学園ブログ

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学園自然百景

2022年09月16日

35.「小さい秋」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 「誰かさんが誰かさんが誰かさんが見つけた」で始まる童謡「小さい秋見つけた」は、サトウハチローの作詞です。彼は、この詩を自分の小さい頃の経験から生み出したと言われています。彼は、おなかに大やけどを負ったそうです。そのため、外で遊ぶ事ができず、病床から聞こえたり感じたりした秋を読んだのだと言われます。
 遠くで聞こえる鬼ごっこの声に混じって聞こえるモズの鳴き声、冷たく感じるすきま風、赤く染まったハゼの葉。サトウハチローは、あきの気配をそこからかんじていたようです。
 ふと、幼稚園の入り口辺りに写真のような実が落ちていました。

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幼稚園前で落ちていたトチの実
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トチの実の拡大1

イガはなく、少し柔らかな皮を開くと、栗のような実が一つ入っていました。
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トチの実
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トチの実 中身

以前ご紹介したトチの実です。落ちてきたときは、音がしたのでしょうか。
数日後、退勤時に何かがコロコロと転がる音、その音を追いかける足音と親子の声。見るとトチの実が転がってきました。道路に転がる前に足で止め、幼稚園の子どもに返すと、大事そうに持っていました。「トチの実ですね。」と話すと、ニコニコしながら、「ハイ!ありがとうございます。」と保護者の方も答えていただきました。なんだかとっても心があたたまる気がしました。見えない自然の力を感じた気がしました。
ひばりの里では、コナラのドングリが落ち始めています。
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コナラ
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もうすぐすると、デッキの上をつま先で歩かないと潰してしまうくらい落ちてきます。それをワイワイ言いながら拾う子どもたちの姿が見えてきます。
サトウハチローは、部屋の中でしか秋を感じることがなかった幼い頃詠んだこの詩は、きっと目で見た秋の訪れを知ったから生まれたのではないでしょうか。3番の歌詞には、ハゼの葉を入日色と表現していることからも私は考えました。五感で秋を感じたいですね。