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2012年08月03日

セミ

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                 校舎前のメタセコイアで鳴くアブラゼミ
 毎日暑い日が続いています。朝から「シャンシャン、シャンシャン、シャンシャン」とクマゼミの大合唱。長い地中での生活に比べるとほんの一瞬の地上生活。必死なのはわかりますが、この鳴き声を聞くと一層暑く感じます。同じセミでも「カナカナカナ」と鳴くヒグラシは、夏も終わりに近く秋の訪れを感じさせ、何とも趣があって私は好きです。子どもの頃は、セミといえば羽根の茶色いアブラゼミが多く、ツクツクボウシやクマゼミのように羽根が透き通ったセミは珍しかったように記憶しています。ところが、最近ではアブラゼミが減り、クマゼミが増えているとのこと。地球温暖化とヒートアイランド現象に伴って生息域が北に広がっているとの説もあります。
 セミには、北限があって英国やドイツではあまり鳴いていません。イソップ物語の「アリとキリギリス」の話も、元は「アリとセミ」だったそうです。ギリシャなど地中海沿岸部にはセミが生息していても、ヨーロッパ北部にはなじみがないので、英語やドイツ語に翻訳された時、「アリとキリギリス」に変わったと言われています。南仏プロバンスのお土産にセミに関連するものが多いのも、ドイツやパリではセミが珍しいからだそうです。
 地球温暖化により生態系に変化が表れてきています。今まで見られなかった珍しいものが見られるようになったと喜んではいられません。プロバンスのお土産に、いつまでもセミが重宝がられるようであって欲しいと願います。

2012年07月19日

中学2年生環境講座

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 中学2年生が、林間学舎に向けての事前学習として、サントリー水科学研究所の水間さんに講師をお願いして、環境講座を行いました。
 林間学舎の柱は大山登山です。全員が頂上を目指して登ります。もう一つの柱が「森と水」について学習する環境教育です。大山のある地域は天然のブナ林があるところでも有名です。また、大山は「雲をつくる山」ともいわれ、雪や雨が豊富なところです。ブナ林と雨、そこから天然の良い水が湧き出ます。水を大切にするということは森を大切にするということになります。また、森を豊かにすることは海を豊かにすることになるといわれています。これらの学習や植林を現地の「サントリー天然水奥大山ブナの森工場」で行います。先輩たちが行ってきた植林が、どのようになっているかも楽しみです。ちょうど、高校2年生の修学旅行で実施している「感響プログラム」から北海道占冠町に「雲雀丘の森」が誕生したように、大山にも「雲雀丘の森」ができるほどに成長していてほしいと願っています。「天然水の森」の管理計画等、鳥取大学農学部と共同で進めておられるとのことですが、本校もこの夏、「サイエンスキャンプIn 鳥取大学」と称して、中学3年生・高校1年生の有志が2泊3日の日程で研究活動に参加させていただくことになりました。これも大山が取り持つ縁だと感謝しています。
 お陰様で、「人間教育」の柱として実施している「学び・考え・行動する」環境教育もシッカリ根付いてきました。これらの活動の中から、自分の行動が他人や社会にどう繋がっているのか、どのような影響を与えるのかを考えられる生徒になってくれると信じています。

2012年06月26日

ロンサム・ジョージ逝く

 ガラパゴスゾウガメの亜種ピンタゾウガメの最後の生き残りといわれていたカメが死にました。「ロンサム(孤独な)・ジョージ」と呼ばれ絶滅危惧種の世界的象徴としての存在でした。推定100歳以上のオスということです。日本にもアマミノクロウサギ、沖縄の森林にすむヤンバルクイナやツキノワグマなど沢山の絶滅危惧種がいます。すでに絶滅したとされているものも沢山います。ニホンオオカミやエゾオオカミがそうです。先日の修学旅行で訪れた旭山動物園にはオオカミの森があります。楽しみにしていたのですが、子どもが生まれ育児中とのことで、残念ながら見学することはできませんでしたが、そこの説明によりますと、100年前には北海道にエゾオオカミが生息していたというのです。エゾシカなどを獲物として、アイヌの人たちと自然を共生していくルールを守り共存していたといわれています。それが、入植者の森の開拓と共にエゾシカの乱獲などによって、食料の少なくなったオオカミが家畜などを襲うようになり、そのために大量に駆除され、ついには絶滅してしまったそうなのです。今、旭山動物園にいるオオカミはシンリンオオカミですが、北海道にオオカミがいた頃の様子を再現するものとして、この森がつくられています。エゾオオカミが絶滅したことにより、天敵がいなくなったエゾシカが大量に増え、農林業や農作物の被害が発生し、エゾシカの駆除が大きな課題になっているという何とも皮肉な結果になっています。ピンタゾウガメが絶滅した背景にも、きっと悲しい物語があったに違いありません。
 自然の一部を構成する人間は、自然に働きかけ、自然を変化させることによって富を得る存在です。だからこそ、自然との共生・共存が大切なのです。

2012年06月21日

感響プログラム「源流から海へ」の報告を受けて

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      鵡川の位置(北海道開発局HPより)
 本校の修学旅行の柱として「感響プログラム」と称する環境教育の取り組みがあります。毎年継続的に行われているものがほとんどですが、今年初めて加わったものに「源流から海へ」のコースがあります。このコースは、鵡川の源流から太平洋までの約135kmにわたって、水や植生、ヤマメやシシャモなどについて学習します。
 上流域では、河川の始まりとなる水の湧出を見たり、試飲するなどの体験。中流域ではヤマメの放流。ヤマメはサケ科に属する魚で、私たちがよく目にするのは、山間部の清流に生息している姿ですが、北海道のように緯度の高いところでは、海に下って回遊し産卵期に川を遡上する降海型が多いということ。そして、このヤマメをサクラマスと呼ぶという事などを教わったそうです。下流域では「鵡川シシャモ」に関する説明を受け、普段私たちが食べているシシャモは「カラフトシシャモ(カペリン)」であるということ。本物のシシャモは北海道南部でしかとれない貴重なものであるということを学習したそうです。勿論、学習だけでなく、ヤマメやシシャモを食べるという体験学習もしたそうです。流域を見学した後、班ごとにディスカッションやプレゼンを行ったというのがこのコースの内容です。
私たちも、このコースのお土産として本物のシシャモをいただきましたが、日頃食べているものとは全く別物でした。子持ちシシャモが美味しいと思っていましたが、雄のシシャモの方が脂ものって美味しいという新しい発見もありました。
 コースに同行した本校の地理の教員から「行政・地域住民それぞれの視点から鵡川を捉えた上で、生徒たちに自ら考えさせること」の必要性と「大自然の中でしか見られないもの、北海道でしか見られないものが多く、生徒にとって有意義なコースであった」との報告を受けています。課題もありますが、検討して来年度に生かしていきたいと考えています。

2012年06月09日

第5回環境フォーラム

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        あいさつ                       環境活動の発表
 
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       生徒による寸劇                  神田紫氏による講演                  

 第5回環境フォーラムを実施しました。第1部生徒発表は中3「地球温暖化の影響とその対策とは?」、中2「きずきの森保全活動」、「黒豆作り体験から」、中2・中3「エコ弁当」、生徒会「生徒会環境活動のこれまでとこれから」の5本の発表がありました。いずれも、素晴らしいものでした。
 中学3年生は、さすがに最上級生だけあり、発表の内容も良く掘り下げられており、まとめ方など立派なものでした。来年の発表に向けて、2年生や1年生に良い目標を示してくれました。
 中学2年生も課題の本質をうまく捉えて、寸劇で発表するなど大変よく工夫されていました。今回発表された内容は、昨年度実施した活動の報告です。これを受けて、今年度はさらにすばらしい実践や研究発表が出てくる予感をさせるようなものでした。
 第2部は基調講演として環境講談「もったいない善兵衛」を講談師の神田紫さんにお願いしました。江戸時代の庶民の生活の中に、ケニアの元環境副大臣ワンガリ・マータイさんの「もったいない運動」の精神を盛り込んだ創作講談の熱演でした。
 本校の環境教育は、学校の重要な課題として位置づけて取り組みだして5年目になります。生徒たちによる運営も板に付いてきました。着実に根付いているという実感がもてるようになりました。「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ことになるとして「人間教育」の大きな柱としても位置づけています。自分たちのした事、また、しようとしている事が、他にどのような影響を与えるか。そこまで見通して行動できる生徒になってほしいと考えています。

2012年05月11日

海洋大循環

 関東地方は、先日の竜巻に続き突風、雹、雷や雨など大荒れの天気が続いています。異常気象の様相です。
 国立極地研究所などの調査によると、南極大陸周辺の海氷の生産量が大幅に低下しているそうです。南極大陸のメルツ氷河から海岸線を超えて突き出した氷舌に、巨大氷山が衝突し大陸から分離したのが、原因と考えられているようです。
 海氷が生産されると、海水から水分が氷になるので塩分濃度が高くなり、周辺の海水が重くなり「沈み込み」が起こるそうです。このことにより、海洋循環が起こり海流を発生し、南北の気候の差を緩和する働きをしているそうです。この海氷の生産が減少すると、大きな気候変動が起こる恐れがあるとされています。この海氷減少傾向は50年続くといわれています。海水の「沈み込み」は、地球上でもう一カ所、北大西洋で起こるそうです。
 竜巻や突風、雷や突然の雨など、今起こっていることとの関連は分かりません。しかし、地球の大きさと比べれば非常に小さな氷河の氷舌が、地球の約7割を占める海の海流や地球全体の気候にも影響を与えるとは驚きです。また、同じ北極圏にありながら、北太平洋で起こらなくて、北大西洋で起こるのも、ほんのわずかな塩分濃度の違いだそうです。
 遠く離れたところで起こったこと、一見関連性がないと思われるようなことも、実は関連しています。取るに足らないと思われる小さなことも、地球のような大きなものにまで影響を与えます。さて、取るに足らないどのような小さな行動を、私たちは起こしましょうか。

2012年05月04日

太陽に異変が?

 東日本大震災から1年2ヶ月が経っていますが、未だに33万人以上(24/1/18対策本部事務局調査)の方が避難生活を強いられています。気象庁は、「北日本太平洋側では3日夜から激しい雨が降り、東日本大震災の被災地でも記録的な雨量となった地点があった」と報じています。土砂災害などが心配されます。

 今年のゴールデンウィークはすっきりしない日が多く、天候が不順なように思います。先日、国立天文台が「太陽活動、長期低下の兆候か=北極のみ磁場反転ー衛星『ひので』で観測」と発表しました。太陽には地球と同じく磁場があり、約11年周期で反転するするそうです。ところが、今回の観測で、北極だけがS極からN極に反転するというのです。ということは、南北両極が同じN極になり、赤道付近がS極になる、ちょうど太陽の中に2本の棒磁石が入ったようになるそうです。太陽圏の磁場は、宇宙から飛んでくる放射線から地球を防護する役割を果たしているといわれます。当然、磁場が弱まれば放射線の量が増えることになります。これらの太陽の活動は、地球の平均気温にも影響を与えます。過去にも何度となく寒冷化をもたらした、といわれています。

 人間の経済活動の中で、二酸化炭素の排出量が増え温暖化が加速しているといわれています。その為に世界中で対応策が検討されています。もしかすると、人間の活動をあざ笑うかのごとく、もっと大きな力で、寒冷化を進める力が働いているのかもしれません。不順な天候が、その前兆でなければ良いのですが。

2012年05月03日

2012年は面白い?

 今年も、アメリカのワシントンのポトマック川沿いの桜が満開だったそうです。この桜は、当時の東京市長尾崎行雄氏が送ったとされる桜です。今年で100周年になります。それを記念して、オバマ大統領が東日本大震災の被災地などにハナミズキを寄贈されることになったそうです。ハナミズキの花言葉は「返礼」だそうです。100年前というと、1912年4月14日深夜、ニューヨークに向かう世界最新鋭の豪華客船タイタニック号が氷山にぶつかり沈没しました。同じく100年前のできごとです。

 2012年はこれらの節目の年だけではありません。5月21日はご存知のように東京や大阪で金環日食が観測できるのです。なんと、江戸時代の1839年以来173年ぶりだそうです。実はこれだけではありません、6月4日には部分月食、6月6日には世紀の天文現象といわれている金星の日面通過がみられるそうです。日面通過とは金星が太陽面を通過していくことで、6時間以上かけてゆっくり通過するそうです。これが、日本で観測することができるというのです。次回みられるのは2117年12月11日だというのです。何と105年後ですね。ということは、今年見逃すと、ほとんどの人が次回見ることができないということになります。そういうことで、今年は天文現象のビッグイベントがいくつもあるという面白い年なのです。

 今日は5月3日憲法記念日です。憲法施行から65年になります。ゴールデンウィーク後半の4連休、日本国憲法について考えると同時に、これらの天文現象についても親子で調べてみてはいかがでしょうか。共育・共学・共成です。

2012年04月27日

通勤途上のチョットした光景

 本校には、100名を超える教職員がいます。この教職員が教科指導、施設設備の維持管理、事務作業やクラブ活動など日々の学校生活を支えています。これだけ多くの教職員がいますので、生徒も顔と名前を覚えるのは大変だと思います。学校以外のところですれ違っても、気づかないことがあると思います。
 JR川西池田駅から国道176号線沿いの道を、宝塚方面に向かって、手に白いビニール袋を持ち、ゴミを拾いながら通勤している人がいます。あれ?本校の教員です。話を聞いてみると、誰かに言われたのでもなく、生徒の見本となる行動をしようとか、また、町をきれいにしようという「大きな志」を持って始めたのでもないそうです。何気ない気持ちで、落ちているゴミを拾いだしたそうです。ところが、始めて見るとゴミが気になりだし、つい拾ってしまうというのです。習慣になったようです。習慣づけようと努力しないとつかないものもありますが、ごく自然に習慣化するものもあるようです。私が見かけるずっと以前から始めたというので、かなり長期間続いていることになります。
 通勤途上のわずか10数分間の出来事です。すれ違う人や出会う人は、そんなに多くないかもしれません。人目を引く派手な行動でもないので、見過ごされてしまうかもしれません。本校の教職員や生徒も、この光景に出会う人は少ないかもしれません。中には、本校の教員だとは知らない生徒もいるかもしれません。当の本人はお構いなしです。しかし、この光景を見た人の胸には、何かあたたかいものが残るのではないでしょうか。あれこれ講釈はいらないと思います。

2012年04月06日

立派な節を

 入学式、始業式が近づいてきました。準備に追われ、忙しいなかにも新年度を迎える緊張と期待が高まってきています。

 年度の変わり目などの時に節目という言葉がよく使われます。節目と言えば竹の節をすぐに思い出します。竹は節目では伸びが遅くなります。それは節を作っているからです。節が出来上がるとすくすくと伸びていきます。木にも年輪があります。日本のように四季がはっきりしているところで育つ木は年輪がはっきりしています。それは、春から夏にかけてはよく成長し、秋から冬にかけては成長が遅いように、成長が一様ではないからです。抑揚がついているというか、メリハリが利いているからできるのです。成長が著しいところに目がいきがちですが、実は成長が止まっているように見えたり、ゆっくりしているように見えてもその時期が節目を作る重要な役割を果たしているのです。こうやってできた節目や木目は美しさと同時に強度にも影響を与えます。人の生き方や人生にも例えられる所以です。

 節目がしっかりした竹はよく伸びると言われます。新入生は言うに及ばず、在校生もどんな立派な節を作って新年度を迎えてくれるのか楽しみです。

2012年04月05日

校内で見つけた小さなボランティア

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 新年度に向けいろいろな準備を行っていますが、図書室も生徒たちに使いやすいようにと、図書館システムの更新とカウンター周りの改修を行っています。その様子を見に行くと、数名の生徒たちが図書館司書の先生と一緒になって、本棚や本を移動させていました。てっきり、図書委員か係の仕事として割り当てられた生徒が手伝っているのだと思っていました。ところが、聞いてみると、そうではなく自分たちからすすんで手伝いをしてくれているのだということが分かりました。春休みなのに、このために学校へ出てきて手伝ってくれているのです。うれしい話です。
 自主的に無報酬で公共に益する行為をすることをボランティアといいますが、ここで見た光景は、まさにボランティア活動です。たとえどんな小さなことでも、何か人のために役立つことをするということは大切なことだし、人の心を打つものです。私たちの知らないところで無数の小さなボランティアが行われている学園であることを期待しています。

2012年02月16日

注目すべき新エネルギー~メタンハイドレート

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メタンハイドレート
  我々日本人がしっかりと認識しておかなければならないのは、食料とエネルギーです。これまで何回かにわたって取り上げてきていますが、食料の自給率は39%、エネルギーの自給率は18%しかありません。これらは共に生活必需品であり、世界の人口が急増している中にあっては深刻な不足に陥る恐れがあります。貿易立国である日本はこれまで国際収支面での大きな黒字を確保してきました。そのため、多少国際価格が上昇しても何とかこれらを安定購入することができていました。しかし、製造業の輸出減少に伴い、貿易収支が恒常的に赤字になる危険性が出てきています。これを打破するためには従来の延長線上の考え方ではなく、全く新しい取り組みが必要になってきます。

  このような状況下にあって、昨日エネルギー資源についての新たな動きが伝えられました。これは次世代のエネルギー資源として期待されるメタンハイドレートの産出試験が始まったというものです。この産出試験が行われているのは、愛知・渥美半島の南方沖70kmの海域で、探査船「ちきゅう」によって、およそ1,000メートルの海底に4本の井戸を掘り、メタンハイドレートを分解してガスの採取を行なうことになっています。
  このメタンハイドレートは、メタンガスと水が結晶化した氷のような物質で、〝燃える氷〟と呼ばれています。日本近海にはオホーツク沖、十勝・日高沖、南海トラフ、四国沖等に大量に存在しており、国内の天然ガス消費量のおよそ100年分以上に相当する膨大な量が埋蔵されているとみられています。そのためこのメタンハイドレートを有効活用することが出来れば、日本はエネルギー資源を外国に頼らなくてよくなる日が来ると期待されています。また、世界全体のメタンハイドレード埋蔵量は原油埋蔵量の2倍とも推定されており、メタンハイドレートによる天然ガス資源量は在来型天然ガス枯渇時代の次世代を担えるだけの膨大な量にのぼるのは間違いないと考えられているのです。
  日本は国土面積においては世界で61番目ですが、まわりを海に囲まれているため、海洋面積は6番目です。この海洋こそが日本の最大の資源なのです。海洋にはまだまだ未開拓の部分が数多く残されています。メタンハイドレートを実用化するためには新しい技術改良や資金が必要ですが、世界をリードする再生エネルギーの開発に成功して欲しいと思っています。

2011年11月22日

環境学習の開催~きずきの森で学ぶ

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  11月22日(火)午後、中学1・2年生を対象に兵庫県立大学自然環境科学研究所の黒田有寿茂(あすも)先生による環境学習を開催しました。今回のテーマは〝森と里山ーきずきの森(本学園の近くにある)で学ぶ〟です。
  本校では人間力を育てるための大きな柱として、環境教育に注力しています。この基本の考え方は、単に環境に関する知識を習得するだけではなく自ら調べ考え行動するということです。
  黒田先生は最初に森の働きや常緑樹林・落葉樹林・針葉樹林などの森の多様性について触れられ、続いて人間の生活の変化によって原生林が里山に変わったこと、更に生活様式の変化によって、人間の手が入らなくなって、現在は里山放置林になっていることを説明されました。昔は燃料の主流は薪や炭でしたが、石油やガスや電気の普及によって、今はほとんど使われなくなってしまいました。そして、柴刈りや輪伐が行なわれなくなった結果、森は荒れ放題になり、里山放置林では常緑樹・ササ類・コシダ・ウラジロ・蔓植物が繁茂し、松枯れや鹿の食害が拡大しています。更に深刻なのは、絶滅の恐れのある動植物が増加し、日本の生物多様性が崩壊しつつあるとのことです。
  生徒達は来月、きずきの森で環境活動を行なうことになっています。自ら行動することによって、環境の大切さを体得して欲しいと思っています。お忙しい中、生徒達に環境についての有意義なお話をいただいた黒田先生に心より感謝申し上げます。

2011年10月31日

環境教育の今後の展開

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  10月31日(月)、サントリー・ビジネスエキスパート(株)お客様リレーション本部の坪松博之部長と来年度以降の環境教育の進め方についての話し合いを行ないました。
 本校では人間力養成の大きな柱として「環境教育」を位置づけており、同社よりさまざまな支援をいただいていますが、そのキイマンが坪松氏です。振り返ると、平成20年(2008年)の3月にサントリー(株)を訪問し、佐治社長に新年度からスタートさせる環境教育の概要について説明し、特別講座をはじめとする支援をお願いしました。その後、5月29日に環境ジャーナリストで『不都合な真実』の翻訳者である枝廣淳子氏に講演をお願いし、環境宣言を行ない、この日を本校における「環境の日」に制定しました。
  その後、「里山」「水・森林」「生物多様性」に関する環境講座や毎年の環境フォーラム、トマト栽培、地球学ファイルやTシャツの製作等幅広く支援いただき、今日に至っています。環境教育の基本の考え方は単に環境に関する知識を習得するということではなく、「学び 考え 行動する」ことにしています。既に本格的な環境教育に取り組んで4年目になりますが、お蔭さまで学校での授業や行事だけではなく、生徒会や環境大使による自主活動が活発になってきました。今の学校教育は、ともするとすべて先生が段取りをして、生徒は受け身になっていることが多いようですが、社会では自ら問題意識を持って行動していくことが大切です。
  そのため、来年度以降はこれらの自主的な活動を深堀りさせていくこと、現在、中学3年の環境大使が来年度は高校に進学するということもあって、いくつかの大学との環境学習についての連携も模索していくこと、環境教育についての体系だったパンフレットを作成し、生徒達に全体像を示していくこと。身の周りの環境をしっかり整えていくこと等の話し合いを行ないました。これから来年度に向けて、具体的な計画のつめを実施していきたいと思っています。

2011年10月28日

注目される再生可能エネルギー

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  新興国の経済発展によって、世界のエネルギー需要は年々増加してきています。そのため、これからはそれぞれの国にとってどのようにしてエネルギーを確保していくかが大きな課題になってきます。しかし、石油や石炭や天然ガスといった化石燃料は有限であり、いずれ枯渇することは目に見えています。そのため、原子力発電にシフトする動きが加速されてきましたが、東日本大震災によって、各国のエネルギー政策は大きく見直されることになりました。そして、最近では石油価格の高騰に伴い、新たなエネルギー源としてオイルシェールやオイルサンド(岩盤や砂の中に含まれている石油を取り出す)といった新たな化石燃料の活用も進んできています。しかし、これらの化石燃料については、いずれもCO2を発生させるため地球の温暖化という深刻な環境問題につながります。そのため、これからは再生可能エネルギーに注目が集まり、普及が加速してくることが予想されます。
  この再生可能エネルギーには、大きく栽培植物に由来するバイオ燃料、太陽光と太陽熱、地熱、水力、海洋エネルギー、風力の6つがありますが、この中で有望なのは風力、バイオ燃料、太陽光と太陽熱の3つです。最近、日本では太陽光発電が注目されていますが、世界の再生エネルギーの内訳は風力発電と水力発電が7割以上を占めています。
  いずれにしても、エネルギーは我々の日常生活においては不可欠です。そのためこれから再生可能エネルギーは一層注目を集めることになり、これらを生み出す産業は次世代の世界経済の主役になるのは間違いありません。資源の乏しい日本にとっては、この分野で世界をリードしていくことが大切であると思っています。

2011年10月18日

環境大使による黒豆採取

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  本校では、環境大使によるさまざまな自主活動を行なっています。この中の一つが〝黒豆栽培〟です。先週の日曜日、秋晴れのさわやかな天候の下、環境大使と有志のご家族、担当教員が篠山で黒豆の収穫を行ないました。この黒豆栽培は篠山市辻営農生産組合の組合長をされている青野さんのお力添えで実現しました。今から半年前になる4月に、本校教員のお父さんの紹介で青野さんにお会いして畑をお借りすることになったのです。その後、5月に種まきをし、雑草抜き、土寄せ、支柱立て等の農作業を行ない、やっと収穫作業にこぎつけました。
  青野さんには毎回、作業の前に生徒達に農業に関する興味深い話をしていただいています。今回のテーマは「獸害について」でした。篠山では、鹿やイノシシの害を防ぐために、柵を作りネットを張り、その外側には電気柵を張リ、イノシシの嫌がる音が出る音波発信器を取り付ける等の対策を行なっているとのことです。このように、野生動物による重大な被害を受けており、ヌートリアに餌を与えるような行為は農家から見ると非常に残念なことであるとのお話でした。。
  青野さんからは、訪問の都度、農器具をはじめ休憩のためのシートまで準備していただく等、実に細やかな気遣いをしていただいています。今年の黒豆は、豆のつく割合がとても良いそうで、たくさんの豆が枝についていますが、生育に関しては少し未熟なものもあるとのことです。また、苗付けの後すぐに鹿の被害を受けたため、全体の高さが低いとのことでした。獣害については、これまでも機会のある毎にお話を聞いてきましたが、実際に畑を転々と横断するイノシシの足跡や、鼻で掘り返した跡、鹿が食べてしまって地面に散乱している豆のサヤなどを目の当たりにして、生徒達もその問題の大きさを実感したようです。
  収穫の後、畑の水溝の整備をし、青野さんが用意してくださったお鍋をお借りして、採れたての豆を茹でてアツアツの黒豆をいただきました。そして、帰りには収穫した黒豆を1kgずつお土産にいただきました。この活動を通じて生徒達も農業の難しさや楽しさを体験したのではないかと思います。青野さんのご厚意に心より感謝申し上げます。


2011年10月17日

人口爆発のもたらすもの

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  これまでグローバル化や世界経済の多極化ということを何度も取り上げてきましたが、この根底にあるのは人口問題です。現在の世界の人口は既に69億人を超え70億人に近づいており、2012年には70億人の大台を突破するのは確実です。この人口の推移を見ると200年間に約6倍、100年間に約4倍になっているのです。これを10億人単位の到達年を見ていくと次の通りになります。
  ●1802年・・・10億人    (  )は人口が10億人増えるまでの年数
  ●1927年・・・20億人 (125年)   
  ●1960年・・・30億人 ( 33年)
  ●1974年・・・40億人 ( 14年)
  ●1987年・・・50億人 ( 13年)
  ●1999年・・・60億人 ( 12年)
  ●2012年・・・70億人 ( 11年)
    * 参考までに 1900年・・・17億人

  これから2050年にかけて、人口増加のスピードは減速していきますが、それでも40年足らずの間に世界の人口は途上国を中心として更に20億人増加することになります。そして、これらの人達が豊かな生活を求めていくのは当然です。振り返ってみると、20世紀は大量生産、大量消費、大量廃棄という経済モデルが確立された時代であり、これまで何億年、何千万年もかかって蓄積されてきた貴重な資源の大半をすべてこの100年間余で費消してしまいました。冷静に考えれば、このような生活パターンがいつまでも持続できるはずがありません。そして、食料・水・エネルギー・資源等の不足が深刻化してくることは避けられないでしょう。しかし、あまりにもこのことを身近な課題としてとらえている人は多くないようです。これらの時代は限りある資源を大切にし、いかに効率的に使っていくかを真剣に考えることが必要であると思っています。

2011年10月06日

雨水タンクの設置

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  本校では、将来社会を担うリーダーの育成を目指し、「人間教育」と「学力の向上」を教育方針に掲げており、この「人間力を高める」ための柱として、これまで環境教育に注力してきました。
  環境教育の狙いは「環境に配慮することにより、人間に対する優しさや真心を育てる」ということです。これの実現のために段階目標として、「①関心、②理解、③行動」の3つ、わかりやすく言えば、「学び・調べ・考え・行動する」ということを掲げています。そして、学年・教科・生徒会・環境大使を中心に、実際に「知る・気づく」「親しむ・体験する」「行動する」ことを様々な場面で体現し、更にこれらを「伝える」ことによって、環境活動の輪を広げてきています。特に、環境大使と生徒会は「伝える」中心的存在として、これまで様々な視点から環境活動を全校生徒へ提案し、大きな成果をあげてきました。
  この環境教育の一環として、本校では雨水の利用にも積極的に取り組んでいます。まず、平成22年に完成した新校舎には雨水を利用した屋上緑化給水システムを設置しました。続いて、本年度からは、グラウンドへ続く生徒専用地下通路の入口部分に新たに雨水タンクを設置し、より多くの生徒が雨水利用について具体的に考え、知る機会を増やしてきました。更に、今年8月、大阪で開催された『第4回雨水ネットワーク会議全国大会』において、本校の環境大使のメンバーが、一般企業に混じって、本校での雨水利用の取り組みについて発表し、来場された多くの方に感動を与えました。そして、この大会の参加企業の1社である(株)パナソニック電工様から、本校の環境教育に役立つのではないかと提案をいただき、同社の雨水貯水タンク「レインセラー」2台を、生徒会役員が中心となって、食堂南側の花壇に設置しました。この場所は、生徒にとってもよく目につく所です。
  21世紀は「水の時代」と言われるように、地球規模で水不足が深刻化することが予想されます。これらの取り組みを通じて、生徒達が水の大切さを実感して欲しいと思っています。

  なお、この内容は(株)パナソニック電工様のホームページにも掲載されていますので、参照ください。。
 
     http://sumai.panasonic.jp/amatoi/raincellar/jirei.html

2011年09月29日

「勿体ないの心」をとり戻す

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  先日、ケニアの元環境副大臣で、2004年にノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんが亡くなられたという悲しい知らせが届きました。彼女は1980年代から90年代にかけてケニアでの森林伐採に反対する運動を行なって、国際的にも名前が知られるようになりました。その後、 2005年の3月に「もったいない」という日本語を国連の『女性の地位委員会の閣僚級会議』で環境保全の合言葉として紹介し、〝限りある資源を有効に使い、みんなで公平に分担すべきだ。そうすれば、資源をめぐる争いである戦争は起きない〟と主張したのです。
  その中で、マータイ氏は「勿体ない」という言葉は「Reduce(減らす)」「Reuse(再使用する)」「Recycle(再利用する)」「Repair(修理する)」という4つのRを包含する日本語独自のものであり、これに当てはまる英語やフランス語やロシア語等、外国語の訳語がないと解説しました。この会議を機に「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉が世界に広がったのです。このように、勿体ないという言葉は尊いものや価値のあるものが、本来のあるべき姿から離れて、粗末に扱われたり、能力が発揮されないことを嘆く気持ちを表しています。
  かつて日本人は日常生活において、常に「勿体ない」と言いながら物を大切に扱い、資源の消費を再利用し、修理をしながら使うことを美徳としてきました。しかし、この「感謝」と「自戒」を示す言葉として用いてきた『勿体ない』という言葉が、経済発展と共に死語となりつつあります。私たちの周りを見ても、食べ物を残す、電気をつけたままにする、水道水を流し放す、まだ着られる服や品物を粗末にする、という無駄があまりにも多いように感じます。
  これから、ますます世界人口が増え、食料、水、エネルギー、さまざまな資源が不足してくることになります。今こそ、日本の素晴らしい伝統である『勿体ないの心』を取り戻し、世界に向って発信していきたいものです。

2011年09月27日

石油に代わるオイル

H23.9.23_2.jpg %E8%97%BB%E3%80%80%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB4.ss.jpg                      ≪クルード・オイル≫           ≪筑波大学が発表した藻≫
  
  20世紀は石油の時代と呼ばれ、石油は工業化の進展に大きな役割を果してきました。そして、石油なしには現在の便利で快適な近代社会が成り立たなくなっています。しかし、化石燃料である石油は有限であり、いずれ枯渇することは避けられません。そのため、石油に代わる代替エネルギーの開発が加速されてきていますが、近年、注目を集めているのが、藻から石油を抽出する技術であり、日本やアメリカをはじめ世界各国でさまざまな取り組みが始まっています。最初に石油に代わる物質として、注目されたのはトウモロコシやサトウキビなどの植物でした。これらの植物は石油と同等の物質をつくるのではなく、光合成でつくった糖を脂質(油)に変化させて蓄えますが、エネルギーを得るために、食料を犠牲にしなければなりません。その点、食料にはならない藻がにわかに注目されてきているのです。
  最初に日本での例を示します。石油の成分である炭化水素を作る藻は複数の種類が知られていたようですが、筑波大学の研究チームが発見した「オーランチオキトリウム」という植物性プランクトンの沖縄株が従来の10倍以上の炭化水素を作ることが解りました。この植物性プランクトンを培養して生産すれば日本の石油を十分まかなえ、実用化すればガソリン1リットル50円以下になるそうです。これが本当に実現すれば燃料やエネルギー問題をはじめ社会環境などが激変するのは間違いありません。。
  次はアメリカの例です。カリフォルニア州サンデイエゴのSE社は2008年5月に藻から原油とほぼ同じ成分の油を抽出する技術開発に世界で初めて成功し“グリーン・クルードオイル(GCO)“と名付けました。そして、テキサス州でコンチネンタル航空が世界で初めてGCOを混合したバイオ燃料による飛行試験に成功しました。藻を原料とするGCOは「食料と競合しない」というメリットだけではなく、従来のバイオ燃料と比べて次のような大きなメリットがあるのです。
① 藻は繁殖が速く密集して生えるため収穫の効率が良く1ha当たりの産油量が多い。(単位面積当たりトウモロコシの100倍以上)
② 食料が生育しない場所での生育が可能である。つまり、CO2と太陽があれば藻は育つ。
③ 既存のパイプラインが使える為インフラ整備の費用が安い。
④生産・輸送工程でのC02排出量が少ない、等。
  石油のほぼ全量を輸入している日本にとっては大いなるチャンスがあるように思っています。何とか実用化に成功してもらいたいものです。

2011年08月27日

芝生クリーン活動

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  8月27日(土)9時より、8月最後の土曜休日を利用してPTA施設委員会による『芝生クリーン活動(校庭の芝刈り)』を実施しました。振り返ると、昨年8月初旬に高3の生徒達と教職員、野球部ほかクラブの部員、総勢約400人が校庭に集合し、芝生の植え付けを行ないました。それから早いもので丁度1年が経過しました。本校にとって、芝生の維持管理は初めての経験ということもあり、これまでできる限りの注意を払ってきましたが、何度も芝の発育が悪くなり、刈り込むと茶色くなったり、雨のあとは決まって大きな水たまりができる等さまざまな事象が発生しました。とりわけ、苦労したのは雨降りが続くと苔が生えてきて根元の土が黒くなるため、土を補充しなければならないということでした。
  芝刈りの作業はこれまで生徒や校務員が都度担当してきましたが、一週間後に文化祭が開催されるということもあって、この度保護者の方々にご協力いただくことになりました。初めての試みでしたが心配していた雨も降らず晴天に恵まれ太陽の日差しがジリジリ照りつける中、PTAの池上会長様をはじめとする実行委員会のメンバー9名、PTA施設委員の12名、教職員8名の総勢29名が手分けして芝生クリーン活動を展開しました。作業は大小8台の芝刈り機を使い芝の刈込をするグループ、雑草をとるグループ、グランドの周りからはみ出して生えている芝生をスコップで掘り起して移植するグループ、水分を補給するグループ等に分かれて行ないました。さすがにこれだけの人数が集まると、1時間あまりで作業は完了し、見違えるほど美しい状態になりました。その後、懇談をしながらおにぎりとお茶で昼食をとり、和やかな雰囲気で本日のグリーン活動の行事を終えることができました。
  芝生も常に目配りしながら愛情を注いでいけば立派に育っていきます。教育と共通する点が多々あるのではないかと感じています。本日は残暑厳しい中、PTAの保護者の皆さんには大変ご尽力いただき心より感謝しております。是非、来年以降も(施設委員会)の恒例行事として続していっていただければと思っています。


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2011年08月22日

食料廃棄をなくす

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  現在の日本の食糧自給率(カロリーベース)は、先進国の中では極端に低い水準です。先日、2010年の食料自給率が発表されましたが、39%と2年連続で低下しました。一時は41%と改善の兆しが見えていましたが、以前の最低の水準に戻ってしまいました。また、原発事故で食の安全性が揺らいできており、このままでは更に自給率が低下する恐れがあります。
食料自給率が低いということは、日本人の食は完全に海外に依存していることになります。この現状の持つ意味を我々はしっかりと認識していくことが大切であると思っています。。
  日本に食料を輸出している国では、日本向けの食料を生産するために土地の栄養分が失われ、大量の水が使われています。そして、やせた土地を回復するために化学肥料が投入され、耕作地を確保するために木が伐採され、二酸化炭素を吸収する森林が消滅してきています。今、世界で森林が消滅している面積は1秒間にサッカー場1つであると言われています。
  食料を海外から輸入しているということは、飛行機や船で運送するために大量の燃料が費消されていることを意味しています。。以前にも紹介したことがありますが、「食糧の輸入量×輸送距離」で表されるフードマイレージは世界中で日本がトップで突出しており、輸送段階において大量の二酸化炭素が発生しているということになります。
  更に、輸入した食糧を生ゴミとして廃棄しており、その処理のために膨大なエネルギーを使っているのです。当然のことながら焼却炉からは大量の二酸化炭素を排出しているのです。
このことは、とりも直さず、我々日本人は生産、輸送、消費・廃棄という3段階で二酸化炭素を発生させているということになります。今、地球温暖化を防ぐために、国を超えて地球規模で活発な議論がかわされていますが、日本がこのような状況を続けていれば世界から非難されることは間違いありません。

  まさに、食料廃棄は環境に対しても三つの罪であると言えます。我々一人ひとりがこのことに十分留意し、食料を大切にしていきたいものです。

2011年08月12日

一石二鳥のグリーン・カーテンづくり

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  本校における環境活動の基本の考え方は〝身近なできることから始める〟ということです。私自身も現在、気のついたことから行動に移すことにしています。今年は原発事故の影響で、夏場には深刻な電力不足が予想されるということから、まず家庭内で最も電力消費量の大きいエアコンの使用時間を減らし、設定温度を高める等の節電対策をにつとめることにしました。また、同時に室温の上昇を押さえるために、グリーン・カーテンづくりにチャレンジすることにしました。グリーン・カーテンに適するのは、つる性の植物ということなので、5月の中旬、庭にキュウリとゴーヤを植えましたが、最初はなかなか大きくなりませんでした。畑と違って土地が狭いため、うまく育たないのではないかと心配していましたが、梅雨が終わり気温が上昇するにつれて、どんどんと蔓を伸ばし、最近では完全にリビング・ルームの窓を覆い、2階に届くまでに成長しました。そして、昼間の直射日光を完全に遮る(さえぎる)ようになってきました。この状態になると、窓際でも温度が上がらないため、エアコンをつける時間も確実に減ってきています。
  また、キュウリとゴーヤには花が次々と咲き、多くの実がついていますが、1日で驚くほど大きくなります。そのため、適当な時期に採取しないと、実が大きくなり過ぎてしまいます。お蔭で、最近は家族が交替で毎朝、これらを収穫しています。そして、これらの野菜はすぐに新鮮な食材として利用しており、まさに、一石二鳥の環境活動と言えそうです。
  何事も義務感で行なうのではなく、楽しみながら行動することが大切であると感じています。

2011年08月01日

水の日にあたって

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  早いもので、8月に入りました。梅雨が明けて夏本番となる8月は年間を通じて、最も水の使用量が多い時期です。国はこの時期に水に関する行事を実施することで、水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め理解を深めるために、1977年(昭和52年)5月31日の閣議了解により、8月1日を「水の日(みずのひ)」とし、続く1週間を「水の週間」と定めました。
  水は地球上のあらゆる生物にとって欠かすことができない大切なものであり、私達の日々の暮らしや農業、工業等の産業活動を支える重要な資源です。しかし、今、世界の人口が急増する一方で、地球温暖化による気候変動によって世界中で水不足が深刻な状況になってきています。
 日本は世界でも有数の多雨地域にあるため、年間の降水量は世界平均の約2倍あります。そのため、水は豊富にあると思われがちですが、1人当たりでは半分以下、しかも国土が狭いため降った雨は短時間で海に流失します。しかも水がめとなる大きな湖も少なく、中長期的に見れば渇水のリスクが高まってきています。また、河川や湖沼の水質悪化といった問題も起こってきています。
 更に、日本人が心に留めておかなければならないのは、〝日本は水の輸入国〟ということです。何故なら、カロリーベースでは、実に60%の食料を海外から輸入しているからです。小麦やトウモロコシ、大豆、牛肉等には生産国での大量の水が使用されているのです。
  最近は限りある水を有効に利用するために、雨水や下水を処理した再生水を利用するといった取り組みも増えてきています。本校も新校舎には雨水を利用した『屋上緑化』を採用していますし、新たな雨水利用の取り組みも検討中です。
これからは水を大切に使う社会を構築していくことが必要になってきます。この水の週間を機に、一人ひとりが〝水の大切さを知り、節水する〟という意識を持って行動していって欲しいと思っています。

2011年07月23日

水の大切さを知る~森を守る

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        ブナの森

  林間学舎で生徒達が訪問したサントリーの天然水(株)奥大山ブナの森工場においては、下草を刈り枝打ちをする等さまざまな森を守る活動を行なっておられます。
  この森工場は山梨県・白州(はくしゅう)、熊本県・阿蘇に続く天然水第3の工場で、3年前に「水を育む森や環境を大切にするという自然との共生をめざす」というコンセプトのもと生産がスタートしました。
  そのため、環境に優しい液化天然ガスを使用し、奥大山の地に降る大量の雪を冬場のうちに雪室に貯蔵し、その冷たいエネルギーを夏場の空調や生産設備の冷熱減に利用し、更に生産工程で出る廃熱を集めて空調に利用する蓄熱システムを採用しておられます。
  既に紹介したように、本校では中学2年生が、以前より毎年7月に大山登山を中心とした『林間学舎』を行なっていましたが、環境教育の導入にあたって、この行事との連携を検討した結果〝自然環境の水に学ぶ〟というテーマを取り上げ、大山登山の前にブナの森、工場を見学させていただき、併せてブナやミズナラの森での自然体験を行なうことにしました。また、この行事に先立ち、サントリーから、水に関する特別講習を実施し、世界の中での水事情や硬水と軟水の違い、良質な水を確保するための森の働き等についての説明をしていただいています。
  生徒達が植えた木々が大きくなり、豊かな森を形成することで、将来良質の水が得られることに繋がっていきます。水の大切さを知り、水に対する関心を更に深めていって欲しいものです。

