学園ブログ

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学園自然百景

2023年06月16日

70.「絶滅危惧種」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 田植えが終わり、大雨を乗り越えてようやく根も張り出して、苗も落ち着いてきました。そんな中、朗報が飛び込んできました。「モリアオガエルが卵を産みました!」ひばりの里でお世話になっているSATOSATOの米本さんからでした。
 早速行ってみるとたしかに、写真のように泡が葉の間にかたまってついています。卵塊(らんかい)とよばれるもので、泡の中にたくさんの卵が産み付けられています。およそ1ヶ月前に米本さんからヌマガエルの卵塊を発見しましたと連絡がありました。残念ながら、この卵塊は、田んぼの中に埋もれてしまいました。こちらは、他のカエルと同じように水の中に卵が寒天状のものに包まれています。

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今回みつかったモリアオガエルの
卵塊
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卵塊の拡大
 
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近くにいたモリアオガエル 
 

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一昨年みつかったモリアオガエルと卵塊
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2020年6月1日 イネの苗に産み付けられた
シュレーゲルアオガエルの卵塊 
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2020年6月19日にみつかった
モリアオガエルの卵塊  

 モリアオガエルは、木の上に住む珍しいカエルです。それが見つかったのは確かに朗報なのです。その上、あまり見かけることのない親ガエルも見ることができました。しかしそれ以上にこのカエルが絶滅危惧種であることと、2年前まで確認できたのが、昨年は確認できませんでした。それもあって朗報ということになりました。もう一つ絶滅危惧種になるシュレーゲルアオガエルというカエルの卵塊も以前見受けられました。こちらは、木の上でなく、水辺の草などの上に泡状の中に卵を産み付けた卵塊なのですが、やはり見ることができていません。ただ、観察会のときにオタマジャクシが見つかり、生存は確認できました。このカエルも絶滅危惧種です。
 環境省が日本の生物の絶滅危惧種の情報を提供しています。各都道府県によって、同じ生物でもその絶滅危惧種の分類が違うことがあります。兵庫県では、2017年の発表では、このモリアオガエルが、両生類のレッドリストBランク(絶滅の危険が増大している種※兵庫県貴重製評価区分による)に指定されています。シュレーゲルアオガエルも兵庫県のレッドリストCランク(生存基盤が脆弱※兵庫県貴重製評価区分による)に指定されています。
 このモリアオガエルが現れたということは、この場所が、繁殖できる貴重な場所であることがわかります。そのために、私たちは、この場所を守っていかなくてはいけないのです。
 種の絶滅を防ぐということは、私たち人間が、より長く存在できると言うことにもつながっていくと考えなければ行けないでしょう。次代を繋ぐこどもたちのためにも。