ポン吉は今日を楽しみにしていました。

ふり返れば，お昼ごはんで食堂に行って「うどんにするか，そばにするか」

電車で座っていて，おばあさんが前に立ったら「席をゆずるか，寝たふりをするか」

そんな時，常にどちらにしようか決めきれない，人生ならぬ“たぬ生”でした。

「そんな自分とは，今日でおさらばだ」

６時間目になって，校庭をのぞいて見ると，既に３年生・２年生の先輩たちが集合していました。

「わぁ，先輩がたくさんいるなぁ。あれ，いくつかのグループに分かれているぞ？」

先輩たちは，来るべき体育大会に向けて，各クラス（Ａ組：赤団／Ｂ組：黄団／Ｃ組：青団／Ｄ組：緑団）グループを作って，１年生の後輩たちに応援の仕方を教えてくれています。

「３年生の先輩はすごいなぁ。自分たちで応援のダンスを考えたんだ！」

「２年生の先輩も大きな手拍子や掛け声で，盛り上げてくれているぞ！」

１年生のみんなも，見よう見まねで必死に頑張っていました。

「僕は黄色の帽子だから，黄団かしら？それとも”緑のたぬき”っていうくらいだから，緑団かもしれない」

ポン吉は校庭で応援の練習をする，黄団と緑団を見ながら考えました。

「他のクラスはどこにいるのかしら？」

体育館に向かうと，柔剣道場では青団が，２階のフロアでは赤団が熱心に練習していました。

「どこの団も楽しそうで迷うなぁ・・・やっぱり，僕には“けつだんしき”はまだ早かったのかもしれない」

最後まで「結団式」を「決断式」と勘違いしているポン吉なのでした。