北極の氷が減少すると南極の氷が増える
一段と季節が進んだような暖かい一日でした。この冬は例年にない寒い冬だったのが、嘘のような急激な気温の変動です。地球温暖化が進んでいるといわれているのに、寒い冬とはどうなっているのかと思われます。が、北半球の猛烈な寒波や記録的な大雪の原因は、北極海氷の急速な減少にあるとする研究結果が公表されています。
それによりますと、北極海氷が大きく減少すると大気循環に変化が起こります。その影響で、北極周辺から南に移動する寒気団が勢力を増し、範囲も南に拡大します。さらに、海氷が融解して海水面積が広がると、より多くの水蒸気が大気中に放出されるようになり、水蒸気が広範囲に拡大した寒気によって冷やされ、地上に大量の雪が降るようになるというのです。北極の海氷が減少することにより、日本の冬が寒くなるという何とも不思議な現象です。
また、過去30年間の衛星データから、北極海で氷が減少する一方、南極海の氷はなぜか拡大を続けていることが判明しています。北半球と南半球では季節が逆だからということではありません。このパラドックスは何故起こるのかというと、これも温暖化が原因のようです。長期的な海水温の上昇によって、南極上層の大気に水蒸気が多く含まれるようになります。この水分が地表に降りてくると雪になり、降雪量が増加し南極海の氷が成長するというのです。北極の氷の減少の原因が、南極海の氷の成長と関係があるということになります。
一見矛盾するような現象が、根は同じということがよくあります。「なぜ?」、「どうしてそうなるの?」これを追求する姿勢を忘れないようにしたいものです。