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往復書簡⑪「心に火をつけてくれた先生と言われたい」大森先生からの手紙

~雲雀丘学園常務理事・学園長 岡村美孝~

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お手紙ありがとうございました。「陰徳」という言葉を聞くと、なにか古いイメージを覚えますがサントリーという現代を代表する会社でも、「陰徳」の思想が、日ごろの企業活動の中で生きていることに驚きを感じました。

 お手紙のなかで生徒指導の秘訣を知りたいとのことでした。しかし特に秘訣のようなものがあるわけではありません。
 生徒一人ひとり性格も体格も、そして能力も異なるが、根本的には、生徒のよいところや強みを見つけ出して伸ばしてあげることに注力するだけです。生徒誰しも悪いままでよいとは思っていません。少しでも良くなりたいと思っているのです。それなのに、その時の学習成績や理解力の低さなど一面だけで生徒の能力を判断してしまい、悪いところばかりに目が行ってしまいます。中学一年時で定期考査が最下位近い成績をとっていたが、英語のリスニングが強いことをきっかけに伸びていき、6年後東京大学に現役合格した生徒, 高校2年生で留年していた生徒が長崎大学の水産学部に入り、北海道大学の大学院に合格しながら長崎大学の大学院水産学科に進学、そして薬学部の博士課程に進み現在教授となっている生徒, 高校3年の6月の模試の成績が偏差値40程度だったが、好きな魚の研究で広島大学生物生産の推薦入試に合格後、東京大学の大学院に進学した生徒, 彼らを見ていると、今は勉強できなくても心に火がつけば凄い力を発揮することを痛感します。教育を行うものは、知識を与えるとか、問題が解けるようにする以上に、生徒の心に火をつけるべく努力する仕事ではないかと思っています。すべての生徒に対応できるわけではありません。教員は自分の得意な分野を持ち、その分野に興味を抱いた生徒の心に火をつけていく。教員集団が多様であればあるほど、多くの生徒を伸ばしていけるのではないかと思っています。
 しかし、心に火をつけても、長続きしないで、消えてしまう場合もあるでしょう。小さな火でもついた生徒に対して、それをさらに燃え盛るようにするには何ができるようになればよいかを考え、実行していきます。例えば、集中力がすぐに切れる、文章を読まない、論理的に物事を考えることはできない生徒に対しては、好きな分野の本を一緒に読んで勉強する会を日を決めて始めたり、計算の弱い生徒には一緒になって計算問題をすることもしました。また、生徒の好きな分野を自分も少しは勉強し、生徒から教えてもらいながら疑問をぶつけ、生徒の興味関心を深化させていくこともしました。いずれも、最初は時間がかかります。しかし、車と同じで、最初はゆっくりとしか動きませんが、動き始めるともう教師が指示しなくても、どんどん進んでいくのです。
 ですから、秘訣はありませんが、心構えは、どんな生徒でも伸びると信じること。教員があきらめない。それだけなのです。そして、そのようにして成長していってくれた生徒たちが、今度は私が指導に困っている生徒たちに話してくれて、後輩の心に火をつけてくれている。教え子を通じて、生きる喜び、学ぶ喜びの火が燃え広がって行っているので嬉しくなっています。
 好きな言葉の一つは、「夢ある人に目標あり、目標ある人に計画あり、計画ある人に実行あり、実行ある人に成果あり、成果ある人にロマンあり、ロマンある人に夢がある」です。一人でも多くの生徒に「心に火をつけてくれた先生」と言われたらいいなという夢を持って、与えられた時間を過ごしていきたいと思っています。

岡村常務理事はサントリーの営業本部長として常に経営トップに接してこられたと思います。トップとの思い出、我々が特に興味のある営業第一線でのやりとりがありましたら披露していただけませんか。

(2019.9.9)

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