2007年10月31日

変化に対応する~高崎山の猿の生態~

全校朝礼

  10月31日(水)、全校朝礼で大分県の高崎山に生息する猿の集団の生態を取り上げ、新たなものに挑戦することの大切さを話しました。
  “お父さんやお母さん、先生たちが皆さんに勝てないもの、それは若さです。そして若さの特権は何と言っても、色々なことに果敢に挑戦していけることではないかと思います。
 大分県の高崎山には多くの猿が生息しています。子どもの猿、若い猿、大人の猿、ボス猿がいます。この猿の集団に、畑から採れた土のついたサツマイモを餌として与えていたところ、ある時、どこで知ったのか子どもの雌猿が海水でこのサツマイモを洗って食べることを始めました。サツマイモを海水で洗うと、土が流されるだけではなく、塩分が浸み込み美味しくなります。この様子を見てすぐに真似を始めたのが子どもの雄猿で、子どもの猿の間ではサツマイモを海水で洗って食べるというのは当たり前になってしまいました。次いで若い雌猿、若い雄猿の間にこの習慣が広がりました。その後、しばらく経って大人の猿も真似をするようになりましたが、年を取った猿やボス猿は従来のやり方を変えようとせず、相変わらず土のついたサツマイモを食べていたようです。
  今、世の中は大きく変化してきており、次々と新しいものが生み出されています。変化するということは、それだけ大きなチャンスがあるということです。従来のやり方に満足するのではなく、若さという特権を思う存分活用して、新しい発想で様々なことに挑戦してください。”

  グローバル化が急速に進展する一方で、IT・ナノ・バイオ・エコ等の技術の革新は目を張るものがあります。日々のマスコミの報道を見ても、これらを駆使した新たな仕組みやシステムが創造され、商品化や実用化が進んできているのが解ります。このような状況を見ると、これから新しい仕事が続々と生まれ、社会で活躍する場はどんどん広がってくるのは間違いありません。世の中の変化を鋭敏に読み取るアンテナを磨き、前向きに行動していって欲しいと思っています。

2007年10月30日

秋の文化講演会の開催

記念写真 ステージ

  10月30日(火)学園記念講堂において、秋の文化講演会が開催されました。この催しは学園PTA協議会と教養委員会が主催し毎年1回、幼・小・中・高の児童・生徒の保護者を対象に開かれています。本年度はギターリストであるクロード・チアリ氏にお越しいただき、ギター演奏とトークを視聴するということになりました。
  講演が始まるまでの間、奥様を混えて色々とお話をお伺いしましたが、実に気さくなお人柄です。現在苦楽園にお住まいになっており、3日前に韓国での演奏会から帰国されたこと等をユーモアたっぷりにお話しされ、控え室の場の雰囲気は大変和やかなものになりました。
 11時からの講演の演題は『音楽、ことば、そして地球人』です。この中で同氏からは、フランスのニースに生まれパリで育ったこと、11歳から独学でギターを始めたこと、16歳でロックバンド「レ・シャンピオンズ」を結成し、ビートルズが前座をつとめる程の人気を得たこと、一時期パリの証券取引所に勤務していたこと、1964年20歳のときにバンドの仲間と喧嘩してコンピュータ関係の仕事に戻ろうとしたところ、一端決めた道を途中で変更するなと父親から厳しく叱責されたこと、バンドから独立してソロのアコースティック・ギタリストとしてデビューしたこと、夜霧のしのび逢いの大ヒットでフランスの「ACCディスク大賞」を受賞したこと、その他タヒチでの生活や奥様との出会い、日本で暮らすようになり当初習慣の違いに戸惑ったこと等、関西弁をまじえた巧みな話術で紹介されました。
  その後、「カミート(アルゼンチンタンゴ)」「冬の華」「禁じられた遊び」「花祭り(フォルクローレ)」「夜霧のシルエット」「思い出のソレンツァラ」「オリーブの首飾り」「夜霧のしのび逢い」「チェイサー」を演奏していただきました。同氏は哀愁のギターリストとして全名を馳せておられ世界中に多くのファンがいますが、ギターの奏でる繊細で哀愁漂う素晴らしい音色は観客の心を魅了したようです。

  クロード・チアリ氏はインターネットの前身であるパソコン通信を日本に広めた先駆者であり、親日家として日仏間の親善に大きな役割を果たしてこられました。また阪神淡路大震災では、自ら被災されたにもかかわらず、全国各地でチャリティーコンサートを開くなどの復興活動支援を行なってこられる等、幅広い活動をされています。
  お忙しい中、楽しいお話と芸術の秋にふさわしいギター演奏を披露していただき心より感謝申し上げます。 

2007年10月29日

社会人基礎力4  ~チームで働く力①~

  本日は「チームで働く力」(チームワーク)について紹介します。
個人では非常に優秀なのに皆で仕事をする時には目立たなかったり、逆に和を乱すような人がいます。また2番手3番手では素晴らしい仕事をするが、トップになると能力を発揮できないという人もいます。なぜそういうことが起こるのでしょう。それは、集団において、立場において、それぞれ違う能力、その能力の中でも特に「チームで働く力」が求められるからです。例に挙げた人達には、何らかの「チームで働く力」が不足していると考えられます。この「チームで働く力」は人間関係に大きく影響してきます。「働く力」と定義されてはいますが、実は仕事のみならず社会生活全般に必要な能力と言えます。「チームで働く力」は6つの要素に分類されますが、長くなりますので今回はその中の3つについてとりあげることにします。

  「規律性」“社会のルールや人との約束を守る力”
社会人として当然やらなければならないのは、他人に迷惑をかけないということですが、この簡単なことができていないケースが散見されます。わが国は法治国家であり、様々な法律が制定されていますが、これは最低限守らなければならないものであり、違反すると罰せられます。しかし、これ以外にも社会や組織にはルールやマナーというものがありますし、T・P・Oといったその場の雰囲気の中で行動しなければならないこともあります。
社会で上手くやってゆくためには、規則をしっかりと守り、場の空気を良い方向へ向けるような適切な発言や行動をとらなければなりません。ルールや約束を守らないというのは相手の立場を考えず、自分さえ良かったらという自己中心的な行動です。昨今、社会問題となっている食の偽装や政治と金の癒着、談合、年金保険料の着服等もこれらの規律や法律を遵守するという基本的なことができていないからです。

  「発信力」“自分の意見を分かりやすく伝える力”
  「傾聴力」“相手の意見を丁寧に聞く力”
この2つは情報を伝える能力と受け入れる能力です。人に何かを伝えたい時に、思いついたことを適当に話してるのでは、おそらく理解されません。相手が理解しやすいように、より一般的な言葉・凡例や正しい国語を用いながら、自分の考えをまとめてから話すことが大切です。また逆に人の話を聞いていて、よく理解できないといった経験も誰しもあるはずです。聞くときには相手の話しやすい環境を作ったり、適切なタイミングで質問する等、相手の意見を引き出す工夫も必要となります。また最近の社会では難しい言葉や業界・専門用語なども多く使われるようになってきているため、円滑な意思疎通をはかるには、これらの知識の習得も欠かせないでしょう。
 残り3つの要素については次回に紹介します。

