探究ゼミ・プロジェクト〔 学内外と連携し、自由に学ぶ 〕
探究プロジェクト
【水と国際~阪神水道事業団 尼崎浄水所 見学レポート~】
探究プロジェクト「水と国際」のプログラムの2回目が実施されました。
本日は阪神水道事業団 尼崎浄水所にて日本の高度な浄水技術について学びました。
浄水処理の仕組みを学ぶ
まず最初に、浄水場の方のご説明をうけました。本日はJICAの取り組みで、さまざまな国から多くの技術者の方も説明をうけにきていました。浄水処理の工程を分かりやすく解説してくれたアニメーションの視聴などで普段何気なく使っている水道水が、どのような過程を経て私たちの家庭に届けられているのか、映像を通して理解を深めました。
その後、実際に浄水施設内部を見学しました。阪神水道事業団の岡崎様から、尼崎浄水所が2001年に全面更新された施設であること、阪神・淡路大震災での被害を教訓に、耐震性を強化し、「安心・安全・環境・発想」の4つのコンセプトに基づき建設されたことが説明されました。
特に印象的だったのは、阪神水道の施設が大阪市から神戸市にかけて約30キロメートル、南北20キロメートルにわたり、高低差が約100メートルもある広大な範囲に広がっているという説明でした。2箇所の貯水ポンプ場、1箇所の浄水場、2箇所の中継ポンプ場など、複数の施設が連携して水を供給していることに驚きの声が上がりました。
高度な水処理技術と災害対策
見学では、水が段階的に浄化されていく様子を間近で見ることができました。
沈殿池: 取り込まれた水から大きなゴミが取り除かれます。
高度処理(オゾン処理・活性炭吸着): 化学物質や臭気を除去するために、オゾンと活性炭が使用されます。日本の浄水技術は世界でもトップレベルであり、その一端に触れることができました。
ろ過: 最終的な仕上げとして、残った微細な物質がろ過によって取り除かれます。
また、浄水施設の運転は基本的にコンピューターシステムによって自動制御されており、中央管理室で全ての運転状態、水質、水量などが一括して監視・操作されていることも紹介されました。24時間365日稼働しているとのことで、安定した水供給の裏側には、こうした徹底した管理体制があることを知りました。
さらに、地震などの非常時に備えた応急給水施設や、電力供給が途絶えても最低限の送配水を確保するための自家発電設備(コージェネレーションシステム)も設置されているとのことでした。特にコージェネレーションシステムは、ガスエンジンで発電する際に発生する熱を有効活用し、省エネルギーにも貢献しているという説明に、生徒たちは熱心に耳を傾けていました。
浄水池の上部が民間事業者に貸し出され、ホームセンターの敷地として有効活用されていることには、コスト削減と地域貢献を両立させるユニークな取り組みとして注目が集まりました。
活発な質疑応答
見学の最後には、生徒たちからの質問を受け付ける時間が設けられました。普段疑問に思っていることや、見学中に感じたことを積極的に質問し、担当の方から丁寧に回答をいただきました。
特に、海外からの研修生の方々の国の水事情や浄水技術について紹介していただく場面もありました。リビアから来られた研修生の方からは、サハラ砂漠の地下水を4000キロメートルものパイプラインで運んでいること、そしてそのプロジェクトが韓国の協力で行われていることなどが紹介され、日本の水環境がいかに恵まれているかを改めて感じさせられました。
今回の社会見学を通して、生徒たちは水道水の安全性や安定供給が、阪神水道事業団の皆さんのたゆまぬ努力と高度な技術によって支えられていることを実感しました。水の大切さ、そしてそれを守り、未来へつないでいくことの重要性を学ぶ貴重な機会となりました。
阪神水道事業団の皆様、貴重な学びの機会をありがとうございました。