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2010年02月25日

西谷地区直送野菜の定食メニュー

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2/17 豚肉のあんかけ            2/19 皿うどん


  本校の環境教育の基本的な考え方は「学び・考え・行動する」ということですが、単に環境についての知識を得るだけではなく、自分自身で行動を起こしていくことが大切です。
  環境の切り口としては、食料、水、エネルギー、ゴミ等様々なものがありますが、この度、生徒会では『地産地消』をテーマに本校の食堂に地元の野菜を使うことを提案しました。そして、調理人の方とも打ち合わせをし、西谷地区から直送された新鮮野菜をふんだんに使った『野菜と豚肉のあんかけ』と『皿うどん』を先週2日間に分けて、食堂の定食メニューとして提供していただくことになりました。
  地産地消とは、読んで字のごとく〝地域で生産されたものをその地域で消費する〟ことですが、国の基本計画では、これにとどまらず、この活動を通じて、農業者と消費者を結び付ける取り組みをしています。そして、消費者が、生産者と『顔が見え、話ができる』関係で地域の農産物・食品を購入することによって、地域の農業の活性化をはかることを目指しています。
  私達が口にする食材が、生産者は誰で、どのように作られ、流通し、調理されたかなどが把握でき、安心して野菜を食べることができます。また、何よりも輸送コストが低く鮮度が高いというメリットもあります。更に、調理は手間でしょうが、企画サイズからはずれた野菜も混じっており、生産地で廃棄されることなく、無駄が出ません。このように消費者には安心安全で、生産者には無駄のない良循環型のサイクルとなります。

  なお、野菜を提供していただいた西谷地区と雲雀丘学園とは深い関係があります。実は、1949年4月15日、西谷村立西谷小学校雲雀丘分教場として開校されたのが雲雀丘学園の始まりなのです。今回は試験的な取り組みでしたが、これからも定期的にこのような地産地消の活動を進めていきたいと思っています。

高校新校舎~樹木の保全と緑化の推進(Ⅱ)

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(現在の斜面・雑木林)              (里山風植栽設計図)

  国道沿いの校門(南門)から学園に入ると左側の石垣の上に細長い斜面が広がっています。一番上部には根が横に伸びるニセアカシヤそれにサクラが幹を連ねていますが、中段は昼間でも日陰になる部分も多く、ササや雑木が雑然と繁茂しています。家に例えれば玄関にあたる場所がこういう状況では、折角新校舎が完成しても環境面での調和を保つことができません。
  そこで、今回、卒業生で造園業の翠龍園・阪上氏にこの斜面の再生プランの作成をお願いしました。阪上氏によると、再生にあたっては〝半分日陰の斜面地であるため、極力水遣り等の管理の手間がかからないようにすること〟と〝中段に群生しているネザサや雑木の繁殖を抑える手立てを考えること〟の二つがポイントであり、次のような具体案が示されました。
  『上段には日本の本来種であるアジサイ・ウツギ等の背の低い木を、下段には大株で寿命が長く丈夫なクリスマスローズやアガパンサスなどの宿根草花を、また、所どころアナベル(白いアジサイ)やユキヤナギといった木を植えることにより、デザイン的に変化を付けます。そして、生徒達が緑の自然環境の素晴らしさを知り、樹木を大切にするという気持ちを持ってくれるように、できるだけ自然のまま育てることにより里山風の雰囲気を醸し出すようにします。また、ネザサの繁殖を抑えるように生育旺盛な中低木で斜面地を覆う方法をとります。』
  このプランに基づいて、間もなく工事を開始します。新校舎が完成する3月末には美しい里山に生まれ変わることになります。そして、5月頃からはヒラド・サツキ・アジサイ等が斜面を賑わせてくれることでしょう。
  なお、高校3年の卒業記念樹もこの里山の中に植えるよう計画しています。

高校新校舎~木の命を生かす

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(美術室のスギの作業用イス)       (面談コーナーのイスのデザイン設計図)

  新校舎には和歌山の杉を使った手作りの家具を配置することにしています。紀州というのは昔の和歌山県の呼び名ですが、別名「木の国」とも呼ばれていたようです。今回は日高川町の玉置町長の紹介で、県の森林整備課の河野氏に大変お世話になりました。いずれもスギの板の手ざわりを残した温かみのあるイスや机に仕上がる予定で、「生徒会室」には机を、「美術教室」には作業用のイスを、また他校の質問コーナーにあたる「交流スペース」には大きな本棚を設置します。そして、これまで生徒たちが先生にマンツーマンで勉強を教えてもらっていた「面談コーナー」には新たに手作りのイスとテーブルを並べ、生徒達が自由に談笑できるミーティングスペースとして活用できるようにしています。

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(生徒会が作ったキーホルダー)      (メタセコイアの手作りベンチ)