2007年10月28日

模試試験結果から見た学力分析

スタディーサポート

  高1の保護者会では、大学入試状況の説明に続いて、クラス担任で数学科の先生から模擬試験の受験状況と学力分析の報告がありました。本校では校内の定期考査以外に年間6回の模擬試験の受験を行なっていますが、現在までに希望者模試を除いて3回実施しています。この中で、4月と8月には同じスタディーサポートを実施しているため、この結果からは成績の推移を知ることができます。これによると平均偏差値は上昇、成績上位者数は各階層で増加、成績不振者数は減少しており、英語・数学・国語のすべての教科において成績は上昇しています。これだけを見ると順調に学力が伸びているように思われますが、模試と同時に調査された学習習慣については看過できない状況になっています。今回は、学習習慣の中で家庭学習の時間と学力との相関をとりあげてみると、大きく4つのタイプに分かれます。
   第1のタイプは家庭学習の時間が十分で学力の到達度も高い集団。
   第2のタイプは家庭学習の時間が十分なのにもかかわらず学習到達度が低い集団。
   第3のタイプは家庭学習の時間が不十分なのにもかかわらず学力到達度が高い集団。
   第4のタイプは家庭学習の時間が不十分で学力到達度の低い集団。
第1のタイプは理想形ですが、全体では4人に1人くらいしかいません。問題は第3と第4の家庭学習の時間が少ないタイプです。高校の授業の内容は中学に比べると、質・量共大きく異なってきています。すべての教科において、学校での授業と家庭学習をしっかりやらなければ学力を向上させることはできません。学力は概ね学習習慣に比例すると言われていますが、これはスポーツにおける運動能力と練習時間との関係と全く同じ傾向です。そして、実に4人に1人が第3のタイプに属しています。現時点では、要領やこれまでの「学力貯金」で何とかこなしていますが、学習内容は更に難しくなってきます。このまま努力を怠っているとその「貯金」を使い果たしてしまい、やがて成績が低下し、第4のタイプになるのは間違いありません。第2のタイプの人は悲観する必要はありません。学習方法を見直す等の努力を継続してください。すぐに成果は現れませんが、3ヵ月続けると必ず学力は伸長します。
  志望する大学や学部に進むためには、高校生活の3年間で2000時間の家庭学習が必要であると言われています。1日あたりにするとおよそ2時間です。「自分は力がある。やろうと思えばいつでもできる。」という言葉はできない人の言い訳です。最後の1年間で追い込もうと思っても1日6時間の家庭学習は不可能です。既に半年が過ぎましたが、今ならまだ間に合います。今のうちに是非しっかりした学習習慣を身につけておくようにしましょう。

2007年10月27日

高校1年学年懇談会の開催

高1学年懇談会(G組)2007.10.27変換.jpg 高1学年懇談会(A~F組)2007.10.27変換.jpg

 10月27日(土)、高校1年生の保護者を対象に「学年懇談会」を開催しました。生徒達が4月に入学してから早いもので7ヶ月が経過しました。既に10月からは後期がスタートしており、生徒達は学業においても部活動においても、自分なりのペースで高校生活を送っているようですが、いくつかの課題も生じてきています。本日の懇談会はこれらの課題を保護者に正しく伝えると共に、最新の大学入試の状況と2年生に向けての進路選択についての説明を行ないました。
  冒頭、私からはパワーポイントを使用して、世界や世の中のトレンドをしっかりと押さえた上で“将来社会で役立つ力”を家庭と学校が連携して育てていきたいという趣旨の話をしました。続いて進路部長から大学入試の状況は大きく変化しているということを数値を元に説明しました。具体的には、受験者がピーク時(’92年)の122万人から昨年度は約76万人と6割強になっていること、4年制と短期を合わせた大学の数は逆に20年前に比べて約240校も増加していること、今後更に受験者数が減少することから大学全入時代を迎えることになり、不合格者が出ない安易に入学できる大学が増えること、一方で人気のある難関大学の競争率は依然として高く、今後ますます大学の二極分化が進むといったことの話がありました。また、昨今国公立・私立共再編・統合の動きが加速されてきており、併せて多くの大学で後期日程の廃止やAOや推薦入試の導入等入試そのものが複雑化してきている現状も報告されました。
  これらの説明を聞いて、多くの保護者の方は頷いておられましたが、目先のことだけを考えると大学に入ることが目的になってしまいます。しかし、大学進学というのはあくまで将来のために専門能力を伸長させ、人間としての幅を広げるための手段なのです。大学受験にあたっては、是非上(将来)から物事を見て志望校を絞り込む。そして、自ら決めた当初の計画を安易に切り下げないで欲しいものです。

2007年10月26日

社会人基礎力3  ~考え抜く力~

sczu.jpg

  今回は、社会人基礎力の一つである「考え抜く力」(シンキング)について紹介します。
先日、「主体性」いわゆる自分でアクション(行動)するということを述べましたが、これと対になるのがシンキング(思考)であり、大きく3つの要素に分類されます。
  ひとつ目の「課題発見力」は“現状を分析し目的や課題を明らかにする力”のことです。
社会での仕事には、ごく一部の単純作業を除いてマニュアルどおりにいくものはほとんどありません。仕事を進めていく際には様々な問題点が現れてきますが、これらを適切に処理してゆく必要があります。そのためには、まず現状を正しく見据えた上で、事前に弊害となる物事を見つけ出していくことが大切です。このように、社会においては学校と異なり、与えられた問題を解くというだけではなく、何が問題なのか、突き詰めると“問題そのものを作り出す力”が必要になってくるのです。与えられた問題を解くことに終始していると、目標を達成するために何を解決しなければならないのかという力は育ってきません。
 次に必要になる能力は「計画力」です。
社会においては、よく“仕事は段取り八分”という言葉が使われます。つまり、仕事の出来ばえは、段取りをしっかりやるかどうかで80パーセント決まるということです。とにかく思いついたものから取りかかるということでは、「手順前後」や「やり直し」をするということが生じてきます。また、チームで仕事をする場合には、計画性のなさはメンバーの動きがバラバラになってしまい、成果を挙げることは極めて難しくなってしまいます。このように、計画力とは提起された課題を解決するために必要な幾つもの過程(ステップ)を明確にすることから始まり、その中でも最良の方法を検討し、実際にその解決に取り組むための準備をする。要約すると“課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力”です。
  最後のひとつは「創造力」です。
既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決方法を考える力です。今の時代において必要とされるものは、従来の枠組みや発想にとらわれない柔軟な姿勢です。このような変化の激しい時代には、他の物真似ではなく、常に“他との差別化をはかる”斬新な取り組みが必要になってきます。既存の考えに固まり、過去の延長線上で仕事を進めている組織では、時代に取り残されてしまうのは当然です。「常識を覆す(くつがえす)」ような斬新な考え方が、今までにない効率的なやり方、新しい分野の開拓、魅力ある商品、新たなビジネス・モデル等を生み出すのです。まさに想像力とは“新しい価値を生み出す力”であると言えます。
  しかし考えるだけでは何も起こりません。実際の問題解決に対しては、主体的に周りを巻き込み、失敗を恐れずに実行してゆく、先日お話した「前に踏み出す力」つまり“アクション”が必要となります。そして行動していく上で、最良と思っていた方法が実は間違っていたり、予想もしていなかった課題も生じます、こういったことは仕事をしていく上では頻繁に起こります。そこで、新たな課題を見つけ、計画する対策を「考え抜く力」即ち“シンキング”が再び必要になります。仕事とはこういった、課題と解決、思考と行動の繰り返しであるという側面を持っています。「社会人基礎力」もそれぞれ単体ではなく、融合することで更なる力となるのです。

