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日々のブログ

2025年07月25日
親の背中、今の自分。

幼い頃の記憶といえば、私の両親は共働きだった為、家族全員がそろう夕食も少なく、年に一度に行く家族旅行が楽しみでしかたなかったということを今でも覚えています。
子どもの頃は、旅行といえば当たり前のように「連れて行ってもらうもの」でした。両親がどんなに忙しくても計画を立ててくれていることも、当時は何もわかっていませんでしたが、家族の時間を大切にしてくれたこの思い出がいつの間にか、今では自分の趣味になり、いろいろな土地に旅行することが楽しみになっています。
そして、年に1度にはなりますが大人になった今、自分が計画し、親を誘って旅行に行くのも恒例行事になりました。
最初に行ったのは、好きなアーティストのライブで遠征した時の旅行でした。
慣れない旅の計画に手間取りながらも、喜んでくれる母の顔を見て、「来年も一緒に行けたらいいなぁ」と感じ、それから毎年、時間を合わせてはどこかへ出かけるようになりました。長崎、金沢、鎌倉......。一緒に温泉に入ったり、美味しいものを食べたり、昔話をしたり、母と並んで歩く時間は、少しだけ自分を子どもに戻してくれる気がします。
でも、楽しいことばかりじゃありません。道に迷って言い合いになったり、食べたい食の好みが合わなかったりと、旅先でも些細なことでケンカになることも多く、遠慮のない親子だと自分でも感じます。
けれど不思議なことに、ケンカしても、夜には一緒に笑っている。布団に入って「やっぱり似てるよね、性格」と母が笑うと私もつい笑ってしまう、血のつながりだけじゃない、不思議な絆を感じる瞬間です。
年を重ねるごとに、母も少しずつ疲れやすくなってきました。それでも、「また来年も行けるように元気でいようね」と言い合えるこの時間が、私にとってかけがえのない宝物です。
私にとっては、ケンカをしても感謝を伝える大切な機会であり、今だからこそできる時間の使い方だと思うので、この時間を大切にしていきたいと思います。
(雲雀丘学園中山台幼稚園 年長担任 高橋 のり子)