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こんな本を読んでみませんか14

 昨日は流れ星のことを書きましたから、今日は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を紹介しましょう。新潮文庫の「きみに読んでほしい50冊」には「注文の多い料理店」とともに掲載されています。「注文の多い料理店」の序で、賢治自身が「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。わたくしは、そういうきれいなたべものやきものをすきです。これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。(中略)これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。」と書いたように、賢治の作品には美しい言葉があちらこちらに宝石のようにちりばめられています。

 「銀河鉄道の夜」の主人公は父親が漁から帰って来ないジョバンニです。ザネリらにからかわれ、いじめられる中で、カムパネルラだけはそうはしませんでした。ケンタウル祭の夜、ジョバンニはカムパネルラとともに小さな列車に乗り込み、「白鳥の停車場」「プリシオン海岸」「鷲の停車場」と巡っていき、いろいろな人々に出会っていきます。最後に「サウザンクロス」でほかの乗客がみんな降りてしまい、ジョバンニとカムパネルラだけが残されます。そして、ジョバンニが「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ」と言った瞬間、カムパネルラも消えてしまいます。実は銀河鉄道の旅は、川に落ちたザネリを助けようとして死んだカムパネルラを天上へ送り届ける旅だったのです。

 小学生のときに読んだことがあったとしても、この作品をもう一度読んでみて下さい。読むたびに新しい感動と発見があることと思います。A.M.

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