  次回は「チームで働く力」(チームワーク)について紹介します。

2007年10月25日

本物の舞台芸術体験

kansho.jpg

  10月25日(木)、学園講堂において、中学1年~高校1年の生徒を対象に、広島交響楽団によるオーケストラ演奏会を開催しました。本校では毎年何らかの形で芸術鑑賞を実施していますが、本年度は文化庁文化部地域振興室が運営する「本物の舞台芸術体験事業」の一環であるオーケストラ公演ということになりました。
  “子どもは社会を映す鏡”と言われていますが、残念なことに昨今多くの問題事象が生じてきています。このため、文化庁では子ども達に文化芸術を通じて、本物の感動を与え生きる喜びを感じてもらい、豊かな情操を育てることを目的として、この芸術体験事業を推進しています。オーケストラの他、合唱、音楽劇、演劇、文楽、邦楽、邦舞、洋舞があり、昨年度は50を超える団体が公演を行なったようです。
本日の公演は最初にビゼー作曲のオペラ「カルメン」より、情熱の国スペインを舞台に、主人公の女性カルメンを中心に繰り広げられる恋の物語を、“第1幕への前奏曲”“前奏とアラゴネーズ”“間奏曲”“ジプシーの踊り”の順に印象的なメロディーと迫力あるオーケストラの音色で演奏されました。
広島交響楽団は60名のメンバーで構成されており、使用されている楽器は20種類とのことですが、演奏の途中でそれぞれ、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ハープといった弦楽器、フルート・ピッコロ・オーボエ・クラリネット・ファゴットといった木管楽器、ホルン・トランペット・トロンボーン・チューバといった金管楽器、小太鼓・大太鼓・ティンパニといった打楽器等、各楽器の紹介と短い曲の演奏が行なわれ、生徒達は興味深くそれぞれの楽器の音色に聞き入っていました。
  その後、休憩を挟んでチャイコフスキー作曲の「くるみ割り人形」より“花のワルツ”が演奏されました。続いて「オーケストラを指揮してみよう」というコーナーがあり、二人の生徒による一分間の指揮者体験が行なわれました。最後に、スメタナ作曲の「我が祖国」よりチェコの首都プラハを流れる“モルダウ”を演奏していただき、全員で“旅立ちの日に”と“校歌”を合唱して、約1時間半にわたるオーケストラ公演は終了しました。
  生徒達の中には音楽に関心を持っている者も多く、公演の後には演奏者達に色々と質問したり、自分達もオーケストラをやってみたいという声が上がっていました。
  本校では、人間教育の充実を育成方針に掲げており、生徒の情操を養う芸術関係の授業にも注力しています。今後ともこのような活動を積極的に展開していきたいと思っています。
  広島交響楽団の皆さんは、年間130回もの演奏活動を行なっておられるようで、公演終了後はすぐに広島に向けて出発されました。過密スケジュールの中で、本校の生徒達に感動を与えていただき心より感謝申し上げます。

2007年10月24日

宇宙の気を取り入れる

  10月24日(水)、全校朝礼において宇宙の気を取り入れるという話をしました。
学習、スポーツ、仕事等どのようなことをやるにしても、気力が充実していなければうまくいかないものです。色々な分野における一流の人材は例外なくこの気力を充実させていく方法を身につけています。つまり、日々気を取り入れ、エネルギーの流れを円滑にするというトレーニングを積み重ねているのです。これまで〝気〟に関しては不思議な現象の事例が発見されています。
  その一つの例は、コップの中に水を入れ優しい言葉で語りかけると、不思議なことに水の結晶は美しく並びます。次に暴言を浴びせると、水の結晶は不揃いでバラバラになるようです。誰でもそんなことはないと思うでしょう。このことを聞いて、どうしても信じることができなかったマスコミ関係の人達が実際に実験をしてみたところ、事実であるということが判り驚いたようです。
また、別の例は、有名な画家が庭から多くの柿の実を採ってきて、その中から画材にするためにいくつかの柿を選んだそうです。そして、「自分が絵を書き終わるまで、新鮮なままの姿でいて欲しい。」と願いながら絵を書き出しました。そうすると、他の柿は腐っていくのに画材に選んだ柿だけはいつまでも瑞々(みずみず)しかったとのことです。最近、私も庭の花を採ってきては、いつまでも美しく咲いて欲しいという言葉と共に気を送るようにしています。
  この気というエネルギーについての研究は実に3000年も前から中国で行なわれ、つぼや鍼灸の発達につながってきました。また、インドにおいても、古来より人間の体には気を取り入れる7つの〝チャクラ〟と呼ばれる箇所が存在すると言われています。
  まだまだ宇宙の気については解明されていないことが多いようですが、気力を充実させて有意義な学校生活を送って欲しいものです。

2007年10月23日

社会人基礎力2 ~前に踏み出す力~

  昨日紹介したとおり、社会人基礎力は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで動く力」の3つで構成されています。それぞれは個別ではなく相互しあうことで、他の人々と共に多種多様な仕事を成り立たせてゆく力となります。今日紹介するのは「前に踏み出す力」(アクション)についてです。「前に踏み出す力」は次の3つの能力要素に分類されます。
  一つ目は「主体性」です。
昨今、〝言われた事ならできるが自主的に行動できない〟といった指示待ち人間が増えてきています。言われたことをやらないというのは論外ですが、言われなければ行動を起こさないという姿勢では何事も上手くいきません。私も著名な大学出身にもかかわらず自ら動かないため常に業績の上がらない営業マンに「どうすれば販売が伸びるのか教えてください」と言われて愕然としたことがあります。他人にアドバイスを受けることは大切ですが、自らやるべきことを見つけて、積極的に取り組む事でなければなりません。「主体性」とは言い換えると、“物事に進んで取り組む力”のことです。これは別に企業に限ったことではありません。学校や家庭や地域社会においてもこの“言われなくてもやる”という姿勢が必要です。
  二つ目は「働きかけ力」です。
仕事の多くは、独力で達成するのは困難です。大きな仕事になればなるほど、多くの人の協力がなければ成り立ちません。そして皆がベクトルを同じくして一つの目的に向かわなければなりません。「働きかけ力」とは、ある目的に向かって周囲の人々を巻き込んで引っ張っていく“他人に働きかけ巻き込む力”です。立場によってはリーダーの示す方向・目的を理解し、自分を巻き込んでゆくことも大切でしょう。
  最後の三つ目は「実行力」です。
これは 物事に対して自ら目標を決め、失敗を恐れず粘り強く取り組むという“目標を設定し確実に行動する力”と言えます。実社会の仕事においては、学校の勉強のように必ずしも答えが一つに決まっているわけではありません。むしろ明確な答えのない問題ばかりです。失敗を恐れず果敢に挑戦するという勇気が何よりも大切です。例え失敗しても、それを糧にして粘り強く取り組むことが求められるのです。まさに〝やってみなはれ〟の姿勢そのものであると言えます。
  まとめると「前に踏み出す力」とは、自ら動き、他人を巻き込み、目標に向かって行動する能力ということになります。今一度自分自身を振り返ってみてください。
  次回は「考え抜く力」(シンキング)についてお話します。

2007年10月22日

社会人基礎力を育てる

  平成18年2月、経済産業省から注目すべきレポートが発表されましたが、この中には「社会人基礎力」という言葉が使われています。このレポートは、わが国の経済活動等を担う産業人材の確保・育成の観点から、職場等で求められる能力(社会人基礎力)の明確化、産学連携による育成・評価のあり方について「社会人基礎力に関する研究会」を開催し検討された報告書であり、メンバーは諏訪康雄法政大学大学院教授を座長に産学官の20名の有識者で構成されています。
  最近、各企業の人事担当の方と話をすると、必ずしも大学や高校での学力が社会では役立っていないという言葉が返ってきます。言われたことはできるが、自ら考え行動できない、チームで仕事ができない、すぐに諦めてしまう等の人間が増えてきているようです。そして入社3年以内の退職は7・5・3と言われるように、中卒で70%・高卒で50%・大卒で30%に及び、この結果フリーターやニートが増えてきています。
このレポートの中で誰もが納得するのは、学力と社会人能力は必ずしも一致しないということです。

  私も永い民間企業での勤務を通じてこのことを痛感してきました。そして社会で役立つ力は単なる知識ではないということ、点数ではかれる力とはかれない力があるが、“社会で役立つ”のはむしろ後者の方が大きいということ、そして、著名な大学を出てきてもしっかりと仕事ができないのは、点数ではかれる力を重視する知識偏重型の学校教育や家庭・地域における教育力の低下にも問題があるのではないかと考えてきました。
  このレポートに記載されている「社会人基礎力」というものは、私が常々感じている“社会で役立つ力”と言っても良いのではないかと思います。そして非常に参考になったのは、社会人基礎力についての明確な定義です。この中では、社会人基礎力として「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで動く力」の3つが柱であるとされ、更にこれを12の能力要素に分類しています。
わかりやすい説明なので、この3つの力について次回以降に紹介していきたいと思います。

