2006年08月31日

広報活動の強化

本校の所在地は兵庫県の宝塚市ですが、地理的には阪急の雲雀丘花屋敷駅から徒歩5分、JR東西線川西池田駅から徒歩15分というところに位置しており、通学時間は梅田や箕面からも半時間以内です。兵庫県の私学でありながら、大阪府の豊中市、池田市、大阪市、箕面市から数多くの生徒をお迎えしている関係で、例年地元の兵庫県だけでなく大阪府の中学校や塾に対しても訪問巡回させていただいています。私もこの夏休みを利用して教育関係者の方にお会いし、さまざまな点で意見交換させていただきましたが、広報活動についてはこれから見直していかなければならないところが多いように感じました。四月から全面改訂したホームページについては、かなりの方にご覧いただいているようですが、まだまだ充実していかなければならない点があるようです。また、来年度からの新しいコース制の導入に伴い、パンフレットについても全面改訂させていただきましたが、生徒や保護者に十分理解していただくためには、これから体験授業や学校説明会等あらゆる機会を通じての積極的なPRを進めていかなければならないと感じました。今後は広報を教育活動の一部として位置づけ、全教員が参画する形にすると共にこれまで実施していなかった新たな取り組みを展開していきたいと考えています。
 この度、広報活動の強化の一環として、阪急宝塚線の豊中駅に看板広告を表示することにしました。多くの方に本校に対する理解を深めていただきたいと思っています。
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2006年08月28日

兵庫県私学中学・高等学校展を終えて

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 8月25日(金)~27日(日)、神戸大丸の特設会場で開催された『兵庫県私学中学・高等学校展』が終了しました。兵庫県の私学としては初めての試みであったため、どれだけの方にお越しいただけるか全く予想ができませんでしたが、最終的には予想を超える1万1千人の方にご来場いただきました。この数字を見る限り、今回の催しはある程度の成果を収めたのは間違いないと思います。3日間で雲雀丘学園のブースに来られた保護者や生徒の皆さんは、約130名、とりわけ最終日には間断なく学校の説明をさせていただくほどの盛況であったようです。私も金・土曜の両日、会場で保護者や生徒の方と色々お話させていただきました。この中で、保護者の方が学校教育に期待されていることは千差万別であることを再認識すると共に様々な工夫を凝らしておられる他校のブースやパンフレットを身近で見ることができ大変勉強になりました。各校とも生徒の確保のために、特色ある教育活動を推進されていますが、他校の良いところについては素直に認め、積極的に取り入れていくという柔軟な姿勢が大切であると感じました。これからは全ての学校が切磋琢磨することにより、兵庫県ひいては日本の教育のレベルの底上げを図っていかなければなりません。
現在、本校も新たな教育活動の展開を検討していますが、常に他に学ぶという姿勢を持ち続けていかなければならないと思っています。

2006年08月26日

兵庫私学展の開催

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8月25日(金)、兵庫県私学中学・高等学校展が神戸大丸の特設会場で開催されました。
このような催しは大阪府では既に何年も前から実施されていますが、兵庫県としては初めての試みであり全私学が参加しました。10時の開場に先立ち1時間以上も前から各校の担当者が参集し、それぞれのブースでポスターを貼り、説明資料やパンフレット、パソコンの準備を行ないました。会場は少し手狭でしたが、52校のブースが設置され、中央に各校のパンフレットが積み上げられた姿は壮観そのものです。開場と同時に生徒や保護者の皆さんが希望する学校の担当者からそれぞれ説明を受けたり、色々な学校のパンフレットを収集されていました。本校にも一日で約40組の方がお越しになり、時間帯によってはお待ちいただくといったケースもありました。私も何人かの皆さんとお話させていただきましたが、保護者の教育にかける思いがひしひしと伝わってきました。説明の最後に「一度学校にお越しいただき、実際に生徒の状況や教育環境、学校の雰囲気等をご自身の目でお確かめください。」ということを申し上げました。午後6時に終了しましたが、金曜日にもかかわらず2500名を上回る方が来場されたようです。3日間の開催のため、最終的にはどれだけの来場者数になるかはわかりませんが、今回の催しを通じて各校での取り組みの理解が保護者はじめ多くの皆さんに深まることを期待しています。

2006年08月25日

今日から3日間兵庫私学展が大丸で行われます。(06/8/25)

