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思考の整理学

 2009年に東大、京大それぞれの大学内にある書店で一番売れた本が 思考の整理学/外山滋比古(筑摩書房) だからといって難解な内容ではありません

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 25年以上前に出版された本ですが、ある書店員さんの書いた「もっと若い時に読んでいれば」という書き出しのPOPも話題になり、たくさんの人たちが手に取ったようです。物事を考える時、思いついた考えやアイデアをどんな風に、扱えばいいかのヒントがたくさん書かれています

 例えば、書くときは黙って書いて読み返すときは音読する。声は目だけで見つけることのできない文章の穴を発見するから
 感情的になって書いた夜の手紙は、朝読むとギョッとすることがある。朝と夜とでは、同じ人間でありながら人が違っている。勉強も同じで、前日の夜ちっとも解けなかった問題が、翌朝するする解けることもある
 「あとで~する」の「あとで」は、やってこない。忘れるわけではなく覚えているんだけれど、やってこない。なので、やらなければいけない事(思考ではなく、記事のスクラップなどの作業)は思いついた時にやってしまった方がいい
 授業中についつい脱線してしった先生の話、本来の目的からそれてしまっていても、その授業とは直接関係がない別の新しい何かを発見するかもしれない(先生も生徒も) それも、立派なセレンディピティである
 
 などなど。他にも具体的なメモの取り方も書かれています。中学生にはちょっと難しいかもしれませんが、これから論文やレポートを書く機会の増える高校生、大学生にはお勧めだと思います

 最後にセレンディピティのおもしろい由来。古いイギリスの童話「セイロンの三王子」からきています。この三王子、よく物を失くして探し物をするのですが、狙うものはいっこうに探し出さないのに全く予期していないものを掘り出す名人だったそうです。当時、セイロン(現・スリランカ)はセレンディップと呼ばれていて、そこからセレンディピティ(serendipity =セイロン性)という言葉がつくられ、目的としていなかった副次的に得られる研究結果の事をセレンディピティと呼ぶようになったそうです