進路の部屋
【One Day College④】心理学のウソ・ホント
2026/07/23
講座レポート:「心理学のウソ・ホント」(神戸大学 野口 泰基 先生)

「心理学」と聞くと、なんとなく人の心を読み解く学問というイメージを抱きがちですが、実際には物理学が外的世界の法則を探るように、心理学もまた「心の法則」を探る、れっきとした学問である——野口先生の講座は、そんな心理学の輪郭を丁寧に描き直すところから始まりました。
「心理学」は一つではない
神戸大学文学部には15の専修があり、心理学専修はその一つ。
しかし一口に心理学と言っても、認知心理学・社会心理学・教育心理学・発達心理学・臨床心理学など、対象も方法もまったく異なる分野が枝分かれしていることが紹介されました。
生徒たちは、自分がイメージしていた「心理学」がそのうちのごく一部に過ぎなかったことに気づかされたのではないでしょうか。
錯覚から実験まで、体感する心理学
講座では、カラー画像を見た直後に白黒画像を見ると実際には存在しない色を感じてしまう、という知覚の錯覚が紹介され、私たちが「今目の前にあるものをそのまま見ている」わけではないことが示されました。
さらに社会心理学のパートでは、教室を半分に分けて実際に印象形成の実験を体験するという場面も。
同じ性格リストを見せられても、どの特性に注目するかによって抱く印象がまったく変わってしまうという「中心特性」の話は、生徒にとって身近で驚きのある発見だったはずです。
「伝わる話し方」のヒントも
教育心理学の視点からは、結論を先に述べる「トップダウン型」の説明の方が、聞き手にとって理解しやすいという話も紹介されました。人に自分の考えを伝える際の実践的なヒントとして、多くの生徒の心に残ったのではないでしょうか。
学部名に惑わされないために
講座の終盤では、大学選びに関する率直なアドバイスも語られました。神戸大学の場合、実験的・科学的な心理学は文学部に、臨床心理学は国際人間科学部の発達コミュニティ学科に置かれており、学部名だけで進路を判断することの危うさが指摘されました。「学部の名前に惑わされないように」という先生の言葉は、進路選びを控えた生徒たちへの実践的なメッセージとして響いたことでしょう。
心理学という学問の広がりと奥行きを知ると同時に、大学選びは名前ではなく中身で見極めるべきだという視点を得られた、実り多い講座だったのではないでしょうか。
