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「お墓参り」

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暑い夏に必ず思い出すのは子どもの頃のお墓参りのことです。
私の父は大正10年、六甲山の山々の狭い谷あいの村の農家の三男として生まれました。その生家のお墓は車では通れない山道をどんどんと登って行った先の小高い森の中にありました。途中のお寺で水を汲ませていただき、溢さないようにゆっくりと歩いていくのですが、真上から陽が照りつける下を汗だくだくになって登っていくのでした。脇の水路の流れがわずかに涼しげでした。「ここはお祖父さんお祖母さんのお墓だ。次はお祖父さんの出た家のお墓、次は…」とあちらこちらと回るお参りする順番も決まっていました。最後はお地蔵様に水をかけ、お線香をあげて手を合わせました。山を下りてからは同じ年頃の従弟・従妹たちと園側に腰かけて、井戸で冷やしたスイカや瓜をガツガツと頂くのが楽しみでした。私が生まれるずっとずっと昔から、先祖代々、毎年毎年必ず欠かすことなくやってきたお墓参りです。勉強やクラブ活動が大事なことは百も承知のうえでしたが、「お墓参りは最優先」というのが我が家の決まりとなっていたのです。そして毎年のこの行事について、父はそれはもう大変満足そうなのでした。
今はもう35歳になる息子が私に必ず聞いてきます。「今年は何日にお墓参りに行くの?」彼は九州に住んでいますので「遠いから気持ちだけで良いよ」と答えるのですが、幼稚園・小学校の孫2人とお嫁さんを連れて必ず帰ってきます。こうやって大事なことは継いでいかれるのだなあとしみじみ思う酷暑の夏です。

(雲雀丘学園幼稚園園長 平尾聡)