学園ブログ

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学園自然百景

2023年07月21日

75.「ウキクサ」

~雲雀丘学園小学校教諭 天井比呂~

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 常務理事だよりにもありましたが、田んぼは中干しを始めました。まだ水分が抜けきれない土の上に鮮やかな黄緑色をしたものが広がっています。
 ウキクサです。といっても、種名は、「コアオウキクサ」と思われます。水が引いたので、土の上に残されたものです。一般にウキクサというと、水に浮いている草の総称を言います。「ホテイアオイ」などもウキクサと呼ばれます。その種類の中にも「ウキクサ」という種名のウキクサもあります。「ウキクサ」は、葉の裏が赤く、根が数本出ているのが特徴です。そのことから、この地面に広がったウキクサは「ウキクサ」ではないといえます。
葉状体と呼ばれる(葉と茎の区別のない)裏は黄緑で、根はそれぞれから一本ずつ出ています。根の先が尖っていることから考えると「アオウキクサ」という種類ではないかと思われます。

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田んぼに浮く「ウキクサ」
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「ウキクサ」裏側
 
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中池に「トチカガミ(絶滅危惧種)」
とともに浮かぶ「アゾラクリスタータ」

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アゾラクリスタータ 拡大 表
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アゾラクリスタータ 拡大 裏

 一方、何度かお伝えしたことのある繁殖力旺盛の厄介な「アゾラクリスタータ」もウキクサの一種です。こちらは、葉状は。粒状のものが連なり、複雑な形を形作っています。花が開いたような形をしていて、華やかな感じがします。現在は下池に現れています。今のところ大量発生には至っていません。
 「アオウキクサ」は、水の浄化や生きものの隠れ家に役立つので重宝されることもありますが、広がりすぎると日光が水中の届かなくなり生物などが酸欠を起こしてしまう厄介者にもなってしまいます。
ウキクサは、小野小町の詩にも詠まれたり、万葉集では、諸説ありますが、浮き砂(うきまなご)として詠まれたりしています。水の流れに任せて浮くウキクサを儚さや浮いた心などを表しています。
 夏休みに入り、気持ちがふわふわとしてしまいがちですが、この猛暑しっかり熱中症対策をして過ごさなければなりません。