学園ブログ

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常務理事便り

2025年12月15日

Vol37 パラアスリート 来校

~雲雀丘学園常務理事 成地 勉~

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 去る、12月12日、日本のパラアスリートの草分けであるサントリーの谷(旧姓:佐藤)真海(タニ マミ)さんが本校に来てくれました。トレーニングの合間を縫っての来校でした。小学校4、5年生と中学1年生の児童、生徒を対象に「切り開くチカラ」という演題の講演をしていただきました。
 谷さんは東京オリンピック招致合戦の時の最後のステージで、プレゼンターの一人として故・安倍元首相などとともに、世界のIOC委員の方にオリンピック・パラリンピックの東京誘致を語り掛けられたことでも有名です。ご自身は学生時代、大学応援部のチアリーダーとして活躍されていましたが、余命を告げられるような突然の病(骨肉腫)で、右足の膝から下を失われました。しかし、そのショックのどん底に居る時、担当の医師や義肢装具士の先生から義肢を装着すれば走ることができるというアドバイスをもらい、走ることに可能性を見出し、高校時代にやっていた陸上競技を再開しました。慣れるまでは全くうまくいかなかったとのことですが、2年後のアテネ大会には走り幅跳びで出場することができました。その後「限界のふたを外す」挑戦をし続け、パラリンピックに出る度に自己記録を更新されました。初出場時3m台後半だった記録は2012年のロンドン大会では5mを越えるまでになりました。入賞こそできませんでしたが、自分に限界を設けず、工夫と努力を怠らずに次々と記録を塗り替えられたのです。過去を悔やんでも仕方ありません。まさに自分の未来を「切り開くチカラ」を信じ、自ら作ってしまいがちな「限界のふたを外し」て、挑戦し続けられたのです。

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 まだまだ、彼女の挑戦は続いています。東京パラリンピックではトライアスロンの選手として出場を勝ち取られました。お子様を育てながら競技もまだまだ継続されるようです。
 自ら「切り開く」こと、自分の可能性を信じること(「限界のふたを外す」)、挑戦し続けること等、示唆に富んだお話をしていただきました。特筆すべきは、彼女は特別に運動能力が優れているわけではありません。我々の近くにいるごく普通の女性です。しかし、障がいを持ったが故に、あきらめるのではなく、「できることは必ずある」と挑戦する心を一層強く持たれたのです。この「意志」が彼女の力の源泉です。
 自分で限界を作らず、可能性に挑戦することが人生においては大切なのだと、彼女の優しい瞳は語っていました。彼女の歩みは、私たち一人ひとりにも、自分の可能性に挑み続ける勇気を与えてくれます。顔を上げて前を向き、歩み続けましょう。