2007年10月21日

第一回高等学校説明会

生徒会 受付

体験数学 体験理科

説明会受付 校長先生

  10月21日(日)、本年度、8月のオープンスクールに次ぐ高等学校の体験授業と第一回の入試説明会を開催しました。午前中の体験授業には約60名の生徒が参加し、二班に分かれて国語と英語、数学と理科の授業をそれぞれ2時間受講しました。多くの生徒にとって高校の授業は初めてだと思いますが、興味深く先生の話を聞いていたようです。
  授業の後は見学を兼ねて食堂で昼食を摂っていただき、午後1時からは講堂で入試説明会を実施しました。本日は日曜日ということもあり、ご両親でお越しになっておられる方も多く、約390組、430名の生徒と保護者の皆さんに参加いただきました。
  今の生徒達の心境は何とか自分の希望する高校に入学し、入学後は再び大学受験を目指すということであると思いますが、これはあくまで中期的な目標でしかありません。最終の目標は、自分がどのような人生を歩むのか、どのような仕事に就くのか、ということではないかと思います。私は、冒頭の挨拶の中で日本と世界の現状、今後の世の中のトレンド、生徒達が社会人になる7年後の社会について説明した後、本校が目指しているのは「将来社会で活躍するリーダーの育成である」ということを強く訴えました。続いて、教頭から本年度スタートした3つのコース制やカリキュラム、授業時間数についての詳細、進路状況を、入試対策部長から入試制度における留意点等の概要説明を行ないました。約1時間20分にわたる説明会でしたが、終了後も多くの保護者の方から個別の質問をお受けしました。
  受験生にとって高校入試は人生における最初の大きな試練かも知れませんが、人生というのは試練の連続であり、これらを乗り切ることによって人間的に成長していくものです。受験までには、まだ多くの時間が残されています。何事も3か月継続すれば必ず、目に見えて成果は上がってくるものです。今は「人生における節づくりの絶好の機会」であると前向きに受け止めて学習に取り組み、是非本校を受験して欲しいと思っています。 

2007年10月20日

7つの習慣

  昨日、7つの習慣について項目だけを取り上げたところ、よくわからないという意見を聞きましたので、この著書の目次を参照して少し説明を加えたいと思います。

1)「主体性を発揮する」:自己責任の原則
率先力を発揮し主体的に行動する人間になる、自分の行動・人生に対する責任をとる
2)「目的を持って始める」:自己リーダーシップの原則
常に自己を見つめなおし行動基礎となる原則を明らかにする、真に大切なこと・人生や活動の目的地をはっきりさせる
3)「重要事項を優先する」:自己管理の原則
常に目標意識に向かうように行動する、緊急ではない重要事項を意識する、感情に負けず困難や面倒に立ち向かう
4)「WinWinを考える」:人間関係におけるリーダーシップの原則
勝つか負けるかではなく、自分も相手も勝つ方法(互いの利益・満足)を考える
5)「理解してから理解される」:感情移入のコミュニケーションの原則
誠心誠意理解したいという気持ちに基づいて、相手の話に感情移入し、相手に影響される
6)「相乗効果を発揮する」:創造的な協力の原則
相手の考えや習慣・行動の相違点を尊び受け入れ、自分や周りを伸ばす
7)「刃を研ぐ」:バランスのとれた自己最新再生の原則
肉体・精神・知性・社会と情緒との関わりといった人間本来の能力を再新再生させる

  この7つの習慣が世界的に注目されている理由は、物よりも大切な人間関係や組織間の関係を維持するために集中せざるをえなくなっており、あらゆる分野におけるリーダーシップの鍵として益々認識されているのです。
 一度、暇な折に 是非『7つの習慣』に目を通してください。きっと得られるものがあると思います。

2007年10月19日

7つの習慣をベースとしたキャリア教育

  10月19日(金)株式会社ベンチャーリンク主催の“「キャリア教育」成功事例・失敗事例共有会”セミナーに参加しました。世界の国の中には、学校に行きたくても行けない子ども達が数多くいますが、日本においてはほぼ全員が高校に進学し、ほぼ2人に1人が大学へ進学する等、高学歴化が進んできています。また、2007年からは大学や学部を選ばなければ、全員が大学に入学できるという“大学全入時代”に入りました。そして、恵まれた教育環境にもかかわらず、他の国と比較しても将来に対する夢や目標を持たない子ども達が増え、学習に対する「やる気の低下」は目を覆うばかりの状況です。また、様々な社会の変化による経済的な豊かさの中で、頑張らなくてもなんとかやっていけるという安易な気持を持つ人も出てきています。しかし、このままでは世界の中における日本の地位は確実に低下していくことになります。国土も狭く大した資源もない日本が、今後の国際社会の中で認められるためには、この状況を食い止め、世界にはばたく人財を育てていかねばなりません。
  このような考え方に立って「キャリア教育」や「人生教育」を真の意味で機能させるためにはどうすれば良いのか、というのがセミナーの狙いです。そしてそのための手段として、スティーブン・R・コヴィー博士の『7つの習慣』をベースとした学校における取り組みが紹介されました。この書物は全世界では1500万部、日本では100万部を突破した有名な著書ですが、個人、家庭、企業、人生のすべてについて、この7つの習慣を実践することにより、成功がもたらされるということが紹介されています。
 7つの習慣とは次のものです。
  1)「主体性を発揮する」
  2)「目的を持って始める」
  3)「重要事項を優先する」
  4)「WinWinを考える」
  5)「理解してから理解される」
  6)「相乗効果を発揮する」
  7)「刃を研ぐ」
  今、「企業が採用時に重視する能力」や「経営者が欲しいタイプの人間像」に関する結果を踏まえると「人」「課題」「自分」を対象とした三つの分野に属する能力が共通してあげられます。具体的には、人との関係をつくる能力、課題を見つけ取り組む能力、自分をコントロールする能力ということになります。これらはまさに『社会人基礎力(社会で役立つ力)』なのです。
  本校の目指しているのは、将来社会で活躍できるリーダーの育成です。
私も以前この『7つの習慣』という本を読んだことがありますが、本日のセミナーの内容を参考にし、本校のキャリア教育の中に生かしていきたいと思いました。

2007年10月18日

自らの授業を磨く

kokai17.jpg
  今週月曜日(15日)から来週木曜日(25日)まで、公開授業旬間がスタートしました。本校ではお互いに授業を参観することにより、他の良いところを取入れ、気づいた点を指摘しあうという趣旨で、例年この時期に教務部が主催して授業の公開を行なっています。実施の方法は、(1)職員室内に大きな紙を張り出し希望者が参観にいきたい時間に名前を記入する (2)授業参観後はコメント・カードを作成し、感想や質問を記入し授業者に手渡す (3)授業者は質問についての回答を参観者にフィードバックし、コメント・カードを教務部に提出する、というものです。また、授業参観の際の参考とするため授業者はあらかじめ自分なりの「課題・目標」を授業目標カードに記入、教務部でとりまとめて職員室内のボードに張り出すことにしています。そして、「最低一人一回は他の先生の授業を見に行く。一人一回は他の先生に授業を見てもらう」ということにしています。
  本校では普段から授業はオープンにしており、いつ参観しても良いということにしていますが、非常勤講師の方からも「公開授業旬間を設けることで、気軽に他の先生の授業を参加できるので非常に参考になる」との声が寄せられています。
  私も既に何人かの先生の授業を参観しましたが、それぞれ創意工夫を凝らして取り組んでおられる状況がわかりました。先生方にとっては自分の授業の合間を縫っての参観となるためなかなか時間がとれないというのが悩みですが、他人の授業を見ることは多くの点で随分参考になりますし、他の先生から指摘されることで普段感じていなかったことを知る絶好の機会にもなります。先生にとってはまさに〝授業は命〟。こういった試みを前向きに受け止め、先般実施した授業アンケートの結果等も考慮しながら「自らの授業を磨く」という姿勢で取り組んで欲しいものです。
  現在、本校では生徒の学力向上を目指してカリキュラムやシラバス、定期考査、模試等の見直しを行なうと共に、教務員の資質向上を目指して色々な研修会も開催していますが、私もこの機会に多くの先生方の授業を見学し、気の付いたことを伝えていきたいと思っています。