2006年08月24日

積極的な学校情報の発信

 本年度より、本校では〝開かれた学校づくり〟の一環としてホームページを全面改定し、積極的な学校情報の提供を行なうようにしています。以前はホームページの更新は特定の先生が担当していましたが、校内の情報を収集するというだけでも多大の労力がかかるため、どうしてもタイムリーな情報をお伝えすることができませんでした。その結果、数々の特色ある教育活動を実施しながらも、良い意味でのPRができていなかったようです。色々な方からもご指摘をいただき、ホームページを通じての情報提供を行なうという意思統一がなされて4ヶ月が経過、現在先生方の協力によりそれぞれ分担できる体制が整いつつあります。この夏休みには、オーストラリアとカナダへの研修旅行や大山への林間学舎等を実施しましたが、現地での生活状況を随時ホームページに掲載させていたいただいたところ、研修に参加した生徒の保護者の方から「どのような活動をしているかが手に取るようにわかり安心しました。本当に良かったです。」というお話をいただきました。また、最近では「校長通信を楽しみにしています。続けてくださいね。」「部活動についてはクラブ毎に差がありますね。」というような声が寄せられるようになってきました。7月の末からどれだけのアクセスがあるかカウントするようにしていますが、この一カ月では3000を超える数になっており、1日平均すると約100ということになります。現在、夏休みのため各学年の取り組みについては、十分な情報をお伝えできていませんが、更に体制を充実させ多くの情報をお伝えしていきたいと考えています。皆様から忌憚のないご意見・ご要望をいただきますようお願いします。

 明日から3日間(25日~27日)にわたり、大丸神戸店9階特設会場で、兵庫県の全私学52校が集まり、『兵庫私学中学・高等学校展』が開催されます。兵庫県の私学としては初めての試みです。是非ご来場ください。

2006年08月22日

他に学び行動する

この夏期休業期間を利用して数多くの学校を訪問し、施設を見学させていただくと共に貴重なご意見をお伺いしました。今はホームページという便利なものがあるため、事前に色々な情報を得ることができますが、実際に学校の現場を見せていただくことは随分勉強になります。生憎、夏休みということで授業の風景はあまり見ることが出来ませんでしたが、事務の方の応対、生徒達の挨拶や服装、補習やクラブ活動の状況、教室、実習室、体育館、講堂、職員室、食堂、会議室、ロッカー・ルーム等の学校施設、掲示されているポスターや連絡文書等から学校の雰囲気が伝わってきます。
また、数多くの塾や教育関係の方とも意見交換させていただきました。当初はお互いに遠慮がちですが、時間が経つにつれてずばり本校に対して忌憚のないご意見もいただき、企業時代に代理店やお得意先を訪問していた時のことが思い出されました。人間は自分にとって厳しいご意見や苦言を呈する人を何となく遠ざけたいという心理が働くものですが、営業の鉄則はこのような中に飛び込んでいくことです。
更に何人かの大阪の公立高校の方にもお会いし、情報交換をさせていただきましたが、それぞれ公立は公立の、私立は私立としての課題や悩みがあることもわかりました。いずれにしても、これから学校改革を進めていくにあたって大切なのは〝迅速に行動に結びつけていく〟ことです。〝わかっていてもやらないのはわかっていないのと同じだ〟という言葉がありますが、課題がいつまでも課題として山積されていることのないようにしていきたいと思っています。

2006年08月20日

兵庫私学中学・高校展が25日~27日まで神戸大丸で行われます。(06/8/20)

2006年08月19日

中学・高等学校の挑戦 ~⑩指導力を高める

本校は「人間教育の充実」と「学力の向上」の両立を目指していますが、この達成のためのポイントは何と言っても教員一人ひとりの指導力です。言い換えると、教員は人間力と学力の両面において生徒から全幅の信頼を得る立場でなければならないということです。
 人を教えるためには、その人の数倍の力が必要であると言われていますが、教育という仕事に携わる者は絶えず自己研鑽を積むことが要求されます。
 先日、今回の改革について説明するために、ある教育関係の仕事を担当されている方とお会いした際、「進学の実績をしっかりと上げている学校は、過去に出題されたセンター入試や難関国公立・私立大学の入試問題を先生自らが受験生という立場で真剣に解いている。また、その年の入試問題を入手すると、時計を横に置き時間を確認しながら、自分の担当教科の問題と取り組み難易度やボリューム、出題傾向の変化等を分析している。生徒の進路実現をはかるためには、先生が常に勉強しているという緊張感がないと駄目だと思う。雲雀丘も是非こういう風土づくりを目指して欲しい。」と言われ身の引き締まる思いがしました。
 また、生徒を指導していく上で最も大切なのは〝信頼〟に基づいたコミュニケーション能力であると思います。この能力を高めるためには人間力を磨くということが不可欠ですが、これは一朝一夕には達成できません。私はこれまで社会で活躍されている随分多くの方にお会いしてきましたが、これらの人
には、『人生における良き師』と仰ぐ方がおられますし、宗教に代表されるような精神的なよりどころを持っておられます。人間としていかに生きるかを絶えず自問自答することにより自己練磨されているのです。
本校における人間教育はまず「挨拶」「服装」「ルール・マナー」の徹底を掲げていますが、教員自身が〝素晴しい挨拶ができる〟〝正しい服装を心がけている〟〝時間や約束を守る〟といったことの範を示すことが大切です。いくら良いことを言っても、言動が一致していなければ生徒の心を開かせることはできないでしょう。本校のすべての教員が人間力においても学力においても生徒から尊敬されるようになりたいものです。

