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中学生に読ませておきたい本 2

 明日から2週間、読書週間です。学校でもご家庭でも「文章を読む能力」の大切さを再認識したいと考えています。学年では今週水曜日のLHRでオリエンテーション以来2度目の読書指導をおこなう予定です。
 さて、今回は大正期の作家「芥川龍之介」の短編集を紹介したいと思います。特に初期の作品は説話文学を元にしており、読みやすいのではないでしょうか。「羅生門」「鼻」「芋粥」は今昔物語集を題材にしていますし、「蜘蛛の糸」はポール・ケーラスの「カルマ」を邦訳した「因果の小車」、「杜子春」は中国・唐の時代の古典、「杜子春伝」を下敷きにしています。芥川は東京大学の英文科を卒業しているので、西洋や東洋の文学に精通していたようです。滑稽なくらい長い鼻をもつ僧侶・禅智内供が何とか短くしようと悪戦苦闘する「鼻」や、地獄に堕ちた男カンダタが救いの糸をつかむものの、自分だけが助かりたいというエゴイズムのためにまた地獄へ堕ちてしまう「蜘蛛の糸」、大金持ちになることに愛想がつき、平凡な人間として自然の中で生きることに幸福を見つける「杜子春」などが中学生には感情移入しやすくてお薦めです。A.M.