し、中学1年生から3年生までの全学年に「一貫選抜」と「発展」が2クラスずつ揃うことになりました。また、創立60周年という節目にあたり、待望の高校新校舎も完成し、教育環境も整いました。今年はこれらをベースに一層の教育活動の充実につとめ、飛躍の年にしていきたいと考えています。
  本年度の中学入試は、昨年と同様『前期A日程』と『前期B日程』および『後期日程』の3回に分けて実施させていただきます。募集方法は「一貫選抜」と「発展」の2コースに分けて行ないますが、両コースを志望していただくこともできます。
本年は暦の関係で、窓口出願受付は次のとおりになっていますので、ご留意ください。
    ①前期A・Bについては1月11日(火)まで。
    ②後期入試については1月18日(火)まで。
  なお、当日までの出願状況(すべて第一志望の数)はホームページの〝Infomation欄〟に、出願や受験に関する内容については「中学入試Q&A」ニ掲載していますので、ご確認いただくと共にお解りにくい点があれば遠慮なくお問い合わせください。
  最後に、これから寒さが増してきますので、ご家庭におかれましては、風邪をひかないよう体調管理には十分留意してあげて欲しいと思っています。 

2011年01月05日

日本の文化と伝統~年賀状の由来

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  お正月の楽しみの一つは年賀状です。私も以前は年末に徹夜で年賀状を書いていましたが、パソコンを使って年賀状を作成するようになり、時間的には随分楽になりました。今年も元日には多くの年賀状が届けられましたが、何年もお会いしていない人のもの、年賀の挨拶だけのもの、近況が詳しく書かれているもの、直筆の書や絵が描かれているもの等さまざまです。しかし、毎年いただく人から年賀状が届かないと何か気になります。
  年賀状の由来は〝年始の挨拶回り〟が姿を変えたものです。わが国では古くは平安時代から明治時代にかけて正月の1日から15日までの間、主君や父母、親戚、お世話になった人に対して年始の挨拶に回ることになっていました。ところが交際の範囲が広がるにつれて、遠くで挨拶に行けない人に年始の挨拶を書いた手紙を送るということが始まりました。最初は新年になった1月2日の書初めの日に書状を認(したた)めていたようです。
  その後、明治4年(1871年)に郵便制度が発足し、明治6年(1873年)に全国一律料金の葉書が発売されることになり、この制度の定着と日本に古くからあった「年賀状」の伝統とが結びつくことになったのです。当初は、上流階級や知識人が和紙などに書いた年賀の言葉を封書で送っていましたが、はがきが普及するにつれて、これが主流になりました。そして、賀詞と名前だけでも成り立つ賀状は、誰でも簡単に書くことができるため、一般庶民にも身近な存在になっていきました。ところが、数が増えすぎて処理できないという困った問題が起こってきたため、明治32年(1899年)に年賀状は特別扱いとなり、前年に出したものが元日に届けられるようになったのです。
 一時、この制度は中止されていましたが、戦後の昭和24年(1949年)にお年玉つき年賀はがきが発売されると、爆発的な勢いで日本全国に広がり、ついに平成16年には発売枚数が44億超とピークを迎えました。その後、インターネットや携帯端末の普及に伴い、年賀状の発行枚数も減少傾向にありますが、今年も国民一人あたりでは16通の年賀状を出していることになるようです。
  お正月に届く年賀状はメールとは異なる紙の趣もあります。また日頃疎遠にしている間柄であってもお互いの消息も分かるため、なお根強い人気があるのです。

