学園ブログ

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学園自然百景

2023年01月20日

50.「ささやかな幸せ」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 「商売繁盛で笹もってこい。」のかけ声が賑やかだったえびす祭り。商売繁盛を始め五穀豊穣、家内安全などを願い、福笹や熊手などを買い求める人々で賑わいます。
 では、なぜ笹なのでしょう。七福神の恵比寿神は、左手に鯛をかかえ、右手に竹の釣り座を持っています。竹は、一年中緑をたたえ、次から次へ、地下茎が伸びて新しく芽を出す、節目正しい、しなって折れないなどの理由からそれらの象徴とされたようです。ただ、竹では、あまりにも大きくなりすぎることもあり、サイズの小さな笹が代わりになったようです。

 さて、「ササ」と「タケ」は違う植物なのでしょうか。写真は、学園に茂る竹や笹です。

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中高校体育館へ向かう左手のササ?
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「みちしるべ」横のササ?
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ひばりの里のササ?

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「will house」南側のタケ?
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小学校校庭のタケ?
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タケの竹稈(ちくかん)


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ササの稈(皮が残っている)
 「ササ」や「タケ」はイネ科の植物で、一般に草と呼ばれる植物の仲間になります。樹木のように堅くなりますが、年輪はありません。辞書によっては、その2種の違いは、はっきりしていないと書かれているものもありますが、写真のようにタケノコに見られる中を包む「葉梢(ようしょう)」とよばれる皮のような物が「タケ」の幹にあたる部分に付いたままになっているのが、「ササ」、早くに落ちてしまう物を「タケ」と区別するようです。

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採取した葉
 もう一つの見分け方は、葉脈です。私も今回初めて知りました。「タケ」の葉脈は、あみだくじのように格子状になり、「ササ」は、平行脈であることです。そこで、解剖顕微鏡で学園に生えている葉を調べたのですが、稲の葉は、ご覧のように平行脈ですが、調べた葉は何と全て網状になっていたのです。とすると、これは全て「タケ」と言うことになるのですが、そうでもないように思えます。

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どれも編み目がありました。
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イネの葉脈

 詳しい種類の同定は、できませんでしたが、「タケ」と「ササ」の区別は、やはり難しいようです。
 更にややこしいのは、名前にササとつく「タケ」やチクとつく「ササ」もあります。
 「タケ」は、中国原産が多く、「ササ」は、日本古来のものが多いようで、そこから七夕やえびす祭りではササが使われたのかもしれませんね。いずれにしろ、願いを叶えたり、福を呼び込んだりするものとして扱われて来たのですね。
 ささやかな幸せが続くことは、大きな幸せにつながるのではないでしょうか。