立てば芍薬
ずっと桜の話題だったので、他の花のお話しも…。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」。最近は余り使われなくなりましたが、美人を例える常套句ですね。確かにこれらの花の姿は、大変美しいものです。とりわけ、牡丹は中国では「花王」と呼ばれ、唐代以後、多くの漢詩に詠まれています。また、池田市の木部町は、江戸時代以来の日本最大の牡丹栽培地でした。百合は、何となくエキゾチックなイメージがありますが、西洋で百合の栽培ブームが起こるのは、実は江戸時代中頃に、長崎の出島を経てヨーロッパに日本の鹿の子百合などが伝わってからなのです。
でも、これらの花は、その美しさだけで人々にたたえられ、今日まで栽培されてきたわけではありません。芍薬も牡丹もその根は漢方薬の薬種として用いられます。百合はその根を食用にします。茶碗蒸しに百合根は付きものだったのですが、最近はなかなか入っていませんね。これらの植物は、見かけの美しさだけではなく、その他の役にも立っているのです。また、見かけがきれいでも、毒があったり、人間がけがをする植物もあります。「きれいな薔薇には刺がある」ですね。いっぽう、見かけはさえなくても、食べてみるとすごくおいしかったり、いい香りがしたりするものもあります。ジャガイモなどは、南米からヨーロッパへ伝わった当時は、「悪魔の植物」と呼ばれ、嫌われていました。でも、飢饉を救ったことにより、急速に栽培が広がりました。
人間も同じことです。当然のことですが、我々教員は、生徒の見かけの姿だけを見ているのではありません。もちろん、服装や頭髪が校則に違反している人は厳しく指導しますが、それはその生徒の内面をよく見ているからこそ、外見で自己主張することが、かえって内面の良さを隠してしまっていることが残念でならないからです。自分の心の素顔の美しさに気付いてほしい。そう願っているのです。
今日で一週間が終わりました。新年度の全ての授業を体験し、生徒達はいろいろな思いを持っていることと思います。月曜日には、また新しい一週間が始まります。前を向いて、しっかりと自分のやるべきことを見つめ、取り組んで下さい。
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