« 2014年10月 | メイン | 2014年12月 »

2014年11月29日

いってらっしゃい、はやぶさ2

 2010年に小惑星イトカワへのミッションをこなした小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」が打ち上げられます。
 今回の目的は、小惑星「1999 JU3」を探査し、サンプルを持ち帰ること。
この小惑星の構成物質には、有機物や水が含まれていると考えられています。地球誕生の謎に加えて、海の水の起源や生命の原材料となった有機物の起源を探る、それが今回「はやぶさ2」に任されたミッションです。
 多くの“世界初”に挑戦した先輩「はやぶさ」の経験を活かして、小惑星探査技術をより確実なものにすると同時に、小惑星の表面に人工クレーターを生成、より内部の砂や小石を持ち帰ったり、新規の観測装置など、新しい技術にも挑戦します。

 科学雑誌「Newton」1月号では、はやぶさ2の特集が組まれています。

          hyb2.jpg

 「はやぶさ2」は、今年打ち上げられ、小惑星到着が2018年。そして2020年末に地球に帰還予定です。その旅路は6年間往復52億4000万キロメートル。無事ミッションをこなし、帰ってきてほしいですね。

 ところで、「初代はやぶさ」は、イトカワへのタッチ・アンド・ゴー・ミッションの過程で数々のアクシデントに見舞われました。何度かの故障、音信不通による行方不明を経て、やっとの思いで帰還。といってもイトカワの微粒子をのせたカプセルを切り離し地上へ届けた後、はやぶさ本体は大気圏に突入し燃え尽きています。
 その時の様子は「はやぶさ 遥かなる帰還」「おかえり、はやぶさ」「はやぶさ/HAYABUSA」といった映画にもなりました。

 他にも、「Newton」別冊 探査機はやぶさ  では、初代はやぶさ7年間の全奇跡を。泣ける宇宙(イーストプレス) では、宇宙に関わる人々のこれまでの数々のエピソードを読むことが出来ます。

 *明日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げ予定だった「はやぶさ2」ですが、天候条件が悪く来月以降に打ち上げ延期となりました。

2014年11月27日

マッサンとヒバリ

 現在放送中のNHK連続ドラマ『マッサン』 ちょっと本校に関わりがあるのです。

 物語は、日本のウイスキー誕生を支えた竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者・ドラマでは政春)とその妻リタ(同・エリー)をモデルに、フィクションとして再構成された夫婦の奮闘記です。そんな二人についてかかれた1冊。

マッサンとリタ/オリーヴ・チェックランド・著、和気洋子・訳 (NHK出版)

 第一次世界大戦直後の大正7年、政孝はウイスキーづくりを学ぶため、スコットランドへ向かいます。当時ウイスキー蒸留の技術を学ぶためただ働きを願い出た日本人青年に対して、驚く人はいても断る人はいなかったそうで、快く技術を伝えてくれます(まさか商売敵になるなんて思ってもいなかったから)
 そしてスコットランド人女性・リタと出会い結婚。現地の蒸留所で技術を習得し、リタと共に帰国したのが2年後でした。
 何もないところからウイスキー事業を立ち上げた政孝、外国人に対して拒絶的な日本社会で居場所を見出さなければならなかったリタ、2人の祖国が敵対した戦争、2人にとっては苦労の多い人生だったようです。そんな2人の写真や年表をふんだんに取り入れたマッサン夫妻の軌跡を辿った1冊。

 さて、政孝のウイスキー作りにおけるキー・マンとなったのが、国産ウイスキーの黎明期を創出したサントリー創業者・鳥井信治郎です。そう、本校の初代理事長です。
 ドラマでは政春の師であり生涯のライバル、船場・鴨井商店の大将・鴨井欣次郎として登場「やってみなはれ」「やらなわからしませんで」と物語中盤を彩ります。
 今後の二人の関係、どうなるのでしょうか。

rtm01.jpg  rtm02.jpg
 60ホールのフローリング。ウイスキーの樽だからと言って芳醇な香りはしません・・・。
     
 ところで、高校校舎1階60ホールの床をじっくりみたことがありますか?
このフローリング、サントリーのウイスキーの樽を再利用したものなんですよ。
 ウイスキーの樽は厳選されたオーク(楢)の木からつくられます。美味しいウイスキーを育むのに欠かせない樽は70年程でその役目を終えた後、さらに長く大切に使われるよう願ってテーブルやイスなどの家具に生まれ変わっているのです。