2006年08月17日

中学・高等学校の挑戦 ~⑨学業と部活動との両立

〝来年度より新たに三つの「特進コース」を設置する〟ということを公表すると、「ついに踏み切られるのですね」「いつスタートされるのかと思っていました」「大いに期待しています」という声に混じって、「雲雀丘は進学だけを目指す学校になるのですか」とか「部活動を中止するのですか」というような質問が寄せられましたが、これは全くの誤解です。本校が目指しているのは単なる進学実績をあげることではなく、将来社会で役立つ人間を育てるということなのです。最近の風潮として何か新たなことを始めようとすると、これまでやっていたことを全て否定しなければならないというような二者択一的な考え方があるようですが、生徒の育成にとって学業と部活動は共に重要です。授業の時間数を増やすと部活動の練習や試合にある程度の制約が生じるのは事実ですが、両立させることは難しいことではありません。定時制を持つ公立高校については午後5時には全ての部活動は終了しなければなりませんが、早朝や密度の高い練習を取り入れる等の工夫をしています。また土曜日や夏休みについても部活動の時間を確保することはそう難しいことではないと思います。昔から『文武両道』という言葉がありますが、部活動を通じてはかり知れないものを得ることができます。しっかりと挨拶する、服装を整える、ルールやマナーを守る、チームワークを修得する、忍耐するといったことは将来社会に出た時に大いに役立つものです。部活動をやり過ぎたから自分の思い通りの進路が達成できなかったというのは言い訳です。また、学習する時間がないからという理由で部活動を止めた結果、かえって生活習慣が乱れてしまったという例も数多くみられます。社会に出ると自分の自由になる時間は次第に制約されることになるため、時間をいかに有効に使うかが重要になってきます。この力は密度の高い学校生活を送ることによって養成されるのです。
 部活動での経験が将来の職業に結びつくということはごく少数ですが、是非学業との両立をはかり、自分なりの進路目標を達成して欲しいと思っています。
本校としても、学業と部活動の両立をはかるための様々な工夫をとりいれていきたいと考えています。

2006年08月16日

中学・高等学校の挑戦 ~⑧授業を磨く

現在、来年度に向けて新しいコースを設置しカリキュラムの充実をはかるための準備を進めていますが、そのポイントは何と言っても授業です。授業時間を増やせば学力が向上するという単純なものではなく、授業の密度を高めるということが何よりも大切です。教員にとっては〝授業が命〟。通常、それぞれの教員は生徒の学力の向上を目指し全力で自らの授業に興味を引く教材を準備したり、宿題のプリントを配布する等の創意工夫を行なっています。それでも期待する成果があがらないといったケースは決して珍しいことではありません。これまで本校においては、教員自らが授業のアンケートを実施し、この結果に基づき自分なりの反省を加え、授業改善に結びつけるというやり方をとってきました。しかし、このやり方では学校全体の取り組みには結びつきません。そのため、今年から〝より良い授業を目指す〟〝授業を磨く〟という観点で「生徒全員によるすべての授業に対するアンケート」を実施しました。この狙いは、単に教員や生徒の授業態度を評価するものではなく、教員と生徒の双方が前向きな姿勢で授業の改善を行なっていこうというものです。現在、集計の結果を各教員にフィード・バックしていますが、続いて各教科、各学年において分析を行ない、対策を検討することにしています。また、この内容については職員会議や職員研修を通して、学校全体の取り組みに展開していく。更に、外部模試や校内考査の結果を総合的に勘案して、カリキュラムや指導方法を見直すと共に個別懇談への反映を実施していく予定です。
 このような活動を通じて、「授業に真面目に取り組む」「授業を大切にする」校風を醸成していきたいと思っています。