2011年07月05日

浄水器付きウォータークーラーを設置 

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  今年も厳しい暑さが続く中にあって、いたるところで省エネ対策の動きが出てきています。一方で、この時期に気をつけておかなければならないのは「熱中症対策」です。現在、生徒達には養護教員や担任、クラブの指導顧問から十分な水分をとるように伝えていますが、これには身近に水分補給できるようにしておくことが必要です。本校では各学年のフロアーにウォータークーラーを設置していますが、今年になって〝中学校のウォータークーラーの水の味がまずい〟という意見がPTAの保護者の方から寄せられるようになってきました。高校については、昨年の新校舎建設にあわせて、新しいウォータークーラーを設置しましたが、中学校については受水層から高架水槽を通った水が蛇口から出てくるようになっています。この方式では、塩素によって水質を維持していかなければなりませんが、、時間の経過につれて塩素濃度が低下する恐れもあります。
  これらの意見を受けて、先日のPTA実行委員会において、議題として取り上げ審議していただき、PTA協力金を使って新しいウォータークーラーを設置することが決定されました。そして、この度、設置工事が完了し、中学棟2階・3階・4階の流しの横に浄水器内蔵型のウォータークーラーを新設しました。また、中央棟渡り廊下3階・4階・5階には中学棟にあったウォータークーラーを移動させ、追加で浄水器を取り付けました。更に体育館とグランドにあるウォータークーラーにも同様に浄水器の取り付けを行ないました。
  新しい浄水器はダブル浄水方式で、抗菌活性炭と中空糸膜フィルターがついているので嫌な臭いや不純物を除去し、ミネラル分を残すようになっています。これらの技術は深刻な水不足に悩む途上国でも今後大いに活用が期待されています。これを機会に、生徒達が水についての関心を高めてくれることを期待しています。

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2011年07月03日

身近なことから始める~家庭における節電対策

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  原発事故の影響で、日本全体が節電ムードに包まれています。企業の中には夏場に土・日の休日を変更するところや始業時間を繰り上げるところも出てきました。本校においても生徒会が中心となって、エコ活動に取り組んでいますが、是非家庭においてもエコに対する意識を高めていただきたいと思います。先日の高校のPTA学級委員会の場で『家庭の節電対策メニュー』 というプリントを配布しましたが、その概要について紹介します。

①夏の日中(14時頃)゛は在宅世帯の平均で約1200ワットの電力を消費しています。
②エアコンが約半分(53%)、冷蔵庫が約4分の1(23%)であり、この二つで消費電力全体の約4分の3を占めています。
③外出中の世帯でも、冷蔵庫、温水洗浄便座、電気製品の待機電力等によって、約340ワットの電力を消費しています。
④節電メニューとして考えられるものをあげると次のようなものがあります。
   ◇エアコンの室温28゜Cを心がける
   ◇〝すだれ〟や〝よしず〟等で窓からの日差しを和らげる
   ◇無理のない範囲でエアコンを消して、扇風機を使う
   ◇冷蔵庫の庫温を「強」から「中」に変える
   ◇冷蔵庫の中に食品を詰め込まない
   ◇冷蔵庫の扉を開ける時間をできるだけ減らす
   ◇日中の照明を減らす
   ◇テレビは必要な時以外は消す
   ◇ご飯は早朝にタイマー機能で一日分まとめて炊く
   ◇温水洗浄便座の便座保温・温水のオフ機能、
     タイマー節電機能を利用する
   ◇リモコンの電源ではなく本体の主電源を切る
⑤また、エアコンのフィルターの定期掃除、冷蔵庫内へのビニールカーテン取り付け、掃除機の紙パックのこまめな交換、洗濯のまとめ洗い、節電のための家事スケジュールの設定、食器のまとめ洗いやシャワー時間の短縮等も節電には効果的です。
  
  これらの一つ一つの節電効果はごく小さいものですが、全員がこれらのことを心がけると、大きな削減につながります。そして、かけがえのない地球の環境を守ることにも繋がるのです。是非、各家庭において『わが家の節電対策』をお願いしたいと思っています。

2011年06月19日

野菜作りに挑戦

0618satumaimo01.jpg 0618satumaimo02.jpg                                       

サツマイモの苗の植え付け

本校では環境教育の一環として、野菜作りに取り組んでいます。既に、新校舎前に植えていたタマネギやイチゴの収穫を行ないました。現在はゴールデン・ウィーク明けに、サントリーから提供していただいたトマトの苗を食堂前の畑に植え、日々大切に育てています。先日、ワキ芽かきを行ないましたが、6月に入ってからは急速に成長し、たくさんの花をつけ始めています。このまま順調に育っていけば、間もなくトマトの実の収穫もできそうです。
  また、この度、中学1年生が技術家庭の授業で、学園グランドにあるテニスコート横の畑を利用して、サツマイモの苗の植え付けをしました。5月中旬から6月初旬が丁度植え付け時期にあたりますが、約半年で収穫できるまでに成長します。サツマイモは比較的痩せた土地でも栽培でき、しかも連作が可能です。そのため、日本でも広い地域で栽培されており、数々の品種があります。水やりは欠かせませんが、10月~11月には収穫したサツマイモを調理をして、みんなでいただく予定です。
  更に、本日(19日)は環境大使のメンバーが、三田で先日の田植えに引き続いて大豆の種まきを行なうとの報告を受けています。このように、生徒達は色々な野菜作りに挑戦しています。今月は『環境月間』ですが、同時に『食育月間』でもあります。是非、このような野菜作りの体験を通じて食に対する関心を高めて欲しいと思っています。

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          収穫した玉ねぎ            いちごも実をつけています
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2011年06月17日

人口爆発の脅威

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  世界の人口の変遷を人類の誕生の時点から見ていくと、18世紀後半から現在にいたるまでの200年間は、人類が直立歩行を始めてからの気の遠くなるほど長い期間の部分とは全く異なるパターンになっています。
  『不都合な真実』の中には「人口増加の歴史」について次のような記述があります。人類という種が初めて、登場したのは16万年~19万年前であり根その頃からイエス・キリストやジュリアス・シーザーの時代までに世界の人口は2億5千万人まで増加した。その後、緩やかに増加し続け、1776年には10億人に到達した。そして、1900年には17億人、第二次世界大戦の終わりには23億人に増加した。
  ところが、ここから人口が急増し、2000年には65億人に、2011年現在では69億人になっています。更に、これからもこの人口爆発は続き、年間に7000万人~8000万人が増加することが予想されています。このペースで人口が増え続けると、今世紀半ばの2050年には世界の人口は91億人に達することになります。そして、この増加は途上国に集中しており、これらの国では人々がより豊かな暮らしを求めて、経済活動を加速させてきています。このことが今、さまざまな環境問題を引き起こす原因になってきているのです。
  このままでは人間が生存していくために不可欠な食料や水やエネルギーが不足してくるのは目に見えています。生態系という視点から人口爆発という現象をとらまえていくことが必要であると思っています。

2011年06月15日

生態系と食物連鎖

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  今回の北海道の修学旅行においては、感響(環境)プログラムの中で、エゾシカやヒグマの生態について調べることになっていますが、この狙いはどのようにして生態系が成り立っているのかを理解することです。 このように「食う⇔食われる」という関係によって直線上に繋がっているものが〝食物連鎖〟と言われるもので、それぞれの生物の量的な関係が問題になります。自然界では食う方が多くなれば食われる方は少なくなりますが、食われる方が少なくなれば餌が減ることになり、最終的には食う方が少なくなります。このように自然界では「食う⇔食われる」という関係を通して生物の量的なバランスが保たれているのです。
  現在、北海道においては、エゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。主なものは牧草地の被害拡大、農業被害、交通事故や自動車事故等ですが、これは近年エゾシカが急増したことによるものです。そして、何よりも憂慮すべきは森林内の下草だけではなく天然林の稚樹にまで食害が及んできていることであり、この状態が続くと若木の成長が期待できず、数10年後には深刻な事態に陥ることが予想されます。
  かつて、エゾシカは食用として年間10万頭が捕獲されていましたが、このままでは絶滅の危機に瀕することになるという理由で、1888年に捕獲が禁止され、その後捕獲の解除と禁止が繰り返されてきました。エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため、年率20%くらいの割合で増加します。これは4年で約2倍になるという超ハイペースであり、最近の調査では、驚くべきことに全道で60万頭を超えるエゾシカが生息しているようです。
  現在、エゾシカによる被害を防ぐために、エゾジカの肉を〝食べて環境保全する〟等の対策が検討されていますが、このような事態を招くことになったのは単なる捕獲の禁止だけではありません。今回の修学旅行を通じて、しっかりとこの原因を学習し、生態系についての理解を深めておいて欲しいと思っています。

2011年06月13日

環境月間にあたって~環境クイズ25問

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  今月は環境月間にあたっていますが、環境についてはまだまだ知らないことが多いようです。昨日の休みを利用して環境に関する25の項目を取り上げてクイズの形にしてみました。一度考えてみてください。

     1.現在の世界の人口はどれくらいですか?
     2.これから世界の人口は増えますか、減りますか?
     3.日本の総人口はどれくらいですか?
     4.日本の食料自給率と穀物の自給率はどれくらいですか?
     5.日本は水が不足していますか、足りていますか?
     6.地球全体の水の中で生活に使える水はどれくらいですか?
     7.日本人1人が1日に流している生活排水の量はどれくらいですか?
     8.それぞれの食料を生産するのにどれくらいの水が必要ですか?           
      (米、小麦、とうもろこし、鶏肉、豚肉、牛肉)
     9.日本は年間にどれくらいの食料を廃棄していますか?
    10.日本のエネルギー自給率はどれくらいですか?
    11.化石燃料(使うとなくなる資源)にはどのようなものがありますか?
    12.それぞれの化石燃料の使用可能年数はどれくらいですか?
    13.再生可能エネルギーにはどのようなものがありますか?
    14.日本の発電量の中で原子力発電のウェイトはどれくらいですか?
    15.日本には原子力発電所がいくつありますか?
    16.日本の温室効果ガスの排出量は世界何位ですか?
    17.温室効果ガスにはどのようなものがありますか?
    18.日本では一人当たり年間どれくらいのゴミを出していますか?
    19.日本国内で年間に消費される割り箸は何膳ですか?
    20.日本国内で年間に消費されるレジ袋は何枚ですか?
    21.日本国内で自動販売機はどれくらい設置されていますか?
      この一台あたりの電気使用量はどれくらいですか?
    22.日常生活において心がけたい「3R」・「5R」とは何ですか?
    23.一軒のコンビニの電気代はどれくらいですか?
    24.現在、1年間での絶滅種はどれくらいの数ですか?
      (100年前、1000年前、1万年前はどうですか?)
    25.家庭・職場・地域でどのような環境活動を行なっていますか?

2011年06月12日

節電について考える

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  現在、私達の日常生活においては照明、冷房、暖房、冷蔵、調理、給湯、AV、通信等に電気を使用してきています。また、メーカーの生産や商業施設、電車等の交通機関、オフィスについても大量の電気が必要です。このように、経済が発展し、生活が便利にかつ豊かになるにつれて、現代社会において電気はなくてはならないものになってきました。しかし、一旦、電気が止まってしまうと今の生活は壊滅的なダメージを受けてしまうことになります。これからは原発事故の影響で、電力不足が懸念されており、電力各社は節電の呼びかけを行なっていますが、すべての分野で対策を講じていかないと、大型停電といった状況は避けられません。これを防ぐには、電気の消費量を削減するか、他のエネルギー源で代替するしかありません。
  これまでの私達の家庭生活を振り返ると、電気の依存度は高まってきました。テレビやパソコン等の高度電化製品は電気でしか動きませんが、電気は冷暖房、調理、給湯、照明等熱や光を使用する単純なものにも使われています。かつて熱や光は電気以外のものを使っていたことを考えると、他のもので代替できるということになります。例えば、暖房はエアコンでなくても、薪を燃やす。同じようにお風呂やお湯も代替できます。電気はもともと燃やして得られた熱を電気にしているため、熱→電気→熱 と変換する時に無駄が多く生まれますし、送電段階でのロスも大きいのです。照明についても昼間太陽の光が降り注いでいるのに、部屋の窓の位置や採光が不十分で電気照明を使っているケースも多いのです。この対策として、日射を十分に活かすだけの住宅やビルの設計をしていれば、光も電気に丸々頼らなくて済むようになります。
  また、最近普及し始めている太陽光や風力発電、コージェネレーション等によって、自分の家庭で使用する電気を削減することも検討していかなければなりません。いずれにしても、これからは家庭での省エネを進めていくことが大切であると思っています。

2011年06月11日

石油に代わる代替エネルギー

1104sekiyu.jpg 化石燃料依存からの脱却

  20世紀は先進諸国を中心に工業化が大きく進展してきましたすが、これを支えてきたのは石油です。石油は油田を発見すれば比較的簡単に入手できるということもあって、石油メジャーが競って開発を行なってきました。そのため、一時は中近東地域などでは水よりも安価であるということさえ言われていました。ところが、近年、新興国の経済成長が加速され、石油の需給が逼迫するようになってきました。この結果、石油資源の争奪といった状況が生まれ、石油価格は高騰し、石油の枯渇といったことが現実の問題として生じてきています。石油は我々の日常生活やさまざまな産業にとって、非常に重要な位置づけにありますが、これからは石油に代わる代替エネルギーの開発が急務になってきています。
  このような状況下にあって、各国が注力してきているのが使いやすいエネルギーとしての電気です。電気の消費量は毎年着実に伸びてきていますが、このエネルギー源をどう確保してまかなっていくかは、どこの国にとっても重要な課題です。電力を得るにはさまざまな方法がありますが、各国の資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等によって大きく異なってきています。
  電気は、我々の日常生活にとって不可欠なものになってきていますが、さまざまな産業にとっても極めて重要な位置づけにあり、電力が不足すると深刻な経済活動の低下に陥ることになります。今回の原発事故によって、各国で〝脱原発〟の動きが出てきていますが、まさに日本においては、地球の温暖化を防止し、エネルギーを確保するための施策を早急に打ち出していくことが必要になってきているのです。

2011年06月03日

今なぜ食育なのか

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   高校校舎横で収穫したタマネギ         地産地消(食堂のメニューに)

  先日も中学・高校の新入生を対象に食育講座を実施しましたが、人間が生きていくための基本である食の重要性について理解しておかなくてならないことが三つあると思います。
  一つ目は「個人」に関する問題です。本校においては〝将来社会で役立つ人材の育成〟を教育方針に掲げていますが、社会で活躍するためには「健康」ということが大前提です。しかし、案外この当たり前のことが解っていないと思われるケースが散見されます。そして、病気になって初めて健康の有難さに気づくのです。私もこれまで民間企業での勤務を通じて、優れた能力を有しながら健康を害して十分な働きができなかったという人を何人も見てきました。健康管理のポイントは〝睡眠〟〝食事〟〝運動〟であると言われていますが、とりわけ1日3回の食事に気をつけている人とおろそかにしている人とでは、長い間には健康面で随分大きな差になってくると思われます。
  二つ目は「医療費」に関する問題点です。2010年11月に厚生労働省が発表した医療費の総額は実に34兆8084億円で、国民一人当たり27万円2600円という数字になります。1か月に直すと一人2万円強ということです。そして、高齢化に伴い、この医療費は年々増加してきているのです。
  三つ目は「地球環境」に関する問題点です。日本は海外から大量の食料を輸入していますが、これに伴う輸送費や食料廃棄の費用は膨大な金額になっています。また、大量の水や肥料を使い、二酸化炭素を発生させているのです。
このような問題を解消し、健康を維持し、医療費を下げ、地球環境を守るということが大切であると思います。わが国では、この40~50年の間に、米と魚と野菜中心の食事から畜産物と油脂が大幅増加するということになってしまいました。言い換えると「食の西洋化」が急速に進んできたのです。かつて日本の朝食は白米に味噌汁、それに漬物、納豆、梅干といったものが一般的でしたが、最近では若い人を中心にパンや牛乳が主体になっているようです。この結果として、大腸がんや生活習慣病といったものも増加傾向にあります。今一度、食生活を見直していくことが必要であると思っています。

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2011年06月02日

環境月間を迎えて

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  本校においては、5月29日を環境宣言の日と定め、6月は環境月間としてさまざまな活動を推進することにしています。先日開催された環境フォーラムでも取り上げたように、今我々の住む〝青い星・地球〟は次々と引き起こされてくる環境破壊に耐え切れず、悲鳴をあげています。
  主なものとしては、温暖化の促進、オゾンホールの拡大、大気汚染、河川・湖・海洋汚染、酸性雨の発生、砂漠化の促進、絶滅種の増加等があげられます。この中でも特に深刻なのは地球の温暖化です。そして、この温暖化が原因であると思われる現象として、南極やグリーンランドの氷の溶融、ヒマラヤ・アルプス・ロッキー等の氷河の後退、凍土の現象等があげられます。この結果、海面の上昇や大型台風(ハリケーン・サイクロン)の発生、ゲリラ豪雨、大洪水、土砂崩れ等が発生しています。また、この一方で、世界各地においてこれまで経験したこともない大干ばつも頻発しているのです。今回の東日本大震災による原発事故よって、海洋や土壌が放射能で汚染されることになりましたが、これも人間が引き起こしたものです。言い換えると環境問題は人間問題そのものであり、環境破壊を防ぎ、環境を守るのも人間であるということになります。
  人が生きていくためには、水・食料・エネルギーの確保が不可欠ですが、世界の人口が急激に増加することに伴い、これらが不足してくるのは確実です。そして、これらを確保するための経済活動を加速すればするほど、環境が破壊されていくことになるのです。一人ひとりが環境を守るという気持ちで、行動していくことが大切であると思っています。

2011年05月09日

世界の電源別発電電力量

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  20世紀は先進国を中心に工業化が急速に進展しましたが、これを支えてきたのは豊富な石油です。これまで石油の残存年数は常に30年しかないと言われ続けてきましたが、次々と新しい油田が開発されてきたため、現在でも石油がエネルギーの主役になっています。しかし、この石油については近年の新興国の経済成長に伴い、今のままだと30~40年で枯渇し、その後10年で天然ガスもなくなりそうです。
  一方、電気は使いやすいエネルギーとして、消費量は毎年着実に伸びています。そのため、電力のエネルギー源をどのように確保していくかは、日本だけでなくどこの国にとっても重要な課題です。前回は日本の電力事情について取り上げましたが、電力を得るための電源としては、石炭火力、石油火力、ガス火力、原子力、水力、風力、太陽光等があります。そして、各国における資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等の個別事情によって、これらが選択されています。一例をあげると、カナダは水力、フランスは原子力、中国は石炭火力が主流になっています。
  世界の発電量という観点では、火力が約3分の2、水力と電子力、その他を合わせて約3分の1となっており、依然として火力が主流になっています。しかし、各国共地球温暖化防止のための動きを加速させ、低炭素社会を目指してきているのです。風力、太陽光等の新エネルギーは今後ますます注目を集めることになるでしょう。各国の動きを注視していきたいものです。

2011年05月08日

日本の電源別発電電力量

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  現在の日本の電源別発電電力量を見ると、石炭、石油、天然ガスの占める割合が全体の3分の2(66.1%)となっており、原子力はほぼ4分の1(24%)、水力その他は10%にも達していません。このことから解るように、わが国の電力は石炭、石油、天然ガスによる火力発電が主力になっているのです。これらの化石燃料は、ほとんど海外からの輸入に頼っているため、最近、新興国の需要の増大による国際価格高騰の影響を受けることになってきました。また、火力発電ではCO2を発生させるため、地球の温暖化防止という視点に立つと、徐々に削減していかなければなりません。
  このような背景の下、わが国ではクリーンエネルギーへの転換をはかるための基本政策として、原子力を柱にした取り組みを推進することとし、将来は発電電力量の50%を原子力でまかなうことを目指してきました。この結論にいたるまでには、チェルノブイリやスリーマイルド島の事故の経験から、原発の安全性については激しい論議がかわされてきました。そして、地震が頻発する日本においては、他国よりも堅牢な原発の建設が求められてきたのです。しかし、今回の震災では大津波による電源喪失という事態を招くことになり、原発の安全神話が崩れてしまいました。
 
  これから日本におけるエネルギー問題は“海外依存度を減らす” “安全性を確保する” “地球温暖化を防ぐ”という三つの切り口で取り組まなければなりません。
  現在、火力と原子力以外の発電電力量はわずかですが、このうちダムの建設が必要となる水力発電は期待できません。そうすると、現在2.8%しかない「その他のクリーンエネルギー」をいかに伸ばしていくかがポイントになります。どのようなクリーンエネルギーがあるのかを順次取り上げていきたいと思っています。

2011年04月26日

注目すべき新資源~メタンハイドレート

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メタンハイドレート

  日本のエネルギーの自給率はわずか18%であり、石油や天然ガスのエネルギー資源の大部分を外国からの輸入に依存しています。しかし、新興国の経済発展により、これらの化石燃料の価格が急騰し、資源の争奪が起こってきており、今後、わが国にとってはエネルギー資源を安定的に確保していくことが非常に重要になってきています。また、近年、これらの化石燃料の大量使用に伴い、過排出される二酸化炭素による地球温暖化という環境問題が生じてきています。そのため、各国は原子力発電にシフトしてきましたが、今回の原発事故でこの動きが減速されるのは間違いありません。また、クリーンエネルギーとして、太陽光、風力、バイオマス等のさまざまな発電が導入されつつありますが、化石燃料にとって代わるくらいの量を確保することは困難です。
  このような状況下にあって、最近注目を集めてきているのが『メタンハイドレート』です。メタン(CH 4 )は最も簡単な構造の炭化水素であり、メタンハイドレートはメタンガスがある条件下(低温・高圧)で水と化合してできる白いゼリー状または雪のようなものです。現在、日本近海のオホーツク沖、十勝・日高沖、南海トラフ、四国沖等に大量に存在していることが確認されており、その推定量は日本の天然ガス年間消費量の実に137年分にも相当する膨大な量であると言われています。このメタンハイドレートを有効活用することが出来れば,日本はエネルギー資源を外国に頼らなくて良くなる日が来ると期待されています。また、世界全体のメタンハイドレード埋蔵量は原油埋蔵量の2倍とも推定されており、メタンハイドレートによる天然ガス資源量は在来型天然ガス枯渇時代の次世代を担えるだけの膨大な量にのぼるのは間違いないと考えられているのです。
  日本は国土面積においては世界で61番目ですが、まわりを海に囲まれているため、海洋面積は6番目です。そして、海洋にはまだまだ未開拓の部分が数多く残されています。これからは海洋資源の開発を積極的に行ない、実用化に向けての取り組みを加速させていくことにより、新たな道が開けていくと思っています。

2011年04月23日

注目すべき新技術~都市鉱山で資源を確保

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  日本は広大な国土もなく大した資源もないため、『資源小国』と言われながらも、世界各国から多くの資源を輸入し、これらを製品化することによって経済成長をはかってきました。そのため、金属をはじめとする資源の確保はわが国が「技術立国」としての地歩を固め、世界から認められていくためには不可欠です。
  ところが、最近では、新興国の経済発展に伴って金属資源の需要が急拡大してきました。また、これらは特定の国に集中しているため、生産国の政治、経済の動向が全世界に大きな影響を与えることになってしまいます。とりわけ希少金属(レアメタル)は、主要輸出国であった中国が自国の需要に回すようになる等、国際事情も絡んで、国際価格は急騰してきています。
  そのため、これまではゴミとして捨てられていた産業廃棄物が一躍脚光を浴びることになってきました。つまり、手間暇かけて取り出しても十分採算が取れるようになってきたということです。これは、視点を変えると〝日本は金属資源の大国〟という信じられないことになるのです。この鍵となるのは、家電製品などの廃棄物を金属資源の潜在的な「宝庫」として捉える『都市鉱山』という概念です。日本では、これまでこれらの大部分は産業廃棄物として埋め立て等の方法で処理されていましたが、パソコンや携帯電話等には金やプラチナ等の貴金属類や、パラジウム、インジウムなどハイテク産業に欠かせない希少金属が含まれています。
  近年、工業化の進展に伴い、古いものを捨て新しい物を買い替えるという消費パターンが定着化してきていますが、これからは物を大切にし、限られた資源を再利用する生活スタイルに変えていかなければなりません。そして、『循環型の社会』を形成していくことが大切であると思っています。

2011年04月21日

注目すべき新技術~石油を作る藻

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筑波大学が発表。バイオ燃料に適した藻。


  今、世界では新興国が著しい経済成長を遂げる等大きく変化してきていますが、その一方で新しい技術が続々と生まれてきています。ところが、現状はこのような情報がなかなか一般の人に伝わっていません。そして、暗い情報ばかりが報道されるため、どうしても日本人全体が将来に対して夢や希望を持ちにくくなってきているように感じています。「最近の若者は・・・」という話を聞きますが、残念なことに大人も含めて「日本の将来は暗い」と思っている人が圧倒的に多いのです。
  私は生徒達に対して「夢や目標をしっかりと持つ」ことの大切さと同時に、色々な成功事例や新技術についての話を伝えるようにしています。先日の高校1年生のオリエンテーション合宿においても、企業のユニークな取り組みやこれから注目される新技術について紹介しました。これらを順次、このブログで紹介していきたいと思います。
  最初は「石油を作る藻」の話です。藻類の中には水中の有機物をもとに炭化水素を作り、細胞内に取り込む性質を持つものがあることが知られており、多くの機関において研究が進められてきています。そして、これまでこれらの性質を有する複数の藻類が確認されていますが、今回筑波大学の研究チームが「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻に注目し、東京湾やベトナムの海等で計150株を採取し、これらを分析した結果、沖縄の海で採れた株が従来の10倍以上も高い油の生産能力持つことが確認されました。この藻は海水や泥の中にすんでおり、球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)という極めて小さいものですが、同研究チームの試算によると、面積1ヘクタール、深さ1メートルのプールで培養すれば、年間約1万トンの化石燃料である重油に相当する炭化水素を作り出すことが可能であるとのことです。この試算どおりに油が生産できるようになれば、約2万ヘクタールの生産設備で現在の日本の石油輸入量に匹敵する生産量が確保されることになります。これは現在の日本の耕作面積460万ヘクタールのわずか0.5%に相当する広さです。
  また、この藻は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水等を浄化しながら油を生産できるという一石二鳥の構想も浮上しているのです。
今回の大震災によって多くの耕作地が失われると共に原子力発電所の事故によってエネルギー政策の見直しが迫られる中で、このような新たな取り組みを加速していかなければならないのではないかと思っています。
 

2011年04月18日

「チャレンジ25学校チャレンジャー」制度で優秀賞を受賞

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 本校では人間教育の柱として、さまざまな環境活動に取り組んでいますが、この度、環境省が中心となって推進している「チャレンジ学校チャレンジャー」制度の優秀校に選ばれ、表彰を受けました。この制度発足にいたった経緯は次のとおりです。
 地球温暖化防止のために2005年2月16日に「京都議定書」が発効し、日本は2008年から2012年の間にCO2などの温室効果ガス排出量を1990年にくらべて6%削減することが義務づけられました。更に、2009年9月、当時の鳩山総理大臣がニューヨークの国連気候変動サミットにおいて、我が国の目標として、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減することを表明しました。そして、政府では、地球と日本の環境を守り未来の子どもたちに引き継いでいくため、「チャレンジ25」と名付け、あらゆる政策を総動員して地球温暖化防止の対策を推進することを決定し、2010年1月14日より温暖化防止のための国民的運動「チャレンジ25キャンペーン」を展開してきています。
 これを受けて、環境省が中心となり、全国の小学校・中学校を対象にした「チャレンジ25キャンペーン」の拡大を目指し、チャレンジャー宣言校の募集を行なった結果、全国の231校、93,150名の児童・生徒からのチャレンジャーへの応募がありました。そして、この中から最優秀校5校、優秀校20校が選ばれました。表彰を受けた25校のうち、近畿地区では京都市立峰ヶ岡中学校と本校の2校のみです。
 先日の東日本大震災で、原発の安全性についての懸念が広がり、地球環境に対する関心は薄らいできているようですが、地球温暖化は依然として看過できない人類全体の課題です。これからも、引き続いてCO2削減に向けた環境活動を推進していきたいと思っています。


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2011年03月02日

生徒会環境活動~上靴リサイクル運動

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  前回のペットボトルのエコキャップ運動に続いて、生徒会におけるもう一つのエコ活動である『上靴のリサイクル運動』を紹介します。靴が不要になるのは圧倒的に卒業式後や修了式後になるため、生徒会役員が卒業生に対して〝下足室に大きなビニール袋を置いて回収するので協力をお願いしたい〟旨を伝えました。
  これを受けて、卒業生のうち国公立受験のために卒業式後も講習等に来る人を除く約150名が靴を寄付してくれることになりました。早速ボランティア団体に連絡し、引き取っていただくことにしましたが、来校された担当者は数の多さに驚いておられる様子でした。そして「毎年、ご協力いただきありがとうございます。」という感謝の言葉と共にビニール袋に入った靴を車に満載されてお帰りになりました。
  このようにして回収された上靴は、未だ使用できるものはボランティア団体を通じて、アフリカなどの途上国に送られ再利用されます。また、古くて使えないものは、布部分と底のゴム部分にパーツを分断し、細かく粉砕されます。その後、布部分は屋内バスケットコートやバレーボールコートのクッションパッドに、ゴム部分は競技用トラックの表面やジムのタイル、もしくは、新しい靴底やボタン、ファスナーのつまみなどに生まれかわることになります。
  また、最近では靴メーカーの中にも履かなくなった靴を資源として再利用するシステムを導入するところが増えてきました。靴を単に作るだけではなく、履かなくなった靴の回収システムを整備し、少しでもゴミを減らす、そして、少しでも再利用することを目指して身近な道路材やコンクリート材に生まれ変わらせているのです。  これからは多くの企業でこのような動きが出てくると思います。
  生徒達がリサイクルの大切さについて考え行動していって欲しいと思っています。

2011年03月01日

生徒会環境活動~エコキャップ運動

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   生徒会では、いろいろなエコ活動の取り組みを行なっていますが、その中の一つに「エコキャップ運動」があります。既に昨年の24800個を上回る35540個が集まっていましたが、先日の全校朝礼で更に回収を呼びかけた結果、実に40000個を超える数のキャップが集まりました。これは生徒一人当たり30個超という数になります。間もなく期末考査が始まるため、考査明けに厚生委員が集まり、キャップに付いているシールはがしを行なって回収業者に引き取っていただくことになっています。そして、このキャップが植木鉢やコンクリートパネル、チリトリ、水彩画のパレット等に生まれ変わります。
  この運動については『エコキャップ推進協会』が中心となって全国の学校や企業に呼びかけています。シンボルフレーズとして、ペットボトルのキャップを外して集め「再資源化する」ことで「CO2の削減をはかる」、更にユニセフ、WHOと協力してキャップの再資源化で得た売却益をもって「発展途上国の子どもたちにワクチンを贈る」という3つを掲げています。同協会によると、ワクチンさえあれば命が助かる子どもたちは、世界で一日に約6000人にも達しており、キャップ1Kg(約400個)あたり15円でリサイクル業者に売却、うち10円がワクチン購入に当てられるとのことです。また、キャップ1kgで3150gのCO2削減になるようです。
  この運動に対しては、〝運送費がかさむだけでメリットはない〟〝寄付をした方が良い〟といった否定的な意見もありますが、何よりも大切なことは「世界の子どもたちを救済するという共生の心」や「地球環境を守るという気持」を生徒一人ひとりの中に育んでいくことではないかと思っています。

2011年02月18日

食料の高騰

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  コメ、小麦、トウモロコシ、大豆の国際価格は08年2~7月に史上最高値をつけた後は下落に転じていましたが、ロシアが干ばつで穀物輸出を停止した昨年8月ごろから再び上昇し始め、現在は小麦・トウモロコシで最高値の9割、大豆で7割、コメで5割の水準にまでなっています。また、最近では砂糖やコーヒー等も高騰してきています。
  農林水産省は08年度から毎年、米農務省や国際機関の統計をもとに独自の手法で食料需給の見通しを試算しており、このたび2020年までの食料需給の見通しについて発表しました。
これによると、「途上国・新興国の人口増と所得向上による食生活の変化で食料需要が増え続け、多くの食料が高騰する。コメ、小麦など穀物の国際価格は07~09年平均との比較で24~35%高くなる。
  需要面の見通しでは、世界的な人口の増加に加え、中国などの新興国において肉や乳製品、卵、油脂類などの消費が増える。そして、これらの生産に必要な飼料穀物や大豆の需要が増加する。また、バイオ燃料向けの需要も伸び、20年の穀物消費は08年より5億トン多い27億トンに達する。
  一方、生産面では地球温暖化による洪水や干ばつなどが頻発し、水資源の不足も深刻化する。この結果、単位面積当たりの収穫量は伸び悩み、穀物生産は08年の22億トンから20年は26億トンに増えるものの需要増大に追いつけなくなる。そして、08年時点で20%あった穀物在庫率は国連食糧農業機関(FAO)が危険水準とする17%を下回り、15%まで低下する。この結果、いずれも20年までに再び最高値を更新する。」と予測しています。
  食料は人間が生きていく上で不可欠であることから、食料価格の高騰は各国の政治に対する不満となって現れてきます。現在、チュニジアやエジプト等中東諸国で相次いで起こっている政変もこの食料問題が引き金になっていると言われており、主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国であるフランスのサルコジ仏大統領は主要議題に食料の価格安定策を据えるよう提案しています。これは、食料価格の高騰が新興国の需要拡大といった要因だけでなく、投機マネーが商品市場などに流れ込んだことも背景にあるとみられているからです。
  また、各国が輸出制限やバイオ燃料の拡大等自国の利益のみを追求すると食料価格の高騰を助長することになります。そして、国際社会における政情不安といった原因に繋がり、これが自国に跳ね返ってくるのです。これからは相手の立場を尊重するといった〝共生〟という考え方が大切になってくると思っています。

2011年02月17日

雲雀丘10R環境活動

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  これまで何回も取り上げてきていますが、本校においては、教育ビジョンとして〝人間教育の充実〟と〝学力の向上〟を掲げています。そして、人間教育の大きな柱として、2008年より本格的な環境活動をスタートさせ、間もなく3年が経過します。
  現在、この間の活動を振り返り、中期の視点で今後の方向付けを行なった上で、2011年度の計画を策定していきたいと考えています。
  我々人類が住むかけがえのない地球は、次々に発生してくる環境問題に悲鳴を上げており、このままでは存続が危ぶまれる状況です。これを打開していくためには、一人ひとりが環境問題に対して深い関心を持ち、身近なすぐ出来ることから行動に移していかなければなりません。そのため、本校の環境活動においては、自ら学び、考え、行動することを基本にしているのです。つまり、単に環境についての知識を持っていることでは不十分であり、勉強すればそれでお終いということではありません。また、環境活動については先生が中心になって行なうのではなく、あくまで生徒が主体となって進めていくことにしています。

  先日の中学の全校朝礼において「環境に関する3R」の話をしましたが、実は昨年の文化祭では、生徒会の役員が中心となって〝 雲雀丘学園 〝10R〟環境活動〟を提唱しています。これは「3R」だけでなく新たに7つのRを加えたものですので次に紹介します。

  ① Reduce 減らす、ゴミを出さない    ②Reuse 再び(何度も)使う    
  ③ Recycle  再資源化する = 以上3R        
  ④ Refuse  拒否する   ⑤ Repair 修理する   
  ⑥ Refine 分別する  ⑦ Rethink 再考する 
  ⑧ Rental 借りる  ⑨ Return 戻す  
  ⑩ Reform 改良する

  まず家庭や学校において自分のまわりを見るとやるべきことは山ほどあると思います。小さなことから始めていきたいものです。

2011年02月13日

中学全校朝礼~ゴミを資源化する

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  先週の水曜日の中学全校朝礼で次のような話をしました。
  〝前回の朝礼では、「すべての生物が生きることはゴミを出すことであるが、ある生物にとって不要な物であるゴミは別の生物の栄養になる。ライオンが食べたシマウマの骨や皮や糞などは微生物によって土に返る、生物が出す炭酸ガスは植物の光合成のために必要である。」という話をしました。このように自然界では、すべてのものが循環してゴミのない環境が保たれてきたのです。しかし、近年、人間社会においてはゴミの処理が大きな社会問題になってきました。この原因は、経済の発展に伴い、急速にゴミの量が増えたことです。今皆さんは日本人1人が1日にどれくらいの量のゴミを出していると思いますか? 何と1.1キログラムなのです。100年前はというと、1人が出すゴミはわずか100グラムでした。
  よく日本の江戸時代は環境に配慮された素晴らしい循環型の社会であったと言われています。米や農作物が中心の食事、綿や絹を使った衣服、木材を中心とした住居、燃料は山から採取してきた芝や薪、肥料は人糞や堆肥が中心でした。ところが二十世紀になって工業化が進むと、石油や鉱物資源を原料とする数多くの製品が生まれてきました。そして、大量にモノを作る技術が確立されました。この技術革新によって、次々と高性能の製品が作られることになり、「大量生産・買い替え・大量廃棄」というパターンが定着してしまったのです。同時に都市化が進み、人口が大きな都市に集中することになりました。そして、大量のゴミが発生し、廃棄物を処理しなければならないことになってきたのです。
  現在のゴミ処理の方法は、各家庭がさまざまなゴミをポリ袋の中に入れて出し、地方自治体はこれらをゴミ回収車で集めるというシステムです。そして、不燃ゴミと燃えるゴミに分け、不燃ごみは埋め立て、残りは焼却炉で燃やしています。しかし、国土の狭い日本ではゴミを埋め立てる場所には限界があります。また、ゴミを燃やすと、ダイオキシンが発生する、大量の石油が必要となる、二酸化炭素も発生するということになります。これまでは廃棄するのはタダという感覚でしたが、廃棄するのには大きなお金がかかります。この一方で、さまざまな資源が枯渇し始めています。
  これを防ぐためには、廃棄するゴミを減らすと共にゴミを再資源として活用するということが大切です。そのために皆さんにお願いしたいのは、まず学校や家庭においてどのようなものをゴミとして出しているかを調べるということです。生ゴミ、紙、プラスチック、ガラス、金属など色々なものがあると思います。次に、これらがどのように生まれ変わっているのかを調べてみてください。そうすれば、ほとんどのゴミが再活用できるということが分かるはずです。
  次回はゴミの再資源化の具体例やゴミの争奪といったテーマでお話しします。〟

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2011年02月03日

チャレンジ宣言25

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  2月3日(水)、節分を迎え暦の上では明日からはいよいよ春ということになります。昨年の夏、日本では連日の猛暑日が続き、電力消費量はピークを迎えましたが、〝暑い夏の年は厳しい寒さが来る〟と言われているとおり、今年の冬は例年以上に寒い日が続き各地で雪の被害も続出しました。
  今年になってからも、ブラジルやオーストラリアでは大洪水に見舞われ、大きな被害が出ていますし、今日のニュースではオーストラリアに超大型のサイクロンが上陸したとの報道がなされていました。
  近年、大干ばつが起こるかと思うと未曾有の豪雨が発生する等、世界のいたる所でで異常気象が見られるようになってきています。そして、地球の温暖化に伴い、南極やグリーンランドの氷が融解し出しているとの報道もなされています。このような現実を放置していると海水面の上昇をはじめとする深刻な事態を招くことになりかねません。
  本校では2年前に、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏に記念講演をお願いし、『環境宣言』を行ないました。枝廣氏は『不都合な真実』の訳者として知られていますが、この本の中には「あなたにもできること」として、次のメッセージが示されていますので、以下原語で紹介します。

不都合な真実 (An Inconvenient Truth) でのメッセージ

  1.Reduce your impact AT HOME
    (自宅で影響を減らしましょう)
  2.Reduce your impact WHILE ON THE MOVE
    (移動中の影響を減らしましょう)
  3.Help bring about change LOCALLY, NATIONALLY AND INTERNATIONALLY              (地域で、国レベルで、そして国際的に変化を起こすのを手伝いましょう)
  4.Download these 10 SIMPLE TIPS to take with you!
    (「10の簡単な助言」をダウンロードしましょう)
      ◆Change a light (省エネタイプの照明へ)
      ◆Drive less (車に乗らない)
      ◆Recycle more (ゴミを減らす)
      ◆Check your tires (タイヤのチェック)
      ◆Use less hot water (温水を使わない)
      ◆Avoid products with a lot of packaging(過剰包装を避ける)
      ◆Adjust your thermostat (空調の適正温度調節)
      ◆Plant a tree (木を植えよう)
      ◆Turn off electronic devices (電気製品のスイッチオフ)
      ◆Spread the word! (伝えよう!)

