学園ブログ

学園ブログ

常務理事便り

2025年12月10日

Vol36 オーケストラと和太鼓

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

20220401.jpg


 年の瀬も間近になってきました。あと20日で新年を迎えます。ご存じの通り、日本ではこの時期にベートーベンの「第九」が演奏されることが多く、年末の風物詩になっています。
 今年も43回目の「サントリー10,000人の第九」が大阪城ホールで開催され、学園小学校の5年生49名が参加させていただきました。岡村先生、垣内先生の指導の下、数か月をかけて、ドイツ語の歌詞を覚え、「合唱」に臨んでくれました。私は客席で鑑賞させていただきましたが、正面のオーケストラの演奏に耳を傾けながらも、子どもたちがしっかり参加できているかどうか、気になって横目でちらちらと視線を送りました。しかし、心配無用とばかりに、全員が口を大きく開けて元気に歌声を響かせていました。

20251210-1.jpg
20251210-2.jpg

 今回の演奏会の幕開けは西洋文化が生み出したオーケストラと日本文化の中で育ってきた和太鼓の共演で始まりました。数種類の和太鼓が生み出す日本的なリズム、強弱の音、幅のある音調はオーケストラが生み出す様々な音色、音律、メロディと素晴らしいコラボレーションを展開してくれました。大太鼓が生み出す圧倒的な音の波は皮膚を通して心の中まで震わせるようでした。
 「第九」の合唱の歌詞はシラーの「歓喜に寄せて」という詩です。ベートーベンはこの詩に感激し、これを音楽で表現したいと「第九」を作曲したといわれています。「Freude!」(歓喜)と高らかに歌う歌詞はあまりにも有名です。苦悩を乗り越えた先にある平和や友情、更に言えば人類愛・博愛の精神等、国境や時代を超えた普遍的なメッセージがこの曲の主題です。世界を見渡せば、戦争や紛争、混乱はいたるところで起きていると言っても過言ではありません。また、国内に目を転じても、SNS等の影響もあり、社会は分断のスピードを早めているように思えてなりません。
 和太鼓とオーケストラ、一見似つかわしくないように思える和洋の融合により想像以上に素晴らしい音楽が生み出されました。人類の叡知を集め、世界が抱える苦悩や対立を乗り越え融和し、その先にある「歓喜」を分かち合える時が必ず訪れることを信じたいと思います。