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エネルギーの現状を知る

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        《太陽光発電》              《風力発電》
  東日本大震災による原発事故は日本国民のエネルギーに関する意識を大きく変えることになりました。アンケート結果によると〝エネルギー政策についての考え方は大半が抜本的に見直さなければならない〟〝原子力発電については全廃が約2割、大きく削減(約3割)を含め7割を超える人が減らすべきである〟〝30年後の電力使用量が現在より増加すると考えている人は約1割しかない〟ということになっています。
  しかし、これは現在のエネルギー事情を十分考慮した上での答えではありません。まず、日本のエネルギー源別の発電電力量の割合をみると、火力発電が約7割を占め、次いで原子力(22.5%)、大規模水力(5.8%)となっています。そして、再生可能エネルギーは全体のたった3.2%に過ぎません。これは原子力発電を国のエネルギー政策の中心に位置づけてきた結果であり、あまりにも原子力発電のウェイトが大きくなりすぎてしまったため、簡単に代替エネルギーを確保することが難しい状況になってきているのです。
  仮に原子力の代替として、すべてを再生可能エネルギーに切り替えた場合のシミュレーションをすると、太陽光発電の場合には、パネル設置に要する面積は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を合計した広さ、また風力発電の場合には、四国の約1.2倍の広さが必要であり、これを短期間に達成することは容易ではありません。
  従って、これらの現実の姿を国民に分かりやすく説明した上で、エネルギー政策の中長期ビジョンを明示し、到達目標年度を決めて具体的な工程を作っていくことが大切であると思います
  明日から関西電力の高浜原発3号機が定期点検のために稼動を停止することになり、この結果国内54基ある原発のうち稼動するのはわずか2基ということになります。当面は天然ガス等によって火力発電所を再稼動させることになりますが、日本の電力事情が逼迫し、産業界や日常生活に影響が出るのは避けられません。また、地球温暖化ガスの増加という環境問題や貿易赤字といったことも生じることになります。自分の利害だけを考えるのではなく、少し大きな視点でエネルギー問題を捉えていきたいものです。