2007年10月17日

へルバルト校の皆さんと

aisatu.jpg seiretu.jpg

  10月17日(水)全校朝礼において先週土曜日から本校で研修しているヘルバルト校の生徒達の紹介をすることになっていたため、剣道部・柔道部の表彰の後、ドイツ連邦共和国の概要についての話をしました。現在、世界には192の国がありますが、ドイツはアメリカ・日本に次いで現在世界第3位のGDPを有するEU最大の経済大国です。しかし、我々日本人が政治・経済・歴史・文化・宗教・生活習慣等について、どれだけのことを知っているかどうかは疑問です。今回私も改めて地図帳を開いてドイツのことを調べた結果、実にフランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルグ・デンマーク・オーストリア・スイス・チェコ・ポーランドという9ヵ国と国境を接しているということを再認識しました。国際化が進展する中で、今後ますます諸外国との共生が必要になってきますが、居住したり、何回も訪問したことがない限り、ほとんどの国の実態がつかめていないということを感じました。
kocho.jpg koto.jpg


  朝礼でのヘルバルト校の代表生徒による挨拶は、最初にドイツ語、次に同じ内容について日本語によって行なわれました。日本語の勉強を始めてまだ日が浅いにもかかわらず、流暢な日本語で堂々とスピーチする姿を目の当たりにし、本校の生徒達も感動していたようです。朝礼終了後は、文化館において国際科の2・3年生が参加して、本校生徒による英語での司会のもと、筝曲演奏を皮切りに歓迎セレモニーを開催しました。続いて書道の授業において“平和”や“吾”という色紙を仕上げました。
  夜は保護者の方々に参加していただいて、告天舎でお別れ会を開催しました。私は冒頭で、にわか仕込みのドイツ語で挨拶しましたが、その後は軽食を取りながら、歌・スピーチ・記念写真の撮影等を行ない、日本語と英語が飛び交う談笑の中、実に和やかな懇親会となりました。
  本校における研修は実質3日という短い期間でしたが、昨日の武道の授業も含め、日本の伝統や文化の一端を味わっていただけたのではないかと思っています。
  皆さんは明朝、東大阪市の捺染工場を見学後、次の宿泊地である倉敷に向かうことになっています。帰国予定は28日(日)ですが、この期間中健康に留意して多くのことを体験し、充実した日本での生活を送られることを心より祈っています。

2007年10月16日

ホームステイを通した心の交流

ホームステイ

  今回のヘルベルト校の生徒に対するホームステイについては、本校生徒の保護者の皆さんに受け入れをお願いしました。しかし、付き添いの2名の先生の宿泊に関しては生徒のご家庭にお願いすることはできないため、本校の先生方で対応することにしました。もし、調整がつかないようなら私の家でも良いかなと思っていましたが、通勤時間が一時間半以上もかかります。どうしたものかと思案していましたが、たまたま私の高校時代の友人で学校の近くにお住まいになっている方のことを思い出し、ホームステイの受け入れをお願いしたところ、快く引き受けていただきました。友人は元大手の商社マンで海外勤務の経験もあり、奥様は英語の教師をされています。先生は英語が話せるので、コミュニケーションという点では全く問題がありません。
  昨晩は、友人ご夫妻を交えて夕食をともにしましたが、先の日曜日にはわが国の伝統建築である京都の萱葺(かやぶき)の住居の見学に案内いただいたようです。また、奈良への観光にも生徒や保護者の皆さんと共に参加され、興福寺の五重塔や東大寺、春日大社などを見学していただきました。
  今回は本当にお世話になり、心より感謝しています。
私も海外でのホームステイの経験がありますが、いずれも暖かく迎えていただきました。今でもその国に対する好印象を持ち続けています。私の友人の中には、積極的に海外からの留学生や短期の研修生を受け入れる等のボランティア活動を行なっている人もいます。
 これからもこのような国際交流を通じて、国を超えた心のつながりを大切にしていきたいと思っています。

2007年10月15日

推薦入試受験者の指導

sinromen.jpg
  10月に入って、大学の推薦入試が始まりました。本校はお蔭様で多くの大学から指定校の推薦枠をいただいており、本年度も総数では500を超えています。高校3年生の在籍が222名ですので、単純に計算すると、1人につき2校以上の指定校の推薦枠があるということになります。しかし、本校ではあくまで第一志望を下げないことを進路指導の方針にしているため、実際にこの推薦枠を利用して受験する生徒は40名弱しかいません。推薦枠をいただくということは、とりもなおさずお互いの信頼関係がベースになっていると思います。
  従って、彼ら生徒達については、学校として自信を持って推薦するということが何よりも大切であると考え、全員校長面談を実施することにしています。授業中に面談することはできないため、どうしても面談は昼休みか放課後ということになります。本日も昼休みに面談を行ないましたが、「明確な将来目標を持っているか」、「安易な考え方で学校を選択していないか」、「学習に対する取り組み意欲は十分か」、「高校生にふさわしい態度や服装、言葉遣いができているか」等の確認を行ない、受験にあたって事前に調べておくべき内容についても指導しました。
  また、推薦入試で合格すると、ともすれば気持ちが緩み学習面において何かと問題が出てくることが予想されるため、例え推薦やAO入試に合格しても原則として全員がセンター入試を目指すということを合言葉にして取り組むようにしています。いずれにしても大学に進学することが最終目的ではありません。大学ではより高度な専門能力を修得し、将来社会で活躍できるようになることが大切です。これからもしっかりと個別指導を続けていきたいと思っています。

2007年10月14日

世界の国々 ~ ドイツ連邦共和国

doitu2.JPG
  図書室でホストファミリーと対面

  今後ますますグローバル化が進展していくのは確実ですが、案外世界の状況については理解が乏しいようです。現在、世界にはどれだけの国があるか? とか、人口がどれだけなのか? といった基本的な質問に対しても正確に答えられる人は少ないように思います。実は現在世界の人口は66億人を超え、国連加盟国だけでも192カ国あるのです。ましてや、個々の国の詳しい状況についてはほとんど知らないというのが実情ではないでしょうか。
  昨日、ヘルバルト校からの研修生を受け入れましたが、この機会にドイツという国の概要について紹介します。正しい国名は「ドイツ連邦共和国」。歴史を遡ると、4世紀にゲルマン民族がローマ帝国に侵入して以来、ドイツ帝国、神聖ローマ帝国、プロイセン王国、ドイツ帝国、ワイマール共和国を経て戦後東西ドイツに分かれ、東西の冷戦を経てベルリンの壁の崩壊により1990年に東西ドイツが統合され、現在に至っています。第二次世界大戦の敗戦から復興し、GDPは、アメリカ・日本に次いで第3位であり、国際貿易量はアメリカに次いで第2位という世界有数の経済大国であり、EU加盟国第一の経済力を有しています。特に自動車・機械・電機・鉄鋼・化学・環境・バイオ等の産業においては、著名な企業が数多くあります。自動車のメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、電機のシーメンス、航空機のルフトハンザ等です。
  日本との関係を見ると、ドイツは日本にとって欧州最大の、日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国です。また、過去には芸術や文化面においてもゲーテ・シラーといった文学者、ルター・カント・ニーチェといった哲学者、バッハ・ベートーヴェン・シューマン・ブラームスといった音楽家等を輩出しています。日本に近代西洋医学を伝え、近代化に貢献したシーボルトもこの国の出身です。
  現在、ドイツはシュレーダー首相からバトンを引き継いだアンゲラ・メルケル首相の下、環境をはじめ多くの課題に真正面から取り組んでいます。
  今回の研修を通じて、より深くドイツの理解を深めていきたいものです。

