学園ブログ

学園ブログ

常務理事便り

2026年06月16日

Vol11 ホタルが飛んだ日

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

20220401.jpg


6月初旬の夜9時ごろ、暗視カメラの映像に、ぼんやりとした一筋のやわらかな光が映りました。場所は、幼稚園の通称「怪獣公園」の隅を流れる小川のほとりです。
 これは、前々回のブログで紹介したホタルの孵化を確かめるために据え置いていた、夜間撮影用の暗視カメラがとらえた光でした。
 ホタルです。たった一匹ではありましたが、カメラの中には、その小さな命が放つ揺らめく光が、たしかに映っていました。学園の自然観察や田植えの活動を監修してくださっているY氏から、その第一報が届きました。中高の岸本先生と生徒たち、そしてアドバイザーのY氏が、幾度も失敗を重ねながら取り組んできたホタル再生の試みが、ようやく最初の一歩を刻んだ瞬間でした。その後、カメラが再び光をとらえることはなく、今年はこの「一匹の奇跡」で終わるのかもしれません。
20260616-1.jpg
夜9時、暗視カメラで撮影
20260616-2.jpg

20260616-3.jpg
 その後も小川の周辺を確かめていますが、今のところ、ほかのホタルや幼虫の姿はまだ見つかっていません。けれども、何かが始まるとき、その最初の一歩はしばしば「偶然」や「奇跡」のように見えるものです。しかも今回は、ただの奇跡ではなく、言うならば「予期された奇跡」でした。ホタルが暮らせる環境をできる範囲で整え、その姿が現れる可能性を信じて準備を重ねてきたからです。たった一匹、それでも確かに希望を宿した一匹でもあります。いつの日か、ひばりの里のまわりをたくさんのホタルが飛び交い、親子がともにその光を追いかける夜が訪れることを願っています。条件を考えれば、道のりは決して平坦ではなく、これからも失敗はあるでしょう。それでも、あきらめることなく、挑み続けてほしいと思います。
 非常識を常識へと変えていくところにこそ、「やってみなはれ」の精神が息づいているのだと思います。