学園ブログ

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常務理事便り

2025年10月29日

Vol31 韓国へ

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 10月14日から16日にかけて、韓国の中・高等学校を見学してきました。ソウルや釜山といった大都会ではなく、韓国第4の都市である大邱(テグ)からも、高速を走らせて約1時間30分ほどかかる安東市豊山邑という地方都市にある「豊山(プンサン)中・高等学校」です。周りはほぼ畑と田んぼで囲まれている学校といってよいでしょう。14日の夜に関空を出て、16日の朝には関空に戻るという弾丸訪問でしたが、見学に行っただけの価値はありました。
 この学校はある意味で完全に日本式の進学校です。詳しくは中井校長の「校長通信Vol.59」に記されていますので、ご覧になってください。全国から中学校の上位7%レベルの生徒たちを集めて、全寮制で授業をしています。多くの生徒がソウル大学をはじめとした難関大学や医学部などを目指しています。一方で国内だけではなく、海外にも視線を向け、2年後には国際バカロレア認定校を目指していると李校長はおっしゃっていました。
 授業が始まる前の時間、いわゆる0時間目から学校は開き、8時間目まで授業があります。更に自習室は夜11時30分まで使用可、自室の消灯は25時として学びたい者はいくらでも学べる環境を提供しています。「有名大学進学」を旗印に教員団もまた、生徒たちも日夜励んでいるようでした。「忠孝」を校是としている点や女子生徒が約60%いること、生徒たちのまじめで穏やかな雰囲気などは本校とよく似ていました。また、高校1年生の授業を拝見して、英語力の高さには感心しました。英語を使うPBL形式の授業でもネイティブさながらに活発な意見交換がなされており、同行した本校グローバル探究部の森川部長も驚きを隠せませんでした。

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 今月は既にレポートしたように、サッカー元日本代表監督・岡田武史さんが改革に取り組んでおられる「FC今治高等学校 里山校」も見学しましたが、この高校と今回の豊山高校は入試形式、授業形式、生徒の多様性等どれを取っても対照的でした。前者は徹底的に個人の主体性を重視し、その育成のために先生はコーチとして寄り添い、自ら学びたいという「DNAのスイッチ」が入るまで辛抱強く待っている学校でした。後者は大学進学を目指して、教員が夜22時まで付き添いサポートし、難関大学の入試を乗り切っていくために、知識教育を中心とした学びを教員団が規律正しく提供している学校でした。ある意味、我々がイメージする「The進学校」そのものでした。教育、特に、成年期の前の教育はどうあるべきか、多様な選択肢がある中で「雲雀丘学園」はどのような道を歩むべきなのか、将来を見据えた時に子どもたちにとって何を大切にすべきなのか、大いに考えさせられる秋となりました。