2007年10月13日

慌しい一日を終えて

sanuke.jpg sankan.jpg
  10月13日(土)、朝から中山台幼稚園の運動会が開催、続いて中学一年生の保護者による授業参観と懇談、更に本校における第二回目となる中学校説明会、午後からはドイツのヘルバルト校の生徒のホームステイ受け入れと実に慌しい一日でしたが、何とか終了することができました。
nakaun.jpg
  中山台幼稚園だけは離れた場所にあり、普段保護者の方が小学校や中・高に来られることはほとんどありません。私はいつものように早朝の登校指導をしていましたが、数ヶ月前に中山台幼稚園で講演したこともあって、顔見知りの方もおられ、「あの時はお世話になりました」と多くの保護者の方から親しく声をかけていただきました。丁度、運動会の受付時間が中学生や高校生の登校時と重なったため、生徒の様子や学校の雰囲気も見ていただくことができたようです。
setumei.jpg suraido.jpg
  説明会には約250名が参加され、私が冒頭の挨拶、続いて教頭と入試対策部長から本校の取り組みと入試についての概要説明をしました。終了後、教員が何組かに分かれて個別相談をさせていただきましたが、既にいくつかの学校を回られて、いよいよ受験校の最終の絞込みをされているようです。また、中学説明会に参加される方の学校見学と、中学一年生の保護者の授業参観の時間帯が重なったため、個々の案内が十分できず申し訳なく思っています。
次回の本校での中学入試説明会(第三回)は11月4日(日)に予定していますが、この説明会が最終になります。なお、施設見学や授業参観、クラブ活動見学を希望される方は、事前にご一報いただきご来校ください。
heru.jpg
  ヘルバルト校の生徒達は無事ホストファミリーの方との対面を終え、それぞれのホームステイ先に戻っていきました。短い滞在期間ですが、日本で色々な経験をして充実した生活を送って欲しいと思っています。

2007年10月12日

鳥取県校長総合研修を終えて

鳥取県で

  10月12日(金)鳥取県教育委員会主催の「校長総合研修」において“学校経営のビジョンと校長のリーダーシップ”というテーマで講演しました。この研修に講師として参加するのは、大阪府立高校時代を含めて3回目となりますが、今回の受講対象は小学校・中学校・高等学校の校長49名です。
  鳥取県では教員の資質向上には特に注力されており、校長教頭等の管理職研修をはじめ、多くの教員研修を実施されています。本日は、最初に講演前のパソコン・プロジェクターの準備の時間を活用して、研修担当の先生から聞いていた学校の課題である「評価育成システムの運用」や「危機管理体制」「保護者への対応」等についてフリートーキングしました。こういった課題は全国共通であり、とりわけ現在各都道府県において導入が進んでいる課題評価育成システムについては、必ずしも思いどおりの成果が上がっていないようです。このシステムはあくまで学校を良くするための手段であり、評価することが目的ではありませんが、学校現場では混乱があるように感じます。続いての講演では「社会で役立つためには」「教育界をとりまく環境と課題」に触れた後、「これからの学校づくり」「家庭・地域との連携」を中心に約1時間半にわたりお話しました。
  昨今、教育界を取り巻く環境は激変しており、従来どおりの学校運営では行き詰まるケースが数多く生じてきています。これらの環境の変化に的確に対応していくためには、これまで永年やってきたことを根本的に変えていかねばなりません。言い換えると「改善」ではなく「改革」が必要になってきます。このような学校改革のためには、校長がゆるぎない志を持ってビジョンを掲げ、戦略を構築し、あるべき姿に向けて各人のやるべきこと(目標)を明確にしていくことが大切です。そしてPDCAのマネジメント・サイクルをしっかりと回していかなければなりません。
  鳥取県は人口61万人・面積3500平方㎞の小さい県ですが、都会にない自然環境やゆとり等、素晴らしいものがあります。これからはまさにグローカル(グローバル+ローカル)の時代。鳥取県としての強みを生かした学校づくりを進め、将来の日本を背負って立つ子ども達を育てるという高い志で取り組んでいただきたいものです。

2007年10月11日

新たな教員の採用

  10月に入り、本校では来年度の学校経営計画づくりの検討に着手しています。ステップとしては、まず前期において学年・分掌、・教科毎にできたこと、できなかったことを評価し、反省を加えた上で、今後の課題の抽出を行なっています。次にこれらの課題解決のためには、どのような体制で臨むべきかを検討していかなければなりませんが、何と言っても「人」がポイントになってきます。
  私学の弱点をあえて挙げるとすれば、教員の異動が定期的に行なわれないために、新しい発想が生まれにくく固定化してしまうことではないかと思います。今、教育をめぐる環境は大きく変わろうとしていますが、変化が大きければ大きいほど、より柔軟な取り組みが必要になってくるのは間違いありません。
本校では、本年度、大阪や兵庫の公立高校から4名の先生方をお迎えしましたが、それぞれ新風を吹き込んでいただき、永年雲雀丘に勤務していただいている先生方との協力により、新たな教育活動が推進されつつあります。来年度は、学校改革の総仕上げとして「中学校におけるコース制」の導入を行なうことが決定していますが、この改革を着実に推進するために、今回、数学科、英語科、技術科、体育科において新たに先生を採用することにしました。
  詳細は『本部事務局』のホームページ上に掲載していますので、ご覧いただきますようお願いします。なお、学校見学を希望される方は遠慮なくお申し出ください。

2007年10月10日

本番に備えた体調管理

  10月10日(水)全校朝礼に引き続き、後期生徒会役員の承認式を行いました。全校朝礼では「本番に備える体調管理」というテーマで話をしました。
〝何をするにも「本番で自分の持てる力を発揮する」ということが重要です。折角 努力を継続してきても、肝腎の本番の際に持てる実力を出すことができなければ、それまでの努力は水泡に帰してしまう、ということになります。最も大切な本番にもかかわらず「病気のため休まざるをえなかった」とか「発熱や体調が優れなかったために十分な力が出せなかった」というケースは多く見受けられます。これから高校3年生は大学受験の本番を控えていますし、部活動の試合にも出場することでしょう。しかし、万全のコンディションで臨まなければ、それまでやってきた学習や練習の成果が生かされないことになります。また、皆さんが社会人になってからも、何度も大切なイベントを乗り切る必要が出てきます。
  体調が優れない主な原因としては、大きく3つがあげられます。
1つ目は、暑い寒いといった温度や、乾燥しているじめじめしているといった湿度、細菌やウィルスに犯される等の外的要因があげられます。
2つ目は、怒る・恐れる・悲しむ・驚く、などといった感情・情緒といった内的要因です。
3つ目は、悪い姿勢・食べ過ぎ・偏食・運動不足・働きすぎ・ストレス等の内外以外の要因です。従って本番で思い通りの成果を挙げるためには、日常生活においてこの3つのことに留意し、抵抗力や自然治癒力をつけることが重要です。栄養のある食事を摂る、無理をしすぎない、適度に身体を動かす、悪いことを考えすぎない、しっかり睡眠をとる等を心がけ本番に備えてください。〟
  生徒会役員の承認式の後、会長はじめ役員の皆さんからそれぞれ抱負が発表されました。
役員を中心に一人ひとりが自ら学校をつくるという気持で取り組んでくれることを期待しています。

2007年10月09日

ハミガキ学習法

  進路講演会の中で松尾先生が話された『ハミガキ学習法』について紹介したいと思います。〝学力アップのためには、毎朝歯磨きをするように学習の習慣をつけることが大切です。高校2年生ならセンター試験までまだ469日あります。仮に1日に英語の短文を10文ずつ覚えれば、4690文の短文を覚えることができますが、これはアメリカ人以上とのことです。また、数学についても1日1題を確実に解くようにすれば、実に469題をマスターすることができるのです。こういったことを確実にやれば、志望校には間違いなく入学することができるでしょう。〟
  「習(なら)い性(せい)となる」という言葉がありますが、この意味は〝習慣はついにはその人の生まれつきの性質となる〟ということです。学習だけでなく運動においても、また日常の生活においても、習慣化するということは実に大切です。高校は社会で役立つ力を育てるトレーニングの場と考えるなら、将来、社会に出た時に必要になるものは身につけておいて欲しいと思っています。
  今、時代は大きく変化してきており、これから益々変化のスピードは大きくなってきます。大学を卒業後40年以上社会において何らかの仕事につくと仮定すると、高校や大学で学んだことがそのまま通用するとは到底考えられません。急激な時代の変化に即応し更に先取りしていくためには、大学生、社会人になるに従って密度の高い学習が必要になってくるのは間違いありません。そのためにも、高校時代に日々小さな努力を継続するという「ハミガキ学習法」を身につけておくことが大切なのではないでしょうか。

