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2018年06月26日

「前途、洋々たれ!」

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~
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「雲雀丘学園の岡村校長先生ですね」と声をかけられたのは思いがけない場所でした。先週の日曜日、甲子園球場、阪神広島戦も中盤にさしかかり、今日も阪神は負けるのかという雰囲気が球場に漂い始めた頃でした。声の主は球場のスタンドの「売り子」さん(正式には立ち売りスタッフ)でした。

「どうして私を?」「雲雀丘学園の卒業生です」。
私が校長をしていたのは2年間でした。よく覚えていてくれたものです。声をかけてくれたものです。うれしくなって飲料やおつまみをたくさん買いました。
名前はFさん。今は外国語大学で英語の勉強をしているそうです。見るからに健康的、はつらつ、笑顔。一緒に観戦していた友人が「感じがいい、きれいだ、可愛い」を連発し何度も呼んでは注文するので周りも驚くほどの杯数となりました。

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私がサントリーにいたころ、東京ドームが大切なお取引先でしたので「売り子」さんのことも少しはわかるのですが、この仕事、なかなかの激務なのです。ビールの樽で販売するので20キロ近くを背負うことになります。そして急こう配のスタジアムを何度も昇り降りします。給料はほとんどが歩合で、「売り子」一人当たりの1日平均販売杯数は100杯ぐらいですが多い人になると300杯ぐらい売る人もいます。たくさん売るには驚くような秘密があります。

一樽を売り切ると1階にあるバックヤードの基地に駆け戻り、新しい樽を背負いなおしてただちに観客席に戻ります。東京ドームだとビールの4社が毎日の売り上げを競い合っているのでスタンドはまさに戦場の様相です。

「売り子」さんはここでの仕事を通していろいろなことを学びます。人間学、心理学、判断力、そして何よりも根性。人に好かれるコツのようなものも身につくのではないでしょうか。そんなわけで就職試験にも強いようです。「売り子」さんの中にはファンクラブができる人、やめるときにはお客様から花束のプレゼントをもらう人もいるとのことです。

声をかけてきてくれたFさん。あなたの前途、洋々たれ!と祈っています。

(2018.6.26)

2018年06月20日

「大阪北部地震の一日」

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~
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週明けの6月18日、大阪北部地震が発生しました。大阪では過去最大級の地震でした。死者5名、負傷者は400名を超える大災害となりましたが、幸い雲雀丘学園は、けが人は一人もなく、また建物などにも大きな被害はありませんでした。地震発生を知るや懸命にそして的確に対応してくれた教職員や学園関係者の皆様のおかげだと思っています。誠にありがとう、またご苦労様でした。学園長としてお礼を申し上げます。

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 地震翌日元気に登校する児童、生徒

地震発生でほとんどの交通機関がストップ、ちょうど通勤通学時間と重なり交通機関には大きな影響が出ました。雲雀丘学園はほとんどの児童、生徒が阪急宝塚線、JR宝塚線を利用しますので特に大きな影響が出ました。地震発生時にはすでに登校しているもの、通学途上のもの、それも車中のもの、駅構内にいるもの、駅に向かっているものと様々な状況にあります。中高、小学校、幼稚園は適時保護者に情報を流し園児、児童、生徒の安全確保に努めました。とにかく安全第一。小学校は保護者に駅に出向いてもらい児童の安全の確認、確保のご協力もお願いしました。併せて教員も手分けして駅に駆け付け生徒の誘導に当たりました。また下校には保護者への児童の引き渡しを原則としましたのでマイカーでの迎えも多く教職員総出で運動場への車両の導入もしました。

午後6時過ぎになりましたが、小学校、中高とも学園でお預かりしていた最後の児童、生徒を保護者にお引渡しすることができました。全員で安堵の胸をなでおろした次第です。

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 乗客の方から送られてきた写真

余談になりますがJR宝塚線大阪行きの電車が地震で緊急停車をしました。ちょうど学園の南門の前あたりの位置でした。1時間余り立往生ののち、電車は線路上でしたが乗客の下車を認めたようです。次々と乗客が電車を降りはじめ、傍の道路に上って来られました。
この状況を見ていた学園の警備員の方が「よろしければ学園のトイレをお使いください」と声をかけました。ご婦人方を中心に多くの方がトイレを使われたようです。