  地球環境を守っていくのは、この地球上に住む一人ひとりです。誰かがやってくれるという意識では何時まで経っても行動は変わりません。そのためには、家庭や学校において日常生活の中に環境活動の指針を組み入れ、日々実践していくことが必要です。現在、本校においては今一度、原点に立ち返って、『チャレンジ宣言25』を行ない、環境活動を推進していくことを計画しています。

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2011年01月26日

中学全校朝礼~自然界にはゴミがない

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 1月26日(火)、校庭で本年初めての中学の全校朝礼を行ない、次のような話をしました。            
  〝この朝礼ではいつも環境に関する話をしていますが、皆さんは環境には「3つのR」があるということを聞いていると思います。これは「Reduce」「Recycle」「Reuse」ですが、すべて前にReという文字がついています。
  このReの意味は、反(対に)、後(ろに)、退(く)、離(れる)、再(び)といったものです。
  一つ目のReduceはゴミを出さない、 二つ目のRecycleは資源を再利用する、 三つ目のReuseは再利用するということです。この3つの中で最も大切なのはReduceです。毎日、生活しているとたくさんのゴミが出ます。学校にも皆さんの家や駅、公共施設にもゴミ箱があります。そして、このゴミを焼却処理するために多くのエネルギーを使っています。
  しかし、自分達が出したゴミを処理しているのは人間だけなのです。人間以外の生き物にとってはゴミを処理する必要がありません。分かりやすい例をあげて説明すると、アフリカの草原にはライオンがおり、シマウマの肉を食べています。残ったシマウマの骨はどうなるでしょうか。この骨は最後には土に返っていきます。また、ライオンやシマウマは糞をしますが、糞ころがしという名前の昆虫やバクテリアによって分解されます。植物も葉を落としますが、団子虫やミミズ等は落ち葉や枯れ草を食べ物にしています。一方で、植物は太陽の光と二酸化炭素を使って、葉っぱで栄養を作りますが、この時植物のゴミとして出るのが酸素です。しかし、この酸素は動物が生きていく上では欠かせないものです。
  この地球上に最初の生物が誕生したのは35億年前だと言われていますが、それからすべての生物はゴミを出し続けているのです。言い換えると、生きるということはゴミを出し続けることですが、ある生き物にとって要らないもの(ゴミ)は別の生き物の栄養になっているのです。 このような循環を通じてこれまで地球の環境は守られてきました。しかし、人間のゆきすぎた経済活動によって大量のゴミが生じ、環境を破壊しています。大切なことは〝大量にモノをつくる〟〝大量に消費する〟〝大量に廃棄する〟という仕組みを見直すことではないかと思います。 そして、循環型の社会の実現を目指していかなければなりません。是非、皆さん一人ひとりがこの社会をつくるためにどういう活動をすればよいのかを考え行動してください。
  次回はゴミを資源にするというテーマでお話ししたいと思います。〟

2010年12月13日

各国の食糧自給率

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  日本の食料自給率が先進諸国の中でも極めて低いということはこれまで何度も取り上げてきました。世界各国の食料自給率の最新のデータは2007年のものですが、これによると日本は先進12ヵ国中最下位の40%です。トップはオーストラリア(173%)続いてカナダ(168%)、アメリカ(124%)、フランス(111%)と4ヵ国が100%を超えています。
  逆に、日本、韓国(44%)、スイス(52%)、イタリア(63%)、英国(65%)が70パーセントを切っています。そして、2004年との比較において、食料自給率が上昇しているのはオランダ、カナダ、アメリカの3カ国だけで、他の国は軒並み低下しているのです。
  また、全世界における穀物の生産量だけを見ると年間19億トンもあり、単純に計算すると世界の人が生きていくのに必要な量は十分確保されています。ところが現在、世界では8億人が飢餓で苦しみ、飢餓が原因で1日4~5万人、1年間に1500万人以上の人が亡くなっています。そして、その70%にあたる1000万人が子どもなのです。
  〝一部の先進国が必要以上に食料を費消している。しかも肉類や脂質のウェイトの高い食生活を送っている。更に、本来食料であるトウモロコシがバイオ燃料に使われるようになってきている。〟つまり、一部の先進諸国が贅沢をしすぎているため、食料がすべての国に行き届かないということなのです。このような実態をしっかりと把握した上で、わが国の食糧問題を考え、身近なことから行動に移していくことが大切であると思っています。

2010年12月12日

食料自給率(カロリーベース)が再び低下

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  現在の日本の状況については、書物や新聞等に紹介されていますが、最近は各省庁のホームページに詳細なデータが掲載されるようになってきています。私も休日には時々これらのデータを見るようにしていますが、参考になることが非常に多くあります。
  これまで、日本の食料自給率について何回か取り上げてきましたが、改善の傾向は見られません。農林水産省が今年の8月に発表した食料需給表によると食料自給率(カロリーベース)は再び40%に逆戻りしてしまいました。低下の原因は ①小麦と国内産糖(てんさい・サトウキビ)の生産量の減少 ②米の消費量の減少が原因です。平成18年(2006年)に39%になった自給率が40%、41%と2年連続で上昇し回復基調に入ったのではないかと思っていましたが、抜本的な対策が講じられていない現状では大きな改善は期待できないかもしれません。特に、米作を中心とした中長期的な農業政策が必要であると思います。
  食料自給率の推移を見ると、昭和40年(1965年)には73%であったものが、翌41年(1966年)には68%に、更に46年(1967年)には58%に、平成元年(1989年)には48%に、平成5年(1993年)には37%に低下し、その後40%前後の食料自給率が続いています。このように50年足らずの間に自給率は半分近くになってきているのです。
  人間の命を支える基本となる「食料」と「水」についての危機感が日本人には乏しいと感じています。この2つは、世界の人口や食料事情を長期的に見ると、看過できない問題です。学校においても家庭においても、食料と水問題については、全員がより一層関心を持っていかなければならないと思っています。

2010年12月08日

中学校全校朝礼~クロマグロの完全養殖

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  12月8日(水)、中学の全校朝礼でクロマグロの完全養殖の話をしました。
  これは何の写真かわかりますか?「クロマグロ」です。今日は、このクロマグロの完全養殖というテーマでお話しします。

  ところで、皆さんに対して、“あなたは誰ですか?”と質問されたら、どう答えますか? “男です” “女です” “中学生です” “雲雀丘学園の生徒です” と色々な答えがあると思います。しかし、もし外国に行って、“あなたは誰ですか?”と言われたら、恐らく多くの人が “私は日本人です” と答えると思います。それでは “日本というのは、どういう国ですか” と聞かれたら、どのように答えますか?何と答えたら良いのかと困る人もいると思います。
  大切なことは、自分達が住んでいる日本という国のことをよく理解しておくことなのです。日本の良いところ、日本の強みを知ることが大切です。そのためには、今の日本がどうなっているのかということと、これまでの日本はどうだったのかという歴史、言い換えると横軸と縦軸をしっかりと勉強しておかなくてはなりません。
  今回の尖閣諸島での中国漁船の衝突問題ひとつを取り上げても、その背景にはどういうことがあるのかをしっかりと把んでおく必要があります。今日はこの話に詳しく触れるつもりはありませんが、中国の生活圏の拡大と海洋資源の問題が係わっています。
 
  さて、日本の国土面積は世界で61位ですが、海洋面積(排他的経済水域)は、世界第6位です。1位はアメリカ、次いでオーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダ、日本と続きます。従って、日本には実に豊かな海洋資源があります。その1つが魚です。漁獲高は中国、ペルーに次いで世界第3位(・・・・4位チリ、5位アメリカ、6位インド)です。このように、わが国では主要なタンパク源は魚でした。米と野菜と魚というのが、伝統的な日本食でしたが、農業と同様に漁業に従事する人が少なくなって、世界一の魚の輸入国になっています。そしてマグロ、サケ、エビをはじめ多くの魚介類を世界の国々から輸入していますが、特にマグロは世界の約3分の1を消費しているのです。このマグロは養殖物が多いのですが、この養殖の方法は天然マグロの稚魚を捕獲して育てているため、天然マグロの減少につながります。
  これを何とか解決したいということで取り組んだのが、近畿大学の水産研究所です。1970年、今から40年前にクロマグロの完全養殖に着手して、2002年6月に成功しました。マグロの稚魚は人間の手に触れると、すぐに死んでしまいます。しかし、幾多の失敗を乗り越え、実に32年の歳月をかけて、ついに夢をかなえたのです。マグロは卵を孵化させて20日後に稚魚となり、約3年で体長1メートル・体重30kgに、5年で体調2メートル・200kgに、そして最終的には体長3メートル・体重500kgにまで成長します。
  現在、鰻の完全養殖の道も開けてきていますし、高級食材のキャビアが収穫できるチョウザメにも挑戦しているようです。このようにさまざまな分野で新技術が開発され、これまで不可能であると思われていたことが実現されてきています。この例でも解るとおり、将来皆さんがやるべき仕事は限りなくあるのです。
  これからはやりたい仕事を見つけることにより、しっかりと進路選択を行なうと共に社会で役立つ力(人間力と学力)を身につけていって欲しいと思っています。

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2010年11月29日

環境に直結する食料問題

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  現在、地球には地球の温暖化、海洋や土壌の汚染、酸性雨等さまざまな環境問題がありますが、これらは密接に繋がっています。私は幼少の頃、親から食卓に出された食べ物は米一粒たりとも食べ残さないように教えられてきましたが、最近の子ども達を見ていて気になるのは平気で食べ残すということです。当然のことながら食べ残したものはすべて廃棄されることになりますが、これは世界全体の食料事情を考えると許されない行為です。穀物や野菜、牛肉等の食料の6割を輸入している日本は、食料生産国における水や肥料の消費や森林伐採による環境破壊によって支えられているのです。また運搬のための飛行機や船に使う燃料は膨大な量にのぼっています。更に、廃棄食料による生ごみ処理にあたっても焼却による大量の二酸化炭素を排出しています。
  人間が生きていくためには、水と食料が不可欠であり、この問題については国民一人ひとりが関心を持っておくことが必要です。そのためには大人が水や食料を大切にすると共に子ども達にしっかりと教え込んでいかなければなりません。
  本校においては〝水育〟と〝食育〟を教育の柱にしていますが、学校における取り組みだけでは不十分です。是非とも家庭において、これらの大切さを子ども達に教えていって欲しいと思っています。

2010年11月17日

中学校全校朝礼~日本の水と牛丼

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  11月17日(水)、中学校の全校朝礼において、日本の水と牛丼というテーマで次のような話をしました。

  〝中学3年生は沖縄への研修旅行、中学2年生は大山への林間学舎、中学1年生は里山体験と環境に関する活動に取り組んでいただいています。そして、この全校朝礼においては環境に関する話をしていますが、今日は”日本の水と牛丼 “というテーマを取り上げたいと思います。
まず、皆さんに日本の水について質問してみたいと思いますので、必ずどちらかに手をあげてください。
「日本は水が豊富にあるか?」「日本は水が足りないか?」
         正解は“水が不足している”です。
  日本の年間降水量は1,718mmで、世界の平均の倍です。しかし、1人あたりにすると世界平均の3分の1しかありません。にもかかわらず、水不足を実感しなくてもすむのは、食料を輸入することで水の消費を押えているからです。
  皆さんは毎日、さまざまな物を食べていますが、食料を生産するためには、多くの水が必要です。例えば、皆さんが食べているパンの材料となる小麦1kgを生産するのには、どれ位の水が必要かわかりますか?   何と1,000ℓです。
  このペットボトルは500mlですから2本で1ℓ、このペットボトルなら2,000本が必要ということになります。米1kgを生産するには3,600ℓの水が必要です。ところが鶏肉や豚肉や牛肉では更に多くの水が必要になります。何故ならトウモロコシ等の穀物を食べるからです。このため牛肉1kgには20,000ℓの水が必要になってくるのです。日本はこれらを輸入することによって、同時に水を輸入しているのです。
  皆さんは牛丼を食べたことがありますか? ほとんどの人が食べていますね。今、牛丼業界は競争が激しく、吉野家やゼンショウ、松屋等がしのぎを削っていますが、それでは、牛丼を一杯作るのに、水はどれ位つかわれているでしょうか?
          答えは2,000ℓです。
  牛丼一杯に、肉(1,450ℓ)、米(450ℓ)、玉ねぎ等を加えると約2,000ℓという大量の水が使われているのです。
  「いつも皆さんには食べ残さないようにしよう」と言っていますが、日本で廃棄されている食料で、世界の飢餓に苦しんでいる人達を救うことができるのです。そして、食べ残さないということは水を大切にするということにつながっているのです。
是非、水の大切さを知り、食べ物を残さないようにして欲しいと思っています。〟

≪参考≫
 輸入食料の中に占める水は〝バーチャル・ウォーター〟と呼ばれています。

2010年10月31日

これからの環境技術~スマートグリッド

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  オバマ政権をはじめ、各国の環境政策で注目を高めているのが「スマートグリッド」(次世代送電網)です。スマートグリッドとは名前のとおり「賢い」送電網です。従来の電力網では、発電所で発電された電気は、送電線や変電所、配電線などを通り、家庭やオフィスなどに向かって送電されます。これに対してスマートグリッドは、これまでの発電所から消費者へという一方向だった流れを双方向にして、電力を効率的に使用するシステムです。解りやすく言えば、各家庭での太陽光パネルで発電した電力を売り、必要がなくなれば送り返すということを可能にするというものです。これを実現するためには、消費者の電力需要情報などを把握し、需要と供給をマッチングさせるIT技術を駆使することが必要になります。この技術によって新たなビジネスモデルを作り上げようとしているのが、IT企業の覇者であるグーグルです。
  現在、太陽光発電や風力発電は天候次第で発電量が変わり、電圧が不安定になるという欠点がありますが、今後、発電している場所と消費者がスマートグリッドでつながれば、適した発電場所から消費者へ安定した電気を送れるようになり、よりクリーンなエネルギーが有効活用できるようになります。
既に、各国において実証実験が始まりつつあり、日本においてもいくつかのプロジェクトが動き始めています。日本は比較的電力技術のレベルが高く、電力の供給が安定しているため、これを海外のスマートグリッドで事業化しようということも検討されています。
  いずれにしても、今後は網構築が大きく前進するのではないかと大いに期待されているのです。

2010年10月27日

エコ・クッキングの薦め~エコ弁当

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  本校の環境活動は〝身近な自分達のできることから始める〟ということが基本です。そのためには日常生活の中で小さな取り組みを積み上げることが必要です。
今回の環境フォーラム開催にあたって、生徒会からの呼びかけに応じてこの日を「エコ弁当持参の日」ということにしました。人間は1日に3回、食事をするため、食という切り口でとらえると環境に貢献できることがたくさんあります。このエコ弁当作りにあたっては、できるだけ地元の農作物を使うことも推奨されました。さすがに、この日はコンビニのお弁当やパンを持参してくる生徒は少なかったようですが、自分でお弁当を作ってきた人は少ないのではないかと思います。保護者の皆様がご理解いただき、ご協力いただいたお蔭であると心より感謝しています。
  私も生徒達と同様、エコ弁当を持参しました。お米は親戚の農家から取り寄せた玄米、おかずは自宅近くの菜園で育てた茄子とシシトウとゴーヤ、自家製の減塩梅干で、残りが魚と高野豆腐です。従って、80パーセント以上は地元の食材ということになります。
  地産地消には多くのメリットがあります。まず「食材が新鮮で安全なこと」、次に「運送にかかるエネルギーコストが省かれること」です。この他にも「地域の生産者の顔が見える」、「地域の伝統的な食文化を継承できる」、「地域の農業の支援に繋がる」ということもあげられます。
  毎日、このようなエコ弁当を持参するのは大変ですが、環境ということを考えてできる限り地産地消をこころがけていきたいものです。

2010年10月26日

第3回環境フォーラムの開催

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  10月26日(火)、カナディアン・アカデミーとドイツのヘルバルト校の皆さんをお迎えして、第3回目となる『環境フォーラム』と『ザ・ワールド・チルドレン・サミット』を開催しました。
  本校の生徒達の大きな拍手に迎えられて両校の生徒達が入場、ステージに整列し代表者の挨拶が終わったところで私が登壇し、最初にコミュニケーションを深める意味で、英語(グッド モーニング)、ドイツ語(グーテン ターク)、日本語(こんにちは)の3か国語で相互に挨拶を交わしました。そして、次のような趣旨のオープニングスピーチを行ないました。
  〝我々が住む地球は豊かな水に覆われており、太陽系の中で唯一生物が住む惑星です。しかし、残念ながら、この100年少しの間に地球のいたるところで環境が著しく悪化してしまいました。これは人間が熱帯雨林やマングローブの林や森の木を大量に伐採し、豊かな生活を求めて石油や石炭等の化石燃料を大量に消費してきたからです。この結果、温暖化や異常気象等が起こり、サンゴ礁の白化に代表されるような環境破壊が進み、今では1年間で実に4万種類の生物が絶滅しています。
  現在、雲雀丘学園では2年前より環境教育に取り組んでいますが、この基本は「学び 考え 行動する」ということです。単に知識を吸収するということではなく、行動するということが何よりも大切です。学校や家庭において、無駄な電気を消す、水を流しっ放しにしない、食べ残さない、ゴミを出さない等やるべきことはたくさんあります。まず自分達のできる身近なことから始めましょう。
  また、環境に配慮するということは、人間に対する思いやりやりや真心を育てることに繋がります。環境を大切にするということは本校における人間教育の大きな柱なのです。一人ひとりが、かけがえのない地球を守るという気持ちで、環境活動に取り組んでいきましょう。そして、雲雀丘から日本や世界へ、この活動の輪を広げていきましょう。〟
  続いて、千葉県の成田西中の生徒とカナディアン・アカデミー、ヘルバルト、雲雀丘の3校の生徒による活動報告、全員参加のクイズ、パネルディスカッション、夢・スローガンの発表の後、この大会開催にあたって尽力したメンバーに認定書が授与され、最後に参加者全員による三本締めで無事閉会しました。
  この大会を機に、生徒達が環境に対する意識を高めていってくれることを期待しています。


2010年10月23日

中学3年環境講座

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  10月23日(土)、琉球大学理学部海洋自然科学科の土屋誠教授にお越しいただき、中学3年生を対象に環境講座を開催しました。生徒達は11月9日から沖縄への研修旅行に出発しますが、この目的は「平和」と「環境」の大切さを学ぶというものです。
  本日は、『沖縄の自然と生物多様性』という環境に関するテーマで、サンゴとサンゴ礁を中心にパワーポイントを使って解りやすくお話しいただきました。
  〝最初にサンゴとサンゴ礁は同じものであると思われているが、明確に区別することが必要であること。簡単に言えばサンゴは生物であり、サンゴ礁はサンゴ等が作り上げた海岸地形であること。近年、温暖化による白化現象やオニヒトデの大発生、赤土の流入等により、沖縄のサンゴ礁の環境は急速に悪化していること。このようにサンゴ礁が攪乱を受けた結果、生物達の生活空間の減少、水産物の漁獲量の減少、生物多様性の減少等の深刻な事態が起きてきていること。今、単にサンゴ礁だけではなく、さまざまな環境問題が地球環境変動に対応して起こっていること。生物多様性というのは耳慣れない言葉であるが、「遺伝的多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」「景観の多様性」という4つのカテゴリーがあること。世界の人口が急激に増加してきたことが環境問題に繋がってきていること。環境を守るためには、単にその地域だけではなく地球全体で取り組んでいかなければならないこと。皆さんも、まず身近なできることから環境問題を考えて行動して欲しい〟。
  生徒達はこれまで、里山での自然体験や奥大山での森を守る活動をはじめ、さまざまな環境活動に取り組んできました。今回の沖縄での研修旅行を通じて、更に環境への理解を深めていって欲しいと思っています。

2010年10月20日

優れた環境技術を生かす

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  昨今、いたるところで日本の国際競争力の低下が取り上げられてきていますがこの原因を一口で言うとグローバル化という大きな潮流に乗り遅れたということです。言い換えると日本経済が絶好調であった1980年代に打つべき手が打てていなかったということであり、現在その時のツケが回ってきていると考えなければなりません。
  昔から〝失敗の芽は得意(成功)の中にあり、成功の芽は失意(失敗)の中にある〟と言われています。また、〝ピンチはチャンス〟〝ピンチとチャンスは裏表〟という言葉もあります。日本にとって厳しい状況にあるのは間違いありませんが、プラス思考に立つと、経済情勢の厳しい今が日本にとってはチャンスです。
  今後、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)をはじめVISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)等の途上国が大きな経済成長を遂げることになり、これに伴い温暖化ガスの排出量が増大することになります。この対策を講じないと、地球環境は壊滅的な打撃を受けることになるでしょう。そのため、世界各国において、さまざまな環境への取り組みが始まっています。日本も2020年には、温暖化ガスの排出量を1990年比25%減にするという意欲的な目標を掲げていますが、現時点においてはこれまでの増加分を含めると40%に近い削減が必要ということになります。このように見ていくと、長期的に先進諸国では温暖化ガスを半減するというくらいの取り組みが必要になってくるのは間違いありません。
  これから日本が早急に取り組まなければならないのは中長期の視点に立った国家戦略の構築です。そして、その中核となるのがこれまで蓄積してきた日本の強みである「優れた環境技術」ではないかと思います。ハイブリッドカーや電気自動車への切り替え、非食料バイオ燃料の精製、LED照明への切り替え、太陽光・風力・バイオマス発電の促進、CO2の地下貯蔵、スマートグリッド(次世代送電網)の導入等数限りなくあります。これらの環境技術に磨きをかけ、官学民が連携して世界をリードしていくことが、元気な日本を取り戻すことになると思っています。
  
  これから、この校長通信を通じて、さまざまな環境技術とその動向について取り上げていく予定です。


2010年10月13日

中学校全校朝礼~水の大切さを知る

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  10月13日(水)、爽やかな秋晴れの下で、中学校の全校朝礼を行ないました。本校の全校朝礼は中学・高校合同で実施する場合と別個に実施する場合があります。朝礼においては必ず私が話をすることにしていますが、中学1年生と高校3年生ではあまりにもレベルが違いすぎるため、少し難しい話題になると中学生は理解できないことになるからです。
  本年度は中学生には「環境」、高校生には「グローバル化」をテーマに話をしており、本日は水の大切さについて次のような話をしました。
  〝芝生を植えてから、2ヶ月以上が経過しました。毎日水やりをし、手入れをしているせいか、しっかり根づいてきています。もし、水がなければ枯れてしまったかもしれません。地球は水の惑星と言われており、宇宙から地球を見ると美しい青色をしています。この水があるためにさまざまな生き物の誕生につながりました。
  皆さんは朝起きて顔を洗い、歯を磨き、パンやご飯を食べ、牛乳やお茶を飲み、トイレを使ったと思います。ごく当たり前のこととしてこのような生活をしていますが、日本のように水道の蛇口をひねると水が出てくる、しかもこの水を安心して飲めるという国はあまりありません。生水を飲むとすぐに下痢をするということが多くの国では珍しくないのです。
  現在、地球上にある水の総量は地球が誕生した頃からほとんど変わっていません。海水が暖められて大気中に上昇し、これらがやがて雨となって降り、川や海に注ぐという循環が続いているのです。地球上の水の大部分は海水で97%、淡水は3%弱しかありません。そして実際に人間が使える水はこのうちのごくわずか(川や湖の水は全水量の100万分の1)なのです。これを用途別に見ると、一番多く使われるのが農業用水で70%、次いで工業用水の20%、生活用水の10%です。圧倒的に農業用水が多いのですが、米を1kg収穫するのには4t、小麦・とうもろこしは2tの水が必要なのです。そして、牛を育てるためには多くのとうもろこしが必要になるため、牛肉1kgには実に20tの水が必要です。日本は食料自給率が40%しかなく、食料の多くを海外から輸入しています。そして、当然のことながらこれらの食料には大量の水が使われているのです。
  日本は豊富な水に恵まれているとほとんどの日本人は思っていますが、実は水の輸入国であるということを理解しておかなければなりません。一人ひとりが食べ物を大切にし、食べ残して廃棄するということは絶対にしないようにしてください。〟

2010年10月12日

加速する生物の絶滅

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  今年は生物多様性年にあたっており、日本で国際会議が開催されていますが、現在多くの生物が絶滅の危機に遭遇しています。
  地球が誕生して46億年、生物が現れてから38億年になりますが、これまでに全生物種の大半が絶滅するという「大絶滅期」を何回か経験しています。このうちの代表的なものは今から約6,500万年前(白亜期)に起きた恐竜の絶滅です。この時には巨大隕石の衝突によって、地球上の全生物の約75%が絶滅したと言われています。ところが現在起きている絶滅は、この「大絶滅」をはるかに上回るスピードなのです。
  恐竜時代以降、1年間に絶滅した種の数を調べてみると、恐竜時代は1年間に0.001種(1000年に1種)、1万年前には0.01種(100年に1種)、1000年前には0.1種(10年に1種)、100年前からは1年間に1種の割合で生物が絶滅してきています。このように絶滅のスピードはますます加速されてきており、現在では1日に約100種が絶滅しています。これは1年間で実に約4万種がこの地球上から姿を消しているということになります。驚くべきことに、たった100年で約4万倍以上のスピードになっているのです。そして、なおそのスピードは加速を続け、このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまうという計算になります。 「種」とは、生物分類の基本的単位のことで、この「種」が絶滅するということは、〝その種類の生き物がこの地球上から一匹もいなくなる〟ということです。
  自然界では絶えず競争が繰り返されており、生物どうしの争いに破れて滅びた種もたくさんいます。ところが現在問題になっている絶滅は、自然界で起こる絶滅とは根本的に異なっており、私達人間が絶滅させているということなのです。100年前までの絶滅の主な理由は、人間による乱獲でしたが、今は環境破壊が原因になっています。全人類が地球環境を守るという意識を持たないと多くの生物が絶滅し、やがては人間も絶滅することになることを認識しておかなくてはならないと思います。

2010年10月08日

校庭芝生化の効用

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  校庭の芝生の植え付けを行なってから2ヵ月が経ちました。最初の1カ月は芝の養成期間ということで校庭への立ち入りを制限していましたが、その後文化祭開催と同時に校庭を開放しました。校庭に仮校舎が建設されていた1年あまりの期間は、生徒達も休み時間に運動する場所がなく、相当ストレスが溜まっていたのは間違いないと思います。
  丁度、中央棟二階の校長室から全校庭が見渡せるため、時々生徒達の様子を確認していますが、昼休みや放課後を中心にバレーボールやバドミントンをしたり、芝生の上に座って談笑したり、部活動に使用する等大いに活用しているようです。確かに以前に比べると、生徒達の笑顔や元気な声が増えてきたように感じています。
  芝生にはさまざまな効用がありますが、緑の芝生を見ると、何となく心がなごみ、やすらぎと満足感が自然に湧いてきます。また、裸地を芝生にすることで発塵量が減少する(ホコリをしずめる)ことは、研究によって証明されており、実際にその目的で芝生が利用されている所もあります。例えば空港では、飛行機のエンジンにホコリが入るのを防ぐ目的で、また精密器械や化学工場等では、製造現場へのホコリの侵入を防ぐ目的で芝生が用いられています。更に以前紹介したようにコンクリートやアスファルト、地面等に比べて太陽光の反射を和らげ周辺の温度上昇を防ぐことにもなるため、ヒートアイランド現象の緩和にも役立っています。
  本校でも、芝生化によってさまざまな効果が出始めていますが、今後これらの効果を高めていくためには、芝生のメンテナンスをしっかりとしていかなければなりません。この維持管理については生徒達が自主的に行なうことにしており、既に二回の芝刈りを実施しました。何でも人任せにせず自分達のことは自分達で行なうということが環境教育にとって大切なことであると思っています。

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2010年10月06日

全校朝礼~命の大切さを知る

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  10月6日(水)、爽やかな秋晴れの下、全校朝礼で命の大切さについて次のような話をしました。
  
  〝今、皆さんは、この地球上で人間として生を受けて暮らしていますが、これは凄いことなのです。何故ならお父さん、お母さんがいなければ皆さんはこの世の中に存在しなかったのです。そして、お父さん、お母さんにはそれぞれの両親、皆さんにとっては、おじいさん、おばあさんがおられます。当然おじいさん、おばあさんがおられなかったらお父さんもお母さんも、生まれてこなかったということになります。そして、このおじいさん、おばあさんにもそれぞれお父さん、お母さんがおられました。このように、人の命は何代にもわたって受け継がれてきているのです。
それでは10代さかのぼると何人になりますか? 2人、4人、8人、16人・・・・・1024人です。1世代というのは約30年ですから約300年前、江戸時代ということになります。更に10代さかのぼると約600年前、室町時代になり、実に100万人を超えることになります。この中の誰か一人がいなくても今の皆さんは存在しないのです。このように皆さんは数え切れない命を受け継いできているのです。
  しかし、もっと驚くことをお話したいと思います。地球が誕生して46億年、生物が誕生して38億年が経ちますが、皆さんはお母さんの胎内で過ごす10月10日(約290日)の間に、この地球における生物の進化を体験して、この世に生まれてきたのです。何故かと言うと、受精した直後の姿は、地球上に最初に誕生した生き物であるアメーバと変わらない状態です。ところが5週間くらい経つと、エラを持つ魚の姿になります。次に6週間では、カエルのような両生類や亀のような爬虫類の形になり、8週間目くらいでやっと哺乳類のようになり、姿かたちも人間らしくなってくるのです。そして、その後の8ヶ月で脳細胞が出来上がります。このように、皆さん一人ひとりには、ずっと以前からの人間の進化の歴史が宿っているのです。このことからも人間の命はどれほど尊いかが解ると思います。
  ところで、皆さんは食事の前に“いただきます”ということで手を合わせていると思いますが、この意味は魚や肉や米や野菜の命をいただいているということなのです。  しかし今、多くの生き物が人間による環境破壊が原因で、絶滅の危機にさらされています。実に1日に100種、1年で4万種が絶滅しているということになります。皆さんは是非命の尊さを知り、生きていることに感動と感謝の気持を持って欲しいと思います。〟

2010年09月27日

地球環境を守る~コウノトリ呼び戻す農法

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  秋分の日が過ぎ、黄金の稲穂がたわわに実り、いよいよ収穫の時期を迎えています。現在、日本の米作りはほとんどが大量の化学肥料と農薬に頼る農法になっていますが、安全性を追求したアイガモやコウノトリを使った有機農法による米作りに挑戦されている農家も出てきているようです。
先日の朝日新聞には〝田んぼに再びコウノトリ〟と題して越前市における里山の再生の興味深い記事が掲載されていましたので、紹介します。
  最近マスコミを通じて、豊岡市がコウノトリの繁殖に力を入れていることをご存知の方も多いと思います。かつてコウノトリやトキなどの大型鳥は日本各地で見られ、食物連鎖の上位に位置し、地域の生き物の豊かさを示す象徴であり、棚田という美しい自然環境の中で多様な生き物と共生していましたが、最近では棚田の消滅と共にこれらの鳥をほとんど見かけなくなってしまいました。
このコウノトリが生息していた40年前の棚田を再生させ、農薬や化学肥料を使わない有機米栽培に取り組んでいるところが福井県越前市の白山(しらやま)・坂口地区で、現在15の農家が5.6ヘクタールで有機米を作っています。通常、稲の栽培は8月の初旬になると、根を張らせるためにいったん水を抜きますが、ここでは一年中水を溜めたままにしています。このことによって、イモリやヤゴ、めだか、フナ、ドジョウ等が息づき、野鳥が餌を求めて集まってきます。これを『コウノトリ呼び戻す農法』と呼んで取り組んでいるのです。
  以前、コウノトリが生息する山林の谷あいの棚田は、湧き水とため池を利用した湿田でした。一年中田んぼには水が張られ、肥料は魚の骨やカニの殻を使っていました。ところが、土地改良という名のもとに大型の農機が普及し乾田に転換され農薬や化学肥料が使用されるようになったのです。このため、小魚をはじめとする小動物がいなくなり、コウノトリも飛来しなくなってしまったのです。
  このような活動が日本各地で始まっていますが、有機農法で育てられた作物は安全と環境にやさしいブランドとして次第に認知され始めています。今、いくつかの自治体ではコウノトリやトキの保護を行なっていますが、昔の稲作りの姿に戻すことが最大の保護政策ではないかと思っています。これからもこのような取り組みを注意深く見守っていきたいものです。

2010年09月12日

自家自給率の向上

tusin163.jpg  ≪収穫した自家製野菜≫

  農林水産省が10日に発表した09年度の食料自給率(カロリーベース)は前年度より1ポイント低下して40%となりました。これで2年連続上昇していた自給率が再び低下するということになりました。
  これまで政府は自給率を向上させるために、米粉や飼料米、小麦、大豆の生産振興などを掲げ米粉や飼料用などコメの新規需要を開拓することで自給率向上の流れを定着させようとしましたが、08年後半から穀物相場が下落に転じた結果、パンなどの小麦製品が割安になり、コメ消費は再び減少してしまいました。
  政府がこの3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画では、それまで「15年度までに45%」としていた自給率目標を「20年度までに50%」に引き上げました。しかし、自給率の長期低落傾向が再び顕在化したことで、この政府の戦略は見直しを迫られることになりました。また、現実には農家の高齢化で耕作放棄地が拡大する等生産基盤の弱体化が進んでいます。一方で、世界の人口が増加するため中長期的には食料が不足するのは確実です。
  この問題については、まだ国民全体の危機意識は極めて薄いようですが、最近〝自家自給率〟を高める運動が提唱され、市民農園や自宅の庭で野菜作りを始める人が増えてきました。個人が野菜を作っても大した量にはならないと思われるかも知れませんが、私も実際に野菜作りに挑戦してみて予想以上に収穫できるということが解りました。
  政府の立場での大局的な戦略は不可欠ですが、多くの家庭がこのような取り組みを行なえば、少しでも自家自給率を高めることができるように思います。この活動の参考になるのは、キューバが国策として取り組んだ有機農業です。かつてキューバにおいては海上封鎖により、外国からの物資が入らなくなり、人々は空き地を開いて畑にし、化学肥料に頼らず生ゴミを集めて肥料化しました。この試みは成功し、キューバでは輸入に大きく頼っていた食料を、ほぼ自給自足することができるようになりました。そして、現在でも有機農業・環境保全型農業、バイオ農薬の先駆国として世界中の注目を集めています。更に、農業に始まったこの自立・自給の目標は現在、教育・医療・福祉と様々な分野に広がり、高度な「自給自足の国」と呼ぶにふさわしくなっています。
  わが国においても、終戦直後は空き地を利用して野菜作りをするというのが当たり前だったようですが、今、国民一人ひとりが自家自給率を高めるという意識を持つことが大切であると思っています。

2010年09月09日

北雲雀きずきの森の再生・保全活動

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  宝塚市と川西市の境界に『北雲雀きずきの森』があります。この北雲雀丘緑地は長尾山系の東端に位置し、古くは満願寺の寺領でした。石切山は火打石を切り出し周辺の山は里山として利用されていましたが、石炭・石油・電気などのエネルギー革命により山は利用されなくなり。周辺が住宅地として開発され、一時はゴルフ場やレジャー施設が作られましたが、30年前に廃業後は放置林として荒れはてた森となっていました。平成18年に宝塚市が自然緑地として取得し、地元であるコミュニティひばりの皆様が自然と接する場所として開放したいとの思いから、保全、運営管理をすることで市から貸与され、県の里山ふれあい森づくり事業に採択され基本整備が出来ました。この森を自然保全林として、人々のふれあいの場、学習の場として再生し住民参画型の保全活動が進められています。 

  本校ではさまざまな環境活動に取り組んでおり、特に環境大使として自主的に地域の活動に参加している生徒がいます。8月28日(日)この環境大使(中学2年6名、中学3年8名の計14名)の生徒達が北雲雀きずきの森定例整備事業に参加してきました。その様子を一緒に参加した先生からお聞きしましたので、紹介します。
  〝当日はとてもよく晴れていて、暑さで倒れる生徒がでないかと心配するほどでした。きずきの森に到着後、生徒たちは整備事業に参加している人達に自己紹介をしました。全員から拍手をもって迎えられ、早速、二手に分かれて、入り口周辺の草刈りをしました。慣れない手つきで、鎌や植木ばさみを使って約2時間草刈りを行ない、森の入り口に高く生えた草を刈り取ることができました。この結果、森の入り口もきれいになり入りやすくなりました。その後、昼食会を参加者全員で行ないました。昼食はボランティアの方が作ってくださったカレーでしたが、わざわざ、生徒たちのために、甘口のカレーも用意してくださいました。食事をしながら楽しくボランティアの人々とお話をしましたが、参加者のみなさんも孫のような生徒達と一緒に活動ができて楽しそうでした。また、自分たちの跡を継いで森を再生させてくれることを期待しているようでした。片付けをして12:30に活動拠点をあとにしました。次回の昼食会は焼き肉のようです。とにかく暑い1日で1リットルぐらいの飲み物がなくなってしまいましたが、これからも積極的に参加していく予定です。〟

  また、この様子は文化祭での環境大使のコーナーで「きずきの森」として紹介されました。最近環境大使として地域の環境活動に参加したいという生徒も増えてきており、心強く感じています。

<北雲雀きずきの森理念>
「自然を楽しみ・自然を理解し・森の環境の手入れをおこない、自然を活かした学びの場、人と自然の出会いの場としてみんなで自然を守る。
~きずきには木が好き・自然に気づく・保全活動を築くの意味を込めています~

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2010年09月03日

ヒートアイランド現象

  9月3日(金)、明日からの文化祭に備えて、生徒達は力を合わせて最後の仕上げに取り組みました。9月に入ってからも暑さは一向に衰える気配はなく、文化祭の間も猛暑になりそうです。
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  気象庁は、今夏(6~8月)の全国の平均気温が平年より1.64度高く、1898(明治31)年の統計開始以来最高であり、特に8月は沖縄・奄美を除く全地域で平年を2.25度も上回ったことを発表しました。そして、 この高温の原因として、偏西風が北へ蛇行したため、列島全体が勢力の強い太平洋高気圧に覆われ、オホーツク海高気圧などの影響がほとんどなかったということをあげています。
  現在、気象庁は全国の921地点で観測をしていますが、9月初日もこのうちの約4分の1にあたる242地点で9月の観測史上最高気温を記録し、157地点で35度以上の猛暑日、実に789地点で30度以上の真夏日となったようです。また、今後も太平洋高気圧の勢力が強い状態は続き、少なくとも9月中旬までは真夏日となる日があると発表しています。
  特に今年は東京や大阪などの大都市部で、夜間の気温が下がりにくく熱帯夜が続いています。この原因はコンクリートの建物やアスファルトで覆われた地面が日中強い太陽の光で熱せられることにより、蓄積した熱が夜間に放出されること、また、クーラーの室外機から熱が排出されること等により、ヒートアイランド現象が起きているからであると考えられています。そして、この現象を緩和するために、近年芝生化や屋上緑化、壁面緑化が採用され始めています。
  本校も今回校庭に芝の植え付けを行ないましたが、芝生の上に立つと随分涼しく感じられるため、どれだけの効果があるかを『芝舞台』から計測器を借りて測定してみました。その結果、驚くべきことに、日なたの芝生の表面温度は34℃で、土の47.5℃と比べると13.5℃も低い値を示しました。また、アスファルトの表面温度は実に61.5℃で、17.5℃の差がありました。そして、日陰の芝生の表面温度は28.5度で、この上に直接座っても涼しく感じられるほどでした。正直言って、これだけの差があるとは思ってもいませんでした。ヒートアイランド現象の原因を身を持って実感した出来事でした。

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   日なたの芝生の表面温度34℃     日なたの土の表面温度47.5度

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日なたのアスファルトの表面温度61.5度   日かげの芝生の表面温度28.5度

2010年08月31日

頻発する異常気象

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  今日で8月が終わり、いよいよ明日からは9月に入ります。通常であれば、お盆明けからは朝夕の気温が下がり、日毎にしのぎやすくなりますが、日本列島は依然として猛暑が続いています。札幌も10年ぶりに猛暑日となり、近畿でも昨日、京田辺市で今年最高の38℃を記録する等、今年の夏はこれまでとは違う〝異常気象〟を感じている人も多いのではないかと思います。しかし、この異常気象が起きているのは日本だけではありません。今年に入ってからも世界各地で「猛暑」「干ばつ」「集中豪雨」「寒波」「豪雪」に見舞われ、この結果「山火事」や「洪水」「土石流」が発生し、人的、農産物等に甚大な被害をもたらしています。参考までに、今年になって世界各国で起こっている主な異常気象は次のとおりです。
  ①1月、中国南部で気温が30℃以上を記録し夏入り。逆に東部では豪雪。
  ②2月、アメリカのワシントンでも豪雪。
  ③2月、ブラジルで熱波が発生。
  ④中国で100年に一度と言われる大干ばつが発生し1700万人が水不足に。
  ⑤5月、パキスタンで気温53.5℃を記録、その後大洪水が発生。
  ⑥インドやイラクでも気温50℃を記録。
  ⑦モスクワで観測史上最高の37.4℃を記録し、ロシア各地で山火事が発生。
  ⑧コンゴ、コロンビア、ハイチ、スリランカ等でも大洪水が発生。
  そして、現在、中国や北朝鮮でも大洪水が発生し、南半球のブラジルやアルゼンチンには寒波が襲来しています。このように、降雨量や気温の寒暖差が大きく地域毎にばらつくようになってきているのです。
  今年はアメリカ本土に大きな爪あとを残した大型ハリケーン〝カトリーナ〟が発生して5年が経過しますが、このような大型のハリケーンや台風が襲来する可能性も高まってきていると言われています。これらの異常気象はすべて森林伐採や石油・石炭をはじめとする化石燃料の大量消費による温暖化が原因であり、人類に対する自然からの警告であると受け止めなければならないと思っています。

2010年08月28日

初めての芝刈り

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  本校の校長室は中央棟の2階にあり、窓からは今月初めに植えつけ成長し始めた校庭の芝生が目に入ります。茶色の土からすっかり緑色に変化した校庭を眺めていると、何か気持ちが落ち着きます。また、高校の校舎のコンセプトも〝エコ〟ということで壁は木漏れ日をイメージした草色が基調になっています。生徒達と話をしていても、急速に改善されてくる学習環境に多少の驚きと共に満足している様子が窺い知れます。
  しかし、これらの恵まれた学習環境が当然であり、自分達は何もしないということでは有難みを感じることはできません。自分達の手で美しい学校を作っていくということが大切です。このような考え方に立って、生徒達が自主的に教育環境を整えていくように指導しています。今回植えた校庭の芝生についても業者に維持管理をお願いするのではなく、生徒が中心になって行なってもらうことにしました。この一環として、今週の木曜日にまず生徒会役員の生徒が芝刈りを行ないました。芝は定期的に刈りとるということが必要ですので、これからは生徒達が分担して維持管理をしてくれることになります。
  本校の環境活動の基本は〝学び 考え 行動する〟ということですが、自分達の周りの身近なことから始めていきたいものです。
  多くの木々や芝生の緑に囲まれて生徒達が心の安らぎを覚え、充実した学校生活を送ってくれることを期待しています。

2010年08月26日

自然環境を守る~里山再生への取り組み

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  今、日本各地で里山を守るさまざまな活動が推進されてきています。環境庁省は昔ながらの里山をモデルに生物の多様性を守る「SATOYAMAイニシャティブ」に取り組んでおり、これを名古屋市で開かれる『生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生き物会議)』で提案し、世界に呼びかけることを計画しています。日本の里地・里山のような地域はアジアにおける棚田や湿地、ヨーロッパにおける放牧地やブナやナラの林等世界各国に点在しています。この場所には多様な動植物が生息しているが、最近の大規模農園の開発等によって自然破壊が進んできています。
  このイニシャティブの長期目標は「自然共生社会の実現」であり、生き物会議の場で世界各国の政府や関係機関と連携し、情報や知恵を交換し合うネットワークを発足させようとしています。日本各地の里山は農耕の始まりと共に、3000年間にわたり人間が手を加えながら維持してきましたが、この半世紀の間に荒廃してきています。これは戦後の燃料革命によって薪や炭から石油に代わり、高齢化が進み、耕作放棄地が増えたことが原因です。現在、日本における里山は、国土の実に4割を占めており、過疎化が深刻な中山間地域では再生は困難な状況ですが、残すべき地域を選び関心のある住民が里山の再生に取り組んでいくことが必要です。
  本校では中学一年生の秋に里山での体験学習を行なっていますが、このような活動を通じて、生徒達が生物多様性の大切さや農林業における課題を考えていって欲しいと思っています。

2010年08月20日

生存の条件~生命力溢れる地球の回復

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  この度、公益財団法人硝子財団より『生存の条件~生命力溢れる地球の回復』という本を贈呈いただきました。

  この財団は旭硝子株式会社の創業25周年を記念して、その翌年の1,933年に設立された旭化学工業奨励会が前身で、1990年に財団に改編された以降は、次世代を拓く科学技術に関する研究助成事業と地球環境国際賞「ブループラネット賞」による顕彰事業の2つを柱として、活動されています。
  この本の中では、我々人間の活動が地球の豊かさをむさぼり尽くす可能性を指摘されており、今真正面から環境保護に取り組まなければ、取り返しのつかないことになるという警鐘を鳴らしています。そして、自然の恵みをおろそかにする人間の行動について、19世紀末に、北米インディアンのクリー族が残した言葉が紹介されています。

