加速する生物の絶滅
今年は生物多様性年にあたっており、日本で国際会議が開催されていますが、現在多くの生物が絶滅の危機に遭遇しています。
地球が誕生して46億年、生物が現れてから38億年になりますが、これまでに全生物種の大半が絶滅するという「大絶滅期」を何回か経験しています。このうちの代表的なものは今から約6,500万年前(白亜期)に起きた恐竜の絶滅です。この時には巨大隕石の衝突によって、地球上の全生物の約75%が絶滅したと言われています。ところが現在起きている絶滅は、この「大絶滅」をはるかに上回るスピードなのです。
恐竜時代以降、1年間に絶滅した種の数を調べてみると、恐竜時代は1年間に0.001種(1000年に1種)、1万年前には0.01種(100年に1種)、1000年前には0.1種(10年に1種)、100年前からは1年間に1種の割合で生物が絶滅してきています。このように絶滅のスピードはますます加速されてきており、現在では1日に約100種が絶滅しています。これは1年間で実に約4万種がこの地球上から姿を消しているということになります。驚くべきことに、たった100年で約4万倍以上のスピードになっているのです。そして、なおそのスピードは加速を続け、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまうという計算になります。 「種」とは、生物分類の基本的単位のことで、この「種」が絶滅するということは、〝その種類の生き物がこの地球上から一匹もいなくなる〟ということです。
自然界では絶えず競争が繰り返されており、生物どうしの争いに破れて滅びた種もたくさんいます。ところが現在問題になっている絶滅は、自然界で起こる絶滅とは根本的に異なっており、私達人間が絶滅させているということなのです。100年前までの絶滅の主な理由は、人間による乱獲でしたが、今は環境破壊が原因になっています。全人類が地球環境を守るという意識を持たないと多くの生物が絶滅し、やがては人間も絶滅することになることを認識しておかなくてはならないと思います。