2006年08月15日

中学・高等学校の挑戦 ~⑦国際科のDNAを引き継ぐ

今後、日本における国際化が第三段階に入ると、人・モノ・金・技術等の経営資源がますます国を超えて自由に移動するようになります。この中で特に重要なのは「人材の国際化」であり、今後グローバル人材の育成が急務となってきます。かつてのグローバル人材と言えば、海外関係の仕事を担当している特殊な人という印象がありましたが、これからはビジネスをはじめあらゆる分野においてグローバルな視点が必要になってくるのです。また一部には国際化=語学力という誤った認識があったのは否めませんが、語学はIT(情報技術)と同様あくまで一つのスキルに過ぎません。語学力だけで今後のグローバル社会を乗り切っていくことはできないのです。わかりやすく言えば、日本人全員が彼我の文化・宗教・歴史観の違いを理解しながら幅広い視野を持って考える力を持たなければなりません。
これからの社会においては、まさに本校の国際科設置の理念である〝グローバルな視野と豊かな心を持った国際人の養成〟が求められているのです。
 今回のコース制導入にあたっての考え方は、国際科の募集を停止するという
消極的な取り組みではなく、新しく導入するすべてのコースの中に国際科の基本的な思想やこれまで培ってきた国際科のノウハウを取り入れることなのです。
ホームステイをしながらニュージーランドの国立ワイカト大学語学研修センターでの比較文化研修の授業を受け、リスニングやスピーキングの能力伸長をはかる『ニュージーランド比較文化研修』をはじめ、『オーストラリア・ニュージーランドの高校への海外留学』『海外からの留学生の受け入れ』『ネイティブ・スピーカーによる生きた英会話の授業』等については、基本的に引き継いでいきたいと考えています。言い換えると今回の変更は新しいコースの中に国際科のDNAを引き継ぐという積極的な考え方なのです。

2006年08月14日

中学・高等学校の挑戦 ~⑥グローバル化への対応

来年度より、「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という三つのコース設置に伴ない国際科の募集を停止します。一部には、これからグローバル化が一層進展する中で時代に逆行するという意見があるかも知れませんが、決してそうではありません。今回の改訂にあたっての経緯について二回に分けて説明したいと思います。
 本校の国際科は1985年(昭和60年)、〝グローバルな視野と豊かな国際人の養成〟という趣旨で設置されました。当時の日本経済は絶好調で世界の中でも一人勝ちの状況が続き、欧米にあっても大いに日本式経営が研究されました。
そして、国内での生産・販売をはるかに上回る速度で輸出が増大し続けるという「輸出主導型」の経済成長を遂げました。これが『第一段階での国際化』であり、語学力を有する人材の養成が急務でした。しかし、日本からの自動車や電機をはじめとする大量の工業製品の流入は、現地の産業に大きな打撃を与え貿易摩擦という国際間の問題が生じることになりました。これに歯止めをかけるため、日本企業は現地での生産を加速させると共に技術移転を積極的に活発に行ないました。これが『第二段階の国際化』といわれるものです。現在多くの日本の企業は経営資源の移転を行なうという多国籍展開の形態をとっていますが、これが国際化の最終の姿ではありません。
 これからは、多くの分野においてグローバル・ワン・マーケット(世界単一市場)が形成されることになります。この結果、経営戦略の国際化という『第三段階』に入り、流通、金融、製薬、情報通信、航空機、電機、自動車等の業界において国を超えた企業の合従連衡が加速されます。人・モノ・カネ・技術の流れがこれまでの日本から世界へ向かうのではなく、世界から日本へ逆流する、いわゆる「日本国内の国際化」が進むことになります。また、同時に企業のトップに外国人が就く、外資系企業で働く日本人が増える、日本企業で働く外国人採用も増加するといった人の国際化も進んできます。
このように、今後真の意味でのグローバル人材の育成がますます必要になってくるのです。

2006年08月13日

中学・高等学校の挑戦~⑤授業時間(量)を増やす

本校においては、来年度より中学・高等学校において授業時間を10パーセント以上増やすことにしましたが、この経緯について述べてみたいと思います。
わが国においては、ゆとりを目指す教育路線が打ち出されてから約30年が経過し、「授業内容の3割削減」「完全5日制の実施」「総合的な学習の導入」等がはかられてきました。これらがどのような結果をもたらしているかについては様々な見解がありますが、基礎学力については以前より低下したのは間違いありません。
2004年12月14日の夕刊で各全国紙が大きく報道した『基礎学力を評価する国際数学・理科教育動向調査』の結果では、1981年との比較において、数学は1位(20カ国中)から5位(46カ国中)に、理科が2位(26カ国中)から6位(46カ国中)に低下。またOECDによる15歳生徒の学習調達度調査(応用力の学力調査)では、2000年との比較において、読解力が8位から14位に、数学的リテラシーが1位から6位に低下しました。一方テレビの視聴時間は2.7時間と最長であり、宿題の時間は1時間と最短、家の手伝いの時間も少ないという結果です。
ゆとり教育を進めてきた背景には、知識詰め込み型教育に対する反省と授業のわからない子どもへの対処がありました。小学校から高校までの教育の内容を3割削減することで、〝小中学校ではスローペースでの学習が可能となり、まさに「ゆとり」の教育が実現できる。また「自ら学び、自ら考える」という学習につながる〟と考えられてきましたが、期待された成果があがっていないのが現状です。
ゆとり教育の歴史を紐解くと、1977年に初めて公立学校の中に「ゆとりの時間」という授業を取り入れ、中学校1年間で5教科学習時間が770時間から665時間に削減。1992年には、月に一度土曜が休みに。1995年には、月に二度土曜が休みになり、中学校1年間で5教科学習時間が665時間から560時間に削減されました。しかし、1999年に『分数ができない大学生』という著書が出版されたのを契機として学力低下論争が起ってきました。現在、一部の公立高校においては大学への進学実績の低落化に歯止めをかけるため、土曜日や夏休みに講習を実施しています。一方、ほとんどの私学では土曜日や夏休みに授業を行なう等授業時間数の確保につとめてきています。
 現在、本校においては隔週土曜日授業を行なっており、週や夏休みには学年毎に全員または希望者に対し、正規の授業以外に講習や勉強合宿を実施しています。今回、学校全体として授業時間数の増加をはかり学力向上をはかるため、来年度から毎週土曜日の授業、夏休みの短縮(8月21日から授業開始)を行なうことにし、準備を進めています。