  “最後の木が朽ち果て、
   最後の川が汚染され、
   最後の魚が獲られたとき、
   初めて我々はお金を食べて
   生きていけないことに気づくのです。“

  まさに我々が住むかけがえのない地球の環境を守るのは、一人ひとりの意識改革であると思います。この言葉をかみしめて、行動に結びつけていきたいものです。機会があれば、この本を一度紐解いてみて下さい。

2010年08月17日

驚異的な芝生の成長

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  今月の6日に延べ500人の生徒達や教職員が参加して植え付けた芝生が一斉に成長を始め、一週間で校庭は緑の絨毯(じゅうたん)に変わりました。芝張りを終えた時は正直なところうまく生えつくかどうか心配していましたが、しっかりと根付いたようです。芝の育成にとっては日光と水が不可欠ですが、芝張り後の一週間は強い日差しが照りつけ、先週末には実にタイミングよく激しい雨が降り注ぎました。また、雨の降らない時には、スプリンクラーによる散水を行なっています。
  しかし、これに加えて年間を通じてのきめ細かい管理が大切であり、その中でも最も重要なものは刈り込みとのことです。刈り込みのコツは手間を嫌わず、何回かに分けてこまめに行なうことですが、芝草が長く伸びてから1回で低く刈り込むと、芝草は茎ばかりになり、芝生が褐色になってしまうことになるようです。更に十分に肥料を施さないと芝生は薄くなり、たちまち雑草がはびこってしまうことになります。
  あと一週間で新学期が始まりますが、それまではとりあえず業者の方に刈り込み等の作業をお願いする予定ですが、登校してきた生徒達は緑の芝生を見て驚くことになるでしょう。
  いずれにしても、本校にとって芝生の手入れは初めての経験であり、さまざま問題が生じてくることが予想されますが、これからは、宝塚ゴルフ倶楽部からいただいた芝刈り機を使って、大切に芝生を育てていきたいと思っています。

2010年08月10日

大切な土作り~畑の野菜収穫

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  本校では環境教育に取り組んでいますが、この基本の考え方は単に知識を得れば良いというものではなく、「学び 考え 行動する」ということです。そして、身近なできることから始めようということにしています。生徒の中には学校だけではなく、それぞれの家庭においてもさまざまな環境活動に取り組んでくれているようです。私もゴミの分別や節水、節電、マイバッグの使用等さまざまな活動を行なっています。夏休みに入って時間の余裕ができたため、久しぶりに普段は家族に任せている家庭菜園に行き、驚くほど多くのミニトマトを収穫しました。このトマトはサントリーからいただいた苗のうちの4本ですが、特に目立った手入れをしているということではありません。わき芽欠きも十分できなかったため、畑一杯に雑然と広がってしまいましたが、驚くほど多くの実がついています。
  残念ながら、学校に植えたトマトは最近では葉が黄色になり、実もほとんどつかなくなってしまっています。理科の先生方とも話していますが、土の力ではないかという意見が多いようです。わが家では、毎日こまめに生ゴミを処理して肥料にし、これを定期的に畑に施していますが、掘り返してみるとミミズがたくさん生息しています。恐らくこれが良い効果を与えているのではないかと思っています。
  ある教育関係の人から「植物を育てることは人の教育とあい通じるものがある。植物には本来自ら育つ力を持っている。その力を引き出すためのしっかりとした土壌を作ることが大切である。」という話を聞きましたが、まさに野菜作りを通じてEducationの意味を考えさせられました。

2010年08月06日

校庭の芝張りを終えて

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  先日もこの校長通信で紹介しましたが、芝生の基盤整備工事の終了を受けて、8月6日(金)、午前9時、校庭に約200名の生徒が集合し、芝張りを行ないました。最初に『NPO法人芝舞台』の清水様より芝生の張り方の説明があり、野球部員がトラックで搬送されてきた芝生の束を校庭一面に等間隔に並べた後、真夏の太陽が照りつける中、全員で校庭に芝を隙間なく敷きつめるという作業をスタートしました。芝生の切れ目を揃えずに交互に並べていくというのがポイントで、隙間には適度な大きさに切り取った芝を埋めていきます。当初の計画では、この芝張りは丸一日を予定していましたが、これだけのマンパワーが集まると作業のスピードは凄いものです。約1時間で校庭の半分に芝を張り終えることができました。
  また、10時からの休憩時間には、宝塚ゴルフ倶楽部様から芝刈り機二台を贈呈していただきました。続いて10時半から作業を再開しましたが、夏期講習が終了した生徒約100名も追加で参加してくれたため、残りの芝を1時間足らずで張り終えました。これで午前の部は終了し、生徒達はおにぎりとお茶を受け取って、達成感に浸りながら昼食をとっていました。この間、芝生にたっぷりと水を撒いた後、午後からは、午前の練習を終えたクラブの生徒が入れ替わり参加し、砂入れをして芝張りの作業は完了しました。これからこの芝生が青々と育っていくのが楽しみです。これからは水撒きや芝刈りといったケアが必要になりますが、全員でしっかりと芝生を育てていきたいと思っています。

今回の芝張りにあたって、生徒会では、各クラブや夏期講習に参加している生徒に芝生張りの協力をお願いしてきましたが、その結果、クラブや夏期講習受講者、教職員等、15団体316名の方々から参加する旨の連絡を受けました。当日の飛び入り参加も含めると、実に延べ500名の皆さんに参加していただいたことになります。一人ひとりの力が結集すると大きな力となることを実感した一日でした。
また、芝舞台、宝塚ゴルフ倶楽部、蛭川造園をはじめ多くの方々には大変お世話になりました。心より感謝を申し上げます。

2010年08月04日

水源を守る~奥大山のブナ森

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  大山は中国山地の最高峰で標高1709mですが、以前は火山で180万年前から50万年前までは大規模な噴火を繰り返していたようです。最後の噴火が確認されているのは約1万年前で、地層は火成岩が主体です。そして、奥大山一帯は広大なブナの森が生い茂っており、永い間にブナの落ち葉が積み重なってできた腐葉土で覆われています。
  西洋ではブナは〝森の聖母〟と呼ばれています。この理由はブナの森のあるところには例外なく名水と言われる美味しい水が湧き出ているからなのです。この奥大山の森も例外ではありません。この大山に降った雨や雪は、ブナの葉で集められ、幹を伝って腐葉土の中を通り、ミネラルを主体とした栄養分をたっぷりと含んだ地下水として蓄えられます。そして、数十年という長い年月を経て素晴しい味覚の水に生まれ変わり、地表に湧出してくるのです。
  私も2年前に、この奥大山の森に足を踏み入れましたが、ブナの落ち葉が何重にも積み重なった土はふかふかのスポンジのようで、水を大量に吸い込むということが分かりました。このようにブナの木は飲み水をつくるという非常に重要な役割を果たしているのにもかかわらず、これまで日本においては、あまりにも身近で多くあったため、伐採されて杉や檜が植えられたり、パルプの材料とされる等大切に扱われてこなかったのです。このことは、ブナという漢字が「木偏に無い」と書くことでも想像できます。
  しかし、これから世界的に水が不足する時代にあって、安全な水源の確保をはかるために、ブナ林を再生させることは非常に大切な取り組です。今一度、水を守る、森を守るということを考え直していかなければならないと思っています。

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2010年08月03日

校庭の芝生化に向けて

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 本校では今年春、学園60周年記念事業の新校舎建築を終え、現在生徒達は恵まれた学習環境の下で勉学に励んでいます。一方で、先日校庭に建設していた仮校舎の撤去作業が無事完了しましたが、この機会に校庭の芝生化を行なうことにしました。
  昨今、校庭の芝生化は各方面で話題となっていますが、費用やメンテナンス等解決していかなければならない課題が数多くあります。しかし、このタイミングを逃すと実現は難しいと考え、中高校庭緑化準備委員会を発足させて検討してきました。そして、この4月、兵庫県に県民まちなみ緑化事業として申請していましたが、この度無事に許可が下りました。
  そこでNPO法人芝舞台にお願いし、7月24日に重機を搬入、26日から運動場の表面の掘削、有孔管の埋設、スプリンクラーの散水設備、暗渠排水等の工事を行ないました。更に、砂・有機肥料等を混ぜ土壌改良等の芝生基盤整備を終え、いよいよ芝を張ることができるようになりました。この芝張り作業は環境教育の一環として8月6日に生徒達の手で行なうことにしています。本校では〝学び 考え 行動する〟ということを環境教育の基本にしています。そのため、芝生の植え付けだけではなく、その後の管理も生徒達に分担して行なってもらう予定です。
  約1ヶ月養生すれば開放できるということですが、これにより環境緑化を推進すると共に校庭のヒートアイランド現象の解消と生徒達が校庭で安全に活動できることにしたいと思っています。9月4日~5日の文化祭に芝生の上で生徒達が談笑している光景を見たいものです。
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 ≪参考≫
  以下は生徒会より芝張り動員のお願いです。
  ◇日時「8月6日金曜日 9:00~12:00、13:00~16:00 
  ◇集合:演習ABC教室 服装:体操服、帽子、タオル、体育靴

  この日に、芝生を校庭に一気に敷き詰めます。現在、芝生マットを敷き詰める作業を手伝ってくれる生徒を集めています。生徒会執行部では、クラブや学年の生徒に呼びかけをしてきましたが、まだまだ人手が足りません。クラブや夏期講習等で登校してくる生徒にも声掛けをお願いします。60周年事業の記念植樹と思ってお手伝いをお願いします。卒業後には、よい思い出になることと思います。募集人員は、1日手伝ってくれる人が50人分(半日なら100人)です。手伝ってくれる人には、おにぎりと飲み物を用意します。また作業は1日かかると思いますが、クラブや講習で来ている生徒で、半日だけでも手伝ってくれる生徒募集中です。よろしくお願いします。    生徒会

2010年08月02日

水の週間を迎えて

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  8月1日は「水の日(みずのひ)」です。梅雨が明けて夏本番となる8月は年間を通じて、最も水の使用量が多い時期ですが、国はこの時期に水に関する行事を実施することで、水資源の有限性、水の貴重さ及び水資源開発の重要性について国民の関心を高め理解を深めるために、1977年(昭和52年)5月31日の閣議了解により、1日を「水の日」、続く1週間を「水の週間」と定めました。そして、この前後には「ウォーターフェア東京」等、全国各地でさまざまなイベントが開催されています。
  水は地球上のあらゆる生物にとって欠かすことができない大切なものであり、私達の日々の暮らしや農業、工業等の産業活動を支える重要な資源です。しかし、今、世界の人口が急増する一方で、地球温暖化による気候変動によって世界中で水不足が深刻な状況になってきています。
  日本は世界でも有数の多雨地域にあるため、年間の降水量は世界平均の約2倍近くありますが、1人当たりでは半分以下、しかも国土が狭いため降った雨は短時間で海に流失します。しかも水がめとなる大きな湖も少なく、中長期的に見れば渇水のリスクが高まってきています。また、河川や湖沼の水質悪化によって水道水がカビ臭くなるといったことも起きてきています。
  最近は限りある水を有効に利用するために、雨水や下水を処理した再生水を利用するといった取り組みも増えてきています。本校も高校校舎には雨水を利用した『屋上緑化』を採用していますが、これからは水を大切に使う社会を構築していくことが必要です。この水の週間を機に、一人ひとりが〝節水する〟という意識を持って身近なことから行動を起こしていって欲しいものです。

2010年07月29日

世界の水事情~日本は水の輸入大国

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  地球は〝水の惑星〟と言われるように、表面は水で覆われており、さまざまな生き物を生み出してきました。人間が生存していくためには水が不可欠であるということは誰もが知っていますが、日本においては水に関する危機感は薄いようです。この原因は、台風の影響で世界の年間平均降雨量の1.7倍にも当たる1700ミリメートルの降雨があり、水が有り余っているという印象が強いからだと思います。しかし、20世紀は石油の世紀と言われたのに対し、21世紀は水の世紀と言われ世界中で水の争奪が起こりつつあるのです。
  まず、地球上に存在する水全体を見ると、97.5%は海水であり、淡水はわずか2.5%しかありません。しかも北極や南極の氷河、利用不可能な地下水等を除くと河川や湖、池等の使用可能な淡水はわずか0.01%なのです。しかもこのうちの大半(約3分の2)が農作物と家畜を育てるために、言い換えると食料の確保のために使われているのです。
  今、日本は食糧の約6割を海外から輸入していますが、これらをすべて国内で作ると膨大な量の水が必要になります。これはヴァーチャル・ウォーター(仮想水)と呼ばれていますが、輸入した牛肉や小麦、大豆、とうもろこし等を育てるために使用される水の量は年間640億トンであり、これは日本全体の農産物の生産に使われる灌漑用水の量をはるかに上回っています。言い換えると国民一人あたりでは毎日約1500リットルの水を海外から輸入していることになるのです。
  参考までに作物を1kg生産するのに必要な仮想水の量を上げると米は3.6t、小麦は2t、とうもろこしは1.9t、鶏肉は4.5t、牛肉は20tということになるようです。このように日本は水の輸入大国であるという現実を知り、一人ひとりが食料を大切にするということを心がけていかなければなりません。
  先日の林間学舎を通じて、生徒達は水や森を守ることの大切さを学びましたが、これから世界の水事情について何回かに分けてとりあげていきたいと思っています。

2010年07月15日

環境講座『水』の開催

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  7月15日(木)、文化館視聴覚教室においてサントリー・ホールディングス株式会社、水科学研究所技術センターの早瀬泰子氏にご来校いただき、水に関する環境講座を開催しました。この講座は、大山で林間学舎を行なう中学2年生の事前学習の意味を兼ねて、環境教育がスタートした平成20年からこの時期に実施しています。今年も生徒達は23日から〝自然環境の水に学ぶ〟というテーマでサントリーの奥大山ブナの森工場を見学し、植樹や森での作業を行なうことになっています。
  本日、早瀬氏からは簡単な自己紹介の後、「水の旅」「森を守り 水を育む」「サントリーの水の取り組み」「水を味わう」の四つのテーマについてお話がありました。特に「森の働きとしては〝生き物を育む〟〝炭酸ガスを吸収する〟〝資源を供給する〟〝土砂災害を防ぐ〟〝水を蓄え安定して供給する〟等があげられる。森にとっては水を蓄え、洪水を防ぎ、水質を浄化するという水源涵養機能が大切である。」ということを強調されました。最後に全生徒に硬度20ミリグラムの「サントリー天然水(奥大山)」と「超硬水」の入った2つの小コップを配り、自らの舌で二つの水の違いを確認してもらうという体験をしてもらいました。
  地球上にある水のうち、我々が使えるのは、ごくわずかしかありません。太古の昔より、地球全体の水の量はほとんど変わっていないのです。すなわち海や地表、湖や河川の水は蒸発して雲を作り、雨という形で降り注ぐという自然循環が形成されているのです。そして、この通り道の一つである森が保水という大切な働きを担っているのです。
  サントリーの奥大山ブナの森工場では、下草を刈り枝打ちをする等森を守るためのさまざまな活動を行なっておられます。今回の林間学舎では工場見学の後、実際に植林の作業も体験することになっていますが、生徒達が水についてさまざまなことを学び考えて欲しいと思っています。


2010年07月05日

夏野菜の収穫

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  生徒達が5月の連休前に植えたトマトの実が次第に大きくなり、真っ赤に色づき始めました。早速収穫し、食堂の方に調理をお願いし、生徒達に提供していただいています。ところが、この数日はカラスがこのトマトに着目し始め、完熟した実をキッチリ選んで食べるという被害を受けるようになってきたため、少し早めに収穫することにしています。また、別の場所に植えているゴーヤやサツマイモも順調に育ってきているようです。
  一方〝身近なできることから行動に移す〟というマイエコ活動の一環として、私も自宅近くの農園を借りて野菜の栽培に取り組んでいますが、最近は日曜日にも何かと予定が入りなかなか時間が取れないという状態でした。しばらく放置したままにしていたため、この日曜日に久しぶりに農園に足を運ぶと、畑一面に驚くほど多くの雑草が生い茂っていました。
  トマトはわき芽を取って一本立ちにするのが一般的な栽培の仕方らしいのですが、私の畑では手入れが行き届いていないため、雑然と横に広がっていました。しかし、雑草を取り除くとトマトが逞しく成長しており、多くの実をつけていました。また、茄子やキュウリ、シシトウも大きくなっていましたので、すべて収穫し、すぐに調理し夕食でいただきました。ゴーヤやなたまめも蔓を伸ばし始めており、間もなくたくさんの実をつけてくれそうです。
  生徒達の中にも家庭で野菜作りを行なっている人もいるようです。食の大切さを知り、自家自給率を上げるためにも、マイエコ運動としての野菜栽培の取り組みを続けていきたいものです。

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2010年06月24日

次世代エネルギー~風力発電

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  近年、わが国ではオール電化住宅の普及や暖房機器の灯油離れが進み、電気は使いやすいエネルギーとして着実に消費量を伸ばしています。また、現在、地域毎に電力会社があり、家庭や企業、商店、事務所、学校等に電力を安定供給する体制が整備されており、大きな災害の場合を除くと停電するということもほとんどなくなってきました。しかし、世界の中には電力の供給が不安定な国が数多く見られ、経済活動に支障をきたしています。そのため、電力のエネルギー源をいかに確保していくかは、どこの国にとっても重要な課題です。電力を得るための資源には、石炭火力、石油火力、ガス火力といった化石燃料と原子力、再生可能エネルギーとしての水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱等さまざまなものがあげられます。世界の2008年の再生エネルギーの内訳は、風力発電が43%でトップ、次いでマイクロ水力発電が30%、バイオマス発電が19%で、この3つで9割を超えています。最近、日本で注目を集めている太陽光発電は5%弱となっています。
  そして、現在各国においては資源の有無、自然条件、経済やエネルギー政策等、それぞれの国の事情を反映した独自の取り組みが行なわれています。特にアメリカはオバマ大統領がグリーン・ニューディール政策を打ち出し、風力発電に注力しています。そして、2008年には10年以上トップの座を守っていたドイツを抜いて世界の首位に躍り出ました。
  いずれにしても、これから再生可能エネルギーは一層注目を集めることになり、これらを生み出す産業は次世代の世界経済の主役になるのは間違いありません。また、新たな雇用創出も見込まれ、経済の牽引役として大いに期待されています。これらの動きを注視していきたいものです。

2010年06月20日

ヒグマの生態を学ぶ

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  今回の修学旅行ではヒグマの生態について学ぶ機会を得ました。
  ヒグマは明治前には北海道のほぼ全域で5000頭も生息していたようですが、それから150年経過した現在においては生息域が全道面積の半分となり、生息数も2000頭から2500頭に減少しているようです。驚いたのは生まれたばかりのヒグマは約400gしかなく人間よりもはるかに小さいが、3か月で4kg、1年で40kg、4年の成獣のオスでは400kgと出生時の体重の1000倍にもなるとのことです。
  そして、0歳から1歳までの幼いクマは、まだ親離れできずに母グマにつきまとっていますが、2歳を過ぎると親離れを始め、以降は単独で行動します。そして、オスは5歳、メスは8歳ほどで成長は鈍り、約20~30年の寿命を持つようです。
 また、ヒグマは本来肉食ですが、時や場所に応じて自由にその食性を変え、臨機応変の食生活をする雑食性の動物です。 そして、冬になると長期間穴にこもり、ほとんど身動きせずいわゆる「冬ごもり」をしますが、この理由はエサの不足と寒さを逃れる保身の習性であると考えられています。 ヒグマは11月下旬までには冬ごもりを始め、穴から出るのは3月下旬から4月の中旬までのため、実に4ヶ月以上もの間、エサを食べずに生き延びているということになります。その上、メスはこの間の1月下旬から2月初旬に出産し授乳に耐えるため、体力を消耗することになり、冬ごもりの前後では体重の25%から30%も減少します。このためヒグマは秋には貪欲な食欲でエネルギーを蓄えます。 また、ヒグマは自分の縄張りを持っており、食べ物が豊富な山でも同じ地域に2頭以上生息することはほとんどありません。
アイヌの信仰では、ヒグマにはキンカムイ(山の神様)とウェンカムイ(悪い神様)の二種があり、キンカムイは、森を育て、人々に恵みを与える神。ウェンカムイは、人に害を与え、問題を起こす危険な神で、アイヌはウェンカムイを討ち取り、徹底してこらしめると言い伝えられているようです。
  地球上のさまざまな動物達がそれぞれの地域で、自分にあった独自の生活を送っていることを知り、興味深く感じました。

2010年06月19日

エゾシカの歴史

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  現在、北海道においてはエゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。今回の修学旅行ではエゾシカの生態を調べるプログラムが準備されているため、事前にエゾシカについて調べると、北海道の開拓の歴史と深い関係があることが解りました。 
  エゾシカはアイヌ語では「ユク」と呼ばれていましたが、これは獲物という意味であり、単なる食料の対象として考えられていたようです。その後、幕末から続いた函館戦争も終わり、明治維新を迎えた日本で蝦夷地(北海道)の開拓が始まりました。そして、明治初年、アメリカ農務局長ケプロンの要請でエドウィン・ダンが来日し、畜産や酪農を指導するようになり、ダンは牧場を作って馬や牛を育てる事にも尽力しました。
  一方で、明治10年(1877年)には鹿の缶詰工場が作られたため、乱獲によって鹿の数が激減していたところに、明治12年(1879年)の大雪がこれに拍車をかけることになりました。この結果、エゾオオカミにとっては主食のエゾシカがいなくなってしまい、エゾオオカミが牧場内の家畜を襲う被害が多発することになりました。狼害に頭を悩ませたダンは「エゾオオカミ絶滅作戦」の断行を決定し、毒薬ストリキニーネを日本・海外の両方から買い集め、狼が食べに来る家畜の死体に塗って毒殺すると共に賞金を出して、狼狩りを奨励しました。こうしてわずか20年足らずの間に北海道のみに生息していたエゾオオカミは、人間の手によって絶滅させられました。そして、天敵がいなくなったことにより、徐々にエゾシカの個体数が増加したのです。
  この他にも、エゾシカにとっては生育に有利な環境が形成されました。天然林を伐採して単一の針葉樹を植えたが、苗木の間に成長した下草が餌となり、エゾシカの成育に適した環境が出来上がったこと。降雪の減少により越冬して生き残るエゾシカの数が増加したこと。農耕地が増え、エゾシカの餌資源量が増加したこと。過疎化の進行に伴い猟師の数が減少したこと。等です。
 こうして、現在は全道で40万頭のエゾシカが生息しており、牧草地の被害拡大、農業被害、天然林の稚樹の被害、交通事故や自動車事故を頻発させることになっています。
  エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため年率20%くらいの割合で増加します。このペースは4年で約2倍になるということですので、看過できない問題になっています。このように、人間のエゾオオカミに対するゆきすぎた行動や針葉樹への植樹が生態系を崩してしまったと言えるのではないかと思います。環境を守るためには短絡的な行動に走るのではなく、知恵を絞り出し地道な努力を継続していくことが必要であると感じました。

2010年06月18日

環境プログラム

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 北海道修学旅行の最初の宿泊地占冠(しむかっぷ)村トマムです。占冠とは〝とても静かで平和な上流の場所〟トマムは〝大いなる荒野〟という意味だそうです。村の人口はわずか1272人しかなく、中央に位置する1279メートルのトマム山は分水嶺になっており、西に流れ出した水は太平洋に、東へ流れ出した水は空知、石狩から日本海に注いでいます。
 今回はこの地で二泊して「アクティビティー」と「環境プログラム」を行ないました。初日の夜には先般事前研修会で講演をいただいた細谷誠氏に環境についての話をお聞きしました。
 このプログラムは「森の声を聞く」「森の民アイヌに倣う」「ヒグマの森づくり」「エゾシカの保護管理に学ぶ」の四つに分かれており、生徒達はこの中の一つを選択することになっていますが、相互に密接な連携のあるテーマです。具体的には、〝これらの森の仕組みを知るために、森に分け入り枝打ちをし、植樹を行なう。実際にアイヌの人達から話を聞く。ヒグマの生息する森に入り、その実態を把握する。エゾシカの被害を知り、保護の方法や食材としての活用を考える。命の連鎖や生態系の大切さを知り、命をいただくことの意味を考える。〟等です。そして、実際にフキやワラビ等の珍しい山菜やエゾシカの串カツを賞味させていただきました。
 生徒達も実際にこのような体験をすることによって、環境や命の大切さについて色々なことを学んだのではないかと思います。これからの生活の中に生かしていって欲しいと思っています。

2010年06月16日

中学全校朝礼~加速する生物の絶滅

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  6月16日(水)、中学の全校朝礼を行ない、部活動表彰の後、次のような話をしました。
  〝≪4,600,000,000≫、この数字は何かわかりますか? 46の後にゼロが8つ付いていますが、地球が誕生して46億年経つということです。このほど探査機「はやぶさ」がイトカワという小惑星の砂を持ち帰り、太陽系誕生の謎を解明しようとしています。
  その後、38億年前に最初の生命が誕生し、やがて無脊椎動物、魚類、両生類、爬虫類というように進化しました。そして、約6500万年前に地球に衝突した隕石が原因で恐竜をはじめ多くの生物が絶滅しました。続いて現れたのが哺乳類であり、人類が誕生したのはずっと後の1万年前です。この時代には絶滅する生物は100年にわずか1種類でした。その後、1000年前(日本では平安時代、中国では宋の時代)には10年に1種類というペースになりました。
  さて、この鳥は「ニツポニアニッポン」と呼ばれるトキです。今は佐渡島のトキ保護センターで飼育されており、先日、敷地内に侵入した小動物に命を奪われてしまいました。このトキは100年前までは日本のどこでも見かけることができましたが、農薬を使うようになって餌となるドジョウやタニシがいなくなって、絶滅の危機にさらされています。
  また、沖縄の海は地球の温暖化により、珊瑚の白化現象が起こり、この場所に生息していた海藻や魚が減少してきています。また、世界の森も1秒間にサッカー場一つ分が消滅しています。そして、今は1日に100種、1年で4万種というハイペースで生物が絶滅しているのです。これらの現象はすべて人間の行動が引き起こしたものです。地球の環境を守るためには一人ひとりが自分自身の行動を変えるという強い思いを持つことが大切です。
  本校ではさまざまな環境活動に注力していますが、環境に配慮することは人間に対する優しさや思いやりにつながります。軽い気持ちで捨てたゴミが川や海を汚すことになります。どうか、皆さんは一人ひとりがしっかりと環境を守るという気持ちで行動してください。そうすれば、素晴らしい学園になると思います。〟

2010年06月06日

世界環境デー ・環境の日にあたって

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  6月5日は国連による国際的な記念日である『世界環境デー(World Environment Day』です。この日が制定されたのは、今から38年前の1972年です。この年の6月5日にスウェーデンのストックホルムで「国連人間環境会議」が開催され、これを受けて12月15日に日本とセネガルの共同提案により国連総会で制定されました。そして、毎年世界各国の主要都市でメイン式典が開催されており、今年の開催地は東アフリカにあるアフリカのルワンダをメイン会場として行われています。
  今年の世界環境デーのテーマは『多くの生物種。一つの地球。一つの未来』になっています。この趣旨は人類にとってかけがえのない、生物種や生態系の豊かさに着目すると共に「国際生物多様性年」をサポートするものでもあります。
  ルワンダは、中部アフリカの内陸部に位置する共和制国家であり、西にコンゴ民主共和国、北にウガンダ、東にタンザニア、南にブルンジと国境を接しています。過去には内戦が続き大量虐殺や多数の難民の発生といった深刻な事態に陥り、今も貧困、土壌劣化など様々な問題を抱えていますが、今回、環境会議の開催地に選ばれた理由は〝世界的に希少なマウンテンゴリラが生息するなど、豊かな環境に恵まれた国であり、ソーラー発電やバイオガス発電といった再生可能エネルギーの開発などの環境政策にも積極的に取り組んでいることが評価されたからです。また、レジ袋の禁止、全国規模の環境クリーンアップキャンペーン、チンパンジーを保護するための回廊づくりなどでも国際的に知られています。
  この世界環境デーを中心に世界各地で、植林、地域の清掃活動、カーフリーデー、生物多様性をテーマにした写真コンテストなど様々なイベントが開催されており、日本でも6月は環境月間として、環境省や地方自治体、企業などによってさまざまな取り組みが行なわれています。
  本日は本校でも環境大使や有志の生徒が三田市での田植えに参加しました。私も地域の清掃に参加した後、キュウリとナスの苗の植え付けを行ないました。現在、生徒会が中心になって『マイエコ運動』を提唱していますが、身近なことから環境活動に取り組んでいきたいものです。

2010年06月02日

中学全校朝礼~食べ残しをなくす

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  6月2日(水)、中学生対象の全校朝礼で次のような話をしました。
〝今週末の6月5日は世界環境デーにあたっており、日本でも「環境の日」に定められています。また、6月は環境月間になっており、各市町村をはじめ、環境に関する様々な取り組みが行われています。
  さて、この前の全校朝礼の際に、生徒会から6月・7月の2カ月間を環境月間とし、マイ・エコ運動を推進したいとの提案がありました。これを受けて、皆さんはその後何らかの活動をしていますか?やっている人は手を挙げてください。まだまだ少ないようですね。今日は誰でもできるエコ活動の話をします。
  人間が生きていくために最低限必要なのは睡眠と食事です。皆さんは、ご飯やパン、肉や魚、野菜や果物など、色々なものを食べていると思います。それではこれらの食物のうち、日本で自給できているのはどれ位だと思いますか?わずか41%です。現在、約6割は海外から輸入しているのです。スーパーに行くとさまざまな食材が並んでいますね。エビはインドネシア、鮭はチリ、肉はアメリカやオーストラリア、バナナはフィリピン等から送られてきています。
  牛肉を例にとると、アメリカやオーストラリアから飛行機や船を使って運んでくるため、当然燃料が必要です。スーパーでの展示や家庭での保存や料理をするにも、ガスや電気が必要です。このように考えると皆さんが食べているものにはすべてエネルギーが使われています。また牛を育てるためには、大量の水やとうもろこしや牧草が使われており、これらを育てるには、水や肥料が必要です。
  今、海外から食糧が輸入されている食糧は年間で6000万トンです。4トン積みのトラックでは1500万台に相当します。1日に直すと約4万台となり、ここから静岡あたりまでの距離になります。そして、実にこの3分の1にあたる2000万トンが廃棄されているのです。この量は食糧難に陥っている途上国の人々を救うことができると言われています。また、家庭ではこの半分の1000万トンが生ゴミとして捨てられているのです。この生ゴミを処理するために一般的には焼却炉が使われますが、大量の水を含んでいるために、膨大なエネルギーが要ることになります。
  このように我々は生産・輸送・消費という3つの段階で多くのエネルギーを使っているのです。食べ残すということはエネルギーの無駄遣いになります。これから皆さんは決して食べ残すことのないようにして欲しいと思います。〟

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2010年06月01日

身近な環境活動~雑草の除去

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  昨年の2月26日に移植したメタセコイアも今では青々と新緑の葉を茂らせて成長しています。当初は多くの枝が切り落とされ、葉が全くないという状態であり、正直なところ本当に移植がうまくいくのかどうか心配していましたが、先日、業者の方にお聞きすると大丈夫とのことでホッとしています。このメタセコイアの移植の話は〝命の大切さを知ることの生きた教材〟として語りついでいかなければならないと考えています。
  今、メタセコイアの根元の周りは花壇になっており、この縁取りとして植えられたフイリヤブランとフッキソウの緑色が目を惹きます。更にその花壇を取り巻くようにベンチが円形に置かれており、生徒達が昼休みや放課後くつろげるようになっています。ところが、最近気温の上昇と共にいつの間にか花壇に多くの雑草が生えてくるようになってきました。これを見ていた校庭の掃除当番に当たっている高校3年の生徒達が、環境宣言の日にあわせて草取りをしてくれました。生徒達が自分達でやれる身近なことから行動を起してくれている姿を見て大変嬉しく感じました。

  なお、私達の居住地域にも雑草の繁茂している土地が散見されますが、空き地に繁茂する雑草は、環境衛生上、また防犯・防災上好ましくないということで、ほとんどの市町村では、条例によって〝土地の所有者、管理者は雑草の刈り取りを行なうこと〟が義務付けられているようです。この他にもさまざまな環境に関する条例がありますが、このことはそれだけ放置されているところが多いということになります。一人ひとりが快適な環境づくりを目指して、自主的に環境活動を推進していきたいものです。

2010年05月29日

環境宣言の日にあたって

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  本日(5月29日)は『環境宣言の日』にあたっています。そして、6月と7月の2ヶ月を環境月間に定めています。
  昨日も生徒会担当の先生から教職員に対して、ホームルーム等を通じて生徒一人一人が環境活動について考え、行動に繋げていくための話をして欲しい旨のメールが届けられました。また今朝は、私からも『3R』『5R』『10R』についてのメールを発信し、職員朝礼で紹介しました。
  参考までに『3R』というのは、「Reduce(ゴミをださない)」 「Reuse(何度も使う)」 「Recycle(再資源化する)」ということです。
  『5R』というのは、上記に 「Refuse(拒否する)」「Repair(修理する)」を加えたものです。
  また、最近出てきた『10R』という言葉は、この5つに「Refine(分別する)」「Rethink(本当に必要かどうか再考する)」 「Rental(借りる)」 「Return(戻す)」  「Reform(改良する)」を加えたものです。
  これらを総合的に考えると、ゴミと資源に関係する問題を解決していくということになります。これまでこのブログでも何回か取り上げていますが、環境問題はすべて人間の行動が引き起こしたものです。この環境宣言の日にあたって、今一度、『3R』の基本である〝使い終わった後に出るゴミの量を少なくする。〟〝一度使ったものをゴミにしないで何度も使うようにする。〟〝使い終わったものをもう一度、資源に戻して製品をつくる。〟といった取り組みを徹底することにより、我々が住むかけがえのない地球の環境を守っていきたいものです。

2010年05月26日

環境の日に向けて

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  本校では2年前の5月に環境ジャーナリストの枝廣淳子氏に「不都合な真実を超えて」というテーマで基調講演していただき、環境宣言を行ないました。そして、この日(29日)を『環境の日』に制定すると共に、その後、サントリー株式会社からも支援をいただき、授業や文化祭・研修旅行・環境フォーラム等の学校行事を通じて積極的な環境教育を推進してきました。一方で、生徒会を中心に省エネ(風紀委員会)、ゴミ分別(美化委員会)、エコ活動推進運動(文化委員会)、地産地消の西谷野菜や自家栽培野菜の活用、エコキャップ運動(厚生委員会)、運動靴のリサイクル、緑化運動等さまざまな取り組みを行なってきました。これらの環境活動は現在の生徒会の執行部にも引き継がれており、先日の全校朝礼でも、生徒会役員から『マイ エコ運動』が提唱されました。環境については単に知識を習得すれば良いというものではなく、「学び 考え 行動する」ということが基本であり、環境活動を更に強固なものにしていくためには、生徒の一人一人が自主的に行動していくことが大切です。
  今、地球温暖化をはじめ、オゾン層の保護、大気環境・水環境・土壌環境・地盤環境・廃棄物対策、化学物質対策、森林保全、自然環境保全等さまざまな環境問題が取り上げられていますが、これらは全て人間の行動そのものが引き起こしてきたものなのです。これまで、私達はあまり意識せずに環境を悪化させてきたことが数多くあります。「環境問題は人間問題である」と受け止め、かけがえのない美しい地球を守るため、また、後の世代に私達が何を残せるかを考え、まず、身近なできることから行動を起こしていきたいものです。

2010年05月23日

マイ エコ運動の実践~生ゴミをなくす

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  先日、生徒会の役員から地球の環境を守るという趣旨で『マイ エコ運動』が提唱され、この取り組みの例として「魚や肉、野菜や果物等はトレイにパックされた物より、バラ売りになっている物を買う」「必要以上の物を買わない」、「ハンド・ソープやシャンプー等は詰め替え商品を選ぶ」、「過剰包装や本のカバーなど不必要だと思われるものは断る」「レジ袋はできるだけ受け取らないようにする」といったことが紹介されました。
  私の家庭でも「電気をこまめに消す」「寝る前には主電源を切る」「エアコンの温度を調整する」「エコバッグを使う」「水を節約する」「生ゴミを出さない」「ゴミを分別する」等の取り組みを行なっています。特に、生ゴミについてはほとんど肥料化して野菜栽培に使っていますが、肥料化しにくいものもあります。先日、和歌山で収穫してきた夏みかんの皮もそのままでは生ゴミとして処理せざるを得ないため、休日を利用してマーマレードを作ってみました。このような工夫によってゴミになるものが無農薬、無添加の安心・安全な食材に生まれ変わりました。
  一口に「環境」と言っても、エネルギー・食糧・水・ゴミ等非常に広範囲にわたっています。環境に対する取り組みの特徴は、〝一人の力ではどうすることもできなくても、多くの人が力を合わせることによって大きな成果に結びつく〟ということではないかと思います。これからも自分達ができる身近なことから始めていきたいものです。

2010年05月14日

メタセコイヤの命を引き継ぐ

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  高校の新校舎の建設に伴い、植え替えをしたメタセコイヤから次々と新芽が吹き出してきました。随分大がかりな移植工事であったため、うまくいくかどうか心配していましたが、この分では多分根も十分に伸び順調に成長してくれるのではないかと思います。このメタセコイヤは以前、現在の場所から数メートル離れた中央棟前に植えられていました。ところが、建設の設計図が出来上がってくると、この木がどうしても建物にかかってしまいます。そのため、この木を切るか、さもなければ校舎の一部を変形するかという選択を迫られました。しかし、どちらをとっても問題が残ることになります。智恵を絞り、専門家の意見を聞いたところ、移植できるかもしれないという結論に達しました。そして、校舎建設に先立ち、大がかりな移植工事を行なうことになりました。
  このメタセコイヤのルーツについて紹介すると、本校には、今回移植したメタセコイヤの親木があるのです。高校校舎と中央棟の間にもう一本メタセコイヤが植えられていますが、実はこの木が親木なのです。この木は生物学者であった三木茂博士から、今から55年前の昭和29年(1954年)に中学校舎竣工の際にお祝いの記念樹としていただいたものです。その後、昭和38年(1963年)高校校舎の4階を増設した時に親木から実を採って中央棟前に植えつけたのが、このメタセコイヤなのです。そして、日当たりの良い場所に植えられたため親木を凌ぐ高さに成長したのです。
  このメタセコイヤは一時絶滅したと思われていましたが、今から65年前に中国の四川省で、化石ではなく実際に生育しているメタセコイヤの木が発見され、当時は〝生きた化石〟として世界中で大きく報道されました。この中国で発見されたメタセコイヤの種子がアメリカのハーバード大学に送られ、更にその苗木百本が日本に空輸されましたが、本校の親木はそのうちの一本なのです。
  今回移植したメタセコイヤには何百万年という長い年月を経て脈々と受け継がれてきた命が宿っています。現在、本校は「環境教育」に取り組んでいますが、〝あらゆる生き物の命を大切にする〟ということは、環境教育の大きな柱でもあります。このメタセコイヤを生きた教材として語り継いでいきたいものです。

2010年05月13日

えんどう豆の収穫とトマトの開花

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  今、世界は〝人口爆発〟と言われるくらい、人口が急激に増加してきています。このため、これから食料、水、エネルギーが不足してくることは避けられない状況です。しかし、日本ではこのことに対する危機意識は極めて薄いのです。そして、これらを〝大切にする〟という気持ちが忘れられ、無駄にしているケースが散見されます。とりわけ、食料の約6割を輸入に頼っている日本にとっては〝自分達の命を維持していくための基本である食料問題について、全ての国民が関心を持ち、食料自給率をあげるための具体的な取り組みが必要です。
  本校では2年前から本格的に環境教育をスタートさせ、この一環として野菜栽培を行なっています。本年度は昨年度のトマトとゴーヤ・サツマイモに続いて、生徒会と科学部の生徒達がえんどうを植え付けました。お蔭様で順調に成長し、多くの花をつけ実が大きくなったため、先日生徒達と収穫し、本日食堂の方に調理をお願いし、昼食時、生徒達に提供していただきました。
  また、この大型連休前にサントリーから送っていただいたトマトの苗の植え付けも行ないました。その後、2週間が経過しましたが、早いものは花が咲き始めています。やがてたくさんの実をつけてくれることと思いますので、これも食堂の方にお願いして、生徒達に食べてもらうことにしています。恐らく、生徒達も自分達が手間ひまをかけて育てた野菜を粗末に扱うことはしないでしょうし、その味は格別ではないかと思います。
  また、生徒達の中には、自分の家で野菜の栽培を始めた人もいるようです。このような体験を通じて、生徒達が是非食料の大切さを学んで欲しいと願っています。

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2010年05月12日

生徒会が『マイ エコ運動』を提唱

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  5月12日(水)、中学の全校朝礼を行ない、昨日準備していた「地球の生い立ちと環境問題」について話をしました。続いて、生徒会副会長から次のような『マイ エコ運動』の話がありました。
〝皆さん、5月29日は、何の日か知っていますか。この日は、本校の『環境宣言の日』です。2008年環境ジャーナリストの 枝廣淳子(えだひろじゅんこ)氏の講演を機に、5月29日を『環境宣言の日』と制定し、6月、7月を環境月間とすることを決めました。
  生徒会では、省エネ(風紀委員会)、ゴミ分別(美化委員会)、エコ活動推進運動(文化委員会)、地産地消の西谷野菜の活用、エコキャップ運動(厚生委員会)、運動靴のリサイクル、緑化運動などさまざまな取り組みを行なっています。また、今後も継続し発展させていこうと考えています。しかし、生徒会や委員会の活動だけで終わってしまってはいけません。大切なのは、みなさん一人一人が、環境活動について考え、一人一人の意識を高めていくことです。
  そこで、今回、生徒会では『マイ エコ運動』を提唱します。かけがえのない美しい地球を守るため、また、後の世代に私達が何を残せるかを考え、まず、身近なことから行動に起こしましょう。
  例えば、魚や肉、野菜や果物等はトレイにパックされた物より、バラ売りになっている物を買う、必要以上の物を買わない、ハンド・ソープやシャンプー等は詰め替え商品を選ぶ、過剰包装や本のカバーなど不必要だと思われるものは断る、レジ袋はできるだけ受け取らないようにするなど、皆さんもすぐに実行できることがたくさんあると思います。環境活動のために、私はいつもこれを実行しているというものを何か持ってください。 〟
  本校では2年前から環境教育をスタートさせると共に生徒会を中心とした環境活動を積極的に進めてきています。生徒達が環境問題に関心を持ち、自ら行動する習慣を身につけて欲しいと思っています。

