学園ブログ

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常務理事便り

2025年09月29日

Vol28 四国へ

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 週末の9月26日(金)に中高の中井校長先生と四国、松山・今治に行きました。目的は今治に2年前に開校した「FC今治高等学校 里山校」の見学です。この学校はご存じの方も多いかもしれませんがサッカーで有名な岡田武史さんが創設した学校です。
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 AIが急速に発展し、難関大学の入試に合格する回答が出せる時代に、詰め込み型の知識教育中心でよいのだろうか。また、気候変動などの影響で、例えば乾燥地帯の砂漠に大雨が降り洪水が起こる等、従来では考えられないような変化が起きたり、あらゆることがすさまじいスピードで変化している世界の中で、教育の仕組みだけが旧態依然として変わっていないが大丈夫だろうか。従来型の「教室で教師が教え、生徒がそれを聞く」という教え込む教育の在り方では、ロールモデルが存在しないこれからの世界では通用しないだろう。経験知のない課題に対して自分で考え、周りの人たちを巻き込み、解決に向けて歩んでいける主体的な人材の育成を目的とした教育が必要ではないかという、強烈な問題意識から、上記の高等学校を立ち上げられました。
 入試では学科筆記試験はなく、書類選考、個人面接、ワークショップでのパフォーマンス選考が行われます。定期テストもありません。1・2年生は親元を離れて全員寮生活です。「命にかかわることはしない」、「他人の学びを妨げることはしない」、「法律に触れることはしない」という3つの約束以外に校則はありません。お仕着せの教育は最小限にとどめ、自分の学びたいこと、したいこと、興味あることを自らの判断で学んでいくという学校です。先生方も教えたいであろうこともじっと我慢して教えず、生徒の学びの萌芽を粘り強く待っておられます。
 たまたま見学した授業ではテーマはあるのですが、先生はこれに対して、このようにすべきというような教え方は一切していません。それどころか、音楽を聴いている生徒、英会話の勉強をしている生徒等、テーマに関係ないことをしていても教員はこれを咎めません。とにかく自分の判断で決めることが最優先されます。当然、結果責任も自分が担います。一見ハチャメチャなようですが、声をかけた生徒の皆さんは皆、自分の意見をはっきりと言い、自分が決めた目的に向かって歩んでおられるように感じました。
 現在の学校教育に対する、アンチテーゼを示されていることは間違いありません。我々が「やってみなはれ」というように里山校では「エラー&ラーン」が合言葉です。初めてやることはほとんど失敗する。これは当然のこと、そこでLearn(学んで)再挑戦すればよい、ということです。
 我々も里山校のようにすべてのことを一足飛びに実践するのは難しいですが、選択肢を出し、最後は自分で決められる人を育成するという根幹分は十分に研究する必要があると思いました。実に刺激的な訪問をさせていただいた、岡田武史さん、辻校長先生、スタッフの皆様にあらためて感謝いたします。