2006年08月12日

中学・高等学校の挑戦~④新しいコース制の導入

本校では、学力の向上を図るために数々の取り組みを検討していますが、その第一は来年度からスタートする高校での「選抜特進」「特進Ⅱ」「特進Ⅰ」という新たな3つのコースの設置です。
かって本校は中学3クラス、高校4クラスの小さな規模の学校でしたが、昭和60年(1985年)に国際社会で活躍できる人材を育成するということでいち早く『国際科』を設置し、以降20年間にわたり『普通科』と『国際科』という二つの異なるカリキュラムに基づき生徒募集を行なってきました。そして、2年前にクラス数の増加と生徒の進路希望の多様化にこたえるため、普通科の中に『応用Ⅰ類』と『Ⅰ類』という二つのコースを設置し、高校入学後に本人の進路希望や能力・適性を勘案してクラス分けを行ない今日に至っています。現在は普通科の応用Ⅰ類が2クラス、Ⅰ類が3クラス、国際科が1クラスの計6クラスになっています。今回の狙いは、更に個々の生徒に対するきめ細かい進路指導を行なうために現行のクラス編成を抜本的に見直し、入学者選抜の際に将来の進路希望や目標に応じたカリキュラムやコースを明示し、生徒に選択してもらおうとするものです。
「選抜特進」コースは東京・京都・大阪等の超難関国立大学を目指すコースであり、「特進Ⅱ」や「特進Ⅰ」は基本的には従来の「応用Ⅰ類」と「Ⅰ類」に相当するコースです。昨今、国公立大学においては独立行政法人化に伴い、従来にない改革が進んできています。また、私大においても学部の新設や再編成、特色づくりが進み、入試制度に関しても3年生の夏からA・O入試や推薦入試が開始されるようになってきました。こういった入試制度の変化にも柔軟に対応していかなければなりません。
今回のコースはすべて特進という表現を使用していますが、〝自分が希望する大学であれはどの学部であっても良い〟ということでは進学することだけが目的になってしまいます。早期に自分なりの進路目標を設定し、真面目に努力することによって、あくまで自分が進みたい国公立大学や難関私大の学部や学科に合格できる学力の修得を目指していこうとするものです。生徒達がそれぞれ早期に自分なりのコースを選択することにより、最終の進路満足度を高めていって欲しいと思っています。

