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親孝行・やってみなはれ

2022年09月09日

苦痛の効能

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 フルタイム勤務の母に代わり、私を育ててくれたのは実質祖母でした。祖母には、帰宅した瞬間から怒られっぱなしの日々でした。「靴は揃えろ」「手足を洗え」に始まり、食事の時間はそりゃもうひどい。「正座しろ」「箸をちゃんと持て」「肘をつくな」「口に入れたまましゃべるな」等々。「怒られてばかりでごはんが美味しくない」と反抗したこともありますが、「人間食べてる時に地が出る。嫌なら言われないようにすればいい」と一蹴されました。
 苦痛で苦痛で仕方のなかった私は、大学進学とともに家を出ました。説教を聞かなくてよくなったとさえ思っていました。
 あの説教を感謝するようになったのは就職してから。色んな職業の様々な方々に「あなた、おばあちゃん子でしょ」「手をかけて育ててもらってるね」等と、ふと言われてぎくりとすることが度々あり、苦痛と思っていた日々に思いあたりました。
 それでも、祖母本人に感謝の意を伝えられるようになったのは恥ずかしながら最近のことです。まだまだ元気ですが祖母も今年81歳。あと何回直接「ありがとう」と言えるか分かりませんが、ことあるごとに伝えていこうと思います。

(雲雀丘学園中学校・高等学校 中1学級担任 国語科 山中 和世)