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親孝行・やってみなはれ

2021年01月22日

はじめて読んだ文庫本

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 はじめて読んだ文庫本は下村湖人「次郎物語」でした。今はない梅田の旭屋書店で父が買ってくれたものです。「もうすぐ中学生だし文庫本も読んでみるか」というような言葉を覚えているので,小学校6年生の終わり頃でしょう。それまでは,図書室で借りたポプラ社「怪盗ルパン」や「少年探偵」などの小学生に人気のシリーズや,家にあって繰り返し読んだ小学館「少年少女世界の名作文学」など子ども向けにつくられた本しか読んだことがなく,大人が読んでいるのと同じ,活字がぎっしり詰まった文庫本を勧められたことが嬉しかったことを覚えています。岩波文庫★1つ50円の時代です。
 今でも本を読むのは好きですが,振り返ってそれがどこから来たのか記憶の中を探っていくと,文庫以前は「少年少女世界の名作文学」にたどりつき,文庫以後の出発点がこの父との場面に行き当たりました。
 自分の好みや意思と思っていたことを,その源へと遡ってみると,両親や身近な人たちがきっかけをつくってくれていたことに気づくことがあります。自分もまたそのようなきっかけになれたらと思います。

(中高校教頭 深川 久)