2006年08月11日

サントリー・バレーボールチームによる指導

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8月10日(木)、早朝にもかかわらず体育館のバレーボールのコートには部員達の熱気が満ち溢れています。9時半少し前にサントリー・バレーボールチーム〝SUNBIRDS(サンバーズ)〟の皆さんが到着され、中学校の男女バレーボール部員を中心に24名が直接指導を受けました。
本校はサントリー株式会社から多くの面で暖かい支援をいただいていますが、実はかなり前からもこの話はあったようです。ところが双方の日程調整がつかず、学校の夏休みを活用して今回やっと実現することになりましたが、残念ながら、カナダ研修中の生徒や高校のチームについては参加できませんでした。お越しいただいたのは、チームディレクターの山本和史さん、コーチの大原穣さん、選手の津曲勝利さん、村上龍介さん、吉田譲さん、事務局の松原愛さん、の6名です。
最初に皆さんから自己紹介していただき、生徒たちからの〝お願いします〟という挨拶の後、早速指導がスタートしました。最初は各人がボールを使って行なう簡単な運動です。ボールを空中に高く放り上げて落ちてくる間に両手を10回以上叩く、頭の上にボールを置いて体の後ろに落とし背中でキャッチする、前かがみになって両足の間からボールを頭上に飛ばしてキャッチする、右肩・左肩・頭の順にボールをバウンドさせるといった一見誰にでもできそうな内容ですが、実際にやってみると意外と難しいものです。続いてオーバーハンドとアンダーハンドのパス、レシーブ、スパイクの指導を受けました。スパイクの際には、選手がフロアーに叩きつけたボールが大きく二階席まで跳ね上がる姿に大きな歓声が沸きあがりました。また何人かの部員が実際に選手の打つスパイクを反対側のコートに入ってレシーブするチャンスを与えていただきましたが、ボールに触れるのが精一杯という状況で改めて本物の凄さを体感したようです。最後にサーブを打って約2時間の練習が終了しました。最後に山本さんから〝一日三度の食事をしっかり摂って立派な身体をつくって欲しい〟というお話があり、名前入りのキイ・ホルダーが一人ひとりに手渡され、生徒達は大喜びで記念の品を受け取っていました。
生徒達は、日本を代表するバレーボールのVリーグの選手達から直接指導を受け、何か得るところがあったと思います。生徒達にはこれからも色々な機会を通じて〝一流に学ぶ〟ことの大切さを伝えていきたいと考えています。
最後に大変ご多用中にもかかわりませず、ご指導いただきました皆様に心から感謝申し上げます。

SUNBIRDS(サンバーズ)のホームページにもこの記事を載せていただきましたので、併せてご覧下さい。http://www.suntory.co.jp/culture-sports/sunbirds/

2006年08月10日

中学・高等学校の挑戦 ~③凡事徹底

本校では教育活動の第一に人間教育の充実を掲げています。人間教育というと何か難しい特別のことを考えがちですが、決してそうではありません。
 以前勤務していた松下電器の創業者である松下幸之助氏は、数多くの取引先がどのような会社であるかを見分けるのに三つの簡単な基準を持っておられたようです。一つ目は挨拶、二つ目は整理整頓、三つ目はトイレの掃除です。
また、晩年の松下政経塾の開塾式で「政治家を志すなら、まず自分の身のまわりをきっちり掃除するようにしなさい。自分の身のまわりを美しくできない人間に政治というような大きなことはできない。」という話をされたと聞いています。
 私もこれまで多くの企業や事業所を訪問させていただきましたが、大きな声で「おはようございます」「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という元気な挨拶が返ってくるところは職場が活性化していますし、整理整頓ができているところは事務や経理処理よりが迅速かつ正確であり、トイレが綺麗に掃除されているところは概して業績が伸びているところが多いように感じました。少なくとも汚いトイレで業績を伸ばしている会社は皆無でした。またこれらが社員に徹底されているところは電話の応対、接遇の仕方、きめ細かい心配り、服装といったことも概してできていました。
 社会で役立つ力のベースが人間力にあるのは間違いありませんが、人間力を高めるための特効薬もマニュアルもありません。人間として当然やらなければならない当たり前のことや簡単なことをやり続けること、言いかえると「凡事徹底」が大切なのです。簡単な事が完全にできるようになって初めて次の難しいステップに進むことができるのです。
 本校では「明るい挨拶」「きっちりした服装」「さわやかなマナーとルールの遵守」を基本に生徒達の人間力を育てていきたいと考えています。

2006年08月09日

地域社会との連携

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8月8日(火)、南花屋敷連合自治会長の吉田進さんからのご要請で、自治会の皆さんを対象に『社会で役立つ力』というテーマで講演を行ないました。南花屋敷地区は川西市にありますが、本校のある雲雀丘地区とは隣接しており生徒の通学経路にもあたっています。赴任して間もなく地域の自治会長の皆さんにご挨拶にあがりましたが、吉田さんにはその時から何かとお世話になっています。参加者はかなり年配の方から子育て中のお母さんまで幅広い年齢層にわたっていましたが、熱心に耳を傾けていただきました。最初にいつものようにいくつかの質問をさせていただきましたが、日本の将来について悲観的に考えておられる方が多いこと、教育については大きな問題を感じておられることがわかりました。
現在、日本は物質面においては世界の他の国に比較しても実に恵まれた状況下にあるのは間違いありません。しかし、国民の多くがあまりにも世界の中で自分達のおかれている状況を正しくとらまえていないように感じます。そして、現在の生活に満足せず、次から次へと欲望を膨らませているのです。つきつめていけば物やお金を追求し過ぎてきた結果、日本全体が心の豊かさを失い自分中心の考え方に陥り、周りが見えにくくなっているのかも知れません。これでは国際社会の中で日本が孤立することになりますし、国内においても世代間や立場の違いによる対立が激化することになりかねません。全員が共生という思想を持たなければ世の中は良くならないと思います。
子ども達が将来社会で活躍するためには、単に点数ではかれる学力の向上だけでは不十分です。子どもは親の鏡であり、社会の鏡です。まず大人が範を示さなければなりません。講演の中では、現在の教育の課題や本校で取り組んでいる学校改革の内容を説明し、学校と家庭と地域社会が連携して、日本の宝である子ども達を育てていくことの必要性を強く訴えました。
 本校は地域の皆さんの強い思いで創設された学校です。今後とも地域社会の皆さんとの積極的な交流をはかってまいりますので、暖かいご支援を心よりお願いします。