2010年05月11日

環境教育の推進~地球の生い立ちと環境問題

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  明日(5月12日)は中学生対象の全校朝礼を行ないますが、担当の先生から生徒会副会長が〝環境の取り組み〟についての話をするので、これに関連した校長講話の依頼がありました。本校においては、2年前から人間教育の一貫としての環境教育に注力していますが、これからの全校朝礼においては環境に関するテーマを中心に話をしていくことにします。そのため、どのような順序で話を進めていくのが良いのかを色々と考え、明日は我々が住む地球の生い立ちについて話をすることにしました。
  地球が誕生したのは、46億年前であると言われています。しかし、我々人類が地上に現れたのは400万年~500万年ほど前なのです。100万年のスパンと言うと想像もできない位長い時間ですが、地球の歴史から見ると4600分の1というわずかな期間にしかすぎません。わかりやすいように地球の誕生を1月として1年のカレンダーに置き換えてみると、生命が誕生したのは2月、シアノバクテリアが酸素を作り出したのは7月、多細胞の生物が現れたのは8月であり、植物が海から地上に上がったのは11月、脊椎動物が上陸したのは12月3日ということになります。その後、これらの脊椎動物が両生類や爬虫類、恐竜、鳥類、哺乳類と進化してきたのです。今、地球のあらゆる箇所から化石の形で発見されている恐竜が誕生したのは12月13日で、絶滅したのが26日です。そして人類が誕生したのは何と12月31日の10時40分、我々現代人の祖先であるホモサピエンスの誕生は23時37分です。このように地球カレンダーで見ると人間は誕生してわずか23分しか経っていないことになり、恐竜の歴史の方がずっと長い(13日)ことがわかります。人間が農耕を始めたのは約1万年前ですが、生活の安定と共に人口が増加し始めました。それでもBC8000年頃の地球の人口は100万人、BC2500年で1億人、BC0年で2億人位であったと推計されています。その後人口はゆるやかに増加しますが18世紀初頭でも約10億人、19世紀初頭でも17億人にすぎません。ところが20世紀に入って人口は爆発的に増え1999年にはついに60億人を突破、現在では68億6600万人となりました。この100年間において人口は実に4倍になってしまいました。そして、この人口爆発が環境問題の最大の原因なのです。つまり地球の歴史から見るとごく小さな点にしかすぎない期間で、深刻な地球環境の悪化が起こってきているのです。このことを明日はしっかりと生徒達に伝えていきたいと思っています。

2010年04月05日

元生徒会長の夢叶う

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  本校では環境教育に力を入れていますが、現在のように本格的に学校を挙げて取り組むようになるまでには、色々な動きがありました。これまでの経緯を振り返ると5年前愛知万博にあわせて世界各国からこども達が集い『こども環境サミット2005』が行なわれました。この中で「再生可能なエネルギー資源の利用や節水、ゴミのリサイクル等の約束宣言」がなされましたが、この環境サミットの日本代表団の中に、本校の中学1年生から3年生の12名が参加していました。
  その後、この生徒達が生徒会役員や学年のリーダーとして、文化祭でのゴミの分別や「マイ箸運動」を提起する等の環境活動を推進してきました。この活動の中で、新校舎建設にあたって処分される生徒用の机や椅子の再利用をはかることができないかを生徒会で検討しました。一時は海外の学校に送るという案も出されたようですが、輸送にかかる運賃の負担があまりにも大きいということで実現しませんでした。しかし、まだ十分活用できるものが、廃棄されるのは〝勿体ない〟の一言につきます。そのため、引き続き活用していただけるところがないか打診していたところ、この度、池田市の教育委員会から「譲り受けたい」との申し出があり、廃棄処分される予定の机と椅子が再利用されることになりました。
  4月3日(土)春休み中にも拘わらず、教育委員会の教育部長をはじめ、校長先生や教頭先生など40名程の教職員の方が来られ、生徒用の机・椅子630セットを仮校舎から搬出されました。また、4月5日(月)には、池田市の職員の方が、仮校舎で廃棄される掲示板を再利用するために来校されました。
  これまで、本校の生徒達が大切に使っていたものが、廃棄されるのではなく、また新しいところで活躍する場を与えていただけたことは、大変喜ばしいことであるのと同時に生徒会で検討していた〝元生徒会長の夢が実現した〟ということにもなります。
  環境教育に取り組む中で、私は常々「3つのR」-Reduce(リデュース)[減らす]、Reuse(リユース)[再使用]、Recycle(リサイクル)[再資源化]-を意識して取り組むことを全職員や生徒に訴えていましたが、今回のことはまさに「3つのR」の実践だと考えています。
  日本では工業化の進展に伴い、物を大切に使うという気持ちが薄らぎ、不要になるとすぐに廃棄するという〝使い捨て〟が主流になってきました。今一度、日本の伝統である〝勿体ない精神〟を取り戻すべきではないかと思っています。
  最後に、今回私どもの取り組みに協力いただいた池田市教育委員会にこの場をお借りして御礼と感謝を申し上げます。

2010年02月15日

高校新校舎~木の命を生かす

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(美術室のスギの作業用イス)       (面談コーナーのイスのデザイン設計図)

  新校舎には和歌山の杉を使った手作りの家具を配置することにしています。紀州というのは昔の和歌山県の呼び名ですが、別名「木の国」とも呼ばれていたようです。今回は日高川町の玉置町長の紹介で、県の森林整備課の河野氏に大変お世話になりました。いずれもスギの板の手ざわりを残した温かみのあるイスや机に仕上がる予定で、「生徒会室」には机を、「美術教室」には作業用のイスを、また他校の質問コーナーにあたる「交流スペース」には大きな本棚を設置します。そして、これまで生徒たちが先生にマンツーマンで勉強を教えてもらっていた「面談コーナー」には新たに手作りのイスとテーブルを並べ、生徒達が自由に談笑できるミーティングスペースとして活用できるようにしています。

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(生徒会が作ったキーホルダー)      (メタセコイアの手作りベンチ)

  また、メタセコイアを移植する際に裁断した幹の上部についても廃棄せずに再利用をはかりました。一つ目は昨年の文化祭において生徒会のメンバー達がメタセコイアの小枝から木片を沢山作り、穴をあけてキーホルダーを製作して販売しました。二つ目は校務員さんが一番太い切り株を割ってベンチを作ってくれました。これまで生徒達の成長を見守ってくれていたメタセコイアが今度は新しい役目を果たしてくれることになります。このベンチに座って、生徒達が命を生かすことの尊さを身をもって感じて欲しいと思っています。
  更に新校舎の玄関を入った正面にある「60(ろくまる)ホール」の床材は、ウイスキーオークを使用しています。その役目を果たしたサントリーのウイスキー樽を新しい家具材のフローリングとして生まれ変わらせたものです。このように、今回の新校舎は色々な面で環境に配慮した構成になっています。


2010年02月14日

高校新校舎~樹木の保全と緑化の推進(Ⅱ)

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(現在の斜面・雑木林)              (里山風植栽設計図)

  国道沿いの校門(南門)から学園に入ると左側の石垣の上に細長い斜面が広がっています。一番上部には根が横に伸びるニセアカシヤそれにサクラが幹を連ねていますが、中段は昼間でも日陰になる部分も多く、ササや雑木が雑然と繁茂しています。家に例えれば玄関にあたる場所がこういう状況では、折角新校舎が完成しても環境面での調和を保つことができません。
  そこで、今回、卒業生で造園業の翠龍園・阪上氏にこの斜面の再生プランの作成をお願いしました。阪上氏によると、再生にあたっては〝半分日陰の斜面地であるため、極力水遣り等の管理の手間がかからないようにすること〟と〝中段に群生しているネザサや雑木の繁殖を抑える手立てを考えること〟の二つがポイントであり、次のような具体案が示されました。
  『上段には日本の本来種であるアジサイ・ウツギ等の背の低い木を、下段には大株で寿命が長く丈夫なクリスマスローズやアガパンサスなどの宿根草花を、また、所どころアナベル(白いアジサイ)やユキヤナギといった木を植えることにより、デザイン的に変化を付けます。そして、生徒達が緑の自然環境の素晴らしさを知り、樹木を大切にするという気持ちを持ってくれるように、できるだけ自然のまま育てることにより里山風の雰囲気を醸し出すようにします。また、ネザサの繁殖を抑えるように生育旺盛な中低木で斜面地を覆う方法をとります。』
  このプランに基づいて、間もなく工事を開始します。新校舎が完成する3月末には美しい里山に生まれ変わることになります。そして、5月頃からはヒラド・サツキ・アジサイ等が斜面を賑わせてくれることでしょう。
  なお、高校3年の卒業記念樹もこの里山の中に植えるよう計画しています。

2010年02月08日

高校新校舎~LED照明

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(建築中の交流スペース天井LED)

  2階にある交流スペースの天井照明には省電力・長寿命のLEDベースライトを15台設置していますが、これは天井直付型で乳白色パネル1台の中に54個(64W)のLEDが入っています。従来の40形2灯蛍光灯に比べ消費電力が約26%減少、ランプの寿命も従来型は12,000時間に対し40,000時間と約3.3倍長持ちします。
  LED照明は電気を通すと発光する米粒のような半導体を電灯にしたもので、近年急速に需要が拡大し、多くの企業が参入し始めています。しかし、まだ未成熟であり改良の余地が大きい商品なのです。当初LED照明を採用したいという話をしたところ、〝バラツキがあるため同一品番でも発行色や明るさが異なり十分な照度が得られないかも知れません〟との回答であったため心配していましたが、先日建築中の現場で確認したところ器具を増やした事もあって、全く問題のない状況に仕上がっていました。
  また1階から5階の廊下壁面のウォール・ウォッシャ―照明にも超小型のLEDダウンライト(7.9W)を使用しています。ピンホール形コーンを採用し余分な光をカットしたシャープな配光で、照射開口寸法は5円玉サイズしかありませんが、ハロゲン電球35W相当の光量があり、省エネにも大いに役立つことになります。

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(LEDウォールウォッシャー カタログより)

2010年02月07日

高校新校舎~屋上緑化と雨水利用

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(学園の設置予定図)

  本学園に来訪された方からは、しばしば「多くの木が植えられており、素晴らしい環境ですね」という言葉をお聞きします。今回の新校舎建設にあたっては、極力現在の緑の環境を守ると共に緑化のスペースを増やすことにしました。この考え方に立って、メタセコイアを移植し、倒れ防止のためのヒマラヤスギの補強工事を行ないました。そして、新校舎に屋上緑化のシステムを導入することにしました。
  近年、環境問題への対応として「屋上緑化」や「壁面緑化」が注目されてきていますが、実は屋上庭園や蔦(ツタ)のからまる壁を持つ建築物は随分古くから存在しているのです。この屋上緑化は〝ヒートアイランド現象*の防止〟と〝屋上面への断熱効果〟があり、屋根からの熱侵入を防ぎエアコンの負荷を低減するため、省エネ・CO2削減につながります。しかし、これまでの屋上緑化は多量の土を使用するため、重量が重く、風雨で土が飛んだり雨で流れたりする事が難点でした。
  今回採用するシステムは土の代わりに新素材「パフカル」という人工培土を使用し、水・栄養・空気を効率的に供給する水耕栽培型の直裁ユニットであり、〝クリーン〟で〝軽量〟というのが特徴です。具体的には、4階の屋上に260㎡を予定していますが、これにより電気代が年間で約40万円節約できることになります。一方、このままでは潅水のために年間の水道代が約15万円必要となるため、雨水をタンクに集めて貯水し、必要な分だけを水位センサーによる自動灌水システムによって利用することにより、水道代を節約すると共に古くなった葉っぱの除去や伸びすぎた枝の剪定のほか施肥・害虫の駆除などのメンテナンス費用を工夫していく予定です。

  *ヒートアイランド現象
    都市部の気温がその周辺の非都市部より異常な高温を示す現象

2010年02月05日

高校新校舎~太陽光発電システムの導入

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          (イメージ)                 (学園のシステム)

  高校の新校舎は環境に配慮した学校設備・新エネルギーの活用をはかるため、太陽光発電システムを導入することにしています。これは太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換して発電を行なう仕組みです。発電される電気は直流ですので、一般電源と同じ交流の電気に変換するパワーコンディショナーという装置が必要です。
  この装置で交流に変換された電気はその後、分電盤を通り教室の照明エネルギーとして使用されます。空調も含めて全教室の電気をすべて太陽光発電で賄うためには膨大なパネルが必要となるため、新校舎の普通教室(7教室×3学年=21教室)の照明相当分を賄える、20kwの太陽光発電設備にしました。そして、建築当初は5kwの発電能力を有する太陽光パネルを設け、段階的に増設していく計画です。このため、実際には電力会社(関西電力)から供給される電気と併せて使用することになります。単純に計算すると、初年度については5教室分にしかなりませんが、近年パネルに関する技術は急速に進んできており、性能は大幅にアップすることが期待されます。恐らく数年先には20kwを大きく上回る電力が確保できるのではないかと思っています。
  また、この太陽光パネルの学校への設置は、文部科学省のエコキャンパス推進事業に指定されており、事業経費3分の1以内の補助金を受けることができるようになっていますので、この制度を活用させていただくことになります。

  現在、わが国におけるエネルギーの自給率は原子力を除くと約4%しかなく、この自給率を引き上げていかなければなりません。そして、一方では2020年までにCO2の1990年比25%削減をはかろうとしています。これを同時に実現していくためには、さまざまなクリーンエネルギーの創出が不可欠です。
  今回、導入する太陽光発電は大きく環境保全に貢献します。例えば20kwシステムの場合、地球温暖化の原因のひとつであるCO2の削減効果は高さ10メートルのクスノキに換算して約20本を植林した効果があり、1年間のCO2削減効果は18リットル灯油缶で約310缶の石油を節約した計算となります。
  本校では、この太陽光による発電の取り組みをビジュアル化することによって、環境教育に結びつけていく予定です。

2010年02月04日

高校新校舎~基本コンセプトと概要

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  高校新校舎の建設も順調に進んでおり、来月には完成する予定です。現在の高校1年生と2年生、それに来年度入学される生徒の皆さんは4月からこの校舎で高校生活を送ることになりますので、これから何回かに分けて概要を紹介します。
  この校舎の基本コンセプトは〝エコ〟と〝ゆとり〟をテーマに「教育スペースの充実」と「環境との調和」を目指すというものです。まず、教育スペースの充実については、普通教室の面積が60㎡から76㎡と26%、廊下の幅員は2.5mから2.8mと12%広がります。また、教員と生徒、生徒間、教員間の交流をはかることにも配慮しています。具体的には交流スペース70㎡を新設し、職員室も279㎡から337㎡へと21%拡大し、教員が休養できるスペースを確保するというものです。
  次に環境との調和については太陽光発電や雨水利用、樹木の保全と緑化の推進、省エネルギー対応型設備の設置、シックスクール対策を採用しています。
  施設の概要は1階に調理・被服・美術の各特別教室の他、生徒会室・保健室・生徒相談室・用務室それに多目的スペース(ろくまる≪60≫ホール)、2階は職員室(談話室・健康管理室・更衣室含む)・交流スペース・音楽・社会(視聴覚室兼用)の各特別教室・演習教室2室と進路指導室。3階は普通教室7室・化学・生物・物理・書道の各特別教室、4階と5階はほぼ同じ仕様で普通教室が7室、という配置になっています。
  また4階北側屋上には雨水を利用した屋上緑化設備、5階屋上南側には太陽光発電のパネルが設置されます。これまでの校舎は4階でしたが、1階増えたことによりスペース的には余裕ができ、普通教室は合計21室、特別教室は合計9室を確保が可能になりました。

2010年01月26日

学校の耐震化

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  高校新校舎の建設は順調に進んできており、既に躯体工事が終了し、建物全体の姿が明らかになってきました。1階から順に進められてきた壁ボードや天井ボードの貼りつけ等の内装工事、電気や空調等の設備工事も最後の5階部分に取りかかっています。また、外装の仕上げも1月中には終わる予定で、これからいよいよ追い込みの段階に入ります。今も140人から160人の方が安全に留意しながら、日々建築現場で作業していただいていますので、このままのペースでいけば3月中旬にはほぼ完成するのではないかと思います。 
  並行して、生徒や先生の意見を確認しながら進めてきた机や椅子、ロッカー等の備品、照明、AV機器等の選定もほぼ決定しました。このような厳しい経営環境の中で、新しい校舎建設を行なうことができるのは色々な人のお力添えの賜物であると心より感謝しています。

  さて、本校では、この高校新校舎建設工事に先立ち、すべての建物の耐震構造の点検を行ないました。そして、必要な建物については耐震化工事を行ないましたので、地震に対する備えは万全になりました。
  ところで、わが国の学校の耐震化に関して大変気がかりな点があります。先日の新聞によると〝震度6強の地震で倒壊する危険性があるとされる公立小中学校の校舎等の耐震化工事の予算が大幅に削減された〟との報道がなされていました。現在全国の公立小中学校の耐震化率は67パーセントという結果になっています。つまり実に3校に1校の割合で耐震性がなかったり、耐震診断が実施されていないということになります。新政権の目玉となる公立高校の授業料の無償化の予算をひねり出すための措置であるとのことですが、学校施設の安全確保というものは最重要課題ではないでしょうか。

2009年12月19日

CO2の削減目標

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  現在、デンマークの首都であるコペンハーゲンでCOP15が開催されていますが、先進国と発展途上国間のCO2総量の削減義務については平行線のまま合意に至らない状況です。これまでに合意に至った内容は、科学的な見地に立ち、気温上昇を2度以内に抑制、来年2月までに先進国は2020年に向けた排出削減目標、途上国は排出抑制行動計画を提示、先進国は2010~12年に途上国支援として総額300億ドルを、20年までに1000億ドルの拠出を目指すというものです。
  日本は2020年には1990年比25%減という目標を掲げていますが、改めて対応を問われることになります。そもそも25%というのはかなり意欲的な数字です。というのも:現時点においてはこれまでの増加分も含めると30%をはるかに超える削減が必要ということになります。しかも世界に先駆けて省エネを進めてきた日本の産業界にとっては〝乾いたタオル〟を絞るということになりかねません。仮に日本だけが突出した目標設定ということになれば、排出権の購入等の問題が起こり、企業の国際競争力は低下してしまいます。認識しておくべきことは中国とアメリカの動きです。世界最大のCO2排出国は中国であり、アメリカと合わせると全体の40%を占めているため、この2ヶ国の動向を無視することはできません。
  また、発展途上国の経済成長を勘案すると、このままでは地球の温暖化は急速に進み、やがては深刻な事態を招くことになるのは目に見えているのです。生態系が崩れることになると最悪のケースでは人類の滅亡といったことも起こるかも知れません。まさに、今は〝総論賛成、各論反対〟という状態ですが、世界の先進国が温暖化ガスを半減する、というくらいの取り組みが必要になってくるように思います。

2009年12月07日

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議の開催

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  12月7日(月)、暦の上では大雪(たいせつ)ということで初冬の真ん中になりますが、まだまだ本格的な寒さは到来してこないようです。奇しくも本日から18日まで、2013年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定書)を協議する『国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)』が、コペンハーゲンで開幕されます。この会議における焦点は先進国の温室効果ガス削減目標や開発途上国の排出抑制策をはじめ途上国支援の大枠について実効性のある「政治合意」を取りつけられるかどうかです。
  政治合意に盛り込まれる先進各国の削減目標は、各国が提示した自主的な数値をもとに、それぞれの温室効果ガス排出規模や過去の省エネ努力を考慮して設定されることになっていますが、それぞれの国の思惑が交錯し足並みがそろっていないのが現状です。交渉の主導権を握ろうと各国は2020年までの温室効果ガスの排出削減目標を発表していますが、問題は出されている数字の基準年が異なっているということです。
日本は2020年の排出量を1990年比25%削減する目標を掲げ、欧州連合(EU)も同20%削減を打ち出しました。一方、米国は05年比で17%削減としていますが、90年比ではわずか3%の削減目標になります。05年比にすると日本が30%削減、EUが13%削減ということになり、日本の目標が突出していることが分かります。
  EUは「他国が同等の努力をするなら30%削減にまで踏み込む」とアピールしていますが、今のところ追随の動きはみられません。また、エネルギー効率の低かった旧東欧圏の排出削減が比較的容易なことなどを勘案すると、それほど野心的な数字でないとも見られています。
  世界トップで排出量の約21%を占める中国は、国内総生産(GDP)を一定額生み出す際の排出量を「05年比で40~45%削減する」と表明し、インドも「05年比20~25%削減できる」との政府試算を発表しましたが、国際公約にすることは避けたい意向です。
  まさに高い目標を掲げる日本にとって、各国に公平な削減目標をいかに求めるかが課題です。COP15における動きをしっかりと見つめておきたいものです。

2009年12月06日

産業界のCO2排出

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  先月末までに、産業界の主要10業種の2008年度のCO2排出実績が出揃い前年度比で全業種減少になりました。この数値を見ると順調にCO2の削減が進んでいるように見えますが、決して楽観できる状況ではありません。これは昨年のリーマンショックに端を発した不況の影響で減産や消費低迷が進んだからであり、削減の努力をした結果ではないのです。もしこれまで通りの生産が続いておれば、確実にCO2の排出は増加していたと思われます。何故なら京都議定書の基準年である1990年比では電力、石油、電機・電子、スーパー等は大幅な排出増になっているのです。特にスーパーではほぼ100%、電機・電子では68%、電力では44%、石油では31%も増加しています。スーパーの場合は平均延べ床面積が13%も拡大し、営業時間は37%も延長、電機・電子では半導体や液晶のクリーンルーム等での電気の大量消費、電力では原子力発電所の利用率が低迷しました。
  日本はCOガスを2020年に1990年比25%削減するという意欲的な目標を掲げましたが、これを必達するためにはこれまでのやり方を改善するというような考え方では駄目だと思います。また、安易に世界の国々から排出枠を買うというようなことでつじつまを合わせるようなことも避けなければなりません。  
  現在、日本が持っている環境技術を総動員して大幅な削減をはかるための取り組みを進めていかなければならないと思っています。

2009年11月25日

春野菜の植え付け

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  先週、中央棟前の畑に中学3年の生徒達が中心になって、理科の先生の指導のもとエンドウと大根の種を播きタマネギの苗を植え付けました。この場所は今年の夏にトマトの栽培をしていましたが、収穫後は何も植えずにそのままになっていたところです。生徒達は既にゴーヤやサツマイモの栽培の体験をしているため、実に手際よく短時間で作業を終えることができました。スペースはそれほど広くありませんが、日々の生育管理をしていくには丁度良い大きさです。順調に育てば来年の春には収穫が見込めそうですが、これらの野菜についてはトマトと同様、食堂で生徒達に提供してもらおうと思っています。

  本年はこれまで環境教育の一環として、試験的に校内での野菜栽培を行なってきましたが、来年度は理科や技術等の教科、クラブ、学年との連携をはかり、〝校内菜園の組織化〟をテーマに取り組んでいく予定です。本校における環境教育の基本は〝学び、考え、行動する〟ことです。このような実践活動を通じて、生徒達が環境や食の大切さを学んでくれることを期待しています。

《参考》

   ・エンドウの原産地は地中海沿岸から中央アジア地域で、古代ギリシャ等でも栽培されていたようです。また、古代エジプトのツタンカーメン王の王陵からも発見されました。中国には9~10世紀に伝えられ、日本には9~10世紀に遣唐使が持ち帰ったとのことです。

  ・タマネギの原産地はBC3000年以上前のペルシャ・アフガニスタンなどの西アジア、北西アジア、中央アジアにかけての高原地帯であり、ピラミッド建設時にニンニクと共にスタミナ食として用いられていました。

2009年11月07日

サンゴの海を守る

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  研修旅行2日目のメインは最初の宿泊地であるホテルムーンビーチのすぐ近くにある恩納村真栄田漁港での環境学習です。今回の学習はふれあい体験学習センター長の桑江良和氏のご尽力で、サンゴの苗づくりと生態観察を行いました。生徒達は各クラスに分かれて交互に、水槽内で飼育されているサンゴやヒトデ,ナマコ等を手にとって感触を確かめたり、船の上から海中に群生するサンゴを観察しました。そして、特殊なセメントの上に細かく切り分けられたサンゴを貼り付ける体験実習を行いました。
 サンゴは高い温度を嫌うため、まず手を冷やしてからサンゴに触れるなどの細心の注意を払って苗づくりを行いました。サンゴの苗づくりを実習体験したのは本校が最初とのことですが、今回生徒達がつくったサンゴの苗は数ヶ月水槽で育てられた後、海の中にボルトを使って植えつけられることになります。しっかりと根づいて、何年か後には大きなサンゴに育っていることでしょう。
 今、沖縄では地球の温暖化によって、サンゴの白化現象が生じてきているため、サンゴを再生しようとする運動が広がってきています。環境保護のためには、このような小さな取り組みを積み重ねていくことが大切です。環境を守るためにやるべきことは数多くあります。生徒達が今回の体験を機に、身近なことから行動に移していって欲しいものです。

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2009年10月27日

チーム・マイナス6%の取り組み

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  『チーム・マイナス6%』という言葉について尋ねても知らない人が多いようです。
これは、環境省が地球温暖化防止のために行なっている国民的プロジェクトの愛称であり、2005年に京都議定書において取り決められた日本の温室効果ガス6%削減に因んで〝みんなで止めよう温暖化〟を合言葉に結成されました。しかし、現状は温室効果ガスは逆に増加してきているのです。
 実は、本校ではこのチームに加入していますが、まだ全体運動というレベルには到達していません。新政権は温暖化ガスを2020年に1990年比25%削減するという新たな目標を打出しましたが、まず当初の目標を達成することが大切であると思います。
チーム・マイナス6%プロジェクトの目的は、地球温暖化の状況を広く国民に知らせ、温暖化防止のアクションを促すことであり、次の具体的な6つのことを提案しています。
    ① 温度の調節で減らそう・・・・冷房は28℃、暖房は20℃に設定する
    ② 水道の使い方で減らそう・・・蛇口はこまめに閉める
    ③ 自動車の使い方で減らそう・・アドリング・ストップを行なう
    ④ 商品の選び方で減らそう・・・エコ(省エネ)商品を購入する
    ⑤ 買い物とゴミで減らそう・・・ゴミになりそうな過剰包装を断る
    ⑥ 電気の使い方で減らそう・・・コンセントをこまめに抜く
  これらは、一人ひとりが意識しておれば、そう難しいことではありません。一人ではごく小さな削減にしかなりませんが、チーム全員が実施するとなると確実に大きな削減効果が期待できることになります。そして、今、チームとしてこの運動に参加する企業や諸団体が増えてきています。
  温室効果ガスの6%削減は、全世界に対する日本としての約束事であり、これが達成できないということは、国際社会における信用失墜に繋がるのは間違いありませんが、現状ではこの目標の達成はかなり難しいと思います。2020年に先送りするのではなく、多くの国民が参加する大衆運動にまで広げることによってまずこの目標を達成することが大切です。。
  現在、本校は環境教育に注力していますが、個人のレベルを超えたチームとしてのレベルにまで高めていくことが必要ではないかと思っています。是非、家庭においても環境に対する意識を高め行動に結びつけて欲しいものです。

2009年10月20日

友人からの野菜の贈り物

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  近くの農園を借りて野菜作りを始めてからほぼ一年が経過しました。この間、自己流で玉葱、大根、さやえんどう、きゅうり、ゴーヤ、トマト、シシトウ、サツマイモ等を栽培してきましたが、必ずしもすべてがうまくいった訳ではありません。先日、友人との電話の中で野菜作りの話しになりましたが、その後シシトウ、茄子、ミョウガ、パプリカ等の野菜が送られてきました。どれも見事な出来ばえで、早速美味しくいただきました。彼は7、8年前から近所の農家から約200坪の土地を借りて色々な野菜作りをしていますが、高齢のため農業を続けられない人が増えてきているようです。 現在、日本の農業人口は年々減少し300万人を割っています。つまり国民の3%に満たない人が日本の食料の大半を支えているのです。しかも、この約半数の140万人が70歳以上になっており、40歳未満の人はわずか35万人しかいません。
  更に、世界の食料事情が不安定化し、食料自給率が41%しかないという状況にもかかわらず、わが国の耕作放棄地は年々増加し約40万haに及んでいます。これは実に埼玉県の総面積に匹敵する大きさです。かつて自給自足があたり前であった日本は食料生産軽視の消費ばかりの国になってしまいました。政治だけに任せていくのではなく、地域をあげて耕作放棄地の活用をはかり、地産地消を推進していくことが必要であると思っています。

2009年10月04日

サツマイモのためし掘り

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  自家自給率を上げるという目標を掲げ、近くの農園を借りて野菜の栽培を始めて約一年が経過しました。最近はインターネットという便利なものがあり、調べたいことがあれば簡単に情報を入手することができます。そのため全く経験がなくてもこれまで何とか野菜づくりを続けてきました。この一年間に収穫したのは大根、玉葱、エンドウ、ソラマメ、キュウリ、トマト、ゴーヤ等です。特にエンドウやキュウリ、ゴーヤは予想をはるかに上回る量を収穫することができました。
  なかなか時間が取れないため、農園での作業は休日ということになりますが、野菜が育っていくのを見るのは楽しいものです。しかし、涼しくなるにつれてさすがに夏野菜であるキュウリは実をつけなくなり、ゴーヤやトマトも収穫量が減ってきました。
  代わって6月上旬に蔓(苗)を植えたサツマイモが蔓を伸ばし、葉を茂らせています。サツマイモが日本に伝来したのは17世紀と言われていますが、あまり肥料を必要とせず、比較的連作もできるため育てやすい作物のひとつです。収穫までの期間が約4ヵ月ということなので、本日〝ためし掘り〟をしてみたところ、かなりの大きさになっていました。この様子では一週間後には全て掘り上げることができそうです。
  今、本校においても環境教育の一環として野菜の栽培に取り組んでいますが、自ら体験することによってアドバイスできるようになりたいと思っています。

2009年09月30日

食物の無駄をなくす~蔓割れのりんご

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  最近は会社を退職して農業を始める人も徐々に増えてきているようですが、私の知人にも新たなチャレンジを始めている人が何人かいます。その中の一人にパナソニックの販売会社を中途退職し、青森県津軽郡で減農薬のりんご栽培園『アップルファームおさない』を経営しておられる長内 哲氏がいます。
  数年前、朝に果物や野菜ジュースを飲むのが健康に良いということを聞き、りんごと人参のミックスジュースを飲み始めました。しかし、スーパーで販売されている色が美しく形の整ったりんごには農薬が含まれている可能性がありますし、折角りんごを買ってきてもジュースにすれば同じことになります。そのような折、長内氏に相談したところ「自分の農園では極力農薬を使わないようにしていること。蔓割れや打痕のあるりんごが大量に発生するが、味は変わらないためジュースにするのならこれで十分である。」いう返事をいただきました。それ以降この蔓割れりんごを毎年注文することにしています。
  9月になって食品売り場にはようやく今年採れたりんごが並ぶようになってきましたので、先日連絡したところ早速新鮮なりんごを送ってくれました。そのまま皮を剥いて食べたり、ジュースやジャムにして美味しくいただいています。
  十分食べることのできるりんごを廃棄しているということを聞けば、食糧難で困窮している国の人達は驚くことでしょう。日本ではこれまであまりにも食物の外見にこだわり、規格外の品物については廃棄する等の処理をしてきました。しかし、これからは〝使えるものを使わず、逆に費用をかけて廃棄する〟というやり方を見直し、食物の無駄をなくしていかなければならないと思っています。


2009年09月29日

大きな可能性を秘めた環境技術

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  昨今、温暖化ガスの抑制をはかるための各国の環境への取り組みが注目を集めています。日本も2020年には1990年比25%減という意欲的な目標を掲げていますが、:現時点においてはこれまでの増加分を含めると40%近い削減が必要ということになります。また、世界全体から見るとBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)やVISTA(べトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)等が大きな経済発展を遂げることになり、これに伴って温暖化ガスの排出量も増大します。このことを勘案すると長期的に見て先進諸国においては温暖化ガスを半減するというくらいの目標を持って取り組むことが必要です。
  そのためには、過去の延長線上の考え方ではなく、枠組みを大きく変えることが不可欠です。振り返ってみるとこの100年間は石油というエネルギーをベースにした『大量生産・大量消費・大量廃棄』の時代でした。しかし、これからは徹底的に脱石油をはかり、地球環境を守るという視点に立って行動していくことが大切です。そのような目で現状を見ると大きな可能性を秘めた環境技術が次々と生まれつつあります。ハイブリッドカーや電気自動車、リチウム・イオン電池、コージェネレーション、非食料バイオ燃料、LED照明、太陽光・風力・バイオマス発電、CO2の地下貯蔵、スマートグリッド(次世代送電網)等です。
  そして、何よりも心強いのは、日本はこれらの環境技術を数多く保有していることです。かつて日本の製造業はオイルショックを経験して世界トップ水準の省エネ技術を確立しました。温暖化抑制という世界の動きは日本にとって千載一遇のチャンスであると前向きに受け止め、官学民が連携して取り組んでいくことが大切であると思っています。

2009年09月14日

日本のエネルギー事情~自給率の現状

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  民主党の鳩山新政権が掲げる温室効果ガスの削減目標「20年までに90年比25%削減」については連日のようにマスコミに取り上げられていますが、日本のエネルギー事情について触れておきたいと思います。
  環境クイズの中の質問にもありましたが、日本で使うエネルギーの96%は輸入に依存しています。言い換えると1次エネルギーとしての石油、液化天然ガス、石炭といった化石燃料と原子力発電の燃料としてのウランを海外から輸入し、これを電気、都市ガス、灯油といった使い勝手の良い2次エネルギーに転換しています。このうちの約半分(47%)が石油であり政情不安な中東からの輸入になっています。このように日本のエネルギー自給率は原子力発電を含めても19%、これを除くとわずか4%しかなく、エネルギーの安定確保をはかることが極めて大切であることが分かります。
  1960年には日本のエネルギー自給率は国内炭や水力発電の活用により60%を達成していました。しかし、高度成長時代に安価な石油が大量に供給されるようになり、一挙に石油への転換が進みました。そして、1973年(昭和48年)の第1次オイルショック時までには石油の依存度は77% にまで上昇することになりました。このオイルショック時には、それまで1バーレル2~3$で推移していた石油が12$に急騰しました。これに危機感を持った日本企業は徹底的に省エネを進めましたが、これが結果的に企業の体質強化に繋がったのです。その後石油価格は乱高下し、昨年7月には投機マネーの流入等もあって1バーレル134$という異常な価格になったのです。いずれにしても温室ガスの削減のためには化石燃料の依存度を減らす努力が必要です。これから何回かにわたってエネルギー問題について紹介していきたいと思っています。

2009年09月13日

食物の無駄をなくす

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  これまで日本では美しくて形の良い物しか売れないという理由で、不揃いの野菜や規格外の加工食品等のほとんどが店頭に並ぶことなく廃棄されてきました。そして、廃棄処分されている野菜の量は実に全体の40%にものぼると言われています。果物や魚についても小さいものや傷のついたものは野菜と同様捨てられているようです。外国の人から見ると同じサイズの美しい野菜や果物、魚が並んでいるということは驚きのようです。
  しかし、最近スーパー等では規格外の安価な野菜が販売されるようになってきました。これらの規格外の野菜は形が悪くても栄養価には変わりがないため、徐々に消費者に受け入れられてきているようです。また、地産地消ということで葉のついた大根や土のついた人参や里芋,ずいき等も店頭に並ぶようになってきました。
  先日、農林水産省もやっと規格外として処分される野菜の出荷を生産者に求める方向で検討に入るというコメントを発表しましたが、食料自給率を高めるためには、消費者も食に対する意識を変えていくことが必要です。
  今年の文化祭では西谷地区の農家にご協力いただき地元野菜の販売を行ないましたが、今後は規格外の野菜の有効活用をはかることも検討していきたいと思っています。

2009年09月10日

『3R』の取り組み

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  今年の文化祭では全生徒がゴミの削減に取り組み大きな成果を上げることができました。具体的には初日の模擬店において〝マイプレート、マイ箸〟を持参するようお願いすると共に終了後は資源ゴミとして「ペットボトル」「アルミ缶」「古紙」「ダンボール」を分別し、リサイクル業者に引き取ってもらうことにしました。
  以前、環境クイズの中で 「日本国内で1人が1日あたりに出すゴミの量はどれ位ですか?」 と言う質問をしましたが、答は約1.1Kg、1年では400kgになります。そして、ゴミの回収と処理には1トンで5万円のお金がかかっているのです。
  日本はこれまで経済の発展に伴って「大量生産」、「大量消費」、「大量廃棄」のライフスタイルが定着してきました。大量生産によって物を安く入手することができるようになったため、残念なことに使い捨てという風潮が生まれてきました。これらのゴミは焼却と埋め立てを中心に処理されていますが、近年廃棄するゴミの増加によって新たな環境問題が起こってきており、看過できない状況になってきています。この普通ゴミの内訳を見ると家庭ゴミ7割、事業所ゴミ3割となっています。このうち事業所ゴミは有料化、自己処理義務で減りつつありますが、家庭ゴミは増え続けているのです。
  環境問題の中で、ゴミと資源に関わる問題を解決していこうというのが、「Reduce」「Reuse」「Recycle」の頭文字を取った『3R』の取り組みです。今回の文化祭では生徒達が「Reduce」と「Recycle」に、PTAが制服の「Reuse」に取り組みましたが、これから各家庭においても3Rを心がけて欲しいと思っています。
 
*「Reduce」というのは〝使い切った後に出るゴミの量を少なくする〟=減らす
* 「Reuse」というのは〝一度使ったものをゴミにしないで何度も使う〟=再使用する
* 「Recycle」というのは〝使い終わったものをもう一度資源に戻して製品をつくる〟=再資源化する 

2009年09月02日

水のいらないバイオトイレ

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  9月2日(水)、先週に続いて高校の全校朝礼を行ないました。先週は8時30分を過ぎても遅れて体育館に入ってくる生徒がおり、生徒指導部長から時間厳守についての指導がありましたが、本日は見事に整列完了していました。このように反省を踏まえてキッチリと団体行動できるというのは素晴らしいことだと感じました。本日は部活動の表彰の後、次のような話をしました。
  〝先週はポイ捨てや産業廃棄物のゴミのために富士山が世界遺産に登録されないという話をしましたが、実はもう一つ、トイレの問題があります。富士山では五合目以上には設備の整ったトイレがないため、し尿が垂れ流しになっており、使用済みのトイレットペーパーが散乱し、白い川と呼ばれる状況になっています。これを何とか改善するために設置され始めたのが『バイオトイレ』です。このトイレは全く水を使わずオガクズを入れ、熱を加えることによってし尿の中に含まれる90%の水分を蒸発させ、残りの10%の固形物を微生物で分解するというものです。このバイオトイレのことがマスコミ報道されると世界各国から問い合わせが殺到しました。日本でも昔のトイレは汲み取り式になっており、し尿を肥料として使用していましたが、今はほとんど水洗式になってきています。しかし、水の不足している国ではトイレのし尿処理は実に頭の痛い問題です。そして、今多くの国でこのバイオトイレの設置が始まってきています。また最近では普及し始めた太陽光パネルを活用することにより、電気のない所にも設置することができるようになってきました。
  皆さんの中には将来どういう仕事に就いたら良いのか分からず、不安に思っている人もいると思います。しかし、人が困っていること、不安に思っていることを解消してあげるという姿勢を持ち続ければ必ずやるべき仕事は見つかります。たとえうまくいかなくてもチャレンジし続ければ成功できると思います。〟
 
  *現在、バイオトイレは山頂部や離島だけではなく災害時やキャンピングカー、ペットの糞尿処理、コンポスト、また一般家庭等での使用も始まってきており、海外でもドライトイレと呼ばれ普及が拡大してきています。

2009年08月28日

食料自給率を高める

サツマイモ  《サツマイモ畑》

  日本の食料自給率は少し改善され41%になりましたが、なお先進諸国の中では極端に低い水準です。今、日本は世界各国からさまざまな食料を輸入していますが、これを可能にしているのは約1兆ドルにも及ぶ外貨を保有しているからです。この膨大な外貨は自動車や電機、建設・工作機械等の輸出によってもたらされているのです。しかし、近年世界の人口が急増してきており、必要な食料は増加の一途を辿ってきています。また、一方で地球環境の激変によって干ばつや大洪水が発生し、農作物の収穫が急減するといったケースが増えてきています。更に、本来食料にすべきトウモロコシやサトウキビがバイオ・エタノールの材料に使用されるようになる等、エネルギーが食料に優先されるような動きも出てきています。
  このような状況は今後も継続して起こってくるため、食料不足は益々顕著になってくると思われます。日本は戦後急速な発展を遂げ、世界有数の経済大国になりましたが、その一方で農業や漁業といった人間の食生活を支える産業が衰退してきました。長期的に見た場合には食料の国際価格は上昇しますし、極端な場合にはお金があっても売ってもらえないというケースも出てきます。食料自給率を高めるためには、国をあげて取り組んでいかなければなりません。まず、食料に関する現状を国民一人ひとりがしっかりと認識していきたいものです。

2009年08月26日

富士山のゴミ

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  8月26日(水)、夏休み後初めての高校生対象の全校朝礼を行ない、富士山の写真を見せながら次のような話をしました。
  〝今日は富士山に関する話をします。富士山は遠くから見ると誰もが本当に美しい山だと感じると思います。日本が世界遺産条約に加入したのは1992年ですが、その当初から富士山を世界遺産にしようという動きがありました。
  富士山の自然遺跡的な価値は、単独の火山で3000mを超える山は世界的にも難しい、裾野までの姿が美しい、溶岩洞窟には希少な野生動物が住んでいる、溶岩地形が多様である等です。しかし、残念なことに17年経った今も世界遺産にはなっていません。どうしてなのでしょうか。実はこの原因は富士山のゴミ問題なのです。
  富士山には年間で3000万人もの観光客(1日では約8万人)、30万人の登山客(1日では8千人)が訪れています。登山道であるハイウエイ(スバルライン)ができたことにより、渋滞がおきタバコの吸殻や空き缶が投げ捨てられるようになってきました。また、日の出を見るために夜間に登山する人が多くうっかりポイ捨ても増えてきています。更に産業廃棄物が大量に不法投棄されています。これに対して『環境保全対策委員会』の設置、環境NPO団体による保全活動、ボランティアによる樹海の清掃活動等が行なわれていますが、ほとんど改善されていないのが実情なのです。このように一人ひとりの人間の行動が富士山という素晴らしい自然環境を破壊しているのです。
  大切なことは「一人ひとりがゴミ問題を自分のこととしてとらえ、意識しながら生活していく」ということです。 今、学園内では、校務員やシルバーの方が常に清掃を心がけていただいているお陰で、美しい環境が保たれていますが、《私散らかす人   あなた掃除する人》ではいけないと思います。
  環境の取り組みは3R = Reduce / Reuse / Recycle/が基本ですが、この中でもゴミを出さないというReduceが最も重要です。今年の文化祭のテーマは、≪エコ ニコ≫ですが、是非、全員が美しい環境づくりを心がけていきたいものです。〟