  また、メタセコイアを移植する際に裁断した幹の上部についても廃棄せずに再利用をはかりました。一つ目は昨年の文化祭において生徒会のメンバー達がメタセコイアの小枝から木片を沢山作り、穴をあけてキーホルダーを製作して販売しました。二つ目は校務員さんが一番太い切り株を割ってベンチを作ってくれました。これまで生徒達の成長を見守ってくれていたメタセコイアが今度は新しい役目を果たしてくれることになります。このベンチに座って、生徒達が命を生かすことの尊さを身をもって感じて欲しいと思っています。
  更に新校舎の玄関を入った正面にある「60(ろくまる)ホール」の床材は、ウイスキーオークを使用しています。その役目を果たしたサントリーのウイスキー樽を新しい家具材のフローリングとして生まれ変わらせたものです。このように、今回の新校舎は色々な面で環境に配慮した構成になっています。


高校新校舎~樹木の保全と緑化の推進(Ⅰ)

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(移植前のメタセコイア)             (旧校舎に寄り添うヒマラヤスギ) 

  今回の高校新校舎の建設にあたって苦心したのが、これまで学園の歴史を見守ってきたメタセコイアとヒマラヤスギの二つの大木の命を守るということです。本校の卒業生で樹木の専門家である米谷氏に相談したところ、メタセコイアについては何とか移植することができるが、ヒマラヤスギは無理であるという答えが返ってきました。このアドバイスを受けて、メタセコイアの大木については建築工事範囲と重なるため3分の1の高さにカットした上で、枝葉を切り落とし南へ約10m移動させて移植し保全しました。
  このメタセコイアは昭和38年(1963年)高校校舎の4階を増設する時に親木の実生(みしょう)から育てた苗木が大きくなったものですが、実はこの親木は高校校舎と中央棟の間に植えられているメタセコイアなのです。そして、この親木は生物学者であった三木茂博士から、昭和29年(1954年)に中学校舎(旧高校校舎)竣工の際にお祝いの記念樹としていただいたものです。そして、深く掘ったため根が十分に張り、南側で太陽の光を十分に浴びたことによって、長い歳月の間に親木を凌ぐ約30メートルの高さにまで成長したのです。
  学園中高のシンボル的存在で旧校舎と生徒達の成長を暖かく見守ってきた樹齢50年に近いこのメタセコイアの周りにはサークルベンチを設置し憩いの場にする予定です。
  また旧校舎の南面東側にあって校舎に寄り添うかのように聳え立っていた大木のヒマラヤスギは移植せず高さを短くして、今の場所で保全することにしました。新校舎完成のあかつきには、周りに岩石標本と低木などを植えた花壇を造る計画です。
  これからも樹木の保全を通じて、木の命と本校の歴史を守り緑豊かな学園の環境を大切にしていきたいと思っています。

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(現在のメタセコイア)             (完成後のヒマラヤスギのイメージ)

高校新校舎~LED照明

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(建築中の交流スペース天井LED)

  2階にある交流スペースの天井照明には省電力・長寿命のLEDベースライトを15台設置していますが、これは天井直付型で乳白色パネル1台の中に54個(64W)のLEDが入っています。従来の40形2灯蛍光灯に比べ消費電力が約26%減少、ランプの寿命も従来型は12,000時間に対し40,000時間と約3.3倍長持ちします。
  LED照明は電気を通すと発光する米粒のような半導体を電灯にしたもので、近年急速に需要が拡大し、多くの企業が参入し始めています。しかし、まだ未成熟であり改良の余地が大きい商品なのです。当初LED照明を採用したいという話をしたところ、〝バラツキがあるため同一品番でも発行色や明るさが異なり十分な照度が得られないかも知れません〟との回答であったため心配していましたが、先日建築中の現場で確認したところ器具を増やした事もあって、全く問題のない状況に仕上がっていました。
  また1階から5階の廊下壁面のウォール・ウォッシャ―照明にも超小型のLEDダウンライト(7.9W)を使用しています。ピンホール形コーンを採用し余分な光をカットしたシャープな配光で、照射開口寸法は5円玉サイズしかありませんが、ハロゲン電球35W相当の光量があり、省エネにも大いに役立つことになります。

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(LEDウォールウォッシャー カタログより)

高校新校舎~屋上緑化と雨水利用

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(学園の設置予定図)