この話は乗客の方から翌日、学園にお褒めの電話をいただきました。こんな話を聞くと大変長い一日でしたが疲れも心地よいものとなりました。

(2018.6.20)

2018年06月12日

「梅雨空記念日」

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~
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曇り空、少し小雨もぱらついた6月12日の朝は、梅雨空のもと、記念すべき日になったかもしれません。小学校の児童会の役員が「挨拶運動」で、登校してくる児童や生徒に「おはようございます」の声をかけるのですが、今朝はその役員の中に、登校してくる1年生が一人二人と加わって長い列ができ、「おはようの合唱」が学園にとどろきました。自然発生。先生方も反対側に並んでニコニコ、さながら何かイベントを行っているような光景となりました。

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20180612-3.jpg実はこのような気配は数日前から感じておりました。1年生が自主的に挨拶の輪に入ってくるようになりました。今日はそれがピークになったようです。挨拶は楽しく面白いのです。そして笑顔と元気を生みます。周りとの連帯感も感じます。小さな時のこのような経験は子供たちに大きな心の栄養を与えるのではないでしょうか。


20180612-4.jpgもう一つ。今日6月12日はトランプ大統領と金委員長の歴史的な会談がシンガポールで行われます。そして今日午前、高校2年生は修学旅行でシンガポールに向かい午後5時10分にチャンギ空港に到着します。おそらく現地は興奮冷めやらぬ状況にあると思われます。その真っただ中に飛び込むのです。何と貴重な体験でしょうか。

実は高校2年生の修学旅行は昨年まで北海道に行っていたのですが、今年度からは行き先にシンガポールを加え生徒の選択制にしました。グローバル化の進展の中、特に東南アジアのダイナミズムを肌で感じてもらうことが大切であると考えました。もちろん北海道の大自然の中でファームステイし、環境問題を正面からとらえ、チャレンジ精神を培うことも重要であることに変わりはありません。

(2018.6.12)

2018年06月08日

「たゆまぬ改善」

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~
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先日、トヨタの2018年3月期の決算発表がありました。売上高29兆円、純利益2兆5千億円と日本企業として過去最高額を達成したのですが、発表にあたった豊田章男社長は真剣な表情で「自動車産業は生死をかけた戦いが始まっている」と語りました。

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 シンボルツリー メタセコイア        小学校 楠

トヨタがこの巨大な売り上げと利益を上げる根源は、あくなき原価低減とトヨタ生産方式にあるといわれています。この好決算に表情を少しは緩めてもと思いますが、豊田章男社長はなおも「大変革の時代を『100年に一度の大チャンス』ととらえ一層の『原価低減』と『たゆまぬ改善』に取り組む」との決意を語りました。

事実私たちも「トヨタは乾いた雑巾も絞る」会社だと教えられてきました。生産現場に立つ人は歩く歩数を1歩でも少なくする工夫をすること、待つ時間を1秒でも少なくすることが「原価低減」につながるとして、ひとり一人が持ち場持ち場で「たゆまぬ改善」を続けました。

学校経営もよく似たところがあります。雲雀丘学園は「関西を代表する一流の学園を目指す」との目標を持っていますが、実はこの目標自体にはなんら推進力はないのです。というか役に立たないのです。大切なことはその目標を個々人がどう受け止めそれぞれの立場で何を実践するかにかかっているのです。

過日、小学校の運動会が開催されました。私は実に見ごたえのある充実したものだったと思っています。リレーは力強い迫力ある走りがありました。玉入れはユニークなダンスが加わり思わず笑みがこぼれ、組体操は竹棒を使うことで改善がなされていました。その他の演技でも多く改善(変化)が見受けられました。

ところが、逆説的になりますがこの改善はなくても運動会は楽しく進行し、終了したと思います。改善や変えるということはなくても不自由はない、進んでいく。ここに落とし穴があります。しかしやっておかないと知らないうちに会社や学校は確実に劣化し、いつの間にか取り返しがつかない事態になっているのです。

不断の変える努力がそれを評価する組織が生き延びていくためには必要不可欠だと思います。

(2018.6.8)