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2009年08月19日

ゴーヤのグリーンカーテン

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        《学校のゴーヤ》
  
  お盆を過ぎて朝夕はめっきりしのぎ易くなってきましたが、ここ数日昼間はむしろ暑さが戻ってきているようです。先週はほとんどの活動を中止していましたが、今週からは夏休み三回目となる補習が始まりました。また、自習や部活動、文化祭の準備等で多くの生徒が登校してきていますので、食堂や図書室は開いています。来週からは授業が始まりますが、生徒達はそれぞれ充実した夏休みを過ごしているようです。
  本日は久しぶりに構内を巡回しましたが、今夏たくさんの実をつけたトマトも残り少なくなってきました。一方学園グランドに植えたサツマイモは順調に育ってきています。また仮校舎の南側のゴーヤはツルを伸ばし教室の窓を覆っていますが、まだまだ隙間が多く本格的なグリーンカーテンを作るためにはもう一工夫がいるように思います。
  本校では来年の新校舎建設に伴い環境教育の一つの柱として野菜作りを計画していますが、何の準備もなく急に始めてもうまくいかないのは当然です。そのため今年はトライアルの年と位置づけて試験栽培を行なっています。また、私は身近で観察するために学校と同様トマト、ゴーヤ、サツマイモを栽培していますが、とりわけゴーヤの生育状況は良好で完全にグリーンカーテンが形づくられ、多くの実も収穫しています。室温は直射日光が当たらないため2~3度は低くなっており、効果はあることが判りました。いずれにしても今年の反省を生かして来年度は改善を加えていきたいと思っています。

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       《ゴーヤのカーテン》


2009年08月17日

環境改善への取り組み

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  夏休みを利用して各分野における環境対策について調べてみましたが、例外なく環境改善の取り組みが活発化してきています。特に多くの企業においては環境問題を経営戦略の最重点課題として取り上げています。かつては品質を高めるための『ISO9000』を取得していましたが、今は『ISO14001』と言われる環境基準を取得するところが増えてきています。具体的には電気・ガス・水道等の原動費の削減、リサイクル率やリユース率の向上、ペーパーレス化、物流コストの削減といったテーマに対する目標値を設定し、取り組んでいます。また、メーカーにおいては省エネの画期的な新製品が開発されてきています。
  また、この活動に先立って取り組まれているのが『5S運動』です。5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字を表しています。この5つが環境改善のベースなのです。一般的に見て職場環境に問題のある企業で経営がうまくいっているところはないと言っても過言ではありません。トイレが美しいか、整理整頓ができているかと言う二つを見ただけで経営状況がわかるというのは、紛れもない事実なのです。生産現場を取り上げてみても整理整頓や清掃が行き届いていないところは、必ず安全や品質上の問題が発生します。
  本校においては環境教育に注力していますが、改めて環境改善に取り組むことが大切であると感じました。来週から本格的に学校が始まりますが、生徒、教職員、校務員がそれぞれの役割を明確にしつつ、全員で行動していかなければならないと思っています。

2009年08月11日

地球環境を守る~家庭菜園の薦め

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  8月11日(火)、台風9号が去り雲の間から久しぶりに太陽が顔を出しました。今年は日照時間が少なくて夏野菜の生育が思わしくないという新聞記事が掲載されていましたが、わが家の夏野菜は順調に育っています。植えているのはトマトとキュウリ、ゴーヤ、シシトウ、ミョウガ、アスパラガスですが、特にゴーヤとキュウリは一日空けると大きくなりすぎるため毎日収穫しています。家族では食べきれないほどたくさん採れるので、ご近所にも配らせていただいていますが、予想以上の出来ばえです。
  これまで何度も紹介させていただいていますが、日本の食料自給率は40パーセントしかありません。言い換えると我々日本人が食べている食料の60パーセントは海外からの輸入です。そして、食料を運搬する航空機や船舶に多量の燃料を使うだけではなく、バーチャルウォーターという形で貴重な水を輸入しています。更に、食べ残しの生ゴミを処理するために多量の石油を使っており、地球の環境をますます悪化させているのです。
  一人ひとりの力はわずかですが、環境を守るためにはまず自分で出来る身近なことから始めることが大切です。これからも〝農薬と化学肥料を使わない〟野菜づくりを続けていきたいと思っています。

2009年08月05日

利用可能な水の量~環境クイズの答え(No4)

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  地球人口の爆発的な増加や地球温暖化等の影響で、安定した水の確保は21世紀における大きな課題になるのは間違いありません。地球は大量の水に覆われていますが、97.5%は海水で、真水は2.5%に過ぎません。このうち生活用水に利用できるのは0.008%しかありません。分かりやすいように地球上の水をバケツ一杯にたとえると、人間が使える水の量は小さじ一杯程度しかないということになります。
  現在水不足に苦しむ人々は中東やアフリカを中心に世界で約5億人いると言われており、灌漑が整っていない等の理由で水がうまく利用できていない地域を含めると世界人口の3分の2が水不足という状況下にあります。
  更に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた報告書によると、2050年までに利用可能な水資源が現在よりも10%~30%も減少する地域があると予測されています。
  それではわが国の水事情はどうなっているのでしょうか。日本は毎年到来する台風等の影響で水が豊富にあると思われがちです。確かに日本の年間降水量は1718ミリメートルと世界平均の約2倍になっていますが、一人当たりに換算すると世界平均の3分の1程度しかありません。にもかかわらず水不足を実感しなくて済むのは食料を輸入することで大量の海外の水を使っているからなのです。また、この食料以外に材木も大量に輸入しているため、間接的に世界から水の供給を受けているということになります。
  このような事実をしっかりと認識した上で、日常生活において水を大切に使うようにしていきたいものです。

2009年07月30日

レジ袋の消費とマイバック運動~環境クイズの答え(No3)

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  環境クイズの答えの3回目です。

  問6  日本国内で1年間に消費されるレジ袋は何枚ですか?
  スーパーやコンビニエンスストアで商品を買うと手渡しされるレジ袋、私もこれまでは何の抵抗もなく受け取っていました。しかし、環境に対するさまざまなことを調べていくと驚くべきことに、わが国においてこのレジ袋は年間実に305億枚使われているということが分かりました。単純計算では1人平均年間240枚ということになりますが、実際に買い物をしている人で見ると1人1日1枚のレジ袋を受け取っていると言えるのではないかと思います。このレジ袋は1枚約10gで、原料はポリエチレンから作られています。そして、一枚作るためにはお猪口(盃)一杯分の石油が必要なのです。つまり日本で消費されているレジ袋を賄うためにはお猪口305億杯という膨大な量の石油が要るということになり、これは超大型タンカー2隻分、50mプールでは600個分ということになるそうです。レジ袋の使用時間は帰宅までのわずか30分であり、最終的にはゴミとして捨てられてしまうのです。そして、ほとんどが焼却ゴミとして処理されています。このように考えるとレジ袋は大切な石油を無駄にし、地球の温暖化を促進している品物であると言わざるを得ません。
  昨今、スーパーやコンビニもレジ袋を何とか削減したいということでさまざまな取り組みを行なっていますし、マイバックを持とうという運動も広がってきています。また、日本の伝統である風呂敷を積極的に活用しようという「まいふろしき」運動も全国各地で起こりつつあります。環境先進国であるドイツでは、買い物には〝買い物バッグ〟か〝買い物カゴ〟を持参することがあたり前になっています。わが家でも買い物をする際にはマイバッグを持参することにしていますが、一人ひとりがこういった運動に参加することにより、レジ袋の削減に取り組んでいきたいものです。

2009年07月28日

ゴーヤとトマトの成長

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  7月28日(火)、昨日に続いて多くの生徒達が早朝より登校し、各学年の夏期講習に参加しています。午後からも、部活動や文化祭の準備等を行なっている生徒が多く、調理人さんの話では食堂の利用も通常授業の日とあまり変わらない状況のようです。また、並行して保護者懇談が行なわれているため、何人かの保護者の方とはお話をさせていただきました。
  毎朝、学校に来るとできるだけ校舎内を巡回するようにしていますが、今日は久しぶりに校庭にも足をのばしてみました。生徒達が植え付けていたゴーヤやトマトが随分大きくなってきており、多くの実をつけています。今年は殊の外、梅雨明けが遅いようで天神祭りが終わっても、まだ本格的な暑さは到来してきていません。このため心配していた夏休みの水遣りも今のところは必要ないようです。一時はカラスの被害にあっていたトマトも防鳥ネットの効果が発揮され、最近は多くのトマトの実が赤く色づいてきています。最近はこれらを収穫して食堂を利用する生徒達に出していただくようにしていますが、思った以上に立派な実が収穫できているようです。
  本校は高校の新校舎建設にあわせて、さまざまな環境活動を計画しており、今年はあくまでトライアルという位置づけですが、この経験を生かしていきたいものです。


2009年07月26日

月下美人が一斉に開花

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  今年も7月23日から25日にかけて月下美人が次々と開花しました。24日には全部で28個の見事な大輪の花を咲かせ、ご近所の皆さんと一緒に鑑賞しました。今年は6月にいくつかの蕾をつけたので、開花を楽しみにしていましたが、なぜかすべて落下してしまいました。そのため今年初めての開花ということになりましたが、奇しくも24日にはご近所の家でも月下美人が開花しました。最初は垂れていた蕾が、次第に上を向き、周りに芳香が漂い、10時過ぎから次々と開花し始めました。しかし、夜が明ける頃に見に行くともう萎んでしまっていました。本当に開花している時間はほんの数時間しかありません。
  インターネットで調べてみると月下美人の原産地はメキシコやエクアドル、ベネズエラ、ブラジルなどの熱帯雨林で孔雀サボテンと同じ種類に属すようです。そして、これらの原産地から導入されたたった一つの株から挿し木や株分けで増やされた同一クローンのものが多いため、開花も同じ日になるとのことです。
  私達の周りにはさまざまな植物がありますが、案外これらのルーツは知られていないようです。先日高校の新校舎建設に伴い移植したメタセコイヤのルーツについても実に興味深いことが分かりました。私も最近バラ・ユリ・蘭やエンドウ・ソラマメ・トマト・ナス・胡瓜・シシトウ・ゴーヤ・茗荷・サツマイモ・紫蘇といった花や野菜の栽培を始めましたが、これからもそれぞれの植物のルーツを調べてみたいと思っています。

2009年07月17日

「割り箸」の消費とマイ箸のすすめ~環境クイズの答え(No2)

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  環境クイズの答えの2回目です。
  問5  日本国内で1年間に消費される割り箸は何膳ですか?    
  
  先日の高校2年生の北海道への修学旅行の際には、生徒達は〝マイ箸作り〟を行ないましたが、今日本で年間に消費されている割り箸は実に250億膳(本とは言わない)です。これを国民一人当たりにすると年間で200膳となり、2日に1回以上は割り箸を使っていることになりますが、この量は木造住宅2万軒分にも相当するようです。割り箸が増えた理由としては居酒屋、レストラン、牛丼、ラーメン、うどんといった外食チェーン店やコンビニエンスストアの増加があげられます。
  かつての日本では間伐材や端材を使って割り箸を作っていましたが、これらは環境保護という視点に立つと非常に有効なものでした。何故なら森を守るためには間伐や下草刈りが不可欠であったからです。しかし、これらは価格が高いというために、今ではほとんどが中国からの輸入品に置き換わってしまいました。中国では木を伐採して丸太から割り箸を作っています。そして、伐採後は植林されるということがなく農地に転用されているのです。これでは環境に良いはずはありません。また中国における割り箸の使用量は450億膳と言われていますが、このために100万本の木が伐採されており、輸出分を含めるとこの数字は更に大きくなります。また、箸を使うという文化を持つお隣の韓国も現在は割り箸の輸入国になってしまいました。
  森の消滅という環境問題に一人ひとりが真正面から向き合うためにも、マイ箸を持つという身近な運動から始めたいものです。

2009年07月13日

水に関するサントリー環境講座

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  7月13日(月)、サントリー水科学研究所の早瀬泰子氏にお越しいただき、文化館視聴覚教室において中学2年生を対象に水についてのお話をしていただきました。中学2年生は今月の23日から林間学舎に出発しますが、〝自然環境の水に学ぶ〟というテーマでサントリーの奥大山ブナの森工場を見学し植樹や森での作業を行なうことになっています。
  早瀬氏からは〝地球上にある水のうち、我々が使えるのは、ごくわずかしかないこと。海や地表、湖や河川の水は蒸発して雲を作り、雨という形で降り注ぐという自然循環が形成されており、この通り道の一つである森が保水という大切な働きを担っていること。そして、サントリーの奥大山ブナの森工場においては、下草を刈り枝打ちをする等さまざまな森を守る活動を行なっていること。水1リットル中に含まれるミネラル分(カルシウムとマグネシウム)の総量によって軟水と硬水の違いが生まれること。日本は火山が多いため花崗岩や玄武岩の地質が多くミネラル分の少ない土壌となるのに対して、ヨーロッパなど海底の隆起した石灰岩の地質では、ミネラル分の豊富な土壌になっていること。〟等を分かりやすく説明していただきました。
  そして、全生徒に硬度20ミリグラムの「サントリー天然水(奥大山)」と硬度1468ミリグラムの「超硬水コントレックス(フランス)」の入った2つの小コップを配り、自らの舌で二つの水の違いを確認してもらうという体験をしてもらいました。硬水を飲んだ生徒達は異口同音に「まずい」「苦い」「舌に残る」といった感想を述べていました。慣れもあると思いますが、どうやら硬水は日本人の味覚には合わないようです。
最後に「家庭で1人が1日に使う水の量はどのくらいか」という質問がありました。答えは約240リットルで、日本の家庭で最も多くの水を使用するのはトイレ、二番目がお風呂とのことです。
  環境教育は単に知識を得るだけではなく、自ら調べ考え行動することが何よりも大切です。人は水なしで生きてはいけません。今回の林間学舎を機に、生徒達が水に対する関心を高め〝水を大切にする〟という思いに立って学校でも家庭でも身近なことから実践していってくれることを期待しています。

2009年07月10日

世界の国々と人口~環境クイズの答え(No1)~

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 先日、20問にわたる環境クイズを掲載しましたが、これらについての正しい答えと解説をこれから何回かに分けて紹介します。
  問1  世界にはどれだけの国がありますか?
  問2  現在の世界の人口はどれくらいですか?
  問3  これから世界の人口はどうなりますか?(増えるor減る)
  問4  現在の日本の総人口は何人ですか?  
   現在、世界には国際連合加盟国192とバチカンを合わせ、193の国があります。国と地域という分け方をすると約230ということになります。そして、現在の地球の人口は約68億人ですが、これから毎年約7~8000万人ずつ増加しこの状況が続けば2050年には少なく見積もっても90億人、人口増加に歯止めがかからなければ100億人を突破する可能性もあるのではないかと予想されています。
今、食糧、水、エネルギー、環境破壊等数多くの地球規模での課題がありますが、これらの底流にあるのは人口爆発といわれる急激な人口増と急速な経済発展なのです。
 現在、国別の人口を見ると1位~10位は次のとおりです
 1位 中国    13.5億人  6位 パキスタン   1.8億人  
 2位 インド   12億人     7位 バングラデシュ 1.6億人
 3位 アメリカ  3.2億人    8位 ナイジェリア  1.6億人  
 4位 インドネシア2.3億人   9位 ロシア     1.4億人
 5位 ブラジル  1.9億人   10位 日本      1.3億人
そして、11位のメキシコ 1.1億人 までが1億人を超える人口を有しています。
  これを詳細に見ると上位10カ国で世界人口の6割、中国とインドで4割弱を占めることになります。
また、これらの国の中で人口が減少しているのはロシアと日本だけで他の国はすべて増加しています。これらの国が急速な経済成長を遂げるということは、これまで以上に食糧やエネルギーといった問題が深刻化してくるということなのです。そして近い将来インドは1人っ子政策をとる中国を抜いて世界最大の人口保有国になることが予想されています。このように環境問題と人口問題は切っても切れない関係にあるのです。

2009年07月05日

生徒会「ECO」の取り組み

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  本校では環境教育に注力していますが、この基本は〝学び 考え 行動する〟です。そのため授業だけではなく生徒会の各委員会が中心となってECOに対する取り組みを行なっています。
  主なものを紹介すると、自治委員会では「各クラスにおける節電」、文化委員会では「朝の教室の窓明け」と「ゴミの分別の徹底」、厚生委員会では「エコキャップ運動の継続」、文化委員会では「マイクラスエコの推進」に取り組んでいます。
  このうちエコキャップは集めて発展途上国の子ども達へのワクチンに替えることにしていますが、一方ではペットボトルはできるだけ使わず、マイボトルを持参するということを推奨しています。またマイクラスエコではクラス毎に自分達ができるエコを考えることによって、一人ひとりの意識を高めています。
  以上の取り組み以外に生徒会執行部では、サントリー株式会社からトマトの苗をいただき食堂の南側の畑で栽培をしています。芽かきと水やりを続けてきた結果、次々と花が咲き多くの実をつけはじめました。赤く色づいたものから収穫をし、食堂で提供してもらうことにしました。しかし、ここ数日、折角実ったトマトがカラスに食べられるという被害が出始めたためネットをかけることにしました。今年はまだテスト栽培の状況ですが、来年度以降は更にこの取り組みを充実させていきたいと考えています。

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2009年06月28日

環境クイズ

  環境月間も間もなく終了しますが、環境に関する基本的な事柄についても案外知らないことが多いように思います。
全部で20問ありますので考えてみてください。後日正しい答えをお知らせします。

 ●○●  環境クイズ ●○●

  問1  世界にはどれだけの国がありますか?
  問2  現在の世界の人口はどれくらいですか?
  問3  これから世界の人口はどうなりますか?(増えるor減る)
  問4  現在の日本の総人口は何人ですか?              
  問5  日本国内で1年間に消費される割り箸は何膳ですか?    
  問6  日本国内で1年間に消費されるレジ袋は何枚ですか?                  
  問7  日本国内で1年間に生ゴミの量は何トンですか?
  問8  日本国内で1人が1日あたりに出すゴミの量はどれ位ですか?
  問9  地球上の水をバケツ1杯にたとえると、人間が使える水の量はどれくらいですか?
  問10 1人が1日にどれ位の生活排水を流していますか?
  問11 3つのRを全部いえますか?
  問12 日本は二酸化炭素排出量、世界何位ですか? 
  問13 世界中で二酸化炭素排出量の多い国はどこですか?
  問14 温室効果ガスにはどんなものがありますか?
  問15 わが国のエネルギーの自給率はどれくらいですか?
  問16 わが国の食糧自給率はどれくらいですか?
  問17 発電の種類はどのようなものがありますか?
  問18 小麦1㎏を生産するのにどれ位の水がいりますか?
  問19 牛肉1㎏を生産するのにどれ位の水がいりますか?
  問20 1年間に生き物はどのくらい姿を消していますか?
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2009年06月18日

エゾシカによる生態系への影響

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  今回の修学旅行ではエゾシカの生態を調べるプログラムが準備されていますが、現在、北海道においてはエゾシカによる環境被害が大きな問題になってきています。
  エゾシカはアイヌ語では「ユク」と呼ばれていましたが、これは獲物という意味です。そのためイオマンテなどの儀式に使用されるということはなく、単なる食料の対象として考えられていたようです。エゾシカは繁殖力が旺盛で、1歳で成熟し、2歳から毎年出産するため年率20%くらいの割合で増加します。このペースは4年で約2倍になるということです。
  かつては年間10万頭が捕獲されていましたが、絶滅の危機に瀕することになり、1888年捕獲が禁止、その後捕獲の解除と禁止が繰り返されてきましたが、徐々に増加し1994年には道東の4支庁で12万頭が確認されるようになりました。その後2000年代に入ると牧草地の被害拡大、農業被害、交通事故や自動車事故を頻発させることになりました。そして、何よりも憂慮すべきは森林内の下草だけではなく天然林の稚樹にまで食害が発生してきたことです。この状態が続くと若木の成長が期待できなくなり、数10年後には深刻な事態に陥ることが予想されます。最近の調査では驚くべきことに、全道で40万頭のエゾシカが生息しているようです。
  このように個体数が増加した原因は色々ありますが、主なものをあげると ①天然林を伐採して単一の針葉樹を植えたが、苗木の間に成長した下草が餌となり、エゾシカの成育に適した環境が出来上がった。 ②エゾシカの数をコントロールするはずの天敵であるエゾオオカミが100年前に絶滅した。  ③降雪の減少により越冬して生き残るエゾシカの数が増加した。 ④農耕地が増え、エゾシカの餌資源量が増加した。 ⑤過疎化の進行に伴い猟師の数が減少した。等です。
  現在、エゾシカによる被害を防ぐためにさまざまな対策が検討されていますが、アメリカのイエローストーン国立公園ではシカの爆発的な増加を押さえるため、カナダからオオカミを移入して生態系の回復をはかっているようです。我々の周りには数々の環境問題がありますが、環境を守っていくためには、知恵を搾り出し地道な努力を継続していくことが必要であると感じています。

2009年06月17日

食物連鎖と生態系

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  今回の北海道の修学旅行においてはエゾシカやヒグマの生態について調べることになっていますが、どのようにして生態系が成り立っているのかを紹介します。生態系を構成している生物は、その役割から「生産者」「消費者」「分解者」の3つに分類することができます。
  生産者というのは〝光合成によって太陽の光エネルギーを有機物に変える生物(植物等)〟です。消費者というのは〝生産者の作ってくれた有機物を直接的、間接的に利用する生物(動物等)〟です。分解者というのは〝生産者や消費者の遺体や排泄物の中の有機物を無機物に分解する生物(菌類等)〟です。
  このように「食う⇔食われる」という関係によって直線上に繋がっているものを〝食物連鎖〟と言いますが、実際は網目状にからまっているので食物網と呼ばれています。言い換えると、太陽の光エネルギーは生物の力によって形を変え、私達の栄養源(炭水化物、タンパク質、脂質等)となり、やがて分解されて自然界に戻されていくことになります。このようにエネルギーを封じ込めるために用いられた二酸化炭素や窒素等は自然界を巡回しているのです。
  食物連鎖についてはそれぞれの生物の量的な関係が問題になります。自然界では食う方が多くなれば食われる方は少なくなりますが、食われる方が少なくなれば餌が減ることになり、最終的には食う方が少なくなります。このように「食う⇔食われる」という関係を通して生物の量的なバランスが保たれているのです。
  現在いたるところで生態系、自然界のバランスが崩壊してきていますが、この中には人間が自分達の生活を充実させるあまり引き起こしてきたものも数多くあります。今一度、生態系というものについて考えてみたいものです。

2009年06月16日

マイ箸運動の勧め

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  北海道から修学旅行の様子がホームページを通じて次々と届けられています。今のところ全員が元気で通常の学校の授業では味わえないさまざまな体験をしているようです。今回の修学旅行の大きな目的は環境に対する理解を深めるということですが、その中の一つに全員が〝マイ箸〟を作るというプログラムが入っています。昨日のブログにはこのマイ箸作りのことが掲載されていますので、これに関連して、わが国における〝割り箸〟についての実態を紹介します。
  現在、日本で一年間に使用される割り箸は約250~260億膳です。一人平均では何と200膳という数字になります。かつて、わが国においては森の間伐材を使用して割り箸を製造しており、1998年までは北海道と奈良県が、国内の使用量の約70%の割り箸をを作っていました。。一方、1980年代からはファーストフード系の飲食店や弁当屋さん、コンビニエンスストアの台頭によって割り箸の需要が急増することになりましたが、これと共に海外からの安い割り箸の輸入が増加し、1990年以降は低級品が中心であった北海道の割り箸製造は急減、奈良県も大きく製造が落ち込みました。そして、一膳数十円する高級なものしか採算が取れない状況に陥ってしまったのです。当初の輸入先はロシアやカナダ、インドネシア、韓国、中国等でしたが、今ではほとんどが中国製になっています。中国では北部で木製箸、南部で竹製箸が作られていますが、すべて木や竹を伐採し植林を行なわないため環境に大きな問題が生じてきているのです。また、日本においても林業従事者の高齢化により、下草刈りや間伐材の手入れができなくなってきており森の荒廃を招いています。
  私も常にマイ箸を持ち歩くようにしていますが、地球環境を守るという視点からは一人ひとりが使い捨ての割り箸を極力使用しないということが必要なのではないかと思っています。今回のマイ箸作りを機に生徒達が、真剣に環境を考えるようになってくれることを期待しています。

2009年06月11日

温暖化ガス15%削減

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  6月11日(金)、朝刊各紙のトップ見出しは『温暖化ガス15%削減』という活字が並んでいます。
この内容は〝日本の2020年時点での温暖化ガスの中期計画を2005年比15%削減する〟というものですが、1990年の従来基準比では8%減にしかなりません。この年に京都議定書で約束したのは2008年~20012年までに6%削減するということでしたから、わずか2%の上積みにしかならず、大幅な後退と見られるのは間違いありません。
  わが国の温室効果ガスの排出量は1990年(基準年)が12億6100万トンでした。ところが2006年には13億4000万トン、2007年には13億7100万トン(速報値)と増加し、基準年に対しては減るどころか8.7%の増加になっています。厳しい見方をすれば、これまで国を挙げての思い切った環境対策はほとんど実施されず、個々の企業努力に依存するということになっていたように感じます。
またこの間、太陽光発電についても新規の設置に対する補助金をカットする等時代の流れに逆行するような動きになっていました。このため、世界のトップ水準であった太陽光発電についてもドイツや中国等に追い上げられて優位性がなくなりつつあるのです。
  この日本の発表を受けた世界各国の反応は実に冷ややかです。そして、国際世論では残念ながら「低炭素社会で世界をリードする」という日本の思いは受け入れられない公算が大きいと言われています。そもそも今回の目標は、国内の産業構造が大きく変わらないことを前提にはじき出されていますが、世界全体が『低炭素社会』へと踏み出す中で日本が取り残されることのないようにしなければなりません。
今回は家庭の負担が増える内容になっていますが、国民一人ひとりが自分のことや目先のことに目を奪われることなく、多少痛みを伴ってもライフスタイルを変えるという強い思いを持たなければいけないと思っています。

2009年06月10日

中学校全校朝礼~環境問題の原因

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  6月10日(水、)、生憎の雨天のため、中学校の全校朝礼を体育館で実施しました。通常であれば今週は高校の全校朝礼ということになりますが、高校2年生が来週からの北海道への研修旅行に先立ち定期考査に入っているため、先週に続いて中学朝礼を行ない次のような話をしました。

  〝今月は環境月間ということで、本来ならばさまざまな活動がスタートしていなければなりませんが、新型インフルエンザの影響で環境フォーラムが延期になりました。近年、地球の温暖化が進んだためにさまざまな憂慮すべき現象が起こってきています。北極や南極の氷が溶け出す、大型ハリケーンが発生する、大洪水の一方で干ばつが起きる、海面が上昇しツバルやベネチアやオランダなどは水没の危機に晒(さら)されている、マラリア等の伝染病も拡大してきている、北極熊の生息地も縮小してきている、等です。
  何故このようなことが起こってきているかと言うと、その根底にあるのは地球の人口が爆発的に増えてきたからです。地球の人口はこの100年間に3倍以上になり、現在は68億人です。そして、なお1年間に約8000万人ずつ増加してきています。これは1日で20万人、1分で140人という計算になります。この人口増と共にこの100年間で世界は大きく変わってきました。少なくとも自動車、エアコン、冷蔵庫、テレビ、携帯電話、コンピュータ、給湯器等の製品や高速道路、高層ビル等はありませんでした。このように先進諸国の人達は次々と豊かな生活を享受してきたのです。現在、世界には電気も水道もない生活を送っている人がたくさんいます。そして、これらの人々がより良い暮らしを求めていくのは当然です。特に、この10年間で人口が日本の10倍もある中国やインドが急速な経済発展を遂げるようになってきました。これと共に生活水準は向上し、エネルギー消費量は増え、温暖化ガスの排出量が増えてきているのです。

  自分達さえ良ければ後世や他国の人がどうなっても良いという考え方は絶対に避けなければなりません。温暖化のもたらす危機は解るが、「自分ひとりではどうしようもないから行動しない」とか「後のことは考えずに今を楽しく生きよう」ということでは環境は改善されません。無駄な照明を消す、冷暖房の温度を調節する、シャワーを流しっぱなしにしない等自分達でできることはいくらでもあります。
  一人ひとりのできることは限られていますが、多くの人が集まれば大きな力になります。環境月間にあたってまず身近なことから始めてください。〟

2009年06月09日

環境月間と食育月間を迎えて

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  去る6月5日は1972年にスウェーデンの首都であるストックホルムで開かれた『国連人間環境会議』を記念して、国連が定めた国際的な記念日である『世界環境デー』です。日本では1983年に制定された環境基本法によって〝環境保全に対する関心を高め啓発活動をはかる日〟として、この日を『環境の日』に制定し、この日を初日とする1週間を環境週間、6月を環境月間に定めています。また、今月は〝食を通じたコミュニケーション、バランスのとれた食事、望ましい生活リズム、食を大切にする〟ことを目指す『食育月間』でもあります。
  本来であれば、昨年と同様5月末に環境フォーラムを開催し、続いて6月を環境・食育月間として活動することにしていましたが、5月30日に予定していたカナディアン・アカデミーとの連携による環境フォーラムが、新型インフルエンザ発生のため延期になってしまいました。そのため当初の計画が大幅に変更されることになってしまいました。本校では来週からは高校2年生が北海道への修学旅行、その他の学年は定期考査に入りますので、再来週から新たに環境についての取り組みをスタートしていきたいと考えています。
  また、保護者の皆さんには環境フォーラムに併せてエコ弁当をつくっていただきたいというお願いをしていましたが、環境月間だけではなく常に健康を考えたエコ弁当づくりを目指して欲しいと思っています。

2009年06月07日

自家自給率を高める~マーマレードを作る

マーマレード フキの佃煮

  以前この校長通信でも紹介した玉置俊久氏は松下電器を早期退職し、自ら〝みかん百姓〟と称し減農薬のみかん作りを行なっておられます。昨年の暮れにはみかんを送っていただき受験を控えた高校3年生を中心に美味しくいただきました。
  最近、柑橘類についてもオレンジやネーブル、グレープフルーツ等の輸入品が増加しつつありますが、ポスト・ハーベスト(収穫後の農薬)の心配のない国産のみかんを見直していかなければならないと感じ、玉置氏から定期的に色々な種類のかんきつ類を購入しています。先日、届いた新鮮な夏みかんでマーマレードを作ってみました。みかんの皮もすべて使用したため、廃棄するところはほとんどありません。あまり、手間隙をかけずに全く添加物の含まれていないマーマレードが出来上がりました。今は時間を惜しんで安易に食物を入手する傾向がありますが、これらには多くの添加剤が含まれています。これからは安心安全の食物を自らの手で作るということが必要ではないかと思います。
  このような考えで、自宅の庭で群生している蕗(フキ)を材料にして佃煮を作ってみましたが、案外簡単にできるということもわかりました。これからもささやかですが、自家自給率を高めるための取り組みを続けていきたいと考えています。
  
  ところで、玉置氏は先日行なわれた和歌山県の日高川町長選で第二代目の町長に選出されました。これまで日高川町観光協会の会長として和歌山県の天台宗最古の寺である道成寺に京都の妙満寺から実に420年ぶりに釣鐘を里帰りさせたり、手づくりログハウス倶楽部を立ち上げたり、備長炭の産地を売り込むため「日本一長い焼き鳥」に挑戦する等斬新なアイデアで活性化に取り組み〝町おこしのプロデューサー〟として『魅力ある日高づくり』を推進されてきていましたが、これからも大いに町の発展に尽くされることを心より願っています。

2009年05月24日

自家自給率を高める~えんどう豆の収穫

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  本校では環境教育の大きな柱として食の問題を取り上げており、私もこれまで全校朝礼やこのブログを通じて何度もこの問題について触れてきました。また、日常生活の中では〝自家自給率を高める〟ということで、自宅の庭や近くの貸し農園で休日を中心に野菜の栽培に取り組んできましたが、昨年に植え付けたえんどうの蕾が4月末から次々と開花し、その後多くの実をつけ始めました。そして、大型連休明けから2、3日に一度のペースでえんどう豆が収穫できるようになりました。少し、間隔をつめ過ぎて風通しや日当たりが悪くなったという反省点もありますが、予想をはるかに超える収穫量です。
  さやえんどうはほぼ終わりに近づき、最近はグリーンピースの収穫を始めました。また、この成果に気を良くして、夏野菜のきゅうり、ゴーヤ、シシトウ、トマトの苗を植え付けました。
  当初は〝環境を考えるにあたって自ら実践しなければならない〟という半ば義務感で行なっていた野菜作りですが、時間の経過と共に作物が成長し始めると少しずつ楽しみに変わってきました。そして、自ら育てた作物を収穫し、それを美味しくいただくというのは言葉では言い尽くせない感動体験です。
  野菜作りに関しては、まだまだ素人の域を脱していませんが、どのようなことが大切なのかということも多少解ってきました。私の基本スタンスは〝何事も実践する〟というものですが、これらの経験を少しでも環境教育や食育に生かすことができればと思っています。

2009年05月21日

環境教育ネットワークの構築

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  本校では来年度の新校舎建設に伴い、環境教育を強化しようとしていますが、現在この一環として「環境教育ネットワーク」の構築を進めようとしています。
  この前提として、これまで取り組んできた活動を総括する意味で列挙すると随分多くのものがあげられます。しかし、現在これらが必ずしも学校全体の活動として定着している訳ではありません。この理由としては〝一つの学年や一部の人達だけの取り組みになっており学校全体の活動になっていない〟〝ある年(単年度)だけの取り組みのため継続性がない〟ということがあげられます。これではいつまで経っても定着しないということになります。これをしっかりとした形にするためには学校全体に取り組みの輪を広げ周知徹底をはかっていくことと家庭や地域、大学、企業等と連携して毎年継続していくということが不可欠です。
  次に新たな取り組みを検討するにあたっては、雲雀丘学園としての強みを生かしていくという柔軟な姿勢が大切です。また、これらの活動については我々職員が色々なことをすべて段ドリするのではなく、あくまで生徒が主体となって行なうことが基本です。そして、最終的にはこの取り組みを「本校の特色」というレベルにまで引き上げていきたいと考えています。
  このように家庭・地域・大学・企業との連携によるネットワークづくりを進め、多くの皆さんからの支援をいただきながら環境教育を進めていきたいと思っています。

2009年05月20日

命の大切さを知る~カリンの実

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  先日も紹介させていただきましたが、移植したメタセコイヤの幹から新たな葉が吹き出し、日増しに成長していく姿を見ていると、木の持つ生命力は実に素晴らしいと感じています。
  
  今、地球上では毎年1100万ヘクタール~1700万ヘクタールの森林が減少していると言われています。この数字を見ただけではどれくらいの広さなのかは見当もつきませんが、1秒間にサッカー場1つ分の森林が消滅していることになるそうです。そのため「森を元に戻す」「今ある森を守る」「植林する」等の運動が起こされていますが、まだ一部の人に限られているようです。
  本校の環境教育では学校だけではなく「家庭」「地域」も含めて〝身近なことから行動に起こす〟ということを基本にしています。この考え方に立って私自身も地域の緑化基金に寄付をしたり、時間を見つけて自宅にある庭木の手入れをする等を行なっています。
  昨年、他の木が大きくなったため 、陽あたりが悪くなり弱っていたカリンの木を植え替えましたが、後になって移植に適さない時期であることを知り、枯れるのではないかと心配していました。ところが、4月にはこれまでなかったくらい多くの花が咲き、しばらくして実をつけはじめました。風のために落下したものも少しあったようですが、最近では次第に実が大きくなってきています。日当たりが良いため以前よりもずっと元気になってきたようです。このまま順調に育てば秋には収穫してカリン酒を漬けることができそうです。このように我々の身のまわりには色々なものの命が存在しています。これらの命の大切さをしっかりと受け止めていきたいものです。


2009年05月19日

来年に向けての環境活動~ゴーヤの育成

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 5月19日(火)、臨時休業2日目を迎えましたが、ひっそりとした校舎内に高校新校舎建設のための工事の音だけが響き渡っています。昨日に続いて各学年の先生方を中心に、その後の生徒の状況の確認を行ないましたが、大きな変化はないようです。
  学校行事については、生徒の安全を中心に検討していくことにしていますが、目前に迫った高校2年生修学旅行については早急に結論を出す必要があるため、業者の方に来校いただき打ち合わせを行ないました。午後からは学校内を巡回しましたが、先日中学3年生の生徒達が仮校舎の南側に植えたゴーヤが蔓(つる)を伸ばし始めていました。本校では昨年度より人間教育の一環としての環境教育をスタートさせましたが、来年の新校舎完成を機に環境についての取り組みをより強化しようと考えています。そして、本年度は来年度の本格実施に向けてのさまざまなことを“トライアルする年”に位置づけています。
  このゴーヤの植え付けもその一環であり、ゴーヤの蔓を伸ばすことによってグリーンカーテンを作ることを目指しています。既にそのためのネットも張り付けが完了していました。生徒達がいない間は教職員で水やりをしますが、これから生徒達が世話をすることによって、どのような形に成長していくのかを興味深く見守っていきたいものです。

2009年05月12日

命を引き継ぐメタセコイヤの成長

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  2月に移植したメタセコイヤからも4月になると一斉に新芽が吹き出しましたが、本格的に根付いたかどうかはもう少し経過を見たほうが良いと言われていました。しかし、大型連休が終わって日毎に葉が生い茂るようになり、確実に根が伸びているということを確信するようになってきました。また、驚いたことに切り株の丸太からも芽が出てきています。
  このメタセコイヤのルーツについては以前にも紹介しましたが、実に1945年に中国の四川省で発見された古木にまで遡ることになります。そして、現在のメタセコイヤが実生として植えられたのは昭和38年(1963年)、46年前であり、更にその親木が本校に届けられたのは昭和29年(1954年)で実に半世紀以上の歳月が流れているのです。言わばこのメタセコイヤの年輪には本校の歴史が刻み込まれており、今回この命を引き継げたということは本当に素晴らしいことではないかと思います。
  本校は人間教育の大きな柱のひとつに環境教育を掲げていますが、このメタセコイヤの移植をひとつの教材にして生徒達に命の大切さを伝えていきたいものです。

2009年05月01日

環境への取り組み~ゴーヤの植え付け

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  本校では昨年5月29日に環境ジャーナリストの枝廣淳子氏による基調講演をいただき、この日を『環境の日』に制定し、本格的に環境教育をスタートさせました。その後、文化祭や里山体験、林間学舎、沖縄研修旅行を軸にさまざまな環境講座を開催する等の活動を推進すると共に、全校挙げて環境推進月間の設定、ゴミの分別収集、エアコンや照明の省電力等の取り組みも実施してきました。
  今年は二年目ということになりますが、基本的にはこれまでの活動を継続すると共に来年度新校舎建設に合わせて、さまざまな取り組みを検討していくことにしています。言わば今年は〝創立60周年に本格実施する環境活動のための準備の年〟という位置づけになります。
  この一貫として、昨日は中学3年生が1限のロング・ホームルームを使って、ゴーヤの苗を仮校舎の窓際に植え付けました。この狙いは日差しが強いと結構室温が高くなる仮校舎にグリーンカーテンを作ることによって室温の上昇を抑え、快適な学習環境を整えるためです。各クラスの15名前後の生徒が協力して、慣れない手つきで、それぞれ6つずつ計24の鉢に培養土と肥料を入れて苗を植え付け、教室の窓の下に設置しました。また、放課後には有志の生徒が2階の教室からネットをつるす作業を行ないました。設置するのに手間取り、大変な苦労をしましたが、何とか5時半過ぎにはすべての作業を完了することができました。ゴーヤの栽培というのは初めてのチャレンジですが、これからしっかりと水やりなどの世話をして大きく育てていって欲しいものです。
  本校の環境教育の基本は「学び、考え、行動する」ということですが、この経験を来年度以降にも繋げていきたいと思っています。

2009年04月27日

生徒会としての環境活動計画

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  4月27日(月)の昼休み、今年度の生徒会役員の皆さんと環境の取り組みについて意見交換を行ないました。生徒会の役員改選は前期と後期の年2回実施されることになっており、全員がこの4月に新しく承認された生徒達のためゆっくりと話をするのは本日が初めてです。
  今、温暖化をはじめとして地球の環境問題は見過ごすことのできない状況になってきており、このままでは我々の後の世代に負の遺産を引き継ぐことになってしまいます。環境問題はまさに人間が引き起こしたものであり、この解決のためには一人ひとりが意識を切り変えて自らの生活を見直すということが必要です。言い換えると単なる知識を習得するというだけでは不十分であり、実際の行動に結びつけていかなければならないということです。本校では昨年より環境教育に注力していますが、この考え方の基本は〝学び 考え 行動する〟ということです。そのため研修旅行や文化祭といった学校行事を通じてさまざまな環境問題に取り組むと共に校内における節電、節水、ゴミの分別等の取り組みも実施してきています。
  生徒達に確認したところ、まだ生徒会としてどのような環境活動に取り組もうとしているかは明確になっていないため、ヒントになればという思いで現在学校として考えている環境活動について紹介しました。生徒会長からは早急に環境活動についての計画づくりに取り組みたいという力強い答えをいただきました。
  どういうプランになるか大いに期待すると共に学校として生徒達の自主的な行動を全面的にサポートしていきたいと思っています。

2009年04月26日

環境に関する活動の強化

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  昨今、新聞には連日のように環境に関する記事が掲載されており、あらゆる分野で環境に対する新たな挑戦が始まっていることがわかりますが、これらの多くは我々の生活とは直接的には関係がないようなものが多いようです。このため自分ひとりの力ではどうにもならないというように考えがちです。しかし、「人間の行動そのものが環境問題を引き起こしている」のは事実であり、我々のまわりには、これまで意識せずに環境を悪化させてきたことがたくさんあります。大切なのは各人がごく身近な易しいことから行動を起こしていくことです。
  本校は、昨年5月29日に環境宣言を行なってから間もなく一年が経過することになり、生徒達の環境に対する意識は確実に高まってきています。環境活動の切口としては3つのR(Reduce減らす・Reuse再使用する・Recycle資源化する)があり、〝不用な電気を切る〟〝ゴミを分別する〟〝水を節約する〟〝食べ残さない〟等さまざまな試みをしていただいているご家庭も増えてきているようで心強く感じています。しかし、学校全体で見るとまだまだ満足すべき取り組みにはなっているとは言えません。この一年間、私の家庭でもエコ生活を目指して色々な取り組みを始めましたが、予想以上に成果があがってきており、個々の積み重ねが大切であると痛感しています。
  さて、今年も5月30日に『環境フォーラム』を開催することが決まっており、これに向けての準備も徐々に進んできています。一方で現在「エコ(環境)」と「ゆとり」をコンセプトとする高校の新校舎も建設中です。このような状況下にあって、これから多くの人達からの支援をいただきながら環境活動を強化していく予定ですが、一人ひとりがそれぞれ身の回りの小さなことから始めて欲しいものです。
  また、新たに入学してきた生徒も数多くいるため、今後全校朝礼等さまざまな機会を通じて環境についての話題を取上げると共に、このブログでも積極的な情報提供をはかっていきたいと思っています。

