学校ブログ

校長通信

先輩からの手紙 第29号

2019/07/01

グローバル

今回、バンコク、シンガポールで活躍する卒業生と出会うことができました。バンコク在住38期生の濵田さんに「海外から見た日本、高校生へメッセージ」を後輩たちに向けてお願いしました。A4で4枚の大作をいただきました。一部しか紹介できず申し訳ないです。濵田さんは、タイで育ち雲雀丘を卒業し、現在はタイで機械関係のお仕事をされています。

日本では常識であることが、海外では常識ではないことがたくさんあります。例えば、皆さんが利用している電車、バスには時刻表がありますよね。でもタイにはありません。着たら乗る、です。日本のように時間通りに来るということは、世界から見れば非常識です。皆さんが当たり前のように利用しているものは、海外では当たり前ではないものがたくさんあるということを覚えておいて下さい。

問題です。12×3はいくつでしょうか。答えは、7ですよね。皆さんなら簡単に答えられると思います。でもタイ人は、ほとんどの人が9と答えます。なぜでしょうか。タイの場合、「計算は前からすること、先に計算する場合は括弧をつけること」と教えているそうです。ですから12から計算するわけです。日本の場合は、「掛け算、割り算は先にする」、と教えられますよね。でもタイの場合は、1+(2×3)と書かなければ7の答えが導かれません。ここで皆さんはどのように思いましたか。タイの教え方は間違っているのでしょうか。この場合、日本の教え方の方が、正しい答えを早く出せるかもしれないですね。でもタイの教え方が間違っていることにはなりません。同じことでも色々とやり方があることを覚えておいて下さい。色々な考え方があることを理解した上で一緒に成長できればいいですね。これは友人関係にも通ずることだと思います。(中略)

失敗を恐れないで下さい。失敗は成功のためのステップです。成功すればそれは失敗ではなくなります。大事なことは、同じ失敗を繰り返さないことです。

タイ人は、あまり失敗を気にしない性格です。タイ語で「マイペンライ」という言葉がありますが、これは日本語の「大丈夫、問題ない」という意味です。この言葉には良い部分と悪い部分両面あります。良い面は、「くよくよしないで前に進める」点です。これは非常に大事なことです。くよくよしていても前に進めません。「とりあえずやってみる。」ことも時には必要です。悪い面は、「とりあえずやってみる」のはいいのですが、失敗した場合に「マイペンライ」で済ますことが多いことです。「マイペンライ」で済ました場合、次に同じことをやる機会があっても、同じ失敗をすることが多いです。「同じ失敗をする」=「成長していない」ことになります。それは周りからの信頼を失うことに繋がります。失った信頼を取り戻すことは大変時間がかかり、労力も必要です。ですから皆さんは、失敗したらなぜ失敗したのかをしっかり考え、同じ失敗を繰り返さないようにして下さい。必ず原因があります。その原因が分かり対策をすれば、同じ失敗はしません。(中略)

世界に目を向けてみましょう。満足に食べられない人たちはどれくらいいるでしょうか。満足に食べられないと病気になりやすくなります。結果として死んでしまう人もいます。 タイも経済的に発展しましたが、それでも満足に食べられない人たちがいます。家族の生活を助けるために夜遅くまで働いている子供たちがいます。日本では廃棄される食糧がある一方で、世界では満足に食べられない人がいる。なぜでしょうか。貧しい人たちは、なかなか貧乏から抜け出せません。なぜ抜けられないのか考えてみて下さい。抜け出すためには何が大事なのでしょうか。(中略)

先ほど日本にあるものは一級品が多いと書きましたが、これは日本では売れない、あるいは使われなくても世界では売れている、使われているものがあるということです。こう見てみると日本は贅沢ですね。ではなぜこのようなことが起こるのか、皆さんで考えてみて下さい。

最低賃金の話をしましょう。日本とタイの首都で比較しますね。東京は、985/時間です。タイ、バンコクは325バーツ/日(=8時間労働)です。325バーツは約1150円です。ですからタイの場合、1時間当たりで約144円しか稼げません。日本は同じ時間働いても約7倍近く稼ぐことができます。なぜこのような差があるのでしょうか。皆さんで調べてみて下さい。タイより最低賃金が低い国も多くあります。



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