2011年01月04日

日本の文化と伝統~干支の由来

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  現在、干支というと〝鼠、牛、虎、兎、・・・・・犬、猪〟と動物を指すのが一般的で、年末には虎から兎への引き継ぎ式が行なわれています。今年は兎年ということで、いただいた年賀状にも兎の絵柄が多く見られました。しかし、本来の意味は“干支”という字を見ても解るように干(かん)と支(し)の組み合わせのことなのです。干支はもともと中国から伝わったものなので、古代中国においては十干(10進法)と十二支(12進法)によって、年・月・日・時・方位・角度・物事の順序等多くのことに使っていました。 
  『十二支』は本来「子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥」で表されていましたが、王充(おういつ)という人が民衆に十二支を浸透させるために、抽象的な数詞を覚えやすく馴染み易い動物に替えて文献を書いたことから始まります。
  一方、『十干』というのは五行陰陽思想によるもので、自然界は木、火、土、金(ごん)、水の五つの要素で構成されており、更にこれらを“陽”を表す兄(え)と“陰”を表す弟(と)に分けるという考え方が基本になっています。つまり、木の兄(きのえ=甲)・木の弟(きのと=乙)、火の兄(ひのえ=丙)・火の弟(ひのと=丁)、土の兄(つちのえ=戊)・土の弟(つちのと=己)、金の兄(かのえ=庚)・金の弟(かのと=辛)、水の兄(みずのえ=壬)・水の弟(みずのと=癸)の十になります。そして、この十干と十二支の組み合わせによって毎年の干支が決まることになっているのです。そして、この組み合わせは、〝10と12の最小公倍数の60通り〟あるということになります。
  このようにして、甲子(きのえね)から始まり癸亥(みずのとい)までの組み合わせが生まれます。そして60年経つと暦が元(生まれた年)の干支に戻ることになるのです。これが還暦(本圭還り・ほんけがえり)であり、〝再び赤ん坊に戻る〟ということで、赤いちゃんちゃんこを着てお祝いをするのです。
  因(ちな)みに本年の干支は「辛卯(かのとう)」で、組み合わせでいくと28番目となり、昨年の干支である「寅」は春が来て草木が生ずる状態であるのに続いて、草木が地面を覆うという意味です。
 なお、甲子園球場ができたのは大正13年(1924年)、暦の最初である甲子(きのえね)の年です。歴史上の出来事の中にも干支で表されているものがありますので、壬申の乱(672年)、戊辰戦争(1868年)、辛亥革命(1911年)等についても一度、確認しておいてください。

  平成16年 2004年   甲 (木兄:きのえ)   申 (さる) 
  平成17年 2005年   乙 (木弟:きのと)   酉 (とり) 
  平成18年 2006年   丙 (火兄:ひのえ)   戌 (いぬ) 
  平成19年 2007年   丁 (火弟:ひのと)   亥 (い)  
  平成20年 2008年   戊 (土兄:つちのえ)  子 (ね) 
  平成21年 2009年   己 (土弟:つちのと)  丑 (うし) 
  平成22年 2010年   庚 (金兄:かのえ)   寅 (とら) 
  平成23年 2011年   辛 (金弟:かのと)   卯 (う)  
  平成24年 2012年   壬 (水兄:みずのえ)  辰(たつ) 
  平成25年 2013年   葵  (水弟:みずのと)  巳(み)
  平成26年 2014年   甲  (木兄:きのえ)   午(うま)
  平成27年 2015年   乙 (木弟:きのと)   未(ひつじ)


2011年01月03日

日本の文化と伝統~初詣の由来

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  元旦に屠蘇と雑煮で正月を祝った後、近くの神社へ初詣に行きましたが、多くの家族連れの姿が目につきました。日本人は外国から伝来したものを受け入れ、日本流に焼き直す能力に長けていると言われており、家の中では仏壇と神棚を祀り、七五三のお祝いに神社に出かけ、結婚式は教会であげるといったことを、ごくあたり前のように行なっています。こういうことから、初詣の対象は神社・寺院のいずれでもかまわないということになっており、年が改まった節目である正月に、今年の願いを神仏に祈るということが一般的な行事になってきているのです。
  私達が毎年行なっている初詣の由来には二つあると考えられています。
  一つは、「年籠(としごも)り」と言って、一家の主人が、先祖の加護を願い、大晦日の夕方から元日の朝にかけて氏神の社に籠ったり、神社の前で夜を明かすという慣わしがありました。やがて、この年籠りは、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」の二つに分かれることになりました。そして、元日詣が今日の初詣の原形となり、これが次第に家族総出の初詣になっていったようです。
  もう一つは、「恵方詣(えほうもうで)」と言われるものです。恵方とはその年の歳徳神(としとくしん)がいて、たたり神が来ない良い方向と考えられていました。そして、毎年の恵方は干支(えと)によって決まり、江戸時代には元日の恵方にあたる神社に参詣する恵方詣が盛んでした。このような初詣、恵方詣は明治以降に徐々に廃(すた)れていきましたが、新年の寺社にお参りする風習だけは残ったようです。なお、今年の恵方はおおよそ南南東(南微東)です。
  皆さんの中にも初詣に行かれた方が多いと思いますが、神仏にお願いするだけでは、自分の目標が達成できるということはありません。また、おみくじを引いて一喜一憂していても何の解決にもなりません。神仏の前で自分の気持ちをしっかりと固める。そして、目標を必達するために具体的な行動に落とし込み、日々実践していくことが何よりも大切であると思います。

