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常務理事便り

2025年10月16日
Vol30 学ぶとは・・
~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~
本年度ノーベル賞受賞者に、二人の日本人研究者が選ばれました。生理学・医学賞と化学賞でした。前者の坂口先生は、制御性T細胞という自己免疫を抑制する機能を持つ細胞を発見されました。その結果、その細胞の量を調整することで自己免疫機能を活用した病気治療の可能性を飛躍的に高められました。
また、化学賞の北川先生は化学合成によって、多孔性金属錯体を作り出しました。その存在を学会誌に発表した時には信じてもらえなかったり、「嘘つきだ」とさえ言われたと新聞に書かれていました。しかし、粘り強く研究を続け、この錯体に気体を取り込む機能があることを論文発表し、世界を驚愕させたのでした。
ともに今後の世の中を大きく変えていく可能性のある、発見・発明でした。坂口先生は論文で否定されても絶対に存在するはずと自分の仮説を信じ、地道に研究を続けられ、遂にその仮説を証明されました。北川先生は「無から有」を作り出し、化学界の常識を覆しました。
お二人に限りませんが、素晴らしい発見や研究をされる方は、学問的興味や関心をあきらめずに本当にしつこく追及されています。他の方に信じられなくても、また疎んじられても自分が信じた道を歩んでおられます。ここに学問や学ぶことの真髄があるように思います。興味や不思議を追求するという姿勢や態度については、北川先生が様々な言葉で表現されています。曰く、「運・鈍・根」(運の良さ、鈍いくらいの粘り強さ、根気)「無用の用」「疾風に勁草を知る」等々、我々もよくよく心に留めておきたい言葉です。お二人の受賞に対して心から賛辞をお贈りしたいと思います。