 ちなみに、正門から入ってくるアプローチのブロックタイル。こちらもウイスキーの瓶を砕いたガラスを再利用して造られたものだそうです。これは知らなかった・・・。
 

2014年11月22日

耐震工事完了

 今週、図書室の書架の耐震工事を行いました。
 以前から、書架と壁、隣り同士の書架をつなげる耐震対策はしていたのですが、今回、利用者の安全確保および被害をより軽減するため、書架と壁、書架同士を天つなぎしてもらいました。これで、倒壊・転倒をさらに防止できるそうです。
 必ず起こるといわれる地震に備えての対策は、出来る限りしておきたいです。

tsk01.jpg  tsk03.jpg
 

2014年11月19日

エネルギーについて考える

 本校は平成26~28年度まで、経済産業省資源エネルギー庁主催の「エネルギー教育モデル校」に選ばれています。その一環として先日、中2・社会科で、日本のエネルギー問題についての授業が行われました。

授業では・・・
 現在、エネルギー問題を考えるうえで、避けて通る事の出来ない原子力発電所の課題。賛成か反対かの議論もとても重要だけれども、まずは現状のエネルギーや発電方法の現状を理解し考察できるようになってほしい。それぞれの発電方法の長所と短所を確認、理解して、将来のエネルギー供給方法の姿を考えるきっかけにしていきたい。

 授業を担当した中井先生が、今回、授業で「エネルギー問題」を扱うに当たり一気に、こんな本を読んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原発ホワイトアウト/若杉 冽 (講談社)

 現役キャリア官僚の著者による内部告発ノンフィクションになるでしょうか?
小説は衆議院選挙後のニッポンを舞台に、原発再稼働を虎視眈々と狙う電力業界、経済界、政界のトライアングルを克明に描いています。また、登場人物ならびに地名など、実際に実在するものを想起させる書き方になっています。

 著者はインタビューで「私が直接見聞きしている事実と間接的に見聞きしている事実、これを元に、いかに国民不在で再稼働を原発推進に向かって進んでいるのかをできるだけリアルに国民の方に伝えたかったのです」と答えています。

 授業においては、中学生の皆さんが将来の日本のエネルギーのあり方について真剣に考えてくれました。このような小説によって政治不信や無関心を助長するかもしれないけれど、日本の未来のためには良質の政治家や官僚のみならず、しっかりとした市民を育てていく必要があると思います。

         khyn1.jpg
    本年度上半期のベストセラー10位にも選ばれています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 現在、エネルギー問題に関して各種メディアから情報が得られます。でもそれらは、他者の考えだとしっかり理解したうえで、自分の判断ができるようになってほしいそうです。こういったメディアリテラシーは、どんな場合でも必要で大事ですね。

2014年11月17日

読書週間は終わったけれど

 読書週間は終わってしまいましたが、読書の秋は続きます。
先日、『歯みがき週間が、終わったからと言って歯をみがくのをやめる人はいませんよね、読書週間が終わっても読書を続けていきましょう』という旨の記事が新聞に出ていました。
 なるほど! 読書も歯みがきのように習慣にすればいいのです(それが難しい!のでしょうが・・・)

 イベントの一つだった、分類別のスタンプラリーをゴールした人が出はじめました。たまには普段読まない分野の本を手にするのもいいでしょう?賞品のブックカバーの準備も整ってきましたが、もう少し待ってくださいね。

        dsi14.jpg

            第1号は中1のMさんでした。
   

2014年11月13日

中1担任団のおすすめは?

 中1の教室前の廊下に、各クラス担任からのおすすめ本とコメント入りのポスターが貼ってありました。さっそく図書室にも展示しました。読んでみて先生に感想を伝えてみませんか?
 それぞれの先生のカラーのよくでた選書に思えます。少し紹介すると・・・


A組・高橋先生 深夜特急/沢木耕太郎 (新潮社)
  香港からインドを経て乗り合いバスでロンドンまでの旅の記録。冒険心・好奇心
  を忘れずにいたいと思った。ぜひ世界にはばたいてほしいと思いおすすめ。

B組・渕上先生 蔵/宮尾登美子 (毎日新聞社)
  様々な困難に立ち向かいながらも、自分の志を貫いて生きる主人公の魅力を
  感じて欲しい。

C組・岩瀬先生 いちご同盟/三田誠広(集英社)
  物語に綴られた友情、恋愛、将来、生と死。ぜひ中学生のうちに読んでほしい。
  本を読んで泣くという初めての体験をした作品。

D組・柘植先生 バカの壁/養老孟司(新潮社)
  対立する者同士、なぜ話が通じないのか?そこに立ちはだかるのは「バカの
  壁」である。

E組・東野先生 アラミスと呼ばれた女/宇江佐真理(新潮社)
  女性には許されていない通訳という仕事に就くため、自分にできるありったけの
  事に挑戦する。時代や環境なんて関係ない。幕末を生きた女性の物語。


ctto2.jpg  cit1403.jpg

図書室には『13歳からのバカの壁』(「養老先生と遊ぶ/新潮社」付録) もあります。
誰の頭のなかにもある「バカの壁」 話し合えばわかるというけど、本当かな?

