2017年10月14日

イシグロ作品・続

  忘れられた巨人(早川書房)
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               こちらも現在、貸出中    

 物語の舞台は前回紹介した「日の名残り」同様、英国ですがその風景はうってかわります。
 岩だらけの丘、荒れた野、冷たい霧が立ち込める川や沼、そのうえ鬼たちが隠れ住んでいる。でもこちらが挑発さえしなければ特に悪さをしない鬼の存在よりも、人々はその日の食糧の調達、恐ろしい病といったもっとやっかい事をたくさん抱えている。
 丘の斜面に掘った深い横穴で暮らし穴同士を地下通路で結んだ、まるでウサギの巣穴のような、それがこの土地の村だ。 
 そんな描写で始まる物語はあのアーサー王統治後のブリテン島を舞台に、伝説の設定を活かしたその後の物語です。(アーサー王物語とは欧州では昔から語りつがれるブリテン島の伝説をもとにした中世騎士道物語)

 何かの理由でこの世界の唯一の灯りであるロウソクを使うことを許されず村のはずれに住むアクセルとベアトリスという老夫婦は、村を去った息子に会うための旅に出ることを決心します。でもその手がかりは何もありません。手がかりどころか、息子の顔も声も、この村を出て行った理由もわかりません。
 でも彼らだけでなくこの国の人々は、起きたこと、存在した人、過去の記憶が次第に薄れていくのです。憎しみの記憶も、愛を育てる思いやりの記憶も等しく分け隔てなく。

 大地を包む謎の霧の中、様々に人に出会いながら、いたはずの息子に出会うための2人の旅が始まります。

2017年10月11日

イシグロ作品

 ノーベル文学賞受賞者、カズオ・イシグロさんの作品を紹介します。

  英国にはバトラーと称する人達がいることがよく知られています。日本語に訳すと「執事」 貴族が出てくるような映画などにも登場する、礼装をし感情を表に出さず威厳をもっていて召使いたちを統率する立場の人達です。

 そんなバトラーを主人公にしたのが 日の名残り(早川書房) 英国でも権威のある文学賞を受賞して、最初にイシグロさんが注目された作品でもあります。
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                 ただ今、貸出中    

 第二次大戦後、長年仕えた英国人貴族のお屋敷が米国人の手に渡り、執事であるスティーブンスは広い屋敷にたった2人の使用人と共に新しい米国人の主人のもとに仕えることになります。
 今までとは違った状況にとまどいながらも、これまで同様、理想的な執事の道(感情を殺して仕事に打ちこむ)を追求する気持ちはかわりません。

 そんなある時、主人から数日間の休暇旅行の提案をうけます。それまで旅行どころか休暇など取ったことがなく戸惑うスティーブンスでしたが、あることを思いつきその提案を受けることにします(旅費は?どんな服装で行けばいい?と悩んだりしながら・・・だって初めてですから)

 心から敬愛する今は亡き英国人主人、共に働いた多くの使用人、邸内で催された重要な外交会議、執事の鑑であった亡父、たくさんの思い出を胸にスティーブンスは数日間の旅に出ます。旅の間、その思い出はますます輝きをまし、新しい日々に向けての思いは芽生えます。

 生真面目なスティーブンスの様子をユーモラスに描きながら、英国の古き良き時代を背景に描かれた物語です。

2017年10月07日

テスト中の開室時間

  来週から中間考査が始まります。

考査中の開室時間は、10:00~17:00 です 

2017年10月06日

ノーベル文学賞

 昨夜、今年のノーベル文学賞が発表されました。授賞したのは日本生まれの英国人作家 カズオ・イシグロさんです。
 選考委員会は「カズオ・イシグロ氏の力強い感情の小説は、私たちが世界とつながっているという幻想に隠されている闇を明らかにした」と評価しています。
 英国に帰化されているとはいえ、やはり日本にもうれしいニュースです。

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   授賞のニュースをきき、早速お昼休みにかりに来た人もいました。

 長崎で生まれ、5歳の時に日本人の両親とともにイギリスに移住、現地の大学で英文学などを学び、日本に戻ることなくイギリス国籍を取得。簡単な日本語しか話せないそうで小説もすべて英語で発表しています。
 それでも日本には特別な思いがあって、来日時のインタビューでは「街を歩いても食事をしても、幼いころにいた日本の記憶がよみがえってくるようでほかの国に行くのとは全く違った感じです」と話しています。

 イシグロさんは、1982年に作家としてデビュー。
 「遠い山なみの光」「浮世の画家」といった日本を舞台に日本人が主人公の作品や、幼い頃に両親が失踪し孤児としてロンドンで育った青年が探偵となり両親を探す姿を描いた「私が孤児だったころ」
 臓器移植の提供者となるためにクローン技術で生まれた若者たちが、運命を受け入れながらも生き続けたいと願う姿を描いた「わたしを離さないで」 この作品は映画化、舞台化され、綾瀬はるかさん主演のTVドラマにもなり見た人も多いと思います。