2006年08月08日

NEWSワンダーランドに出演して

8月7日(月)、ラジオ大阪の『NEWSワンダーランド』に出演しました。
この番組は毎週月曜日~金曜日の午後3時から5時30分まで放送されており、月~木曜は里見まさとさん、金曜は中井雅之さんが担当されています。今回のテーマは「民間企業のセンスで府立高校を改革」ということでしたが、生放送であり、少し事前の打ち合わせをしただけのぶっつけ本番になってしまいました。約30分という短い時間でしたが、「民間企業との風土の違い」「教職員の意識改革」「教職員とのコミュニケーション」「学校づくりにあたってのビジョン設定」「入学式や卒業式における国旗・国歌」「4年間の芦間高校の校長生活での思い出」等について里見さんとアシスタントの坂崎優子さんの質問に答える形でお話をさせていただきました。
 2000年から学校教育法施行規則が改正され、教員経験のない人が校長になれるようになって6年が経過しました。全国で多くの民間出身の校長が誕生していますが、単に民間人を登用すれば公立の学校改革ができるかどうかは疑問です。実効をあげるためには、教育界の仕組み・システムを変える、特色ある学校づくりを進めるために校長の裁量権を拡大する、教育委員会の仕事の見直しや組織改革を行なう等総合的な取り組みが必要です。
一方私学においては教育委員会から細部にわたる指示がないかわり、一層の厳しい自主責任経営が求められることになります。校長の権限も公立に比べると大きいと感じますが、それだけ経営責任が問われるのは当然です。
現在、本校ではさまざまな学校改革を進めつつありますが、明確なビジョンを掲げ全員の活動のベクトルを合わせることにより、生徒の満足度を高めていきたいと思っています。

2006年08月07日

中学・高等学校の挑戦~②学校のビジョン

本校のビジョンは〝「人間教育の充実」と「学力の向上」を両立させた「関西を代表するすばらしい学校」をつくる〟というものです。私はこれまで4年間公立高校に勤務していましたが、私立と公立の違いはまさに学校のバックボーンが明確になっているかどうかではないかと思っています。このことについて雲雀丘学園の歴史も含めて紹介します。
 本学園は昭和24年、鳥井信治郎氏を中心とし地域の方々の強い思いで創設され、実に56年の歴史を有しています。私も校長に就任後、学園の歴史を紐解いてみましたが、初代の鳥井理事長の入学式や卒業式の訓話の基本は、朝起きたら「おはよう」、学校から帰ったら「ただいま」、夜は「おやすみなさい」と挨拶せよ、親孝行の出来る人は人間としても立派になれる、という内容ものです。これが「孝道を大切にする」という本学園の創立の精神です。今、親孝行というと何か古めかしいことのように思われがちですが、最も身近な人を大切に出来ない人に社会のこと、日本のこと、世界のことを考えることが出来るだろうか、というのが初代理事長の考えであったと思います。
 また、中学・高校の校是は「高志」「自律」「努力」ですが、今の世の中の風潮はこの3つが欠如してきているように思えてなりません。他人の迷惑を考えず、楽をして自分だけが良い生活を送りたいという傾向があまりにも多いのではないでしょうか。大切なことは、「高い志に根ざした目標を持ち、その達成のために日々たゆまぬ努力を続ける。そして絶えず素直に反省し、自責の念で自らを律していく」ということです。
 多くの学校が進学率を偏重する中で、人間教育を最初に唱っている学校は珍しいと思います。学力の向上が必ずしも人間性を高めるということにはつながりませんが、人間性を高めることは学力の向上につながると考えています。