2014年11月11日

グーテン・ターク!ヘルバルト生

 先週末からドイツのヘルバルト校生11名が学園を訪れています。数日間、在校生のお宅へホームステイして一緒に学園生活を楽しむそうです。
 昨日は図書室にも見学にやって来ました。史記や三国志のマンガやライトノベルの表紙に興味深々な様子。日本のアニメは「和食」や「カワイイ」と同じくらい、世界で知られていますね。
 では、彼らの暮らすドイツはどんな国でしょう。

ドイツものしり紀行/紅山雪夫 (新潮社)
 ドイツは広い。中世都市・ローテンブルグから、ノイシュヴァーンシュタインなどの古城を眺めながら下るロマンティック街道。芸術の街・ミュンヘンからイタリアへの山越え・アルプス街道。ローレライの伝説で知られるライン河。街の案内だけではなく、歴史的な背景や文化についての情報もたっぷり。
 グリムありますか/ひらいたかこ・磯田和一(東京創元社)は、メルヘン街道を列車で旅しながら、グリム童話ゆかりの小さな町を巡る様子がかわいいイラスト旅行記。

ドイツ料理万歳!/川口マーン恵美 (平凡社)
 ドイツ料理と言えば、ソーセージにビール!だけではありません。白アスパラ(日本の缶詰のものとは全く別物) 新鮮なものはシャキシャキとした歯ごたえが絶品で、朝堀りたては極上。春が旬という点も日本のタケノコのような存在です。
 他にも、ニジマスなどの川魚料理、岩塩の振りかけられた香ばしいプレッツェル、黒い森のさくらんぼケーキ、ドイツには美味しいものがたくさん。

 メルセデスベンツなどの高級車ブランドがよく知られていますが、ぬいぐるみ界の有名メーカー・シュタイフ社もドイツのブランドです。耳にブランドロゴのタグがトレードマークのテディベアは、マイスターと呼ばれる職人が一つ一つ手作り、100年以上も世界の人々から愛されています。そんなシュタイフ社のぬいぐるみ200体が集められた写真集 TeddyBear~シュタイフテディベアの世界/シュタイフミュージアム(クレオ) 

          dhr1402.jpg
写真の3冊は、すべて分類が異なります。スタンプラリー挑戦中の人は参考にしてね。
  

2014年11月07日

歴史とは何か

 昨日、鳥井学園理事長より本の寄贈がありました。親しくされている東京大学・名誉教授 山内昌之さんの著書『歴史とは何か~世界を俯瞰する力』(PHP研究所)です。

         drkh.jpg
 他にも山内さんの著書は、「民族と国家」「イスラームと国際政治」(共に岩波書店)
  「ラディカル・ヒストリー」(中央公論新社)など所蔵しています。

 歴史学者である山内さんの専攻は、中東 ・イスラーム地域研究と国際関係史だそうですが、日本史にもとても精通されています。歴史に興味を持ったきっかけというのが中学時代に、司馬遷の歴史書「史記」を読んだことだったそうです。
インタビュー記事によると 「面白かった。項羽と劉邦の戦いなど躍動感にあふれていて、夜遅くまで目が悪くなるほど読みふけった」そうです。

そして、大学で歴史学の道に進まれます。山内さんにとって歴史学の魅力は?
 ・歴史は読んで楽しい。歴史小説だけでなく素晴らしい古典をじかに読んで、純粋に楽しんでほしい。
 ・歴史は未来への指針になる。歴史は、困難や苦難を乗り越えた人々の記憶が刻まれた人生最高のテキストである。
 ・歴史は思考力を深める。自分の生き方、考え方を充実させてくれる。

 この本の中で哲人たちの言葉を引用しながら、歴史学とは異なる国や時代の事実を比較し、思い出し、実際に何が起こったのか、それが何を意味するのかを明らかにする仕事であり、隠された秘密のメッセージを読み解くことだと語っています。

 また、これは十数年前に東京大学で1、2年生を対象に歴史の講義を持っていた頃にまとめられたものです。高校で受けた日本史、中国史、西洋史を思い起こさせるような授業を心掛けるうちに、自分は学生たちに読書案内を含め、「歴史とは何か」を語りたいんだということに気づかれたそうです。

 アリストテレスや孔子、司馬遷、吉田松陰など、歴史哲学に関する古典の中から哲人たちの意見を拾い集め、そのひとつひとつを深く思索し、歴史というものについて考察した百科事典のような1冊。

2014年11月04日

雑誌あげます会

 先週土曜日、読書週間のイベントの一つ『雑誌あげます会』を開催しました。

          dsi1410.jpg

 本の紹介雑誌『ダ・ヴィンチ』、科学雑誌『Newton』『子どもの科学』、スポーツ雑誌『Number』のバックナンバーです。
 終礼後にかけつけて狙っていた号を手にした人もいて、たくさんの雑誌が欲しい人の手に渡ったようでよかったです。
 残った分は、しばらく展示しておきますので、当日来られなかった人は又見に来てください。

dsi1412.jpg  dsi1413.jpg

 * ポスターは希望者が多く、後日厳正なる抽選を行います!