学園ブログ

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学園自然百景

2022年07月29日

29.「大黒天」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 大黒さまというと、七福神の神さまの一人です。ヒンドゥ教のシヴァ神の化身マーハーカーラがルーツとなります。マーハーカーラは、「偉大なる黒」という意味があり、そこから、仏教に大黒天として取り入れられたようです。「ダイコク」は、神話の「大国主命」の「大国」を音読みにしたものと一致したことからつながったようです。

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ひばりの里の湧き水池のガマ
さて、その話と、この写真の植物とどのようにつながるのでしょうか。それは、神話の中にある「因幡の白ウサギ」に関係します。みなさんもご存知の神話です。ワニをだまして島に渡ろうとしたウサギを懲らしめるために、八十神たちが毛をむしり取り丸裸にしました。その上、海水につかると治るとだまして傷を悪化させたお話です。
 ここまで聞くと「神さま」というイメージとはかけ離れてしまいます。とはいえ、案外神話に出てくる神は、残酷なことも多いですね。
 そんな中、この大国主命は、優しかった。ウサギに「きれいな川の水で体を洗って、『ガマ』の綿毛にくるまり、花粉をつけると治る」と教えたわけです。理にかなう部分とそうでない部分はあるのですが、正しい処方を教えたわけです。結局国を治める神となるわけです。

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 この写真の植物がガマです。『ヒメガマ』という種類です。ちくわやフランクフルトソーセージに似ているのが、雌花になります。秋から冬になるとここから綿毛が飛び出してきます。今は、さわるとフェルトの生地で覆われたすりこぎの感じで堅いです。先端の方にあるのが、雄花で、この花粉が、止血や傷薬として利用されているそうです。蒲鉾や蒲焼きは、この植物の様相に似ていることからつけられた名前です。蒲鉾は、棒に魚のすり身を塗りつけて焼いていました。また、ウナギも筒状に裂いて、棒にさして焼いていたそうです。

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 このガマによくとまっているのが、27話でご紹介したトンボです。絵画でもこの組み合わせがよく見られるようです。
 ウサギに処方を促した大黒天のような科学者が出てくるといいなと思います。このガマのようなコロナの特効薬が早く見つかることを期待します。