2006年08月05日

雲雀丘学園中学・高等学校の挑戦~①はじめに

平成13年末、34年間勤務した松下電器産業(株)を退社、その後平成14年4月より4年間大阪府立の高等学校の校長として勤務し、本年4月から雲雀丘中学・高等学校の校長として赴任し四ヶ月が経過しました。
私はこれまで社会のさまざまな分野で活躍している多くの人とお会いしてきましたが、これらの人には例外なくしっかりとした人間としての土台が確立しています。そして若い時の苦しい経験が生かされているケースが多いのです。更に自己研鑽を重ねることにより、人生観、社会観、倫理観、人間観といったものが醸成されてきているのです。
今、わが国においてはいたるところで教育改革の必要性が叫ばれていますが、国土も狭く、大きな地下資源もない日本にとってはまさに人材が最大の資源であるのは間違いありません。今後、情報化とグローバル化の進展に伴い、活躍できる場は限りなく広がってきます。日本の将来は暗いと考えている人が多いようですが、世の中が大きく変わるということはそれだけチャンスがあるということなのです。学校は〝将来社会で役立つ力を育てるトレーニングの場である〟と考えるなら、単なる知識としての学力のみならず、自ら課題を見つけ解決していく力や人間としてのベースとなる志、思いやり、感謝、忍耐といった力の育成が大切です。
本校においては、昨年来将来社会で役立つ人材を育てるためにはどうすれば良いのか、そのためにはどのような学校づくりを目指すのかということで、多くの方々からご意見をいただくと共に何回も討議を重ねてきました。そして、この度今後の新たな方向付けを決定し具体的な取り組みをスタートさせました。その内容を『校長通信』を通してシリーズでお知らせしていきます。
皆様から忌憚のないご意見・ご感想をいただきたいと思っています。

2006年08月04日

カナダ研修に出発

8月4日(金)、中学1年生と2年生の希望者30名および引率教員3名が関西国際新空港からカナダへの研修旅行に出発しました。
このカナダ研修は、できるだけ早い時期に海外での生活を体験させ、外から日本という国を見ることにより、国際感覚を身につけさせようという狙いで平成14年8月からスタートしました。当初は中学2年・3年の希望者36名により実施されましたが、多民族国家であるカナダの社会生活、歴史、文化、自然に接するという体験を通じて生徒達は大いに触発され、研修終了後も自分なりの目標を持って積極的に学校の諸活動に取り組み、良きリーダーとして成長したというケースが数多く見られます。その後、カナダ・トロントでのSARS発症により一年間中止したため、今年は4回目ということになります。
研修の中心は、赤毛のアンで有名なプリンス・エドワード島のシャーロットタウンにおける7泊8日のホームステイと語学研修です。短い期間ですが、カナダの人達の家庭に宿泊し、家族の一員として寝食を共にすることになります。また、今回はカナダ東海岸を中心にナイアガラの滝やトロントを訪れることになりますが、雄大な自然を目の当たりにし、日本では味わうことのできない素晴らしい感動を得るのは間違いないと思います。
これに先立ち、7月31日(月)から高校1年・2年の希望者20名がオーストラリア研修旅行に参加しています。今年は滞在期間を少し長くし、ブリスベンでの11泊12日のホームステイの間、土日を除き毎日午前中は現地のインターナショナル・カレッジでの英語研修を実施し、午後は色々なアクティビティに参加することになっています。
いずれにしても、生徒達にとっては貴重な体験になるのは間違いないでしょう。何かをつかんで帰ってきて欲しいと思っています。

2006年08月02日

林間学舎後記

座禅.jpg
林間学舎の最終日、生徒達は大山寺において座禅の体験をしました。現在残っている建物は、四つの参拝堂と十の支院だけですが、昔は山岳信仰に帰依する修験道の修業道場として栄えていたようです。特に平安時代以降、山岳信仰の仏教化が進むにつれて寺院が増え、最盛期には百を超える寺院と三千人以上の僧兵をかかえ、比叡山、吉野山、高野山に比肩されるくらいの隆盛を極めていたと伝えられています。
座禅という言葉は知っていても体験するのは初めてという生徒がほとんどであり、また最近では畳の上での生活も少なくなっているため、結跏趺坐(けっかふざ)や半跏趺坐(はんかふざ)といった足の組み方(あぐら)も知りません。実はこの座法は二等辺三角形になるため、身体の最も安定した形なのです。その上で調身、調息、調心による身体を調え、呼吸を調え、心を調えることによって精神の統一をはかり、集中力や不動心、忍耐力の養成につながることになります。私もこれまで多くの機会に座禅を経験してきましたが、息を最後まで吐ききることによって、激しい運動をしなくても新鮮な酸素を大量に体内に取り入れることができるということを再認識しました。
ほとんどの生徒はあぐらではなく正座の姿勢で座禅を行いましたが、終わった後は爽快な気持ちになっていたように見えました。精神を安定させるためには寝る前の5分間の座禅が有効であるとも言われています。難しく考えず小さいことから始めていって欲しいものです。
最後に、大山寺のお坊さんから、「生徒達が後から入堂する人のことを考えて靴をきっちり揃えていたのは素晴らしいことである。躾が行き届いていますね。」というお褒めの言葉をいただきました。生徒達は短期間に確実に成長していると感じました。