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2025年12月19日

白紙ばかりの生い立ちアルバム

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「お母さん、恥ずかしかったわ!」

小学1年生の夏休み前。個人懇談から帰ってきた母親にこっぴどく怒られました。原因は4月に配られた「音読カード」をランドセルの奥に隠していたこと。音読の宿題を1学期間放ったらかしにしていたのです。

母親は、私が生まれてすぐに職場復帰し、朝から晩まで働いていました。父親も夜勤のある仕事。そのため私は小学校の6年間、姉とともに祖父母宅で生活し、そこから学校に通っていました。

言うなれば「育児のための別居生活」。さみしく感じることもありましたが、そこは昭和の時代です。家で一人で過ごすことなく一日中外で遊び回って、難なく乗り切っていました。しかし、宿題をすべて祖父母に任せきりにしていたことを懇談会で指摘された母親。親として、きっと情けなくて悔しかったのだろうと思います。

そんな私の「生い立ちアルバム」をめくってみると、生後すぐの写真の次はお宮参り。命名の理由は「特になし」。その次のページを開けば、もう私は小学生になっています。とにかく写真がありません。それほど毎日、両親は家族のために働いてくれていたのでしょう。

今は実家でのびのびと暮らしている母親。白紙ばかりの生い立ちアルバムを開くたび、当時の忙しさと苦労を思い「お疲れさま、ありがとう」と感じています。

(雲雀丘学園中学校・高等学校 教頭 数学科 道北 秀寿)