学園ブログ

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学園自然百景

2022年08月26日

32.「炎天の 地上花あり 百日紅」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 この句は、高浜虚子の句です。まさに、今この花があちこちに咲き誇っています。私の住む町では、道路の両側に赤や白・ピンクの花が咲くこの木がずらりと並び、華やかさを醸し出しています。この時期に盛りを迎える樹木の花は多くありません。

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告天舎前のサルスベリ
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サルスベリの幹
 「ひばりの里」を過ぎて、奥に入ると、告天舎という建物があります。その入り口の前に立派な百日紅(サルスベリ)があります。
名前の通り幹は、つるつるしています。一説によると、つる性の植物が巻いてこないようにしているとのこと。つる性の植物が巻いてくると、樹木の上に這い出して、日光を遮ったりたり、枝などの生長を妨げてしまったりするようです。





 百日紅と呼ばれる由来は、ある王子が恋人に百日すれば必ず戻ると約束し、その百日後王子は戻ってきたが、恋人は既になくなっていたといいます。その恋人の墓から、この木が生え、花を100日咲かせたことからこの名が付いたと言われています。この名の通り花期は長く、彼岸を過ぎても咲いているようです。
 その様子を虚子の恩師でもある正岡子規も句に詠んでいます。

 「萩の花 既にちるらくも 彼岸過ぎ 楢咲き残る さるすべりかも」

 高浜虚子は、最初に句を詠んだときに観察したのがこの花だったらしく、印象もとても強いようです。
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小学校のサルスベリ
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花のアップ
 サルスベリは、小学校の校庭にも咲いています。背はあまり高くないので、よく観察できます。
 花をよく見ると、花びらがとても縮れていて、8枚あるのがよくわかります。あまり近くで見ることがなければ、花の房全体を花としてみる事が多いと思います。
 花言葉は、たくさんあります。その中でも、百日紅の語源となった話から「あなたを信じる」という花言葉に今の世の中でとても大切な言葉だと感じました。
 疑いもなく互いに信じ合える日が来てほしいものです。