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書いたままになっていた学年通信から

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fig2009_01_06.jpg 本著は,自称サル学者の正高信男氏が,ケータイ世代の行動,特に女子中高生のルーズソックスや靴のかかとを踏みつぶし歩く行動などを目の当たりにし,「異人種というか,まるで珍種のサルを見ているような・・・」と電車の中で一人つぶやいたところからまとめあげたものである。既に読まれた方は多いと思うが,少し現状を説明したい。

 日本青少年研究所が調査したもの(2008年4月8日公表)によると,日本の高校生の96.5%がケータイをもっているようだ。また,同時に調査した米中韓の結果では,韓国86.1%,米国79.6%,中国63.4%だったそうである。意外にも,日本の方がITが進んだアメリカや韓国より高くなっている。なぜ?
 よくよく調べてみると,海の向こうの携帯に対する考え方は我々とはだいぶ違う。

 その1 使い方が違う
 携帯はメールやブログをするための端末ではなく,あくまで会話,通話目的で使うもの,メールやブログはパソコンでやるもの,というのが一般的な考え方。
 実際,上と同じ調査で,「パソコンをもっている」という質問に対しては,日本21.0%、米国60.7%、中国43.3%、韓国41.2%であった。明らかに,携帯とパソコンを使い分けていることが伺える。

 その2 親が買い与えない。
 携帯を買うと,その通話料金は親が払うことになる。何で子供の通話料を,使ってもいない親が払わなきゃいけないのか?というのが一般的な考え方らしい。
 ところで,日本では高校入学と同時に所持率がぐんと上がる。理由の多くは「安全確認のため」親が子に買い与えるケースが多い。中学生までは届く親の目が,高校生では届かないから,例えば,帰りが遅い時にかけて居場所を確認するために持たせる。そのときの通話料は,同じキャリア同士なら今や無料だけれど,それ以外の通信料も安心料として支払う。

 その3 ネットは大人がするもの
 海の向こうではインターネットは社会的責任を負う成人が使うメディアであって,未成年者が何の制限もなく自由に閲覧してはいけないもの,と考えられている。だから,インターネット機能の付いた携帯を持たせるなんてもってのほかである。
 ところが,日本の子どもの67.8%は,ネットを使って一日に10回以上メールをし,71%が携帯から出会い系サイトにアクセスしている。いかに簡単にアクセスしていることか。そして,余りに無防備で,出会い系サイトの被害者の86%が女子中高校生なのだ。

 その4 話せばわかる
 相手の気持ちは,画面の文字からだけでは正確に汲み取れるわけがない,直接会って,話をして,とにかく,相手の表情と声を聞かないと伝わらない,という。メール文だけでは信用できないと踏む。顔文字や(笑)が相手の気持ちを代弁しているなんて全然思わない。

 まだまだ他にもあるが,いろいろ比較してみて,やはり,携帯は無頓着に子供に持たせる機器ではないと言える。今となっては遅いが,その昔,電話が家の代表であったように,携帯も慎重に導入すべきだったのだろう。