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タバコの吸い殻で巣作り

 少し前の話になりますが、「都市部を中心にスズメの少子化が進んだ」、とする研究発表があり、話題を呼んだことがあります。国内のスズメの個体数が、過去約20年間で約6割も減ったとする報告を立教大と岩手医科大のグループがまとめたものでした。スズメは、屋根瓦の下など人工物を利用して巣作りをすることが多いのですが、住宅の構造が変わり、巣を作れる場所が減ってきたり、食べる餌の減少が要因とみているようです。
 少子化で話題をさらったスズメですが、今度は、ポイ捨てされたタバコの吸い殻を巣の内張りに利用することで、都会に住む鳥は、ダニの寄生を防いでいるらしいということで注目を集めています。メキシコ国立自治大学の研究チームが、メキシコの首都メキシコシティに生息するスズメの巣などを観察し、巣の中の吸い殻の量が増えるほど害虫の数が減少することを突き止めたそうです。昔から鳥類が巣の内張りをするときに、寄生生物を駆除する物質を多く含んだ植物を使っていたことは良く知られていました。タバコの葉には、寄生ダニ等を寄せ付けない化学物質が含まれていますので、都会の鳥も同じような目的でタバコの吸い殻を使っているのではないか、と研究チームは考えています。
 子育てをはじめ巣作りなどの住環境や餌などの食料事情の悪化など、生存そのものが危ぶまれる中、座して絶滅の危機を迎えるのではなく、環境の変化に対応すべく「生きていく知恵」を生かしている小さなスズメから、いろいろなことを教えられたような気がします。