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「こんな本を読んだ」

 これから時々このブログで、先生方から本の紹介をしてもらおうと思います。
読んだ本の感想、紹介、おすすめ本はもちろんですが、みたテレビや映画に関連した本などなど。本にまつわるあれこれを語っていただければいいなと思っています。(イチ押しの本屋さんを紹介してくれる先生もいるかも?)
まず1回目は、中井教頭先生の「こんな本を読んだ」です。夏目漱石の夢十夜を真似て、この書き出しで始めましょう。

 こんな本を読んだ。
図書室の新着未登録の中に積んであり、たまたま手に取った1冊。未登録をそのままかりるわけにもいかず、本屋さんへ。

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 高校生のための「いのち」の授業/古田晴彦 (祥伝社)

 かつて、「倫理」を担当した時に、「いのち」については「時間をかけて授業ができなかったなあ…」「教科書レベルで終わったなあ…」と後味の悪さを思い出しました。 それから15年以上、自分自身が年を取り(着実に死に近づき)、近親者を含め人の死を体験するにあたり、この本によって、授業が自分の中でも消化不良だったことや、「こんな授業をしたい」「高校生に学んでほしい」という思いがよみがえりました。

 筆者は、関西学院高等部の社会科の先生で同業者。授業と同じく本の中でも対話の中から身近な事例を紹介しつつ、「生命の誕生」「死」「「生きる」「家族」「幸せ」と説きすすんでいきます。
 各テーマの最初には、Qとして「あなたは・・・・」のように質問に対する書き込みのページがあり、読者の持つ知識や概念を確認しています。平易な文章の中に、読みながら考える、読んだ後にまた考えるという作業を繰り返すことができます。
 また、参考文献として紹介されているものも魅力で、より深く学ぶことができるようにも思います。ものの見方・考え方が広がり日々の生活に生命や家族をより感じられるかもしれません。あわせて、この本の目的ではない卑近な例で言うと、大学入試の小論文対策になるかもしれません。

 好きな福山雅治さんの『家族になろうよ』も書中に扱われています。読後、カラオケで熱唱させていただきました。
 授業をする機会がないと思い、本書は哲学科志望の現高2生徒に薦めてみました。「身近なことを例示していて納得しながら読むことができました」と感想をもらいました。ぜひどうぞ!