2009年03月30日

自家自給率を高める

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  日本の食料自給率は39パーセントしかありません。これは先進諸国の中では極端に低い数字であり、食料の大半を世界の国々からの輸入に頼っています。
  スーパーやデパートに行くと肉、魚、野菜、果物などが所狭し、と陳列されていますし、コンビニエンス・ストアや外食チェーン店では日々廃棄する多くの生ゴミが発生しています。また家庭でも冷蔵庫の中で食物を腐らせる等の無駄を発生させています。どうして、このようなことが起こるのでしょうか。それは自動車や電機、機械、精密部品等の製造業の輸出による豊富な外貨を獲得してきたからなのです。ところが、世界同時不況により輸出企業の販売額が急減することになり、これまで想像できなかった貿易赤字が発生するという状況に陥りました。言い換えると技術力に裏打ちされた工業貿易立国というスタンスが成り立たなくなってきたのです。
  この状況が続くと外貨は徐々に減少し、食料やエネルギーを輸入することができなくなります。食料自給率を上げようとしても農業従事者は少なくなっており、しかも大半が高齢者です。そうすると、たちまち食糧難に陥ることになります。これを防ぐためには、国をあげて食糧確保に取り組まなければなりません。農業政策を変えたり、農業従事者を増やすことが不可欠ですが、短期間に成果が上がることは期待できません。
  以前、この校長通信で海上封鎖による食糧危機に見舞われたキューバの人達が居住地周辺の少しのスペースを活用して野菜作りに取り組んだということを紹介しました。これからは日本国民一人ひとりがこのような自家自給率を高める地道な取り組みをしていくことが必要であると思います。私もまず身近なできることから始めるということで昨年から野菜づくりに取り組んでいます。さまざまな工夫をして自家自給率ゼロからの脱却を目指していきたいものです。

2009年02月26日

三木茂博士とメタセコイヤ

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  昨日の朝礼で、高校の新校舎建設にあたってメタセコイヤを移植するということを話しましたが、本校にメタセコイヤが植えられるようになった経緯を紹介します。
  正確に言うと、今回移植するメタセコイヤの親木が高校校舎と中央棟の間に植えられており、この木は生物学者であった三木茂博士から、昭和29年(1954年)に中学校舎竣工の際にお祝いの記念樹としていただいたものです。その後、昭和38年(1963年)高校校舎の4階を増設する時に親木の実生(みしょう)として植えられたのです。それから46年の歳月が流れましたが、深く掘ったため根が十分に張り、南側で太陽の光を十分に浴びたことによって、今では親木を凌ぐ約30メートルの高さにまで成長しました。
  三木博士は香川県木田郡三木町の出身で、盛岡高等農林学校(現、岩手大学農学部)から京都帝国大学理学部を経て大阪市立大学の教授に就任されました。同氏は和歌山県や岐阜県から常緑樹のセコイヤやヌマスギとは異なる落葉樹の植物遺体(化石の一種)を発見され、昭和16年(1941年)にメタセコイヤと命名されました。「メタ」というのは少し変わったという意味ですから、メタセコイヤというのは〝少し変わったセコイヤ〟ということになります。
  日本にも300万年~400万年前まではたくさん生えており、化石としては日本各地から発見されていました。ところが、絶滅種であると思われていた木が1945年に中国の四川省で胡博士によって生育しているのが発見されたのです。当時は〝生きた化石〟として大きく報道されたようです。この中国で発見された木の種子がアメリカのハーバード大学に送られ、更にその苗木100本が日本に空輸されました。そして、その中の一本が三木茂博士と親交の深かった本校の初代中学校長である板倉操平氏のもとに届けられたのです。それが現在のメタセコイヤの親木です。
  このように今回移植するメタセコイヤには長い歴史が刻み込まれているのです。この、時代を超えて受け継がれてきた命をこれからもしっかりと守ってあげたいと思っています。

2009年01月05日

エコライフを目指す~生ゴミの活用

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  本校では昨年よりサントリー株式会社の支援の下、環境教育をスタートさせましたが、生徒達と話をしていると本格的に環境改善の取り組みを始められた家庭も徐々に増えてきているようです。また、最近は自動車離れをはじめ、マイバッグ・マイ箸の持参・米のとぎ汁を活用した植木への水やり、手作りクッキング、省電力等の動きが広がってきています。
  振り返って見ると、まさに20世紀は数千万年かけて作られてきた石油をがぶ飲みしてきた時代と言えるのではないかと思います。そして、この状況が続くと早晩石油は枯渇してしまうのはことになるのは間違いありません。
  一旦高騰した石油価格は大きく下落しましたが、中長期的に見ると再び騰勢を強めていくことになります。従って、これからの生活のポイントは〝脱石油〟を目指すことが大切であると思います。
 私も昨年来エコライフを心がけていますが、今年は徹底した生ゴミの削減を行なうと共にこれを肥料化し野菜作りに挑戦することにしました。例年、お正月には大量の生ゴミが発生し、ごみ収集の日までの保管が大変でしたが、この年末年始には生ゴミゼロを達成しました。そして、肥料化したゴミを畑に運び土に埋め込みました。以前に植えておいたタマネギや大根、エンドウ、ソラマメがしばらく見ないうちに大きくなってきており、このまま順調に育てばかなりの収穫も見込めそうです。
  現在、日本は食料の6割以上を輸入することによって膨大な燃料を費消しています。一人ひとりが自給率を高めると共にエネルギーの削減をはかっていって欲しいものです。

2008年12月09日

これからの地球規模での課題~水問題

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  過去の歴史を紐解くと、世界の四大文明が全て大河のほとりに存在したという事実が証明するように、人間と水とは切ってもきれない関係にあります。人間は空気がなければ3分間、水がなければ3日間しか生きることができません。このように水は人間にとってなくてはならないものですが、人口の増加に伴って水が足りなくなってきています。世界人口は2025年には80億に達すると言われていますが、このうちの実に40%は深刻な水不足に陥る、と予測されています。
  地球は“水の惑星”と言われるほど水の多い天体ですが、ほとんどが海水で淡水は3%程度しかありません。しかもその大半が北極や南極の氷という形で存在しているため、湖や河川、地下水といった生活に利用できる形での淡水は地球全体の水の1%にも満たないのです。
  そして、これらの水は生活用水だけではなく農業用水や家畜を育てるために、または工業用水として使われることになります。これまで工業化が進んでいない国や地域では、水の大部分は農業や牧畜に使われてきました。ところが、工業化が進むと水はより生産性の高い分野に使われることになり、農業や牧畜に回らなくなってしまい、食料の確保がますます難しくなってきます。更に工場からの汚染された排水の増加、地球温暖化に伴う河川の水量の減少により、深刻な水不足に陥ってしまいます。まさに20世紀における石油と同様、21世紀は水をめぐる争奪戦が展開されることになるでしょう。
  わが国においては台風の影響で世界の年間平均降雨量の1.7倍にも当たる1700ミリメートルの降雨があるため、水が有り余っているという印象が強く水に関する危機感は薄いようです。
  しかし、今、日本は食糧の61%を海外から輸入しているため、これらをすべて国内で作ると膨大な量の水が必要になるということを知っておかねばなりません。これはヴァーチャル・ウォーター(仮想水)と呼ばれていますが、輸入した牛肉や小麦、大豆、とうもろこし等を育てるために使用される水の量は実に年間640億トンで、日本全体の農産物の生産に使われる灌漑用水の量をはるかに上回っています。特に日本は大量の水の輸入国であるという認識の上に立って、水や食料を大切にしていきたいものです。

2008年12月08日

隗より始める~私の環境への取り組み

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  早いもので、今年も残すところ20日あまりになってきました。本当に月日の経つのは早いものだと感じています。
  本校では本年度より環境教育に注力することにし、5月末には環境宣言を行ないました。これまで学校としては、文化祭や研修旅行、ゴミの分別、紙の削減等を通じてさまざま取り組みを実施してきましたが、更に実効をあげるためにはしっかりと反省をして来年度の計画に落とし込んでいくことが必要です。 また、何度もお話しているように環境問題は人間の経済活動が引き起こした問題であり、一人一人が自らの問題として真剣に取り組んでいかなければなりません。そのためには、学校だけではなく家庭、地域、個人等身近なできることから行動に起こしていくことが大切です。最近、生徒達と話しているとそれぞれの家庭において、マイバッグの持参や節電・節水等色々な試みをしていただいている家庭が増えてきているようですが、まだまだ十分ではないように感じています。
  「隗(かい)より始めよ*」という言葉がありますが、私も自ら率先して身近なことから実践していきたいと考え、環境問題について毎日勉強しながら、3R(Reduce・Reuse・Recycle)を基本にさまざまな取り組みを始めました。自動車の使用を減らす、マイバッグ・マイ箸を持参する・米のとぎ汁を植木の水やりに使う、エコや手作りクッキングを心がける、生ゴミを肥料化する、省電力や深夜電力を活用する等ですが、ほぼ半年間続けてきましたので、これまでの成果を確認して次なる取り組みに続けていきたいと考えています。

*隗より始める
身近な事から始める、言い出した人から始めるという意味

2008年12月04日

食料自給率を高める

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  わが国の食料自給率がカロリーベースで39%しかなく、先進国では最低の水準であるということに対して、農業政策を見直すべきであるという意見が多く出されるようになってきました。しかし、自給率を高めるために自ら行動を起こしている人は案外少ないように思います。
  都道府県別に食料の自給率がどのようになっているのかを調べてみると、実に興味深い結果が得られます。これによると自給率が100%を超えている都道府県はわずか5つに過ぎません。トップが北海道の195%、次いで秋田県の174%、山形県の132%、青森県の118%、岩手県の105%です。裏返すとこれ以外は全て食料が自給できていないのです。因みに自給率が最も低いのは東京都で1%、2位が大阪府で2%、3位が神奈川県で3%、次いで埼玉11%、愛知・京都13%・・・と続き、兵庫県は16%です。こうして見ると当然のことながら人口の集中している都会の自給率が極端に低いということが解ります。
  それでは我々が自ら食料自給率を高めるためにやることはないのでしょうか。「脚下照顧」という言葉がありますが、一人ひとりが自らの問題として行動を起こすことは数多くあるように思います。
  我々がスーパーやデパートに行くと、世界各国から輸入された食材が〝所狭し〟と並べられています。最近、食の安全性が問題視されるようになり、国産品の良さが見直されるようになってきましたが、依然として輸入食材を購入しているケースが多いように感じます。「国産品を購入する」「地産地消を心がける」「余分なものは買わない」「食べ残さない」といった身近なことから始めたいものです。

2008年12月01日

これからの地球規模での課題~食料問題

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  昨今、マスコミでも頻繁に取り上げられていますが、先日(11月15日)、内閣府が発表した『食料・農業・農村の役割に関する世論調査』によると、世界的な食料危機に伴う食料品価格の高騰や「食の安全」を巡る問題を背景に、9割以上の人が将来に不安を持っていることが判りました。また、食料自給率を高めるために農業のあり方を見直すべきであると考えている人も多いようです。
  食糧問題についての基本条件は安全な食糧が安定して確保されているということです。しかし、世界の人口が急激に増加する中で、すべての人間の命の源である食糧問題についての現状を正しく認識し、この問題解決のために自ら何らかの行動を起こしている人は少ないようです。
  日本における最大の問題点は先進諸国の中でも極端に低い食料自給率です。参考までに現在の世界各国の食料自給率を見るとオーストラリア230%、フランス130%、カナダ120%、アメリカ119%、ドイツ91%、スペイン90%、スウェーデン87%、イギリス74%、イタリア71%、韓国50%、これに対して日本は39%しかありません。
  この推移を見ると70%を切ったのが昭和41年(1966年)、60%を切ったのが昭和46年(1971年)、50%を切ったのが平成元年(1989年)ということになっています。そしてついに本年40%を切ることになりました。つまり、日本の工業化と反比例して食料自給率が低下してきており、貿易の不均衡を是正するために工業製品の輸出の見返りに食料を輸入してきたと言えます。

2008年11月30日

これからの地球規模での課題~人口爆発

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 先日の日能研の特別セミナーで話した「これからの地球規模での課題」について紹介します。現在、我々の生活に直結したさまざまな課題がありますが、これらの底流にあるのは人口爆発と言われる人口の増加です。〝これから世界の人口は増えるか、減るか〟という質問をすると、かなりの割合で〝減る〟という答えが返ってきますが、これは日本の人口が減少するから世界も同じ状況にあると考えている人が多いということではないかと思います。確かに先進諸国では人口が減少するという傾向にありますが、発展途上国ではこれからも人口は増え続けていきます。
  現在、世界一の人口保有国は中国、二位はインドですが、この両国で既に約25億の人口を有しています。中国は一人っ子政策をとっているためある程度の人口抑制は可能となりますが、インドは今後益々人口が増加し、今世紀半ばには世界一の人口保有国になることが予想されます。そして、この両国で世界の人口の三分の一を占めることになります。参考までに、世界各国の中で1億人以上の人口保有国は11ヶ国であり、その順位は中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリア、ロシア、日本、メキシコということになります。
そして、発展途上国の経済成長の結果、地球の温暖化、食料や水の不足、資源の枯渇といった問題が深刻化してくるのです。

2008年11月03日

隗(かい)より始める

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  本校では、本年度より環境教育を始めましたが、この基本は〝学び 考え 行動する〟ことです。『隗より始めよ』という言葉がありますが、私の家庭でも家族が話し合ってできるだけ環境に優しい取り組みをしようということにしています。この半年間でマイバッグの持参や水道水・電気の節約、生ゴミの削減についてはかなり改善ができました。特に野菜くずや魚の骨、茶葉、卵の殻等については捨てずに生ゴミ処理機で肥料化することにし、庭に植えた胡瓜やトマト、ゴーヤに施したところ驚くほど多くの収穫がありました。お蔭で、今年の夏は毎日自家製の新鮮な野菜を食べることができました。また、米の磨ぎ汁も流さずに野菜の水遣りに使うようにしています。以前キューバでは家の周りの小さな土地を利用して、野菜を作っているということを紹介しましたが、実際に自分自身でやってみると結構効果があがるということを実感しました。
  更に、先月近くにある貸し農園に応募したところ当選したため、これから家庭の生ゴミ肥料を活用して色々な野菜を育てていくことにしました。これまで時間がなくなかなかスタートできませんでしたが、今日は文化の日で半月ぶりに休みが取れたので草を刈り取り、植え付けの準備をしました。広さは30㎡ですが、150を超える区画はすべて借り手が決まっており、多くの人がそれぞれ作業をされていました。どのような野菜を植えるかは検討中ですが、少しでも地産地消を実践していきたいと思っています。また、11月3日はほとんど雨が降らないため「晴れの特異日」とも言われていますが、今日は小雨が降りうす曇の一日でした。

≪隗より始めよ≫
中国の戦国時代に郭隗(かくかい)が燕の昭王に対して、賢者を招くためにはまず自分のようにさほど優秀でない者を優遇せよ、と進言した故事から〝遠大な事をなす時は、まず卑近なことから始めよ。転じて物事は、まず言い出した者が着手すべきである〟という意味です。

2008年10月24日

里山を訪ねる

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  10月24日(金)は校外学習日にあたっており、中学3年生を除く全学年がそれぞれの目的地に向かいました。(中学3年生は例年実力テストを受験)
  私は中学1年の兵庫県立有馬富士公園内にある有馬富士自然学習センターでの校外学習に参加しました。生徒達は8時50分にJR新三田駅に集合し、特定非営利活動法人である『キッピー・フレンズ』のメンバーの案内で自然学習センターに向かいました。その後二つの班に分かれ、一班は非営利環境保全活動グループ『緑の環境クラブ』の皆さんの指導で、萱葺き民家での里山体験と森を護るための下草刈りや枯れ枝の伐採、残りの班は縄ないと薪割りを行ないました。そして、昼食後は交替することにしましたが、ほとんどの生徒達がこれらの作業についてはこれまで経験したことがなかったようで、生徒達は慣れない手つきで悪戦苦闘していました。稲穂を刈りとった後の柔らかい藁で丈夫な縄が作れる、薪が燃料になる、萱葺きの家の屋根は薄(すすき)を材料にして造る、森を護るためにはこまめな作業が必要である、といった事を実感したようです。
  また、今回の体験を通じて森を育てることの大切さについても理解できたのではないかと思います。来年度は大山への林間学舎、再来年は沖縄への研修旅行が予定されていますが、生徒達がこれらの行事を通じて身を持って環境の大切さを感じて欲しいと思っています。
 キッピー・フレンズ、緑の環境クラブの皆様、本日は大変お世話になり有難うございました。心より感謝申し上げます。

2008年09月22日

LOVEARTHの取り組み

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  本校では、本年度より本格的に環境教育の取り組みをスタートさせましたが、この基本コンセプトは「学び、考え、行動する」、「家庭との連携による〝共育と共学〟」です。この校長通信で何度もお話しているとおり、環境教育については単に知識を学べば終わりということではありません。このような考え方に立ち、実際の行動に結びつけるということを最重点として、これまで環境講座の開催や林間学舎、郊外学習といったさまざまな活動を推進してきました。また、環境をテーマに取り組んだ先日の文化祭では、高校3年生が主体となって自主的に徹底したゴミの分別を行ないました。また、PTAの保護者の皆さんが中心となって、制服のリユース運動を推進していただきました。私もできるだけ全校朝礼では環境に関するテーマで話をするようにしていますし、学園全体としても先日「環境連絡協議会」が発足する等環境の取り組みは徐々に広がりを見せ始めています。
  このような動きの中で、今回、来年度の北海道への研修旅行にカーボンオフセットを導入することにしました。これは、旅行期間中に排出するCO2を算出し、これを相殺するために必要な自然(風力、太陽光、バイオマス等)エネルギーを間接的に購入するというもので環境に配慮した旅行ということになります。そして、この自然エネルギー購入の証明として、グリーンエネルギー認証センターから「グリーン電力証書」が発行されることになりますが、西日本の学校では本校が初めての採用になります。今回の採用にあたっては、「LOVEARTH~エコでええこと、ええとこへ心に響く旅を~」ということで、旅行代理店からトータル費用の削減をはかる等多大の協力をいただきました。心より感謝申し上げます。

2008年09月16日

月下美人の開花

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  9月16日(火)、月下美人が12個の見事な花を咲かせました。これで今年は6月以降で実に4回にわたり、次々と36個の蕾をつけ開花したことになります。昨年に比べて特に手間ひまかけて栽培したわけではなく、しっかりと土作りをして植え替えただけです。
  教育の仕事に就くにあたって、多くの人から色々なアドバイスをいただきましたが、その中の一つが花や野菜、樹木の栽培です。植物を育てることは人材の育成と共通するものがあるから是非チャレンジして欲しいということでした。それまでの休日の過ごし方はほとんどがゴルフなどの運動でしたが、土曜日の午後や日曜日に学校行事が入り、どうしても自由な時間の制約があるため、空きスペースを利用してバラ・ユリ、月下美人・蘭・トマト・きゅうり・シシトウ・ゴーヤ・茗荷・紫蘇等の栽培を始めました。最初は水遣りや施肥、消毒などうまくいかないことが多かったのですが、次第にコツがつかめてきました。
  また、自ら環境問題に取り組むために生ゴミの肥料化を進めることにしましたが、その結果堆肥をしっかりとすき込んでおくと病虫害が少なくなるということも解ってきました。まさに花や野菜作りは土作りで決まると言っても良いと思います。花や野菜には本来成長する力を持っているため、まず育つ環境をつくるということが大切であり、人材の育成と相通ずるものがあるように感じています。

2008年09月11日

北国からの贈り物

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  「北海道からとうもろこしを沢山送っていただいたので、先生にもお持ちしました。どうか召し上がってください。」と高校2年の生徒達がとうもろこしを手にやって来ました。生徒達の話によると、この6月に北海道への修学旅行でファームステイをさせていただいた上川郡にお住まいの越智惠子さんという方からダンボール一杯のとうもろこしが送られてきたとのことです。
  本校では高校2年生を対象に毎年6月に北海道への修学旅行を実施していますが、この中のメインになっているのが〝ひばりスペシャル大地の学校〟でのファームステイです。このファームステイでは、生徒達は通常の授業では経験することができない野菜の植え付けやトマトの芽かき、イチゴの収穫等の農作業を通じて北海道の大自然と触れ合うことになっています。また、農家の人達と話し合うことで、農業における課題や食の大切さについての認識を深めることができますし、何よりも素晴らしいのは初めてお会いする農家の人達との心の交流をはかることができるということです。私も家でとうもろこしをゆでて家族でいただきましたが、実がぎっしり詰まっており、口の中にとろけるような何とも言えない甘さが広がり幸せな気持ちになりました。既に修学旅行が終了して2ヶ月半が経過しているのにもかかわらず、この度このような暖かい心遣いをいただき、心より感謝しています。早速生徒達と一緒に撮った写真を添えてお礼の手紙をお送りしたいと思っています。生徒達がこれからも人との出会いを大切に充実した人生を送って欲しいと願っています。

2008年09月10日

現状を知る~割り箸の使用量

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  9月10日(水)、澄み切った秋晴れの下で全校朝礼を行ないました。本校では試験期間中を除き原則毎週水曜日に全校朝礼を実施していますが、夏休み以降は天候が崩れる日が多かったため、中止したり放送を通じた朝礼になっていました。そのため本日は夏休みの部活動に対する囲碁部、ギター・マンドリン部、華道部、放送部、水泳部、バスケットボール部、ソフトテニス部、飛び込み(個人)等多くの表彰伝達を行ないました。まさに、これらの一枚一枚の賞状はそれぞれの生徒達の日々のたゆまぬ努力が結集されたものであるのは間違いありません。これからも更に研鑽を積み重ねていって欲しいと思っています。
  表彰の後、私は次のような話をしました。〝今年の文化祭でも話したよう、環境問題については「学び、考え、行動する」ことが大切ですが、まず現状がどうなっているのかを知るということが大切です。今年の夏に中学2年生・3年生の皆さんとカナダ研修に行きました。研修先はカナダの東部にある赤毛のアンで有名なプリンス・エドワード島でしたが、帰りのオタワからバンクーバーに向かう飛行機の中から眼下に見えるロッキー山脈を見て大変驚きました。氷が溶けて雪原がなくなり山肌が見えているところが相当あります。私が前回カナダに行ったのは丁度10年前のこの時期でしたが、その時にはロッキー山脈が一面の真っ白な雪や氷に包まれていました。この情景を見て、北極や南極、ヒマラヤ、アルプスでも同じ現象が起こっているということを実感しました。地球の温暖化は人間の経済活動が作り出してきた結果です。
  今日の新聞にも沖縄県のサンゴ礁がこの5年間で7割消滅しているという報道がなされています。文化祭で高校3年生が推奨してくれたマイ箸運動についても、実際に割り箸がどれくらい使われているかを知れば何故取り組まなければならないかが解ると思います。今、日本で年間に使われている割り箸は実に260億膳(本)であり、一人平均では200本ということになります。そして、このうち98%が中国からの輸入であり、この割り箸を作るために多くの木が伐採されているのです。こういった現状を知るということが大切ですので、これからも朝礼で環境の問題について皆さんに伝えていきたいと考えています。〟

2008年09月05日

環境教育の推進について③

  これまで本校では、家庭と学校が連携して子どもを育てるという意味で「共育」を掲げてきましたが、本年度からは共育に加えて親も子どもと一緒に学ぶという「共学」という考えを取り入れていくことにしました。
  最近の状況を見ると、あまりにも勉強していない大人が多いのではないかと感じています。私も1時間半近く電車で通勤していますが、新聞や本を読んでいる人より携帯電話を操作したり、何もせず目を閉じている人が圧倒的に多いようです。家庭においても子ども達には勉強の大切さを訴えていながら、案外親自身は勉強していないケースが多いのではないでしょうか。気をつけなければいけないのは、昨今のように変化が激しい時代には、習得した知識やノウハウはすぐに役立たなくなってくるため、絶えず勉強してこれらを磨き上げておかなければならないということです。
  特に、環境問題については、親も子どもと一緒になって学び、考え、話し合い、行動していくことが大切です。我々の日常生活の中には、冷暖房・照明の節電、水道水の節約、エコ商品の購入、無駄な買い物の見直し、ゴミの削減、マイ箸・マイバッグの持参等やるべきことは数多くありますが、まず現状がどのようになっているのかを調べなければなりません。例えば冷暖房の温度を1℃調整することによってどれだけ省エネにつながるのか、電力消費量の中に占める待機電力の割合はどれ位か、輸入食糧やゴミの焼却にはどれ位のエネルギーが消費されているのか、割り箸やレジ袋はどれ位使われているのか、といったことです。これらの事実を知ることによって、やるべきことがはっきりしてきます。
  その上で、身近なできることから行動に移していって欲しいものです。一つの家族で取り組むことができるものはごくわずかかも知れませんが、このような行動の輪が広がれば大きな成果を生み出すことになると思っています。

2008年09月04日

環境教育の推進について②

  本校の目指すべき生徒像は「将来社会で活躍できる人材」ですが、社会で役立つ力は、単なる知識だけではありません。社会では学校とは異なり、正しい答えは一つではありませんし、与えられた問題を着実にこなすというだけでは不十分なのです。何が問題なのかを見つけだし、自ら解くという課題発見能力と解決のための実行力が必要になります。今回スタートした環境教育は単に知識を習得すればそれで終わりということではありません。そのために、知識偏重型ではなく、極力〝自ら学び考え行動する〟という教育活動にしていきたいと考えています。
  これからはあらゆる分野において環境対策は極めて重要な位置づけを占めることになります。まさに、環境に配慮しない企業や諸団体は社会から受け入れられないということになってきます。現在、日本には太陽光発電、淡水化技術、燃料電池、炭素繊維、ハイブリッドカー、非食糧バイオ燃料、エコ給湯、CO2の地下貯蔵、鉄鋼生産、家電製品における省エネ技術等世界に誇れる数多くの環境技術がありますが、これらが十分活用されているかどうかは疑問です。しかし、これらの技術を世界の国々に移転することによって、地球全体の環境保護に大いに貢献することができるのです。まさに、これからは日本が世界のリーダーとして認められる大きなチャンスなのです。生徒達が環境に対して関心を持ち自らの問題として学習することは、将来の仕事を選択する上でも大いに役立つことになります。《続く》

2008年09月02日

環境教育の推進について

  既に、この校長通信においても何回かにわたって環境問題について述べてきていますが、改めて本校における環境教育について取り上げてみたいと思います。
  本校では、サントリー株式会社から全面的なご支援をいただき本年度より環境教育について本格的な取り組みを開始することにしました。去る5月29日には、アメリカのゴア元副大統領の〝不都合な真実〟の訳者である環境ジャーナリストの枝廣淳子さんによる講演をいただき、環境宣言を行なうと共にこの日を『環境の日』に制定しました。その後、6月・7月の2ヶ月間を環境月間とし、校内におけるゴミの分別と節水を中心に取り組みを行ないました。また、中学二年生を対象に、サントリー水科学研究所の日置真由美さんに水についてのお話をしていただき、7月には奥大山にあるサントリーの水工場を見学させていただきました。
  ここで、何故今本校が環境教育に注力するかについて、次の5つの点に絞って述べてみたいと思います。
  ①本校では人間教育の充実を教育方針のトップに掲げていますが、人間力を高めるための特効薬はありません。言い換えると人間力というものは単に知識を学べば身につくというものではなく、簡単なこと、当たり前のことを確実にやりあげていくという日々の実践が何よりも大切なのです。このような考え方に基づき、本校では「爽やかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーを守る」という3つを基本としてこれまで取り組んできました。これらの凡事を徹底するために、全職員による早朝の登校指導等の地道な努力によって、次第に成果は現れつつあります。しかし、これらはともすると受身的になりがちであるため、自らを磨くという更に高い視点が必要になります。
  現在、我々のまわりには地球の温暖化をはじめ数々の環境問題が山積していますが、これらは人間の経済活動がもたらした問題であり、言い換えると環境問題は人間そのものの問題であるということができます。即ち環境に配慮するということは、まさに他人に対する優しさや思いやり、後世に対する配慮に繋がることになるため、環境教育を通じて人間力の涵養につとめていきたいと考えています。 《続く》

2008年08月15日

目の当たりにした地球の温暖化

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  今回の海外研修において、私自身は生徒の引率ということ以外に環境についてのテーマを持ってカナダに赴きました。カナダにおける環境対応についてはそう目新しいものはないように感じましたが、驚いたことが一つあります。
  それはオタワからバンクーバーに向かう機内から見たカナディアン・ロッキーの情景です。前回カナダに行ったのは丁度10年前であり、時期も今回と同じ8月でした。その時に眼下に見たカナディアン・ロッキーは3000メートル級の山々が連なり、真っ白な氷河に覆われていました。まさに世界遺産にふさわしい素晴らしい景観であったのを鮮明に記憶しています。ところが、今回は氷原や雪が消滅し山肌がむき出しになっているところが増えてきており、以前とは全く異なる様相を呈していました。
  今、地球の温暖化によって北極、南極、グリーンランド、ヒマラヤ、アルプス等の氷が溶け出しているという報告がありますが、ロッキーも例外ではないということを確信しました。
  現在、本校では環境教育に注力していますが、環境問題については人任せにするのではなく、自分自身のこととして身近な行動に結び付けていかなければならないと感じました。

2008年07月09日

食の大切さを知る

  7月7日より、世界の主要国の首脳が集まり、北海道洞爺湖サミットが開催されています。
この中で政治・経済・地球温暖化・エネルギー・食糧、・アフリカ等の問題が論議されており、全世界がこの会議の成り行きを見守っています。従って、本日(7月9日)の全校朝礼では、今回の洞爺湖サミットについて話をしようと思っていましたが、夏休みを目前に控え数多くの行事が予定されているため、テーマを食糧問題に限って短めに切り上げました。
  〝現在、日本の食糧自給率は39%であり、6割以上を海外からの輸入に限っています。これらの食糧の生産には、当然のことながら多くの水や肥料、エネルギーといったものが使われています。また、これらの食糧を運ぶために、飛行機や船に使う燃料は膨大な量にのぼっています。そして、実に年間に約6000万トンの食糧が輸入されています。ところが驚くべきことに、この3分の1に当たる2000万トンが廃棄されており、4トン積みのトラック500万台分に相当します。また、家庭での廃棄も1000万トンという膨大な数字になっています。これらの生ゴミは焼却処理されますが、水分を含んでいるため、多量のエネルギー消費につながるのです。このように考えると食べ残したり、冷蔵庫の中で腐らせるということは、地球温暖化や食糧危機という観点で見ても避けなければならないことになります。皆さんは是非、食べ物を大切にするということを心がけてください。〟

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世界の主要国の首脳が集まった洞爺湖サミット

2008年07月01日

隗より始める~省エネ商品への切り替え

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  早いもので1年の半分が過ぎ、本日からは7月ということになりました。本校では6月に続いて今月も環境月間ということで活動していく予定です。
以前にも述べましたが、環境問題は人間の活動が引き起こした問題であり一人一人が自らの問題として真剣に取り組んでいかなければなりません。
  最近、生徒達と話していてもそれぞれの家庭において、マイバッグの持参や節電・節水等色々な試みをしていただいているようで心強く感じています。
  私も環境に関するさまざまな現状について毎日勉強しながら、自動車の使用を減らす、米のとぎ汁を植木の水やりに使う、エコ・クッキングを心がける、生ゴミを肥料化する等、身近なできることから始めることにしています。
  その一つに省電力商品への切り替えがあります。先日近所の電気店の方が来られて最新の商品の説明をお聞きしました。これによると、各メーカーが競って省エネルギーの商品開発を行なった結果、ここ数年すべての商品で大幅な省エネが実現されているとのことでした。とりわけ家庭の中で最も消費電力が多いのはエアコンで全電気代の23%、次いで冷蔵庫17%、照明器具16%となるようです。そこで、わが家でも順次新しい商品に切り替えていくことにしました。今回取り付けてもらったエアコンは約10年前のものに比べると、消費電力が何と4割も削減できるということなので、年間の電気代の節減により、買い換えた商品の代金はいずれ回収できることになりそうです。
  “隗より始めよ”という言葉がありますが、これは言い出した人から始める、身近な事から始めるという意味です。環境教育を進めるにあたって、これからも自ら率先して身近なことから実践していきたいと思っています。

2008年06月25日

第2回環境講座「水」の開催

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  6月25日(水)、サントリー水科学研究所の日置真由美氏にお越しいただき、中学2年生を対象に水についてのお話をしていただきました。
〝最初に「家庭で1人が1日に使う水の量はどのくらいか」「お米一キログラムをつくるのにどのくらい水をつかうのか」といった質問があり、地球上にある水のうち、我々が使えるのは、ごくわずかしかない。そして、海や地表、湖や河川の水は蒸発して雲を作り、雨という形で降り注ぐという自然循環が形成されており、この通り道の一つである森が大切な働きを担っている。次に水1リットル中に含まれるミネラル分(カルシウムとマグネシウム)の総量を示す硬度についての説明や軟水と硬水の違い、日本は火山が多いため花崗岩や玄武岩の地質が多くミネラル分の少ない土壌となるのに対して、ヨーロッパなど海底の隆起した石灰岩の地質では、ミネラル分の豊富な土壌になっている。身体にとっての水の役割は酸素や栄養分を隅々まで運び、二酸化炭素や老廃物を対外に排出し、体温を調節している。1日に必要な水の量は2リットルであり、食事から700ミリリットル、飲み物からはコップ8杯分相当の1300ミリリットルを摂取しており、反対に汗や呼吸で800ミリリットル、排泄で1200ミリリットルが失われている。また体内の水分が1~2%減ると喉の渇き、2~3%で強い喉の渇き、4~6%で頭痛や集中力の低下、6~8%で体の疲れや衰弱が見られるようになる。Ca 、Na、Mg、K といったミネラルは体内でさまざまな役割を果たしている。〟等を丁寧にわかりやすく説明していただきました。最後に全生徒が硬度20ミリグラムの「サントリー天然水(奥大山)」と硬度1468ミリグラムの「超硬水コントレックス(フランス)」のテイスティングを行ない、自らの舌で二つの水の違いを確認しました。
  環境教育は単に知識を得るだけではなく、自ら調べ考え行動することが何よりも大切です。学校でも家庭でも身近なことから実践していって欲しいものです。

2008年06月23日

環境教育第二弾

  本学園は、サントリーの創業者である鳥井信治郎氏が初代理事長であった関係で、同社からはこれまでも数多くのご支援をいただいています。今回の環境教育のスタートにあたっても、一年以上も前からドリーム・キッズプロジェクト推進部の坪松部長をはじめスタッフの皆さんに多大のアドバイスをいただき準備を進めてきました。先月29日に、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏に講演いただいてから間もなく一か月になりますが、今週水曜日には、サントリー株式会社水科学研究所の日置真由美氏に来校いただき、お話をうかがう予定です。
  同社は『水と生きる』という言葉がコーポレート・スローガンの中に取り入れられており、2003年に水科学研究所を設立されました。また、本年度からは東京大学と水に関する研究を進めるために、「水の知」寄附講座を設立し、水問題の解決と豊かな水環境の創成を推進するほか、研究者の育成をはかる計画を推進されています。
  今回の話の詳細は、まだうかがっていませんが、太陽系の惑星の中で、液体の水が豊富にあるのは地球のみですし、人類をはじめ生き物は水なしでは生きていけません。また、地球上の水の総量は太古からほぼ変わることなく、地球上を循環して全ての生物の生命を支えてきています。しかし、地球上の全水量のうちの97%は海水で、淡水はわずか3%です。そして生活に使える水はわずか0.8%しかなく、今後全世界で深刻な水不足が起きる可能性があるのです。
  森や棚田との関係、水質、水の汚染、食糧輸入に伴うバーチャル・ウォーター等の問題について学習して欲しいと思っています。

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2008年06月22日

一石二鳥のエコライフ

  日本は洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(G8)において、温暖化ガス排出削減を産業別に積み上げ、国としての削減目標を決める「セクター別アプローチ」を提唱していますが、国別の削減目標を優先すべきであるというEU(欧州連合)とは大きな開きがあります。このようなやり取りを見ていると、温暖化対策は産業界が主体のように思われがちですが、各家庭の果たす役割も非常に大きいものがあります。
  最近のガソリン急騰で、できるだけ車に乗らないようにしている人や思い切って車を手放した人も増えてきたようです。1人の人間を1キロ運ぶのにどれだけのCO2が排出されるのかを見ると、自動車173g、飛行機111g、電車19gになり、圧倒的に自動車の排出量が大きいことがわかります。
  また、案外知られていないのが、家庭のCO2排出量の約三分の一をマイカーが占めているということです。このように、車を例に取り上げてみても各家庭において温暖化ガスの排出を削減することができるのです。車社会になって、我々の生活は一変し、どこに行くにも車を使うようになってきましたが、反面無駄なことも増えてきたようです。車の利用を見直すと、家計の支出は減りますし、歩くことによって運動不足も解消され、肥満防止にも繋がることになります。車の他にも生活を見直すことで、環境面だけでなく色々な面でメリットを得ることができるのです。
  まさに〝一石二鳥のエコライフ〟です。大いにエコライフを楽しむという気持ちで、生活習慣の見直しをしていきたいものです。

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2008年06月14日

環境教育について~⑧危機は危険でありチャンス

  近年、食糧、石油や石炭、鉄や銅、レアメタル等の原材料が想像を絶する勢いで高騰してきています。また、サブプライムローン問題に端を発した経済の混乱によって、アメリカでは個人消費が低迷し、ドル安、株安に陥っています。これらの影響で日本の輸出企業の経営は今後ますます厳しさを増すのではないかと危惧されています。更に国境を超えた地球規模の課題である二酸化炭素の削減については避けて通れない状況であり、この取り組みは企業経営にとって負担増になるのは間違いありません。この結果、企業の国際競争力が低下するのではないかと言われています。
  しかし、日本企業の製品が世界各国から受け入れられているのは、高い品質やエネルギー効率なのです。その代表が自動車産業であり、現在日本車は高い評価を受けています。日本企業は二度のオイルショックを経て随分と逞しくなりました。〝必要は発明の母〟という言葉があるように、これまで産業界のさまざまな分野で、世界最先端の省エネ技術を駆使してものづくりの革新を行なってきました。
  シリコンを使わない太陽電池、炭素繊維等、環境技術の面でも世界に誇れるものが数多くあり、これらを磨き上げることによって実用化が加速されることになります。また、日本は周りを海に囲まれており、世界第六位という広大な領海を有していますが、ここには手付かずの資源がまだ多く残っています。沖縄海域や伊豆諸島海域では、海底の熱水鉱床に含まれる銅・鉛・マンガン・コバルトなどが湧出していますし、南海トラフには二酸化炭素排出量が石油の半分と言われる新エネルギー、メタンハイドレートが大量に眠っています。石油や天然ガスの存在が見込まれる地層もありますが、深海ということもあって手付かずの状態になっています。
  今、日本は多くの面で危機的な状況になっていますが、「危」は危険という意味であるのに対し、「機」は機会すなわちチャンスです。環境問題は日本にとって世界をリードするチャンスと受け止めて、積極的に取り組んでいきたいものです。

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2008年06月13日

環境教育について~⑦「共育」と「共学」をベースに

  昨今、何故そんなことが起きるのか、全く理解できないような出来事を目の当たりにすることがあまりにも多くなってきました。高い学歴を有し、それなりの経験をしてきた人の中にも、材料や産地、賞味期限を偽るという食品偽装、耐震偽装に関与しているといったケースが散見されます。かつての日本人の美徳が急速に失われてきているのではないかと感じています。
  相手のことを考えず、自己の利益だけを追求するあまり、「すべきこと」と「してはならないこと」の区別がつかなくなっているのです。突き詰めていくと〝社会に対していかに貢献していくのか〟という志の部分が欠落している。言い換えると人間としていかに生きるかという人生観や人間としての根っ子の部分が育っていないということになります。
  そして、この根っ子の部分は大きくなってから一朝一夕に育つものではなく、小さい頃から時間をかけて育てていかなければなりません。今、子ども達と接していて気になるのは、この根っ子の部分が弱いということです。そして、しっかりした根っ子を育てるには家庭における教育が極めて大切になってきます。
  本校ではこれまで学校と家庭が連携して子ども達を育てる〝共育〟を大きな教育方針の柱に掲げてきましたが、本年からは、保護者の皆さんにこの共育に加えて〝共学〟をお願いしていきたいと思っています。何故なら、普段子ども達には勉強の大切さを訴えていながら、まわりの大人があまり勉強していないことが多いからです。環境問題は人間問題であるということをお話しましたが、環境教育はまさに人間の心を育てることに繋がります。大人が現状をしっかりと把握し、どのようにして課題を解決すべきかを子どもと共に考え、率先して行動に移していくことが大切であると思っています。

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2008年06月12日

環境教育について~⑥コミュニケーション能力を高める

  環境教育のポイントは、単に知識を得ればそれで良いということではなく、課題に対してどうすれば良いのかを考え実践することです。
  しかし行動を起こすにあたっては、全員の気持ちが一つになっていないとなかなか成果には結びつきません。例えば、学校でのゴミ問題について取り組もうとした時、ゴミを減らすためには“不用なものは持ち込まない”“残った食べ物はキッチリ処理する”“資源になるものとそうでないものを分別する”というルールを決め、ゴミ箱を設置し回収する、といった具体策まで落とし込まないと上手くいきません。また、折角ルールを決めても、ルールを守る人と守らない人がいるという状態では駄目なのです。
節水や節電といった取り組みについても全く同じことが言えますし、大切なことはさまざまな取り組みを行なう際にお互いに話し合う、言い換えるとしっかりとコミュニケーションをはかることなのです。
今あらゆるところでコミュニケーションの大切さが指摘されていますが、裏を返すとコミュニケーションのできない人が多いということです。折角学校を卒業し社会に出ても職場に適応できない人が増えてきていますが、そのほとんどの原因はコミュニケーション不足であると言われています。
  家庭や学校での環境教育を通じて、子ども達に社会で役立つコミュニケーション能力を身につけさせていきたいものです。

