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師匠の教え 「後姿のこと」

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 後姿の美しい剣道をしなさい、と私の師匠はよくおっしゃいました。剣道は相手と正対して行う競技ですので、正面から見た姿については道着の着付け、姿勢、構えなど注意深く点検するものですが、本当の気構えや修行の深度が現れるのは後姿なのです。
20180720-1.jpg力まず、大きく、背骨がスッーと天に伸びるように構え、相手を威圧する、そんな正面から見た立派な姿は実は、それなりにつくろえるものなのです。実際に相手に対峙し、立ち合いが始まるとその真の強さが現れるのが後姿です。
 打突を急ぐあまり、前かがみになったり、打突時に力が入り背骨のラインが左右によれたり、また、攻め込まれ、苦し紛れに上半身をのけぞらせたり、左右に折り曲げたり、いつの間にか初めにスッーと伸びていた背筋が丸くなり、左右のバランスも崩れてしまいます。
こうした乱れは後姿を見ていれば一目瞭然です。
 いつ、どんな時でも相手に正対し背筋を伸ばし、圧力をかけ続け、打突時にも足腰がしっかり前に出て、美しい姿勢で打突する、あるいは攻め込まれた時でも、姿勢は揺らぐことなく、竹刀と正しい姿勢でその攻めを攻め返す、あるいは相手の打突を応じて返すなど、いつも背筋が伸びた美しい後姿で剣道ができるよう努力しないと師匠は説いていたわけです。
 後姿はつくろえません。本当に厳しい修行に裏打ちされた自信や真の強さなくしては何時も崩れない背筋が伸びた美しい後姿にはなりません。
 師匠はこうした言葉を通して、前から見ても後ろから見ても、筋の通った堂々とした人間になれ、そうなるべく努力せよと語ってくれたのではないかと思っています。
 教育の場でも同じことが言えるのではないかと思います。子供たちはまさに我々の後姿を見ています。後姿がいつも美しい、表裏なくいつも輝いている、そんな人物に人は集まってくるのではないでしょうか。そんな人に一歩でも近づけるよう、精進し続けたいと思います。

(小学校副校長 成地 勉)