2007年10月08日

阪神地区高等学校新人剣道大会に出席して

変換 ~kendo 010.jpg 変換 ~ 画像 016.jpg
  10月8日(月)、昨日に引き続き阪神地区高等学校新人剣道大会(第52回)が関西学院高等部で開催されました。この大会は11月17日・18日に開催予定の兵庫県高等学校新人剣道大会の予選も兼ねています。競技は個人戦と団体戦に分かれており、個人戦出場者は男子128名・女子78名、団体戦は男子29校162名・女子21校94名です。
  私は会長として冒頭の挨拶で次のような話をしました。
〝皆さんの中には、小さい頃から剣道をしてきた人もいれば、高校に入ってから始めた人もいると思います。皆さんが剣道をしているのは、何のためですか?強くなりたい、試合に勝ちたい、そのために毎日練習している、という人もいるでしょう。身体を鍛えたいと思っている人もいるでしょう。でも一番大切なのは、剣道を通じて人間力を身につけること、言い換えると「人間としての根っこを育てること」だと思います。剣道は、剣の“道”と書きますが、日本には“道”のつく武道が数多くあります。これらの武道では“心技体”が重要であると言われていますが、心が最初に取り上げられています。皆さんは剣道を通じてしっかりと心を磨いてほしいと思います。今日は日頃鍛えた練習の成果をしっかりと発揮し全力を尽くしてください。健闘をお祈りします。〟
  本日は大会2日目ということで、個人戦は初日に勝ち残ったベスト16の選手、団体戦は1回戦を突破した学校によって、それぞれ行なわれました。決勝戦に近づくにつれて、徐々に会場は熱気に包まれ、素晴らしい試合が相次ぎました。本校の選手達も大健闘し、男子個人戦では準優勝と3位、女子個人戦では3位、団体戦は男女共準優勝という結果になりました。あとわずかというところで優勝は逃しましたが、この悔しさをバネにして更に精進を重ね、大きく成長して欲しいと思っています。

2007年10月07日

忘却曲線を活用した学習法

忘却曲線

 昨日の進路講演会で、松尾先生が説明された「忘却曲線」と「ハミガキ学習法」は受験生だけではなく社会人にとっても非常に参考になる内容で紹介します。この内の忘却曲線について述べてみたいと思います。
  受験生の皆さんの中には学力が伸びないということで悩んでいる人も多いのではないかとおもいます。学習していないというのは論外ですが、時間をかけていても思うようにならないのは、それなりの理由があるものです。要は学習のやり方に問題があるのです。集中力が足りなかったり、何冊も参考書を持っていたり、できるものだけをやってできないものを後回しにしたり等です。
  今回の講演会では効果的な学習法の一つに「テスト・模試」を上手く活用することがあげられました。試験が終了した当日に見直す、答案返却時に復習する、しばらくたって忘れた頃に再度復習するというように「忘却曲線」に沿って3回復習すれば学習効果が上がるというものです。これは非常に大切なことで、どこで差がつくのかというと、テストや模試が終わった後なのです。受けっ放しでは、後日同じ問題が出ても間違った答えしか書けないことになります。
  この忘却曲線というのは、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスによって証明された人間の長期記憶の忘却を表す曲線です。これによると『記憶してからの忘却率は20分後には42%、1時間後には56%、9時間後には64%、1日後には74%、1週間後には77%、1ヶ月後には79%』ということになります。個人差はあると思いますが、記憶してから1日の間に急激な忘却が起こり、わずか26%しか残っていないということになります。しかし、この後の忘却の度合いは緩やかになっているため、忘れる前に繰り返し反復することが大切なのです。
  今回の講演会の話についても同じことが言えます。良い内容だったと思っていても、1週間後にはほとんど忘れてしまっているということにもなりかねません。是非、お話の内容について復習していただきたいものです。

2007年10月06日

進路講演会の開催

変換 ~ 画像 004.jpg
  10月6日(土)、駿台予備学校大阪校舎の松尾卓也先生をお招きして、午前11時から保護者を対象に、午後1時半からは高校2年生を対象に進学講演会を開催しました。本校では毎年夏休み明けにこの講演会を実施していますが、今年は台風の関係で9月の開催が約1ヵ月遅れになり本日開催ということになりました。天候にも恵まれ、土曜日ということで両親揃って参加される方も見受けられました。本校の生徒はほとんど例外なく大学進学を希望していますが、昨今の大学入試をめぐる環境は実に大きく変化してきています。
  私は冒頭の挨拶で、「社会の状況変化」、「これからの社会で生き抜くには」、「進路実現に向けて」というテーマで話しました。続いて松尾先生から保護者に対して大学入試の現状に関するいくつかの質問が出された後、受験勉強のポイントとして、教科書の理解が基本であり、バランスの取れた学力、思考能力、人間性、時間の有効活用についての説明がありました。また、合格のポイントとして、具体的な夢(目標)の設定、教科書を中心とした基礎学力の充実のための反復学習、具体的な受験校対策、学部適性を取り上げられました。さらに受験生のストレスに対する保護者としての取るべき対応をわかりやすく説明していただきました。特に受験は個人戦ではなく家庭、学校、先生、クラスの仲間等を含めた団体戦であるという言葉は印象的でした。そして、子どもとの円滑なコミュニケーションをはかることにより、よき家庭環境を作ることがポイントであるという話には、参加された保護者の皆さんは大きく頷いておられました。
  本年度の大学受験にあたっては、受験者数は減るが難関大学の競争倍率は下がっていないため、大学の二極分化が進んでいます。また〝国難私易〟(国公立大学が難しく、私立は易しい)や〝理高文低〟(理科系の競争率が高く文科系の競争率が低い)という考え方はまったく現実的ではありません。
なお、本日の「進路講演」は大変好評であり、一部の保護者からは「本日、私どもの子どもは公欠でクラブの試合に行っていますが、午後からの生徒への講演をビデオに撮っていただけないでしょうか。それを借りてビデオを見せたい。」との申し出がありましたので、急遽ビデオ撮影をして対応しました。
  既に後期に入り、2年生にとっては受験まであと1年半になりました。一人ひとりが自分なりの目標をしっかりと持ち、できるだけ早期に受験校を絞り込み、進路実現に向けて努力を傾注してくれることを願っています。

2007年10月05日

社会で活躍するリーダー ~良き協力者を持つ

  過去、一代で事業を立ち上げた人、莫大な富を築きあげた人、色々な分野で世間から注目されるような大きな事を成し遂げてきた人等を調べてみると、意識するかしないにかかわらず、必ず素晴らしい協力者の存在が浮かんできます。
  この校長通信で何回も紹介しているホンダの創業者、本田宗一郎氏についてもそうです。本田氏は技術者としては非常に優れた能力を有していましたが、会社経営については得意ではありませんでした。自分の欠点を知っていた本田氏は、財務経理のプロである藤沢武夫氏という人物を見出し、すべてを任せました。この結果、本田氏自身は得意分野である技術の開発に集中することができた、というわけです。
  のちに本田氏は「藤沢がいなかったら会社はとっくのとうに潰れていた」と語っており、当の藤沢氏も「本田がいなければ会社はここまで大きくなれなかった」と言ったそうです。お互いを理解し合い、役割を分担し、尊重しあい、信頼しあえるパートナーであったのでしょう。本田氏の強い理念と技術力、藤沢氏の経営力が両立し世界のホンダを作り上げた、いわば二人三脚で会社経営に取り組んだのです。藤沢氏の死後、本田氏はアメリカで日本人初の自動車殿堂入りを果たしました。帰国後、空港からすぐに藤沢氏の自宅へ向かい、受賞メダルを位牌に向けて見せ「お前と二人でもらったんだ」と語りかけたというエピソードが残っています。

