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親孝行・やってみなはれ

2018年11月02日

「命」

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 私の出産時には,数々の苦労がありました。私自身がとても元気だったので,元気な子が産まれてくると,当たり前のように思っていたのでしょう。お腹の中にいるときから,産まれたらこれをさせようなどと,子どもとの生活を楽しみにしていました。しかし,産まれてきた子どもに病気が見つかり,すぐに大きな病院に運ばれ,治療しなければいけなくなりました。危険な手術も経験しました。まだ3㎏もない小さい体に,多くの点滴の管がつながれ,見ているだけで辛い日々。私のできる事といえば,快復することを祈りながら,毎日病院に通う事だけでした。
 入院が4ヶ月程続いた頃,一時退院の許可が下りました。初めてのクリスマスをお家で迎えられると,その日が来るのを待ち焦がれていました。いよいよ一時退院の日,車の中でまた発作が起こり,すぐに病院に逆戻り。さすがに落ち込みました。院内のクリスマス会に呼んでもらった時も,「本来なら自分の家で迎えられただろうに。どうして,自分の子どもが。」という思いを抱え,浮かない顔をしていた私に,看護師さんは,「こうしてクリスマス会に出られるだけでも感謝しないといけないよ。生きているのは当たり前のことではないんだから。」と声をかけてくれました。
 病院には,様々な子どもたちがいました。私の子どものように,治療ができて治る子ばかりではありません。障害が残ってしまう子や,治療ができず命を落としてしまう子もいました。「生きていることは,当たり前のことではない。」私が今でも心に残っている言葉です。私の子どもは,無事に病気も治り,今は元気に学校に通っています。元気で生活していると,いつも通りに過ごせることを,つい普通に感じてしまいます。小さな成長に満足せず,「もっとこうして欲しい。」と多くのことを望んでしまったり,他の人と比べて劣っている面ばかりが目に入ってしまったりします。でも,健康に生きていることは,本当はとてもすごいことなんです。成長できることは,当たり前のことではないんです。命あることに感謝する心を忘れずに,過ごしていきたいと思います。

(小学校教諭 和田 智恵美)