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社会人基礎力3  ~考え抜く力~

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  今回は、社会人基礎力の一つである「考え抜く力」(シンキング)について紹介します。
先日、「主体性」いわゆる自分でアクション(行動)するということを述べましたが、これと対になるのがシンキング(思考)であり、大きく3つの要素に分類されます。
  ひとつ目の「課題発見力」は“現状を分析し目的や課題を明らかにする力”のことです。
社会での仕事には、ごく一部の単純作業を除いてマニュアルどおりにいくものはほとんどありません。仕事を進めていく際には様々な問題点が現れてきますが、これらを適切に処理してゆく必要があります。そのためには、まず現状を正しく見据えた上で、事前に弊害となる物事を見つけ出していくことが大切です。このように、社会においては学校と異なり、与えられた問題を解くというだけではなく、何が問題なのか、突き詰めると“問題そのものを作り出す力”が必要になってくるのです。与えられた問題を解くことに終始していると、目標を達成するために何を解決しなければならないのかという力は育ってきません。
 次に必要になる能力は「計画力」です。
社会においては、よく“仕事は段取り八分”という言葉が使われます。つまり、仕事の出来ばえは、段取りをしっかりやるかどうかで80パーセント決まるということです。とにかく思いついたものから取りかかるということでは、「手順前後」や「やり直し」をするということが生じてきます。また、チームで仕事をする場合には、計画性のなさはメンバーの動きがバラバラになってしまい、成果を挙げることは極めて難しくなってしまいます。このように、計画力とは提起された課題を解決するために必要な幾つもの過程(ステップ)を明確にすることから始まり、その中でも最良の方法を検討し、実際にその解決に取り組むための準備をする。要約すると“課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力”です。
  最後のひとつは「創造力」です。
既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決方法を考える力です。今の時代において必要とされるものは、従来の枠組みや発想にとらわれない柔軟な姿勢です。このような変化の激しい時代には、他の物真似ではなく、常に“他との差別化をはかる”斬新な取り組みが必要になってきます。既存の考えに固まり、過去の延長線上で仕事を進めている組織では、時代に取り残されてしまうのは当然です。「常識を覆す(くつがえす)」ような斬新な考え方が、今までにない効率的なやり方、新しい分野の開拓、魅力ある商品、新たなビジネス・モデル等を生み出すのです。まさに想像力とは“新しい価値を生み出す力”であると言えます。
  しかし考えるだけでは何も起こりません。実際の問題解決に対しては、主体的に周りを巻き込み、失敗を恐れずに実行してゆく、先日お話した「前に踏み出す力」つまり“アクション”が必要となります。そして行動していく上で、最良と思っていた方法が実は間違っていたり、予想もしていなかった課題も生じます、こういったことは仕事をしていく上では頻繁に起こります。そこで、新たな課題を見つけ、計画する対策を「考え抜く力」即ち“シンキング”が再び必要になります。仕事とはこういった、課題と解決、思考と行動の繰り返しであるという側面を持っています。「社会人基礎力」もそれぞれ単体ではなく、融合することで更なる力となるのです。

  次回は「チームで働く力」(チームワーク)について紹介します。