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学校だより

こんな本、読んだ⑯ ~2020年Myチャンプ本~

2020/12/25

図書室から

皆さん、今年読んだ中で最も心に残った本は何ですか。かけがえのない一冊に巡り会うことができましたか。私はできました。2020年、私のMyチャンプ本を紹介します。

悲しみの秘義  / 若松英輔 (文春文庫)

悲しいことは、誰だって出来ることなら経験したくありません。今年は新型コロナウイルスの影響で、悲しみに支配されそうになった人もいるでしょう。でも、作者の若松英輔さんはこう綴ります。

「人生には悲しみを通じてしか開かない扉がある」

大切な人を失ったり、戦争や災害を経験したり、人は生きていく中でどうにもできない悲しみを抱えてしまうことがあります。誰とも分かち合うことのできない悲しみを心の中にもっている人がいます。でもそんな悲しみを生きる人こそ、新たな生の入り口に立っている。新しい「わたし」を発見して、他者と分かち合う強度を身につけることができると作者は言います。タイトルの秘義とは、奥深く秘められた教えのことです。たしかに心の奥深くに響くものがありました。

宮沢賢治、小林秀雄、須賀敦子などの詩や文章も多く引用されており、本を読む愉しさに浸れる一冊です。読了が近づくにつれて、「読み終わりたくない…この本をいつまでも読んでいたい」という気持ちがこみ上げてきました。

なお、目を引く色鮮やかな表紙は、刺繍作家の沖潤子さんによる作品です。

中高生のときに読んだ本というのは、一生心に残っていくものです。悲しみやつらさ、どうにもできない悩みや、もちろん喜びも、そうしたもの全部を含めて、読書の経験は人生を豊かにしてくれます。読んで、読んで、これでもかと読んで、まるごと自分が変わってしまうような一冊と出会ってください。

(国語科・図書主事 岩瀬)

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