 今回の受賞後のインタビューでは「世界が不安定な状況の中で、小さな形でも平和に貢献できればうれしい」と話されています。

2017年10月04日

高3生の資料探し

 高3生が入試に必要な小論文や面接対策のための本を探しにくる季節になりました。毎年のことですが、質問しながら一緒に図書室の中をあっちへこっちへウロウロ。
 利用者の求めている資料を探す手助けするのは「参考業務」という図書館司書の大事な仕事です。1人で書架を見上げて途方にくれないで、どんどん相談に来てください。(昼休みよりは放課後の方がゆっくり相談にのれます)

 そんな高3生へ向けていくつか紹介していきます。もちろん将来の進路に考えている人や探究授業などにも役立てて下さい。今日は国際協力関連の資料としてJICAから発行されている 年次報告書と月刊誌mundi です。
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 JICAは日本の政府開発援助(ODA)の中核を担う組織で世界有数の包括的な援助機関。世界の様々な地域で開発途上国に対する協力を行っています。その取り組みは、平和構築、公共政策、農村開発、人間開発(教育・医療)、地球環境など多岐にわたります。
 民間連携による企業支援、国際緊急援助、科学技術協力、ボランティアなど、多様な援助方法を組み合わせ開発途上国が抱える課題の解決を支援しています。
 年次報告は毎年どの地域で、どんな支援を行ってきたかのを具体的にまとめた報告書です。

他にも、国際協力の現場から/山本一巳、国際協力ってなんだろう/高橋和志(共に岩波書店)、世界と恋するおしごと/山本敏晴(小学館) など

2017年10月02日

展示、見てきました

 期間終了間際、旭屋書店・なんば店にPOP選手権の展示を見に行ってきました。
展示コーナーはレジ前、人通りの多い店内のメインスペースに設置されていて、各POPはきれいに加工され、ディスプレイも立派でちょっとびっくりしました。
 私がいる間もPOPに目をとめて立ち止まる人がいましたよ。

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2017年09月27日

「ひよっこ」のミニチュア

 MINIATURE LIFE、MINIATURE LIFE2/田中達也(水曜社)  
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      展覧会は10/2まで。「ひよっこ」も週末がいよいよ最終回。 

 日用品や食材とミニチュア人形の組み合わせで、小さくて不思議な世界を創りだすミニチュア写真家・田中達也さんの作品を集めた写真集です。
 小人の視点で日常の物事を考えると、ブロッコリーが森に、バーコードがピアノの鍵盤に見えたり、シメジの下で雨宿りしたり、様々な場面に思わず笑ってしまいます。 
 数年前に写真集を購入、図書室でも密かな人気となりました。現在放送中のNHK連続ドラマ「ひよっこ」のタイトルバックで見られるジオラマも田中さんの手によるものです。写真集コーナーに展示しているのをみつけ「これって『ひよっこ』の!」と、手に取る人も。

 田中さんはインターネット上で日めくりカレンダーのように毎日1作品を公開。「ミニチュアカレンダー」と名付け、2011年4月から1日も休むことなく続けていて、国内だけでなく海外にも多くのファンがいるそうです。

 そんな田中さんの展覧会「MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界」が先週から大阪梅田の大丸ミュージアムで開催中。代表作や新作のミニチュア写真、約100点を展示。実物もいくつか展示されていて、コッペパンを列車に見立てた「新パン線」は実際に時々動いていますよ!

2017年09月22日

大阪ほんま本大賞

 この夏、大阪ほんま本大賞に選ばれた、幻坂/有栖川有栖 (KADOKAWA)
大阪の問屋と本屋が「ほんまに読んで欲しい1冊」を選び、その本の売り上げの一部を大阪府下の児童福祉施設への図書寄贈するというプロジェクトも今年で5回目です。

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 大阪で生まれ育った有栖川さんが「ないなら自分で書いたろ」と思い書きあげた怪談です。
大阪の街の中央を背骨の様に南北に貫く天王寺区上町台地。坂の多いこのエリアのなかでも、最も大阪らしいと選んだのが西側の<天王寺七坂>付近。その7つの坂を舞台にした作品集。
 逢坂や愛染坂といった実在の坂のタイトルがついた7編と大阪で亡くなったと言われる松尾芭蕉の最期の数日間を怪談風に描いたものなど2編からなります。
 坂に棲みついている猫たちの写真を撮るために訪れた女子高生に起こる奇妙な出来事(口縄坂) や小さいときから生きていないものが視える青年の話(逢坂)、心霊探偵が登場するものもあります。

 身の毛もよだつ恐い話ではなく、秋に似合うちょっと幻想的な怪談です。

2017年09月20日

ひばりの図書室9月号

 本日、ひばりの図書室9月号を配布しました。

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 新着図書では、世界を旅しながら見知らぬお宅でご飯をごちそうになる、つまりキッチンをヒッチハイクする=『キッチハイク』 そんな旅を1年以上続け、美味しそうな写真満載の本にまとめたキッチハイク 突撃!世界の晩御飯  や中央アジアの架空の国を舞台に、国の危機を救おうと立ち上がった少女たちの活躍を描いた あとは野となれ大和撫子 など紹介しています。

2017年09月14日

オビの張り替え

 毎月恒例、新着図書のオビの張り替えです。夏休み中に届いたモノもたくさんあります。早速、チェックして予約をしに来た人もいました。

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 前期の委員会活動もあと少し、今期もカウンター当番だけでなく,、新着図書のブッカーや蔵書印押しなど、いろんな仕事を経験してもらいました。