2011年01月02日

日本の文化と伝統~御節料理

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  本来御節(おせち)というのは中国から伝えられた暦の上の節目つまり季節の変わり目などにあたる節日(せつにち)・節句のことを指します。これが移り変わる季節の節目を感じとり日本流にアレンジされ、それぞれの節句には御節料理を作ってお祝いするという風習になりました。節句というのは中国から伝えられた暦の上の風習ですが、移り変わる季節の節目を感じとり日本流にアレンジされたもので、現在残っているのは次の五節句です。
  ◇人日(じんじつ)1月7日 七草 ◇上巳(じょうみ)3月3日 桃の節句 雛祭り ◇端午(たんご)5月5日 菖蒲の節句 ◇七夕(しちせき)7月7日 たなばた 星まつり ◇重陽(ちょうよう)9月9日 菊の節句で、一月を除いてはすべて奇数の重複する日になっています。この節日を節句といって祝膳を神に供えていましたが、一般に祝う節句は正月のみになり、御節は正月に作られる料理のことを指すようになったのです。近年、スーパーやデパート、コンビニ等で簡単に御節料理を入手することができるようになった結果、御節料理を作る家庭が少なくなり、その意味も薄らいできています。

  御節料理の基本は、お屠蘇、祝肴三種、雑煮、煮しめですが、正月には火の神である荒神を怒らせないため、台所で火を使うことを避けるという意味から、正月料理には火を通したり、干したり、酢に漬けたり、味を濃くする等日持ちする物が多く、それぞれには縁起や願いが込められています。
  田作り(たづくり)   田畑の高級肥料としての鰯を使用し豊作を願う
  数の子(かずのこ)  卵の数が多いということで子孫繁栄を願う
  黒豆(くろまめ)    黒色には魔よけの力があり、まめ(勤勉)に働く
  昆布巻(こぶまき)  よろこぶという語呂合わせ
  鯛(たい)       めでたいという語呂合わせ
  海老(えび)      腰の曲がった老人を連想させることから長寿を願う
  蓮根(れんこん)   穴があいているから見通しが良くなることを願う
  慈姑(くわい)    大きな芽が出るからめでたいという意味を表す
  里芋(さといも)    小芋がたくさんつくことから子孫繁栄を願う
  鰤(ぶり)       出世魚であり出世を願う  
  蒲鉾(かまぼこ)   紅はめでたさと喜びを表し、白は神聖を表す
  栗(くり)きんとん   黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かであることを願う
  牛蒡(ごぼう)     細く長く地中にしっかり根を張ることを願う 等です。

  また、これらの料理はめでたさを重ねるという意味で重箱に詰めますが、日本各地において、重箱は「塗り」や「漆器」「彫り」といった独特の工芸品として発達し、今日に至っているのです。

2011年01月01日

新年にあたって

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  新年おめでとうございます。〝一年の計は元旦にあり〟ということで、皆さんも今年の抱負を胸に秘めてスタートされたのではないかと思います。
  
  今、すべての国民が肝に銘じておくことは「自分の利益のことだけ」「目先のことだけ」を考えて行動することを避けるということです。よく失われた20年ということが言われていますが、この間に日本の国際的な地位は大きく低下してしまいました。このまま抜本的な改革が断行されないなら更に国際的な地位が低下することは避けられません。このような危機的な状況であるにも拘わらず、政治は内部の対立に終始しており、不安定な政権運営が続いています。まさに日本は進むべき方向を見失ってしまっていると言えるのではないかと思います。
  最近の政治・経済の状況を振り返ると、総理大臣が一年も経たないうちに次々と交代するという異常な事態が続いています。他の国からは、日本は何と危機感のない国であると見られているのは間違いありません。
  一昨年の総選挙では、日本国民は現状の閉塞感からの脱却をはかることを期待して民主党を支持した結果、政権交代が実現し、鳩山内閣が誕生しました。しかし、行政の無駄の解消、公立高校の無償化、派遣法の見直し等に取り組んだものの、普天間基地の移転問題に象徴される防衛・外交政策における混乱や〝政治と金〝の問題で行き詰まり、国民の信頼を失って、わずか8ヶ月で総辞職することになりました。
  その後、菅政権が誕生しましたが、尖閣諸島沖の中国漁船による巡視船への衝突事故、ロシアとの北方領土、北朝鮮対策等の外交問題、また急激な円高により停滞する国内経済の立て直し、雇用対策、急速に発展する新興国への経済対策等の緊急課題にはほとんど対応できていません。更に、来年度の国家予算についても相変わらず、新規の国債発行に頼らざるを得ない状況であり、公的債務はGDPの180%という膨大な金額になっています。このままでは国の財政は早晩破綻してしまいます。我々としては〝後世に負の遺産を引き継がない〟という決意が何よりも大切です。
  新しい年にあたって、依存する気持ちを捨て、それぞれの立場で日本を再生するという強い思いで取り組んでいきたいものです。