学園ブログ

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学園自然百景

2024年06月07日

117.「招かざるゲストたち」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 田植えをしてこれからが忍耐がいる話を前回に書きました。早速緊急事態がやってきました。と言っても大雨とか全滅とかではないのですが、小さな侵略者がイネにやってきたのです。
 イネミズゾウムシという外来種で、アメリカから1976年に干し草とともに入ってきたといわれる比較的新しい外来種ではあるのですが、全国に広まっています。
 植物防疫法有害動物にも指定され、日本の侵略的外来種ワースト100にも入っています。
 この昆虫の厄介なところは、メスだけで繁殖し、幼虫が根を捕食するところなのです。成虫はイネの葉を食べ、米の収穫には大きく影響しないらしいのですが、成虫で越冬し、田植えがはじまると、泳いで、イネにつくのです。イネの根に卵を産み、幼虫は、根を捕食し、空洞にしてしまいます。そのため、イネの株が、通常ならば、20本から30本まで増えていくところ、半分以下になってしまうことがあります。その分、収穫量が減ってしまうことになるのです。
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イネミズゾウムシ
手のひらに乗っています。
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ひっくり返るイネミズゾウムシ
 
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イネの葉についたイネミズゾウムシ
 

 これに対処するためには、農薬を利用する方法もあるのでしょうが、無農薬を基本に行っているので避けたいところです。子どもたちもそれは望んでいません。では、どうするかというと、手作業で駆除する。手作業は、ゲストティーチャーや、常務理事、事務局長も出動して退治にあたって頂いています。また、侵入経路を防ぐために田んぼのまわりに波板をはるなどの対策を校務の方にしていただいています。また、中高生の科学部が、テレビの番組で作っていた無農薬農薬をつくり散布してくれました。
 この小さな侵略者たちも生き延びるために必死なのでしょう。できれば棲み分けてくれると嬉しいのですがそうもいかないので、これからも彼らの産卵活動が終わるまで、せめぎ合いが続いていくでしょう。無農薬農薬が効くとよいのですが。招かざるゲストには、是非お暇乞いをお願いしたい。