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日々のブログ

2026年01月23日
万博の思い出

「ケンタッキーフライドチキン!あれ、初めて食べたんや。美味しかったなあ。衝撃やったで」「田舎から出てきていたおじいさん(母の父)と途中でけんかになって先に帰るとか言いだして大変やった」これは、1970年の大阪万博を体験した私の両親の万博エピソード話の一部です。日本の高度経済成長期に開催された大阪万博に対する市民の高揚感は、今とは遥かに超えるものだったでしょう。幼い私たちに両親は、よく万博の話をしてくれました。あれから55年。未来への希望からバブル経済崩壊、失われた30年を生きてきた私にとって、55年ぶりの大阪関西万博開催は、それほど心躍るものではなく、どちらかというと、今の日本に必要なイベントだろうかと、どこか冷めた思いがありました。そうした矢先、大阪関西万博がいよいよ始まったと同時期に母が倒れました。腰の骨に細菌が感染しており、緊急手術、入院生活となりました。「9月に万博へ一緒に行こう」今度こそ寝たきりになるわなあと気弱になっていた母と叶わないかもしれない約束をしました。
9月の心地よい優しい風にふかれながら、「55年ぶりにまた一緒に万博へ来たね」と、母が乗った車椅子を押しながら大屋根リングを一周しました。リングを包む美しい青い空からは、「なんや楽しそうにしてるやんか。わしも寄せてくれや。やっぱりええなあ万博は。」と亡き父の声が聞こえてくるようでした。
(雲雀丘学園中学校・高等学校 養護教諭 堀田 淳子)