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2008年06月11日

環境教育について~⑤世界の中での日本を知る

  世界の中で抜きん出た経済力を誇っていた日本経済は、バブル崩壊と急速なグローバル化の波に乗り遅れた結果、国際社会における地位の低下は座視できない状況になってきています。そして、現在では、好むと好まざるにかかわらず、グローバルという視点なしに、すべての物事を考えることはできなくなってきました。間もなく先進8ヵ国の首脳によるG8〝洞爺湖サミット〟が開催されることになっていますが、環境問題もそれぞれの国が独自で解決できるということではなく、地球規模で取り組まなければならない状況にあります。
  この環境問題については色々な切り口がありますが、とりわけ食糧、エネルギー、水の三つは重要なポイントになります。まず、これらの現状がどうなっているのかを正確に把握しなければなりませんが、残念なことに、多くの人がこれらの問題に関しては知りませんし、無頓着なのです。
  先進諸国の中で食糧やエネルギーの海外依存度が極端に高いのは日本だけです。そして、今この二つが世界的にも急騰してきています。しかし、〝食糧やエネルギーの自給率はいくらか〟という問いに対しても正確に答えられる人が果たしてどれ位いるかは疑問です。
  どのような食材をどの国からどれ位輸入しているのか、その時の輸送にどれ位の燃料代が使われているのか、日本向けの食糧のためにどれ位の水や肥料が使われているのか、どれ位の森林が失われているのか、廃棄している食糧はどれくらいか、どれ位の石油、石炭、天然ガスを輸入しているのか、鉄鉱石を初めとする原材料はどうなっているのか、それぞれの分野でどれ位の二酸化炭素を発生させているのか、こういったことをグローバルな視点でとらまえていくことが大切なのです。
  生徒達に環境問題を通じて、世界の中での日本の位置づけを認識させ、ますます進展するグローバル化の中で、どのようなことに取り組んでいくべきかを考えさせていきたいと思っています。

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 間もなく開催される洞爺湖サミット

2008年06月10日

環境教育について~④凡事徹底を体得させる

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     登校時のあいさつの様子

  これまで、〝人間教育にあたっての特効薬はない。簡単なこと、あたり前のことをあたり前にする凡事徹底が何よりも大切である。〟ということを何回もお話してきました。本校では、わかりやすい例として「爽やかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーの遵守」の三つに注力してきました。まだまだ十分とは言えませんが、日々の指導により着実に良くなってきているように思います。この度、人間教育の大きな柱にするという方針のもと環境教育をスタートさせましたが、身近な簡単なことを着実にやるという凡事徹底については更に継続していきたいと考えています。
  学校全体の取り組みとしては、照明や冷暖房等の不必要な電気を減らす、ゴミになりそうなものは学校に持ち込まない、また発生したゴミはキッチリと分別する、水道水を無駄にしないといったことを行なっていますが、この他にも環境に配慮した取り組みは数多くあります。
  また、家庭や地域でやれることも、みんなで協力し合えば、いくらでもあるのではないでしょうか。最近、生徒達の中にも、家族と話し合ってマイ・バッグやマイ箸を持参したり、待機電力削減のための工夫をしている人が多くなっているようです。
  私もこれまで社会で活躍している人を何人も見てきましたが、この人達は例外なく凡事徹底を実践されていると言っても良いと思います。簡単なことができない人に難しいことは絶対にできません。
生徒達が、凡事徹底を体得することによって、人間力の練磨をはかっていって欲しいと思っています。

2008年06月08日

環境教育について~③学び考え行動する

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  本校の創立の精神は「社会で役立つ人材の育成」ですが、社会で役立つ力は、単なる知識だけではありません。私は今でも企業の幹部や人事担当の方と時々懇談していますが、〝最近の若者の中には指示されたことはできるが、自ら問題意識を持って行動するということができない人が多い〟ということをよく聞きます。このような人が増えれば、新しいことにチャレンジするという気風はなくなり、これまでどおりの無難なやり方を踏襲することになってしまいます。この結果、組織の活力は失われ衰退の道を歩むことになります。今社会で求められているのは、自ら課題を見つけ出し、その課題解決に向かって行動する人材なのです。
  現在、わが国の学校においては、子ども達に知識を教え、テストという形で問題を出すことによって知識が修得できたかどうかを把握するようになっています。つまり、「与えられた問題を解く」という知識偏重型の教育が中心になっています。このことが社会に出た時に応用が効かない人間を作り出している大きな原因なのではないかと思います。
  社会においては、学校とは異なり正しい答えは一つではありませんし、与えられた問題を着実にこなすというだけでは不十分なのです。何が課題なのかを見つけて解決していく、言い換えると問題を作り出す力が必要になります。学校は「社会で役立つ力を育てるトレーニングの場である」と考えるなら、〝自ら学び考え行動する〟という教育が何としても大切なのは言うまでもありません。
  環境教育は〝単に知識を学べばこれでお終い〟というものではありません。これからは生徒自らが「学び、考え、身近かなことから行動していって欲しいと思っています。

2008年06月07日

環境教育について~②環境問題は人間問題

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  地球の温暖化防止、オゾン層の保護、大気環境の保全、水環境・土壌環境の保全、生物多様性の保護、廃棄物対策等、我々のまわりには看過できない環境問題が山積しています。
  しかし、人類の歴史という観点から見ると、環境対策が深刻な問題としてクローズアップされてきたのは、ごく最近のことです。つまり第二次世界大戦が終わり、人口が急増し、工業化が急速に進展し始めた20世紀後半からであり、少なくとも産業革命以前には、環境問題というものはあまり注目されず、話題にもならなかったのではないかと思います。このように考えると、環境問題は人間の経済活動がもたらしたものであり、「環境問題」は即ち「人間問題」であると言えます。
  人間であれば誰しも豊かな生活を送りたいという気持ちを持つのは当然ですが、それが他の人間の犠牲の上に成り立っているということは許されないことではないかと思います。しかし、現実の姿を見ると、あまりにも国によって生活の水準が違いすぎますし、「豊かなものはより豊かに」、「貧しいものは更に貧しく」という構図は改善していかなければなりません。また、後の世代の人に負の遺産を引き継ぐという考え方も絶対に避けていかなければなりません。要は〝自分さえ良ければいい〟という考え方ではなく、他の人のことを考えて行動していくことが大切なのです。
  環境に配慮することは即ち、人間に対する思いやりやまごころを育てることにつながります。本校では、「人間力」を高めることを教育方針のトップに掲げていますが、今後、環境教育を人間教育の大きな柱として取り組んでいきたいと思っています。

2008年06月05日

環境教育について~①なぜ今環境教育なのか

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  これまで何回かにわたり、地球の温暖化をはじめとする環境問題について取り上げてきました。また、昨今はマスコミにおいても、毎日のように地球の環境を守るための取り組みについて報道されてきており、環境に対する意識は急速に高まってきているように感じています。皆さんの中にも、地球規模での環境問題がこれほど深刻な状況になってきているということを知らなかった人も多かったのではないでしょうか。我々は自分達の生きている地域や時代を中心に色々なことを考えがちですが、時には大きな時間軸や空間軸で物事を考えていかなければならないこともあります。その代表的なものが、地球環境をめぐる問題ではないかと思います。時間軸ということで地球の歴史を取り上げると、地球の誕生した46億年前に遡らなければなりません。しかし、人間の一生というスパンをベースに考えると、46億年というのはあまりにも膨大すぎるため、実感が沸かないのではないかと思います。理解を深めるために地球が誕生してから現在までを1年に例えると、ホモサピエンスの誕生は12月31日の11時40分前後となり、わずか20分しか経っていません。また、農耕を始めたのは約1万年前であり、地球の1分間の動きということになります。
  更にこの100分の1である100年の間、言い換えると瞬きしている間に急速な経済発展と人口爆発が起こり、深刻な環境問題が生じてきているのです。空間軸で現在の世界の状況を見ると、豊かさを享受している人達がいる一方で、毎日の食糧や水にもこと欠く人達が数多く見られます。
  本校においては、本年度より環境教育について本格的な取り組みを開始することになりましたが、今の世の中の動きを受けて急遽始めたわけではありません。これまで、本校では人間教育の充実を教育方針のトップに掲げていますが、〝人間力を高めるための特効薬はない〟ということで、「爽やかな挨拶」「きっちりとした服装」「ルール・マナーを守る」という3つの『凡事徹底』を基本に取り組んできました。しかし、これだけではともすると受身になりがちになるため、更に自主的に行動するという取り組みを加えたいということで約1年にわたる検討を重ねた結果、サントリー株式会社の支援をいただき、この度、環境講座をスタートさせることになったのです。
  この他にも環境教育の狙いは数多くありますので、これから何回かにわたって「環境教育について」というテーマで紹介していきたいと思っています。

2008年06月03日

食と環境について

  以前、この校長通信の中で〝家庭での食育〟というテーマで、計25回にわたり(2月7日~3月31日)紹介してきましたが、この6月は『食育月間』でもあります。食と環境というのは全く異なるジャンルの問題ではなく、非常に密接な関係にあるため、広い意味では食育も環境教育の中に含めても良いと思います。
  食育月間にあたり、内閣府、文部科学省、厚生労働省、農林水産省は協力して、「食を通じたコミュニケーション」「バランスのとれた食事」「望ましい生活リズム」「食を大切にする気持ち」という切り口で、1日に何をどれだけ食べたらよいかという≪食事バランスガイド≫を示し、自治体や関係機関に働きかけています。
  昨年、農林水産省は、自分の家族の食生活を見直すという狙いで、6月16日から22日を『食事バランスガイド実践週間』とし、約9,000名を対象に食事内容の調査を行ないました。調査の方法はこの1週間のうちの任意の3日間について、食事の回数、欠食の状況、主食の種類、乳製品や果物、菓子や嗜好飲料の摂取量といった食事内容を自主申告してもらい、この結果を集計したものです。これによると、〝3日間の平均でバランスの取れた食事をしている人はわずか8パーセントであり、1日に米を食べる回数の多い人の方がバランスの取れた食事をしている。また、3食欠かさず食べている人の方がバランス的に優れている。果物は7割以上の人が摂取できていない。牛乳をはじめとする乳製品の摂取も少ない。一方で菓子や嗜好飲料については目安の200キロカロリーを上回っている人が半数以上いる。〟ということが判りました。
  60パーセントを超える食糧の輸入や食べ残しによる生ゴミの処理といったことは、環境に直結した問題です。これからは一人ひとりが食と環境について考え、行動に移していって欲しいものです。

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2008年06月02日

環境推進月間のスタート

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トイレの洗面台                 廊下の手洗い場


  先週の全校朝礼や環境宣言でもお話したように、本校においては6月と7月の2ヶ月を『環境推進月間』に制定し、身近なやれることから行動に移すことにしています。個人でやること、仲間でやること、家庭でやること、地域でやることについては具体的な指針は示していませんが、学校全体としては「ゴミの分別」と「節水」の二つのテーマに絞って取り組むことにしました。
  まず、ゴミの分別については、宝塚市クリーンセンターが発行している≪宝塚市ごみの減量と資源化・分け方≫に基づいて、行なうことにしました。ゴミの分別の仕方は、それぞれの自治体によって異なりますが、宝塚市では、「燃やすごみ」「プラスチック類」「紙・布」「ペットボトル」「かん・びん」「小型不燃ごみ」の6種類に分類することになっており、ごみ袋は中身がわかるように透明または半透明のものを使用するように決められています。このうち、紙・布と小型不燃ごみについては大量に発生する時に別途処理するものとし、中学、高校別に四つの容器を準備しました。
  現在も生徒達が各教室で燃やすごみとプラスチック類を分別するようにゴミ箱を分けていますが、残念ながら徹底しておらず、技師の方の手を煩わせている状況です。今回は地球の温暖化やリサイクルの重要性を生徒達にしっかりと認識してもらった上で、分別のルールを徹底していく予定です。
  また、節水については宝塚市上下水道局から「節水シール」をいただき、トイレをはじめ水道の蛇口のあるところには貼り付けることにしました。いずれも地道な取り組みですが、まず行動に移すことから始めていきたいと思っています。


2008年06月01日

エコライフのすすめ~マイバッグを持つ

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私達はこれまでスーパーやコンビニエンス・ストアで買い物をすると渡されるレジ袋を当然のこととして受け取ってきました。皆さんは、このレジ袋がどれくらい使われているかご存知ですか。そういう私も一年前までは正確なことは知りませんでした。しかし、驚くべきことに、わが国においてこのレジ袋は年間実に305億枚使われているのです。単純計算では1人平均年間240枚ということになりますが、実際に買い物をしている人で見ると1人1日1枚のレジ袋を消費していると言えるのではないかと思います。
  このレジ袋は1枚約10gで、原料はポリエチレンから作られており、お猪口一杯分の石油が必要ですが、これだけの枚数になると膨大な量の石油が必要になります。解りやすく言えば、超大型タンカー2隻分、50mプールでは600個分ということになりますが、レジ袋の使用時間は帰宅までのわずか30分であり、ゴミとして捨てられてしまうのです。そして、ほとんどが焼却ゴミとして処理されています。このように考えるとレジ袋は無駄な石油を使うということで、地球の温暖化を促進していると言わざるを得ません。
  マイバックを持とうという運動が広がってきていますが、スーパーやコンビニもレジ袋を何とか削減したいということでさまざまな取り組みを行なっています。また、日本の伝統である風呂敷を積極的に活用しようという「まいふろしき」運動も全国各地で起こりつつあります。
  環境先進国であるドイツでは、買い物には〝買い物バッグ〟か〝買い物カゴ〟を持参することがあたり前になっています。一人ひとりがこういった運動に参加することにより、レジ袋の削減に取り組んでいきたいものです。

2008年05月31日

エコライフのすすめ~環境に優しい買い物のポイント

  少し前に3つのR(Reduce減らす・Reuse再使用する・Recycle資源化する)について話しましたが、このうち環境にとって最も効果的なものは〝Reduce〟です。ゴミを減らすためには、「物を買うとき」と「物を捨てるとき」がポイントになりますが、今回は「物を買うとき」に心がけなければならないことについて取り上げてみたいと思います。
  まず大切なことは将来ゴミになりそうな物を家に持ち込まないことです。例えば、お菓子の入った箱はお菓子がある場合にはゴミではありませんが、食べ終わった途端に不用なゴミになってしまいます。また、使い捨ての容器は必ずゴミになります。こういったことを頭に入れて買い物をすることが、環境悪化を防止することになるのです。私の家庭でも行なっている代表的なものを次に紹介すると、
    ①魚や肉、野菜や果物等はトレイにパックされた物より、
      バラ売りになっている物を選ぶ
    ②安売りということで必要以上の物を買わない
    ③ハンド・ソープやシャンプー等は詰め替え商品を選ぶ
    ④過剰包装や本のカバーなど不必要だと思われるものは断る
    ⑤レジ袋はできるだけ受け取らないようにする等、です。
  最近、マイバッグを持つ人が増えてきましたが、現在日本で使われているレジ袋はどれくらいの枚数でしょうか。次回はレジ袋について取り上げてみたいと思っています。

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2008年05月30日

環境宣言について

  昨日、枝廣淳子氏の基調講演を受けて、パワーポイントを使って環境宣言を行いましたが、その内容は次のとおりです。
  ①私達が住む青い星、地球。この地球が今悲鳴を上げています。
  ②温暖化、自然環境の破壊、大気汚染、オゾン層の破壊、水・土壌の汚染等のさまざまな環境問題が生じてきています。
  ③この大きな原因は急激な人口の増加です。地球の人口は1800年には10億人、1900年には17億人でしたが、現在は66億人になっています。実にこの100年少しの間に4倍近くになりました。そして、今後も増え続け2050年には91億人になることが予測されます。そして、発展途上国の人達が豊かな暮らしを求めるようになってきます。
  ④このままの状況を放置しておくと、地球の環境はますます悪化していきます。
  ⑤我々がしっかりと認識しておかなければならないのは、〝人間の活動が環境問題を引き起こしている〟ということです。言い換えると『環境問題は人間の問題』なのです。
  ⑥京都議定書でわが国は「2008年~2012年の5年間に、1990年に比べて温室効果ガスの6%削減を世界に約束しました。既に2桁の削減を実現している国もある中で、逆に日本は6%以上も増加しています。
  ⑦温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の排出は、産業界から40%、運輸部門で20%、その他家庭や学校等で40%になっています。
  ⑧大切なのは一人ひとりが身近なすぐできることから始めることです。食料、エネルギー、水、ゴミ等取り組むべきことは数多くあります。忘れてはならないのは、すべてのものには限りがあるということです。
  ⑨環境教育においては、単に環境についての知識を持っていることでは不十分であり、勉強すればそれでお終いということではありません。自ら学ぶ、自ら考える、そして自ら行動することが大切です。
  ⑩「個人で」「学校で」「家庭で」「仲間で」「地域で」すべきことは無数にあります。
  ⑪学校全体ですることは、サントリーの支援をいただいて開設したこの『環境講座』『環境に配慮した高校新校舎の建設』、『環境月間の新設』『ゴミの分別収集』『節電・節水』です。
環境講座については、中学の各学年において学校行事とも関連付けて実施していきます。
  ⑫皆さんがやれることはいくらでもあります。個人で、仲間で、家族で、地域で取り組めるものを考え、実行に移しましょう。
  ⑬環境問題は即ち人間の問題です。環境への配慮は人間に対する優しさや思いやりに繋がります。
  本校は「人間教育の充実」と「学力の向上」の両立を目指していますが、環境教育を通じて「人間教育」を進めていきたいと思います。
  最後に、◇かけがえのない美しい地球を守ろう
       ◇そのために〝後の世代に今、私達が何を残せるか〟を考えよう
       ◇まず、身近なことから行動に起こそう
       ◇5月29日を『環境の日』に制定し、環境活動を推進していこう

2008年05月29日

環境教育宣言の日にあたって

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  5月29日(木)、環境ジャーナリストの枝廣淳子氏にお越しいただき、「不都合な真実を超えて」というテーマで講演をいただきました。
  枝廣氏はアメリカ元副大統領アル・ゴア氏の『不都合な真実』の翻訳者であり、現在わが国の環境問題に関する多くの会合の委員として、幅広く活躍されています。
  本日は、中学1年~中学3年が対象でしたが、保護者、地域の皆さん、塾関係の方もお見えになり、約1時間半にわたり、パワーポイントを使って、環境問題について実に解りやすくお話していただきました。冒頭〝好き×得意×大事=天職〟という『エダヒロの天職公式』や、やっていることは、ただ一つ〝伝えることとつなぐことでうねりを起こすことである〟という紹介をされました。
  次いで、現在地球では72億トンの二酸化炭素が排出されているが、吸収されているのは森林の9億トンと海の22億トンの計31億トンであり、残りが地球の温暖化をもたらす温室効果ガスになっていること、これまで経済を大きくすることに注力してきたが、現状のままでは1.4倍の大きさの地球がいること、地球は一つしかないし大きくすることもできないこと、そのためには「奨励すべき成長」と「抑えるべき成長」を区分することが必要であること、ビジョンを描き、全体像を把握し、仕組みをつくり、行動すること、また温暖化は最大のチャンスであること等を興味深い事例をまじえながらお話いただきました。講演後は多くの生徒達が色々な質問をしましたが、丁寧に答えていただき、大きな拍手で講演は終了しました。
  続いて、本日(5月29日)を環境の日に制定するという環境宣言、最後に、生徒代表による宣誓を行ない、すべてのスケジュールが終了しました。
  一連の行事を通じて、生徒達の環境に対する認識が深まってきているように感じています。これから環境教育を本格的にスタートさせていきますが、環境宣言の中身については、後日紹介していきたいと思っています。

  

2008年05月28日

環境月間に向けて

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  昨日の『不都合な真実』の映画鑑賞の後、中学1年生~3年生の全生徒にクイズ形式になっている感想文を作成していただきました。生徒達がどのような印象を受けたのかをつかむために全数に目を通しましたが、多くの生徒達にとって地球の温暖化がここまで深刻な状況になっているとは知らなかったようです。また、自分達が環境を守るために何らかの取り組みをしていかなければならないということを感じてくれたようで、具体的に〝節電する〟〝車に乗らないようにする〟〝省エネ商品を購入する〟〝家族で話し合う〟といったことを書いていた人もありました。これらの感想文を見る限り、少なくとも環境に対する認識は深まってきたのは間違いありません。しかし、このままでは具体的な行動に結びつかずに「ただ大変だなあ」ということだけで終わってしまうかも知れません。
  本日は、全校朝礼において先週に引き続き環境に対する取り組みについての話をしました。
「現在、日本において地球温暖化をもたらす二酸化炭素がどこから出るのかを見ると、40%は産業界、20%は運輸部門から排出されているが、残りの40%は家庭やその他の部門から排出されている。環境問題については食糧、水、エネルギー、ゴミ等さまざまなものが挙げられるが、難しく考えないで我々の身近なことを見直すということが大切である。6月・7月は学校の環境推進月間として〝不用な電気を切る〟〝ゴミを分別する〟〝水を節約する〟といったことから始めていきたい。ゴミを例にとると、日本では1人1日たり、1.1kgのゴミを出している。トップのアメリカは約2kgのゴミを出しているが、国土が日本の2.5倍と広いため大半が埋め立てられている。これに対して埋め立てる土地の少ない日本では仕方なく、ゴミの体積を10分の1~20分の1にするために焼却というやり方をとっているが、しっかりと分別しないとダイオキシンの発生に繋がることになる。」等です。
  その後、生徒会長から「推進月間にあたって、ポスターの募集を行なう。また、文化祭のテーマも《環境》を中心にしたい。」という発表がありました。
  これから全校朝礼では、さまざまな角度から『環境』というテーマで話を続けていくこととし、環境推進の取り組みの輪を広げていきたいと思っています。

2008年05月27日

『不都合な真実』映画鑑賞を終えて

H20.5.27eigakai_01.jpg H20.5.27eigakai.JPG  
  5月27日(火)、中学1年生~3年生を対象に、前アメリカ合衆国の副大統領であったアルバート・ゴア氏の『不都合な真実』という映画の鑑賞会を行ないました。思えば昨年の1月に、友人からこの映画の紹介と共に「是非、生徒達に環境の大切さを訴えて欲しい」という便りをいただきました。早速スケジュールを調整して放課後映画館に直行し、この映画を鑑賞しましたが、正直なところ私自身これほど地球環境の破壊が起こっているということは認識しておらず、大きな衝撃を受けました。
この日以降、環境について色々と調べ、これまでこの校長通信で何度も自然環境や食糧、水、エネルギー等について紹介してきました。その後、サントリー株式会社からの全面的な支援のもと、環境教育に取り組むことになり、この度やっと本格的なスタートを切れるところまでになりました。

  わが国では最近になって主要国環境相会合が開催される等、7月の洞爺湖サミットの開催に向けての動きが活発化し、環境問題についての関心が一挙に高まってきました。しかし、京都議定書で《2008年度から2012年にかけて温室効果ガスの1990年比6%の削減》を約束していながら、これまで国全体としての強力な推進体制は確立していなかったように感じます。

 本日の映画鑑賞を通じて、生徒達は「カトリーヌに代表される超大型の台風の発生、局地的な豪雨と旱魃の発生、南極やグリーンランド、北極海の氷の融解、ヒマラヤ、アルプス、ロッキー、キリマンジャロといった氷河の消滅、海水温の上昇による珊瑚礁の死滅とこれに伴う魚介類への影響、マラリアをはじめとする熱帯性伝染病の地域拡大等のさまざまな環境問題が起こってきていること。そしてこれらの大きな原因はまさに人間が作り出した地球の温暖化にあること。また、地球人口が増加する中にあって、このまま何の対策も講じなければ、海面が実に6メートルも上昇し、地球上の多くの陸地が水没する。」等の衝撃的な事実を知って地球環境の大切さを痛感したのではないかと思います。
  映画鑑賞後の感想文やアンケートにも、〝まず自分達でやれる身近なことから始めたい〟ということが数多く書かれていました。この29日には、いよいよ枝廣淳子氏の講演の後、環境宣言を行ないますが、生徒達がこれを機に環境の大切さについて、自ら考え行動してくれることを心より願っています。

2008年05月21日

全校朝礼で環境問題について語る

  5月21日(水)、澄み切った青空の下で、全校朝礼を行ないました。剣道部、硬式テニス部の表彰の後、中国やミャンマーで被災された人達のことに触れ、温暖化への対応について話をしました。
  ミャンマーは、以前ビルマと呼ばれていましたが、戦後日本からも技術を中心にした復興支援のため、松下電器からも責任者の団長を派遣していたこともあり、私にとっても思いで深い国の一つです。
  その国が今、未曾有のサイクロン被災で10万人を超す死者が出るのではないかと言われています。
  サイクロンというのは聞きなれない名前かも知れませんが、要はインド洋で発生する台風であり、カリブ海で発生するものは、ハリケーンと呼ばれています。
  それでは、何故このような巨大な台風が発生するのでしょうか。その最大の原因は地球の温暖化なのです。地球の海水温度は、この100年間で0.5℃上昇してきていますが、日本の南方海域ではこれを上回る0.7 ℃~1.3℃の温度上昇が見られています。そして、海水温度が高いほど大量の水蒸気が発生し、上昇気流で積乱雲が発生し、地球の自転で渦が発生し、周りの空気が集まって気圧が下がり熱帯低気圧になります。そして、最大風速が17メートルを超えると台風と呼ばれるようになるのです。

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  地球温暖化は、この他にもさまざまな問題事象を発生させています。北極海の氷が溶ける、氷河が減少する、海面が上昇する、生態系が変わる、熱帯病が発生する等です。このような温暖化を防ぐために我々がどのようなことができるのかを考え、行動に移していきたいものです。

2008年05月20日

エコライフのすすめ~3つのR

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  これまで、日本をはじめとする先進諸国では、経済の発展に伴って「大量生産」、「大量消費」、「大量廃棄」のライフスタイルが定着してきました。私達の生活も、これまでとは比較にならないほど物質的には豊かになってきました。しかし、どのような資源も無尽蔵にある訳ではありませんし、いずれは枯渇してしまうことになります。また、廃棄するゴミが増えることによって、新たな環境問題が起こってきています。
  今、環境問題の中で、ゴミと資源に関わる問題を解決していこうというのが、『3R』の取り組みです。これは、「Reduce」「Reuse」「Recycle」の頭文字を取ったものです。
    「Reduce」というのは〝使い切った後に出るゴミの量を少なくする〟
    「Reuse」というのは〝一度使ったものをゴミにしないで何度も使う〟
    「Recycle」というのは〝使い終わったものをもう一度資源に戻して製品をつくる〟ということです。  これらを一言で解りやすく表現すると、「減らす」「再び使う」「再資源化」ということになります。
この3つのうちで一番大切なのは「Reduce」です。ゴミを減らす取り組みとして、どのようなことが考えられるのか、次回以降取り上げていきたいと思っています。

2008年05月19日

エコライフのすすめ~ライフスタイルのチェック

  これまで何回かにわたってエコライフについてお話しさせていただいていますが、自分ではエコライフを実践していると思っていても、案外できていないことが多いようです。
日常生活の中にはほんのちょっとした気遣いや努力によってやれることが数多くあります。例えば、家の中でやれることとしては、テレビをつけたまま他の用事をしない、人のいない部屋の消灯を心がける、洗濯や食器洗いをまとめて行なう、過度な冷暖房を行なわず衣類や布団で温度を調整する、家電や蛍光灯を買うときには省エネタイプのものを選ぶ、使わない家電はこまめにプラグを抜き待機消費電力を少なくする、シャワーのお湯を流しっぱなしにしない、等があげられます。

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  また、車を運転する時も、アイドリングを少なくしたり、無駄な荷物を減らしたり、空気圧を安定させるだけでも、ガソリンの消費を抑えることになります。
  財団法人省エネルギーセンターでは、「リビング」「キッチン」「浴室・洗面所」
「車」といったジャンルにわたって、上記の例に代表されるような25のライフスタイルを取り上げています。そして、これらは同センターのホームページに『ライフスタイルチェック25』という形で、チェック・リストが掲載されています。
  私もエコライフを心がけているつもりでしたが、結果は残念ながら70点台の得点でした。皆さんも興味があれば一度試してみてください。
  これらのライフスタイルは環境に優しいだけだはなく「家計の節約」ということにも繋がりますので、まさに一石二鳥です。
  身近なできることから一つずつ行なう、ということを常に心がけていきたいものです。

2008年05月17日

森を守る取り組み

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  大山は中国山地の最高峰で標高1709mですが、以前は火山で180万年前から50万年前までは大規模な噴火を繰り返していたようです。最後の噴火が確認されているのは約1万年前で、地層は火成岩が主体です。そして、奥大山一帯は広大なブナの森が生い茂っており、永い間にブナの落ち葉が積み重なってできた腐葉土で覆われています。この大山に降った雨や雪は、ブナの葉で集められ、幹を伝って腐葉土の中を通るので、ミネラルを主体とした栄養分をたっぷりと含んだ地下水として、蓄えられるのです。
ところが、ブナは余りにも身近で多くあったため、漢字でも「木偏に無い」と書くように大切に扱われず、伐採して杉や檜を植えたり、パルプの材料とされてきました。しかし、西洋では〝森の聖母〟と呼ばれるように、ブナの森のあるところには例外なく名水と言われる美味しい水が湧き出ているのです。
  サントリーでは、工場の周りにある147haの森林を「天然水の森 奥大山」として、水源涵養活動を行なっていく計画を持っておられます。今回の訪問では、サントリーの皆さんのグループに入れていただき、ブナやミズナラ・コナラの生い茂った森の中に深く分け入りましたが、土は落ち葉のためフカフカでまるでスポンジの上を歩いているような感じです。また、ブナの幹は白っぽい色をしていて、表面には緑色の苔が張り付いています。20分ほど歩いたところで、植林された杉の枝打ちを行ないました。ヘルメットをかぶり、ゴーグルをかけ、長く延長できるノコギリを使って、高いところにある小枝を切り落としました。約1時間余りの短い時間でしたが、杉の小枝がすっかり取り除かれ終了した後は太陽の日差しが根元まで差し込んでいました。
  現在、日本の森林はこのような枝打ちや下草を刈るということをやる人が少なくなり、折角植林した森が荒廃してきています。農業や漁業と共に森林を蘇らせるための林業のあり方を抜本的に考え直していかなければならないと感じています。

2008年05月16日

エコライフのすすめ~ゆきすぎた便利さからの脱却

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  前回で述べたように、かつての日本においては「勿体ない」という言葉に代表されるように、〝物を大切にする〟というのが美徳でした。また、戦後においても、食べ物をはじめとする生活物資が不足するという状況が長い間続いたため、「勿体ない精神」は引き継がれていたように思います。
  しかし、その後、敗戦国でありながら奇跡とも言える経済発展を遂げ、われわれの周りには物が溢れ、お金があれば何でも買えるということになってきました。そして、自動車や電機に代表される工業製品の輸出が急増する一方で、世界各国からの食糧の輸入が増え農林・漁業のウェイトが低下し、衰退してきています。我々の日常生活を見ても、テレビや冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、掃除機、冷暖房機器、給湯器等の電化製品をはじめ、自動車を保有しているというのは、ごく当たり前になってきました。また、スーパー等の食品売り場には、豊富な食材が〝ところ狭し〟と並べられ、いたるところに24時間営業のコンビニエンス・ストアや自動販売機があり、いつでも食料や飲料が入手できるという状況です。
  現在は60年前と比べると夢のような暮らしになってきていますが、このライフスタイルが非常に大きな無駄を生み、環境問題と密接にかかわってきているのです。今一度、自分自身の生活パターンを見直し、ゆきすぎた便利さからの脱却をはかっていかなければならないのではないでしょうか。

2008年05月15日

エコライフのすすめ ~「勿体ない」という気持ち

  皆さんは、ケニアの環境副大臣でノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイ氏がしばしば口にしたことで世界的に注目されるようになった日本の言葉を知っていますか?それは「勿体ない」という言葉です。
  かつて同氏が来日された際、小泉元首相が「勿体ない」というのは「もともと食糧不足の時代に、親が子どもに『つくった人の身になって大事に食べなさい』と諭した言葉である。」と説明したところ、彼女は一言ですべてを言い尽くすこの言葉に大いに心を動かされたそうです。ところがこの「勿体ない」という気持ちを表す言葉は日本語独自のものであり、外国語の訳語はほとんど見当たりませんでした。そのため、マータイ氏は日本語の「MOTTAINAI」を「地球環境の大切さを訴える言葉として世界に広げたい」との思いで、さまざまな国際会議の席などで紹介しました。
  この「勿体ない」という言葉は、かつて日本人なら誰もが日常生活の場において、『感謝』と『自戒』を示す言葉として用いていましたが、急速な資本主義経済の発展に伴い、大量生産・大量消費が一般的になり、次第に死語となりつつあります。昨今は食べ物を残す、電気をつけ放す、水道水を流し放す、まだ着られる服を粗末にする、十分使えるのに買い換える、といった無駄がいたるところで見受けられます。また、同時に、日本人の長所であった『謙虚さ』も失われようとしているように思います。
  無駄をなくすというと、すぐに金銭的にケチだと思われますが、今後の社会の発展のためには、ごみを減らす、リサイクルを進めるなど環境負荷を少なくし、持続可能な循環型社会を構築していくということが極めて大切です。
  現在、特にヨーロッパ諸国においては今後の経済のリーダーシップをとっていくためにも、環境問題に関して真正面から強力に取り組んでいます。そして、CO2の削減目標を京都議定書で定めた8%をはるかに上回る40%、60%、80%に引き上げ、互いにしのぎを削っています。このことから見ても、日本の環境問題に対する危機意識は、海外に比べて余りにも低いと言わざるを得ません。
  今後、日本が世界から取り残されないためには、環境に対する課題をしっかりと認識し、強力に取り組んでいくことが必要であると思っています。

2008年05月14日

地球カレンダーから見た環境問題

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  地球が誕生したのは、46億年前ですが、人類が地上に現れたのは400万年~500万年ほど前だと言われています。100万年のスパンと言うと想像もできない位長い時間ですが、地球の歴史から見るとごくわずかな期間にしかすぎません。
  わかりやすいように地球の誕生を1月として1年のカレンダーに置き換えてみると、生命が誕生したのは2月、シアノバクテリアが酸素を作り出したのは7月、多細胞の生物が現れたのは8月、植物が海から地上に上がったのは11月で、脊椎動物が上陸したのは12月3日ということになります。その後、これらの脊椎動物が爬虫類や恐竜、哺乳類、鳥類と進化していきます。恐竜の誕生は12月13日で、絶滅したのが26日です。
そして人類が誕生したのは何と12月31日の10時40分、我々現代人の祖先であるホモサピエンスの誕生は23時37分です。このように地球カレンダーで見ると人間は誕生してわずか23分しか経っていないことになり、恐竜の歴史のほうがずっと長いことがわかります。
  人間が農耕を始めたのは約1万年前ですが、生活の安定と共に人口が増加しはじめました。それでもBC8000年頃の地球の人口は100万人、BC2500年で1億人、BC0年で2億人位であったと推計されています。その後人口はゆるやかに増加しますが18世紀初頭でも約10億人、19世紀初頭でも17億人にすぎません。ところが20世紀に入って人口は爆発的に増え1999年にはついに60億人を突破、現在では66億7400万人となりました。
  この100年間における人口爆発が環境問題の最大の原因です。つまり地球の歴史から見るとごく小さな点にしかすぎない期間で、深刻な地球環境の悪化が起こってきているということを知っておく必要があると思います。

2008年05月13日

エコライフのすすめ~チーム・マイナス6%

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  『チーム・マイナス6%』という名前を聞かれたことはありますか?
正直なところ、私もこの名前を知ったのはごく最近のことですし、尋ねても知らない人が多いようです。
これは、環境省が地球温暖化防止のために行なっている国民的プロジェクトの愛称であり、2005年に京都議定書において取り決められた日本の温室効果ガス6%削減に因んで〝みんなで止めよう温暖化〟を合言葉に結成されました。
  即ち、チーム・マイナス6%プロジェクトの目的は、地球温暖化の状況を広く国民に知らせ、温暖化防止のアクションを促すことであり、次の具体的な6つのことを提案しています。
    ① 温度の調節で減らそう・・・・冷房は28℃、暖房は20℃に設定する
    ② 水道の使い方で減らそう・・・蛇口はこまめに閉める
    ③ 自動車の使い方で減らそう・・アドリング・ストップを行なう
    ④ 商品の選び方で減らそう・・・エコ(省エネ)商品を購入する
    ⑤ 買い物とゴミで減らそう・・・ゴミになりそうな過剰包装を断る
    ⑥ 電気の使い方で減らそう・・・コンセントをこまめに抜く
  これらは、一人ひとりが意識しておれば、そう難しいことではありません。一人ではごく小さな削減にしかなりませんが、チーム全員が実施するとなると確実に大きな削減効果が期待できることになります。そして、今、チームとしてこの運動に参加する企業や諸団体が増えてきています。
  温室効果ガスの6%削減は、全世界に対する日本としての約束事であり、これが達成できないということは、国際社会における信用失墜に繋がるのは間違いありませんが、この目標の達成はそう簡単ではないと思います。多くの国民が参加する大衆運動にまで広げていくことが大切です。
  本校の環境改善の取り組みを、個人のレベルを超えたチームとしてのレベルにまで高めていくことが必要ではないかと思っています。

2008年05月11日

エコライフのすすめ~京都議定書の取り決め

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  地球規模での環境問題は年々深刻さを増してきていますが、この底流にあるのは人口の爆発的な増加です。二十世紀の初頭に20億人に満たなかった世界の人口は、1960年には30億人、1974年には40億人、1987年に50億人、そして1999年に60億人を超えました。最後の10億人が増加するのにわずか12年間しかかかりませんでした。そして、これからもアジアとアフリカを中心に人口は増え続け、2050年には91億人になることが予測されています。
  こうした事態を受けて、1992年にリオ・デジャネイロで「環境と開発に関する国際会議(地球サミット)」が開催されました。また、2005年2月16日には、二酸化炭素など6つの温室効果ガスの排出削減義務などを定めた「京都議定書」が発効されました。
  この取り決めによると、2008年~2012年の5年間に、日本は温室効果ガスを1990年比6%削減、EU(欧州連合)は8%削減ということになっています。
  現在、EU諸国の中には、政府の強力なリーダーシップの下で、既に環境改善に着手し大きな成果をあげているところもありますが、日本の現状は2006年時点で逆に6.4%の増加になっており、このままでは削減目標の達成は極めて難しい状況にあると言わざるを得ません。
  我々が豊かな生活を送るためには、さまざまな資源を利用していくことになりますが、次の世代に負の遺産を引き継ぐことは絶対に避けなければなりません。
  環境を改善するために「我々一人ひとりができること」は数多くあります。日常生活の中で、どのようなことから始めていけばよいのかをこれから紹介していきたいと思っています。

2008年05月10日

エコライフのすすめ~環境問題のとらえ方

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  今、地球の温暖化をはじめとする環境問題については、国境を超えた全人類の共通の課題として座視できない状況にあるのは間違いありません。
  既に、お知らせしていますが、本校では本年度より、サントリー株式会社の支援をいただき、環境教育を教育の一つの大きな柱にして取り組んでいきたいと考えています。しかし、環境に関しては、単に座学として勉強すればそれでおしまいというものではありませんし、いくら環境に対する豊富な知識を習得したとしても、その後の行動が続かなければ、良い方向に変わっていくことはできません。生徒達が環境問題を自分達のこととして考え、自主的に生活の改善をはかっていって欲しいと思っています。

  昨今、マスコミ等では連日のように、地球温暖化、オゾン層の保護、大気環境の全、水環境、土壌環境、地盤環境、廃棄物対策、化学物質対策、森林保全、自然環境保全等といったことが取り上げられています。しかし、大上段に構えて、環境という問題に取り組もうとすると、恐らく話が大き過ぎて立ちどまってしまうことになってしまいます。大切なのは「人間の行動そのものが環境に問題を引き起こしている」というようにとらえることではないかと思います。
  つまり、「環境問題というのは人間問題である」と受け止め、ごく身近な易しいことから行動に起こしていくことが何よりも必要なのです。我々のまわりには、これまで意識せずに環境を悪化させてきたことがたくさんあります。
  これから、何回かにわたり、これらのものを取り上げていきたいと考えています。

2008年05月06日

エコライフのすすめ~はじめに

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  環境問題への対策としては、政府や地方公共団体による取り組み、地域の有志による取り組み、企業による取り組み、学校や病院による取り組み、家庭による取り組み、個人の取り組み等がありますが、それぞれのレベルでできることから着手することが大切です。自分ひとりがやったところでどうしようもないと考えるのではなく、国民一人ひとりが環境問題を自分のこととして、受け止め行動を起こすことによって、点が線になり、線が面になっていくのは間違いありません。そして、このような動きが広がれば、日本全体に環境に対する意識が高まってくることになります。
  このために、我々の日常生活を見直し、エコライフを追求していくためには、どういうことをすればよいのでしょうか。色々な切り口がありますが、「エネルギー」「水」「食料」「ゴミ」「化学物質」の五つを中心に取り上げていきたいと思います。これまでもエネルギーと食料の自給率については、先進諸国の中でも最低の水準になっているということを紹介してきましたが、これからの世界各国の急速な経済発展を考えると、将来はお金があっても入手できないといった事態に陥る恐れは十分にあります。
そして、昨今、この二つの価格が急騰し、家計を圧迫してきています。今こそ、家計と環境の二つを同時に実現できるエコライフを目指していきたいものです。

2008年05月04日

環境への取り組み

  本校においては、本年度よりサントリー株式会社の支援をいただき環境教育に注力していこうとしています。既にこの校長通信でも紹介しているとおり、今月29日には枝廣淳子氏に基調講演をいただき『環境宣言』を行なう予定ですが、それまでに、環境についての意識を高めておくことが大切です。
  このため、連休前に中学生全員を対象に〝家庭において何らかの環境に関する取り組みを行なっているか〟を調査したところ、次のような結果になりました。
    ①家族と共に取り組んでいる・・・35パーセント
    ②自分ひとりで取り組んでいる・・・12パーセント
    ③家族が取り組んでいる・・・16パーセント
    ④取り組んでいない・・・36パーセント
  これによると、何らかの形で取り組んでいる生徒は47パーセント(①+②)、取り組んでいる家族数は52%(①+③)とほぼ半数になっています。
逆に、取り組みを行なっていない生徒や家族が半数いるということです。

  私もアンケートにざっと目を通しましたが、「電気をこまめに消す」「寝る前には主電源を切る」「エアコンの温度を調整する」「エコバッグを使う」「水を節約する」「ゴミの分別を行なう」等の取り組みを行なっているようです。

  一口に「環境」と言っても、エネルギー・食糧・水・ゴミ等非常に広範囲にわたっていますが、自分達ができる身近なことから始めることが大切であると思います。これから私自身が最近取り組んでいる事例も含めて、環境に関するさまざまな問題について紹介していきたいと考えています。