  また、松下電器の創業者である松下幸之助氏も高橋荒太郎氏を良きパートナーとして人事や経理、事業部制といったマネジメントのシステムを作り上げたのです。ソニーを創業した井深大(いぶかまさる)氏と森田昭夫氏も絶妙なコンビで世界に冠たる技術のソニーを作り上げました。
彼らがいなければ現在のホンダや松下電器やソニーはなかったでしょう。良き協力者を見つけ出す力の大切さを教えてくれているようです。

2007年10月04日

後期始業式にあたって

変換 ~ 画像 005.jpg

 10月4日(木)、汗ばむような天気の中で、後期の始業式と全校朝礼を行ないました。本日からは冬服・合服に切り替えたため、男子はネクタイ、女子は大きなリボンを着用することになりましたが、全校朝礼後にはいつものように頭髪や服装のチェックも実施されました。
  私は、始業式で本学園の創立記念日について次のような話をしました。〝雲雀丘学園は昭和24年(1949年)にサントリーの創業者である鳥井信治郎氏をはじめとする地元の皆さんの熱い思いで設立されました。それから58年の月日が流れ、今では当時のことを語り継げる人はほとんどいなくなりました。しかし、現存する書物を紐解くと、学園創立の精神が明確に謳われています。これを要約すると『しっかりと親孝行し、将来社会で活躍するリーダーを育成する』ということになります。皆さんの中には、「自分はリーダーにはなれない、無理だ」と思っている人がいるかもしれません。でも、考えてみると生まれた時には全員が裸の赤ん坊なのです。生まれつきの医者もいませんし、弁護士も、会社の社長も、芸術家もいません。イチローや松井のような大リーガーもいません。今、社会で活躍している人を見ると、例外なく自分なりの確固たる目標を持ち、この達成に向けて日々努力を継続しています。そして、何度も失敗をしてきているのです。成功している人は、これまで最も数多くの失敗をしてきた人かも知れません。仮に99パーセント失敗しても、最後の1%成功すれば良いのです。どうか皆さんは鳥井信治郎初代理事長の口癖である「やってみなはれ。やらなわかりまへんで。」というチャレンジ精神で力強く後期をスタートしてください。〟
  これは生徒だけに限ったことではありません。何歳になってもチャレンジすることによって人間は成長していくと思います。雲雀丘学園に集う全員がこのような気概を持って取り組むことにより、関西を代表する素晴らしい学園を目指していきたいものです。

2007年10月03日

社会で活躍するリーダー ~成功への道

  最近の日本は諸外国に比べて起業家(アントレプレナー)が輩出しにくいと言われていますが、経済的に豊かになりすぎチャレンジすることが少なくなった結果ではないかと思います。しかし、過去を振り返ると実に多くの起業家がいることがわかります。思いつくままに列挙すると、本田宗一郎氏、松下幸之助氏、鳥井信治郎氏、豊田喜一郎氏、藤田田氏、小林一三氏、中内功氏、安藤百福氏、柳井正氏、小倉昌男氏、五島慶太氏、浅野総一郎氏、松本清氏、岩崎弥太郎氏、早川徳治氏、鈴木三郎助氏、渋沢栄一氏、堤康次郎氏,鈴木敏文氏、稲盛和夫氏、孫正義氏等です。彼らは我々がいつも目にしている企業を起こされた人ですが、これらの人がどのようにして企業を起こされたかを調べてみることは大変有意義なことであると思われます。
  私も以前「私の履歴書」や書物等で一通り読んだことはありますが、彼らは例外なく歴史に残るような大成功の裏で何回も失敗し、挫折を味わい、存亡の危機に瀕しています。以前紹介した本田宗一郎氏は「多くの人は皆成功を夢見、望んでいるが、成功とは99%の失敗に支えられた1%だと考える」と言っています。そして、失敗しても原因を徹底的に追究していくことで、最後の成功という結果に到達するという信念で、常に取り組まれたようです。また、松下幸之助氏は「ひとたび志を持って事を始めたら、少々失敗したからといって諦めてはいけない。物事を成就するためには辛抱強く努力を継続していくことが大切である。」と言っています。
  まさに、成功への道は失敗を恐れず果敢に挑戦していくことではないでしょうか。この機会に数多くの起業家の思想や行動を読み返してみたいと思っています。

2007年10月02日

創立の精神に戻る

創立当時
 学園創立当時の校舎と生徒たち

  10月1日は雲雀丘学園の創立記念日です。本学園は昭和24年(1949年)に、地元の皆さんの熱い思いで設立されました。設立当時の様子を知る人は年々少なくなり、今では残存する書き物や写真でしか窺い知ることが出来ません。
  私も、創立記念日にあたって本校の歴史を紐解いてみましたが、この58年間に学園は実にさまざまな変遷を経て今日に至っています。
  本校の創立の精神には『孝道を人間の根本義と考え  社会のために尽くす精神を最も尊重し よりよい社会国家を生み出すべく 心を素直にもち すべてに感謝の念を捧げ 健康な体力とたくましい実践力をもつ強い人間を創ることを念願としています』と謳われています。この精神の中には、「孝道」「社会のために尽くす精神」「素直」「感謝の念」「健康な体力」「逞しい実践力」「よりよい社会国家」といったいくつかのキイワードが含まれています。創立の精神は本学園の教育活動のバックボーンとなるものであり、どの時代にあっても不変のものです。そのためには、日々の教育活動の中で教職員全員が、これらキイワードの一つ一つを確認していくことが大切ではないかと思います。
学校だけでなく多くの企業や団体においても創立や創業記念日が制定されていますが、当初の精神が時代と共に風化することを防ぐために式典等の記念行事を行なっています。また、朝礼において「創立の精神」を唱和しているところもあります。
  本学園ではこういう取り組みは実施していませんが、今後とも原点に戻って教育活動の総点検をしていきたいと思っています。

2007年10月01日

ニュージーランド比較文化研修

変換 ~ ニュージーランド説明会2007.9.29 006.jpg
  9月29日(土)、来年1月から9週間にわたって実施するニュージーランド比較文化研修についての説明会を開催しました。この研修は国際科の2年生を対象に実施してきており、ワイカト大学が運営するLanguage Instituteのホームステイ・プログラムを活用してニュージーランドの家族と一緒に生活し、互いの国の文化、習慣、考え方の違いを実際に体験することで、相互の理解を深めることを狙いとしています。
  今回は13回目ということで、国際科の高校2年生13名が参加することになっています。説明会には生徒と保護者が出席し、熱心に研修にあたっての留意点に耳を傾けていました。
  私は冒頭の挨拶で、今年3月に現地を訪問した時の感想も含めて、ニュージーランドのことを紹介すると共に三つのことを話しました。一つは、日本では当たり前であると思われていることが、他の国ではそのようになっていないことが多いし、逆のこともある。日本の常識は世界の非常識ということがあるが、皆さんが高校生という若い年齢の時に外から日本を見ることができるのは素晴らしいことである。日本では味わうことのできない異質な体験をすると思うが、まず、受け入れて「違う」ということを理解して欲しい。二つは、親元を離れて生活することによって自主性が生まれ、親の有り難さがわかるようになる。三つは、ほとんど日本語を使うことなく生活するため当然のことながら英語の力が身に付くことになる。積極的にニュージーランドの人達と交流を深め、語学力を高めて欲しい。
今後益々グローバル化が進展する中で、この研修が生徒達にとって貴重な経験になるのは間違いありません。
  出発まであと3カ月になりましたが、生徒達一人ひとりが自分なりのテーマをしっかり持って、準備を整かえていって欲しいと思っています。

  なお、国際科の生徒によるこの研修は最後になりますが、国際科で培ったノウハウをしっかりと引き継ぎ、来年度以降は普通科の生徒を対象として夏期に実施していく予定です。