  本学園に来訪された方からは、しばしば「多くの木が植えられており、素晴らしい環境ですね」という言葉をお聞きします。今回の新校舎建設にあたっては、極力現在の緑の環境を守ると共に緑化のスペースを増やすことにしました。この考え方に立って、メタセコイアを移植し、倒れ防止のためのヒマラヤスギの補強工事を行ないました。そして、新校舎に屋上緑化のシステムを導入することにしました。
  近年、環境問題への対応として「屋上緑化」や「壁面緑化」が注目されてきていますが、実は屋上庭園や蔦(ツタ)のからまる壁を持つ建築物は随分古くから存在しているのです。この屋上緑化は〝ヒートアイランド現象*の防止〟と〝屋上面への断熱効果〟があり、屋根からの熱侵入を防ぎエアコンの負荷を低減するため、省エネ・CO2削減につながります。しかし、これまでの屋上緑化は多量の土を使用するため、重量が重く、風雨で土が飛んだり雨で流れたりする事が難点でした。
  今回採用するシステムは土の代わりに新素材「パフカル」という人工培土を使用し、水・栄養・空気を効率的に供給する水耕栽培型の直裁ユニットであり、〝クリーン〟で〝軽量〟というのが特徴です。具体的には、4階の屋上に260㎡を予定していますが、これにより電気代が年間で約40万円節約できることになります。一方、このままでは潅水のために年間の水道代が約15万円必要となるため、雨水をタンクに集めて貯水し、必要な分だけを水位センサーによる自動灌水システムによって利用することにより、水道代を節約すると共に古くなった葉っぱの除去や伸びすぎた枝の剪定のほか施肥・害虫の駆除などのメンテナンス費用を工夫していく予定です。

  *ヒートアイランド現象
    都市部の気温がその周辺の非都市部より異常な高温を示す現象

高校新校舎~太陽光発電システムの導入

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          (イメージ)                 (学園のシステム)

  高校の新校舎は環境に配慮した学校設備・新エネルギーの活用をはかるため、太陽光発電システムを導入することにしています。これは太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換して発電を行なう仕組みです。発電される電気は直流ですので、一般電源と同じ交流の電気に変換するパワーコンディショナーという装置が必要です。
  この装置で交流に変換された電気はその後、分電盤を通り教室の照明エネルギーとして使用されます。空調も含めて全教室の電気をすべて太陽光発電で賄うためには膨大なパネルが必要となるため、新校舎の普通教室(7教室×3学年=21教室)の照明相当分を賄える、20kwの太陽光発電設備にしました。そして、建築当初は5kwの発電能力を有する太陽光パネルを設け、段階的に増設していく計画です。このため、実際には電力会社(関西電力)から供給される電気と併せて使用することになります。単純に計算すると、初年度については5教室分にしかなりませんが、近年パネルに関する技術は急速に進んできており、性能は大幅にアップすることが期待されます。恐らく数年先には20kwを大きく上回る電力が確保できるのではないかと思っています。
  また、この太陽光パネルの学校への設置は、文部科学省のエコキャンパス推進事業に指定されており、事業経費3分の1以内の補助金を受けることができるようになっていますので、この制度を活用させていただくことになります。

  現在、わが国におけるエネルギーの自給率は原子力を除くと約4%しかなく、この自給率を引き上げていかなければなりません。そして、一方では2020年までにCO2の1990年比25%削減をはかろうとしています。これを同時に実現していくためには、さまざまなクリーンエネルギーの創出が不可欠です。
  今回、導入する太陽光発電は大きく環境保全に貢献します。例えば20kwシステムの場合、地球温暖化の原因のひとつであるCO2の削減効果は高さ10メートルのクスノキに換算して約20本を植林した効果があり、1年間のCO2削減効果は18リットル灯油缶で約310缶の石油を節約した計算となります。
  本校では、この太陽光による発電の取り組みをビジュアル化することによって、環境教育に結びつけていく予定です。

高校新校舎~基本コンセプトと概要

新校舎イメージ.jpg

  高校新校舎の建設も順調に進んでおり、来月には完成する予定です。現在の高校1年生と2年生、それに来年度入学される生徒の皆さんは4月からこの校舎で高校生活を送ることになりますので、これから何回かに分けて概要を紹介します。
  この校舎の基本コンセプトは〝エコ〟と〝ゆとり〟をテーマに「教育スペースの充実」と「環境との調和」を目指すというものです。まず、教育スペースの充実については、普通教室の面積が60㎡から76㎡と26%、廊下の幅員は2.5mから2.8mと12%広がります。また、教員と生徒、生徒間、教員間の交流をはかることにも配慮しています。具体的には交流スペース70㎡を新設し、職員室も279㎡から337㎡へと21%拡大し、教員が休養できるスペースを確保するというものです。
  次に環境との調和については太陽光発電や雨水利用、樹木の保全と緑化の推進、省エネルギー対応型設備の設置、シックスクール対策を採用しています。
  施設の概要は1階に調理・被服・美術の各特別教室の他、生徒会室・保健室・生徒相談室・用務室それに多目的スペース(ろくまる≪60≫ホール)、2階は職員室(談話室・健康管理室・更衣室含む)・交流スペース・音楽・社会(視聴覚室兼用)の各特別教室・演習教室2室と進路指導室。3階は普通教室7室・化学・生物・物理・書道の各特別教室、4階と5階はほぼ同じ仕様で普通教室が7室、という配置になっています。
  また4階北側屋上には雨水を利用した屋上緑化設備、5階屋上南側には太陽光発電のパネルが設置されます。これまでの校舎は4階でしたが、1階増えたことによりスペース的には余裕ができ、普通教室は合計21室、特別教室は合計9室を確保が可能になりました。